日本共産党札幌市議団 事務局長 浅水 明

 札幌市議会第2回定例会(5月19日~6月3日)で、日本共産党から池田由美市議が代表質問に立ち、秋元市長の政治姿勢をただすとともに、市民の切実な願いの実現を求めました。

学校耐震化、予算確保もとめよ――3校の工事が決定

 中央中学校、本通小学校、中の島小学校の老朽化に伴う校舎の耐震化が国の補助見送りで中止となり、不安が広がりました。池田議員は、想定外の揺れと被害に見舞われた熊本地震の実態をしめし、「子どもたちの学びの場であり、基幹避難所でもある学校の耐震化が急がれる」と、国に予算確保を緊急に行うよう求めました。
 市長は、「財源を確保するよう緊急に要望した」と答弁。世論に押され、国は補助を決定、3校の工事が実施されることになりました。

核兵器廃絶、憲法改正など政治姿勢ただす

 オバマ大統領の広島訪問で高まった核兵器廃絶の世論。そのためにも、日本政府は「核兵器禁止条約の実現に向けた交渉開始を求める立場にたつべき」と指摘、見解を求めると、市長は、札幌市は平和首長会議(世界7,042都市が参加)に加盟し、「政府に対して核兵器禁止条約の早期実現を求めている」「平和都市宣言を行っている札幌市の市長として、核兵器の廃絶に向けた取り組みをすすめたい」と前向きな姿勢を示しました。
 一方、安倍政権が改憲を参院選の公約に掲げている問題で、「憲法尊重擁護義務に反するのではないか」とただしたのに対し、市長は、「擁護する義務を負う」といいつつ、「必要性や内容について慎重かつ十分な国民的議論が必要」と改憲を否定しませんでした。
 LGBTなどの性的マイノリティーへの偏見や差別に反対する運動が広がっています。「パートナーと一緒に暮らすため部屋を借りようとしても賃貸契約を結べない」などの現状について、市長は「誰もが性の多様性を認め、人権を尊重する社会が必要」との認識を示しました。

観光・MICEより市民所得ふやし経済活性化を

 札幌市の卸売・小売業の事業所数は1999年と2014年との比較で約4割、従業員数は74,683人減少しています。また、2002年と2012年との比較で、人口は8万人増えているのに雇用者報酬は2,470億円も減少しています。こうした実態をしめし、「観光やMICEの推進ではなく、落ち込んでいる市民所得を増やし市内総生産の66%を占める個人消費を温めることこそ経済活性化のカギ」「市民の可処分所得を増やすうえでも医療・介護・子育て支援などの施策を思い切って進めるべき」とただしました。
 ところが市長は、卸売・小売業や雇用者報酬の減少は、「道内人口の減少による市場の縮小やリーマンショックなどの景気低迷」によるなどと答弁。「道外、海外の需要を積極的に取り込んでいくことが重要」と、観光やMICEを推進する姿勢を改めて鮮明にしました。

子どもの貧困対策、保育、国保など充実もとめる

 子どもの貧困対策について、市は、国の法律にもとづき「子ども貧困対策計画」の策定をすすめるとしています。池田議員は、現に「食事は給食のみ」「進学を断念せざるを得ない」など深刻な事態が広がっている、計画づくりと同時に「子どもの医療費無償化や給付型奨学金、就学援助の対象拡大など、補正予算を組んででもただちに実施すべき」と求めました。
 保育の問題では、「保育園落ちたの私だ」というブログが話題となり、世論に押された政府が緊急対策を発表しましたが、基準を緩和し「詰め込み」で待機児童を解消しようとしている問題を批判。認可保育所の増設や保育士の処遇改善、多子世帯への保育料軽減で、所得制限や年齢制限をなくすよう求めました。
 国保の問題では、”手遅れ死”について取り上げました。全日本民医連の調査で無保険や資格証明書の発行などで受診が遅れ、死亡した事例が63件報告されていることを示し「経済的な理由で受診を控え、”手遅れ死”に至ったなどということはあってはならない」とただしました。

「新総合事業」――これまで同様、専門職によるサービス検討

 来年4月からはじまる「新総合事業」は、要支援者へのサービスを市町村による安上がりなものに置き換えようとするものです。簡単な基本チェックリストによる判定でサービスが切り下げられる危険を指摘し、「要介護認定を受けさせない”水際作戦”や、”卒業”と称した介護サービスの打ち切は絶対にあってはならない」とただしました。
 市は、「初回は基本チェックリストを使わず、従来通り認定調査をするよう検討」「サービスの適切な水準の確保は必要であり、これまで同様、専門職によるサービスを検討している」とのべました。
 市長提案の議案については、マイナンバーカードの交付事業(5億5千万円)を含む一般会計補正予算に共産党などが反対しましたが、自民、民主、公明、維新の賛成多数で可決。また、国の法改悪に伴い、紹介状を持たずに市立病院に受診するさい5千円、再診時には2千5百円を徴収する条例案が、共産党以外の自民、民主、公明、改革、ネット、維新の賛成で可決しました。