私は、日本共産党を代表し、「議案第1号 令和7年度札幌市一般会計予算」、「議案第5号 令和7年度札幌市国民健康保険会計予算」、「議案第7号 令和7年度札幌市介護保険会計予算」及び「議案第15号 令和7年度札幌市下水道事業会計予算」を撤回のうえ、再提出を求める動議について提案説明を行います。
提案の第1は、市民のくらしや子育てを応援し、生活密着型の公共インフラを整備するための予算の確保です。
1点目は、学校給食費の無償化、負担軽減の実施についてです。
2月21日文部科学大臣は、学校給食費の無償化について、「2026年度以降の可能な限り早期の制度化を目指す方針」を示しました。
先がけて、2025年度から無償化に踏み出す福岡では、「給食費負担の月々約5,000円が、子育て世帯の毎月の手取り額引き上げに匹敵するほどの効果が期待できる」と、市長が述べています。
本市としても国の制度化を待たず、子育て世帯を応援する「給食費の無償化、負担軽減」に踏み出すことを求めます。
2点目は、子ども医療費助成制度についてです。
この度見送られた所得制限撤廃のためのシステム改修等の予算を復活させて、初診料とともに撤廃の実施に踏み切るべきです。
3点目は、国民健康保険料の18歳以下の均等割の軽減についてです。
低所得層が多い国民健康保険の加入者にとって、高すぎて払えない保険料となっているばかりか、多子世帯となるほど国保料が高くなるという、子育て応援に逆行する仕組みです。
本市独自で国保料の均等割の軽減を18歳以下の子どもにまで拡大すべきです。
4点目は、放課後等デイサービス利用料の、所得制限についてです。
所得制限によって、月額利用料が高額になるほど利用を控える傾向があります。所得制限の撤廃や自己負担上限額の減額など利用者の負担軽減を求めます。
5点目は、市の責任により、生活道路の除排雪を徹底するための予算の確保についてです。
パートナーシップ排雪制度の地域・町内会負担の廃止と、除排雪の出動基準を引き上げ、除雪事業者の日常的な業務を確保する予算とすべきです。
6点目は、医療機関、介護、障がい福祉などの事業者や利用者への支援の強化についてです。
診療報酬が引き下げられた医療機関、介護報酬が引き下げられた訪問介護事業所、北海道が支援金支給の対象外とした居宅系介護施設や有料老人ホームなどへの支援が急がれます。
とりわけ訪問介護サービスの事業所で、廃止や倒産が増えていることは、高齢者の自立を支える基盤が失われ、在宅生活の継続が困難になることから緊急な減収への補填が必要と考えます。
あわせて、介護保険料やサービス利用料の負担軽減を図るため、「札幌市介護給付費準備基金」をさらに活用すべきです。
7点目は、中小・零細業者の経営を支える予算の確保です。
賃金引上げに取り組む事業者への本市独自の支援を求めます。建設業の振興とともに経済波及効果が大きく、市民に喜ばれる住宅リフォーム助成事業の拡大や、指名登録されていない零細業者への発注などで、事業者を直接支える予算の確保を求めます。
8点目は、地域公共交通の利便性向上及び利用拡大についてです。
運転手不足によるバス路線の廃止や減便、市電の減便も報道されたところです。
運転手の確保・育成ができる支援の強化とともに、利用者負担の軽減やバリアフリー化など利用拡大に繋がる、予算の増額を求めます。
9点目は、市営住宅の総管理戸数の維持と家賃負担の軽減についてです。
市営住宅の総管理戸数を抑制する方針ですが、募集に対し応募倍率は高く、希望しても入れない実態が、長く続いていることから、方針転換が必要です。
また、借上げ市営住宅は、契約期間満了の20年間で返還し、2030年にも全廃するとしていますが、期間延長するなど見直しをおこない借上げ市営住宅の戸数を維持すべきです。
民間賃貸住宅について、若者や低所得者世帯の家賃負担を軽減するため、国の給付金事業を補う形で本市独自の支援策を求めます。
提案の第2は、市民合意のない事業や大型再開発等に関わる歳出の削減です。
1点目は敬老パス制度関連の事業費等についてです。
敬老パスの交付費に含まれる、システム改修費・約9,000万円と健康アプリのモニター事業費等・約3億4,000万円は、敬老パス制度の事業縮小を内容とした市の実施案を前提としたものです。
市長は、「この予算の成立は、2026年度から実施案を導入する市の方針が認められたことになる」と表明されていますが、市民や利用者の中においては、理解や合意はなく、これらの予算については撤回を求めます。
2点目は、北海道新幹線推進関係費・約56 億4,200万円についてです。
北海道新幹線の札幌開業時期は、2038年度末以降とされました。
本市は、工事費の負担金がいくらになるのか示すことができないとしていますが、今後、さらに地元負担の増大が予想されます。
資材高騰などによる工事経費の増大により、事業の効果を示す「費用便益比」は、さらに低下する可能性があります。見通しのないまま税金投入が続くことに市民の理解は得られず、計画そのものを立ち止まるべきです。
3点目は、新幹線札幌駅東改札口整備関連経費・3億9,200万円についてです。
同整備事業は、北海道新幹線の札幌延伸に伴い、本市が整備する請願改札ですが、改札口は駅舎関連の基幹的な整備事業であることから、本来、国や鉄道運輸機構、JR北海道が負担すべきです。
合わせて、開業時期が遅れることが確実であるのに、乗降客が利用する改札口やその周辺整備を急ぐ必要があるのか、事業の見直しが避けられないと指摘いたします。
4点目は、都心アクセス道路についてです。
本市は、混雑度0.87と4段階ある混雑度のうち最も低いランクである創成川通に、地下構造で札幌北インターチェンジとつなぐ都心アクセス道路の必要性をことさら強調し、事業が採択されました。
直轄事業地元負担金20億円とそれに伴う下水道管移設経費110億2,000万円の歳出は、必要とする根拠に乏しいことからやめるべきです。
5点目は、民間再開発促進費・約106億円についてです。
「北5西1・西2地区」「北4西3地区」「大通西4南地区」の、再開発促進費は前年度比40億円増です。
公共的な位置づけが欠かせない再開発を、投資の呼び込みと位置づけて積極的に誘導してきた結果、総事業費は当初から大幅に増大し、市の補助金も膨れ上がってきました。
再開発事業の位置づけを根本から見直すべきです。
6点目は、丘珠空港の将来像の実現、利用促進に向けた取組としての、丘珠空港関連事業推進費8,200万円についてです。
騒音や周辺住民への影響を詳細に調査分析し、地域住民の安全と健康、利便性向上など、描く将来像がふさわしいものか再検討すべきです。
7点目は、GX・経済活性化の柱として、GX投資推進費2億3,300万円、海外投資誘致費1億1,900万円、半導体関連産業集積促進費1億8,300万円です。
投資を呼び込むための市税の優遇措置に続き、資産運用会社など金融機能の集積を図ることが、本市が目指す脱炭素に結び付くのか不確実です。投資を呼び込む施策を見直し、市内の再生可能エネルギーの拡大などに予算を充実させることを求めます。
2022年から始まった物価高騰は、とどまるところを知りません。2020年を100とした札幌市の消費者物価指数は昨年12月で111.9%、中でも灯油の平均価格は50%増にもなっています。
なお、本市の雇用者報酬は平均450万円弱、世帯年収では300万円未満が40%を占め、完全失業率は2021年度から政令市2番目・3番目の高さを推移しています。
このような背景から、とりわけ政令市の中でも最低レベルの合計特殊出生率が続いています。
本市は、「住民の福祉の増進を図る」という地方自治の原点にたち、市民の暮らしを優先した予算こそ、市民が求めているものであり、もっと暮らしを支えるあたたかい施策を行うべきです。
わが党は、大型開発等に関わる歳出の削減、国などの事業に本市が負担している負担金等の費用見直しを求めるなどにより財源をつくり、市民の暮らし、中小・小規模企業の支援、労働者の賃金引上げ、急がれる老朽インフラの更新・改修のために活用することが重要と考えます。
よって秋元市長が提案しました2025年度予算案を組替えて、再提出を求めるものです。
各議員の皆様のご賛同をお願いし、動議の提案説明を終わります。