日本共産党の田中啓介市議は24日、第2回定例市議会の代表質問で、「働き方改革」一括法や生活保護基準引き下げについて市長の政治姿勢を問うとともに、4月に市教委が出した新たな小中学校の統廃合方針「札幌市立中学校の学校規模の適正化に関する基本方針」や北海道新幹線の札幌延伸について、市の認識をただしました。
統廃合「迅速化」「加速」こそ不安増大
市教委の新しい方針は、学校統廃合の「議論が長期化し、参加している方々の負担が大きい」「不確定状態が長引くことで保護者の不安を招く」ことをあげ、「迅速化」し「取り組みを加速させる」とのべています。
田中氏は、新方針は「結論ありきで統廃合を進める極めて乱暴な方針」と指摘。「住民からの発意ではない統廃合の押し付けでは、意見が分かれるのは当然であり、負担や不安を招くことを本気で避けようとするなら、市教委が統廃合対象を示して議論を開始させるやり方を改めるべき」「保護者・住民との合意のない統廃合を強行することはあってはならない」とただしました。
市教委は「丁寧に取り組みを進めたい」と、あくまで新方針にもとづいて進めていく姿勢を示し、父母の不安には答えようとしませんでした。
延伸効果見直しを
田中氏は、2017年度決算で103億円と前年比2倍に膨れ上がった北海道新幹線の札幌延伸について、「東京などからの航空機利用者の4分の1が新幹線利用に転換するという道の試算はあまりに過大でないか。札幌市として延伸効果をどのように評価しているのか」とただしました。これに対し市は「妥当なもの」と答弁しました。同新幹線については、財務省が「人口推計など客観的なデータや空港、道路の整備状況などをふまえた事業見通しを求めている」(道新)との報道にもあるように、収支構造の前提がゆらいでおり、今後の検証が求められます。
また、延伸工事の残土問題で、工事主体の鉄道・運輸機構からの聞き取りをふまえ、有害物質も含まれる残土の受入地や仮置き場も決まっていないままで工事を開始するのは問題だとして、工事の見直しを求めました。
市長答弁、冷たい姿勢変わらず
田中氏は質問の冒頭で、「働き方改革」について「残業時間の上限の法制化を」を求めましたが、秋元克広市長は「(国会で)十分な議論を」と述べるにとどまりました。生活保護基準以下で暮らす一般家庭と比較して保護基準を決定する国のやり方は、際限のない基準引き下げにつながりかねないとの指摘に対しても「適正に行われている」と、低所得者に極めて冷たい姿勢に終始しました。