私は、日本共産党を代表し、市政の重要事項について、順次質問いたします。
はじめに、市長の政治姿勢についてです。
質問の第1は、政府の大軍拡方針のもとでの「指示権」の発動と改定地方自治法についてです。
2014年7月、安倍政権は「日本に武力攻撃がなくても」「我が国と密接な関係のある他国」への攻撃を日本への攻撃と見なすという「集団的自衛権行使」を、閣議決定という立憲主義に反する強行により、容認いたしました。翌年「戦争法反対」、「違憲立法は許されない」との国民の声が日本列島を駆け巡るなか、閣議決定に基づき「集団的自衛権行使」容認を法的に保障する「安保法制」を強行・可決しました。
2022年、岸田政権が決定した「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」いわゆる「安保三文書」は、敵基地攻撃能力の保有、世界第三位の軍事大国を目指す43兆円を超える大軍拡計画、そのための大増税計画を明記するなど、集団的自衛権行使の具体化を進め、日本を平和国家から戦争する国家に大きく舵を切るものとなりました。
こうした状況の中、今年6月19日、参議院本会議で、自民、公明、日本維新の会などの賛成多数により、可決、成立した「改定地方自治法」が、今月から施行されました。
この改定の内容は「大規模な災害、感染症の蔓延その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し、又は発生するおそれがある場合」と政府が判断すれば、閣議決定で「指示権」を発動し、地方自治体に義務を課すことができるものです。
政府は「指示権」の発動は、大規模な災害、感染症の蔓延を例示しました。しかし、改定法には「その他」や「これらに類する」など「事態」の範囲を極めて曖昧にし、「おそれがある場合」などの判断は、すべて政府に委ねられます。国会での、「自治体が国の補充的指示を拒否できるのか」とのわが党の質問に、「指示には従っていただく」と答弁しており、法的拘束力を伴う強い支配力を持つものです。しかも、国会にも諮らず、恣意的な運用が可能となることから、まさに問答無用で自治体を国に従属させる仕組みだと言わざるを得ません。
このたびの地方自治法の改定は、国と地方の関係を「対等・協力」としてきた地方分権を壊すものと思いますが、市長のお考えを伺います。
また、地方自治体が災害などに対応できる体制を確保できるよう、権限と財源を十分に保障することが、政府の役割であると思いますが、市長のお考えを伺います。
質問の第2は、「札幌市働きやすいまち推進協議会」についてです。
昨年、12月に立ち上げた「札幌市働きやすいまち推進協議会」は、「協議会を設置し、人手不足の解消による地元企業の経営の安定化と労働者の雇用環境の向上を両立させるため、条例の検討を含め、新たな仕組みの創設に取り組みます」という2023年市長公約によるものです。
現在、全国的な共通課題となっている深刻な人手不足への対策として、地元事業者の受注機会確保と育成、適正な賃金、労働環境の確保をめざす「公契約条例」を制定する自治体が増えています。東京23区では過半数を超え、都道府県段階での検討も増えています。
熊本市では、公契約条例の検討委員会が設置され、「理念型の条例を制定する方向で検討する」としましたが、現在はそれにとどまらず、実効性を持たせるための具体的な条例の内容の議論がすすめられ、たたき台がおおむね了承された、と聞いています。
市長公約にある、「条例の検討を含め」とは、「公契約条例」を含めているのですか、また、「新たな仕組み創設」において、そのたたき台を示される考えをお持ちかどうか、あわせてうかがいます。
質問の第3は、「(仮称)札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり条例」案についてです。
この「条例案」は理念条例とされ、具体的な個別事業は、先に策定した「ユニバーサル展開プログラム」で定めている202事業であり、これは、「アクションプラン2023」に掲げられている事業から、「ユニバーサル(共生)プロジェクト」関連事業を抽出したものになっています。
本市は、第3者機関として「(仮称)札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり委員会」を設置するお考えですが、「展開プログラム」に整理されていない課題や、まだ見えていない課題など、個々の事案を検証・調査・提案等ができる機関となる必要があると思いますが、いかがか、うかがいます。有識者はもとより、市民も加わった幅広い人材で構成する必要性について、お考えをうかがいます。
11月に予定する市民意見募集の際は、意見を表明しづらく、孤立や悩みを抱える市民に考慮するとともに、「共生社会」として広く市民に理解や協力を呼びかける条例案となることから、より多くの意見が寄せられ、それらを反映した条例となることが大事だと考えます。
従来の募集方法に加え、学校など教育施設での配布、関係団体等への個別の案内、障がい者、国籍や人種、民族の違う方々や外国人が集まる場所でのPRなど、団体に属さない人々からも意見が集まるよう、特別の工夫と努力が必要ですが、どのように対処されるお考えか、うかがいます。
質問の第4は、「札幌ドーム周辺地域におけるスポーツ交流拠点基本構想」についてです。
私は、2021年10月に、本市がこの基本構想の「案」を示したときの決算特別委員会で、ドームの経営状況や、本市が言う「相乗効果」の根拠、市民が移動する際の交通手段の課題等について質問し、「スポーツ交流拠点基本構想は考えなおすべき」と申し上げ、我が党の代表質問等でも繰り返し取り上げてきました。
しかし、本市は2022年1月に「基本構想」を、2024年1月には「アイスリンク基本構想」を策定し、月寒体育館の更新にかかる基本計画を現在策定しようとしています。
拠点の「核」となる札幌ドームは、2023年に日本ハムファイターズが北広島のボールパークに移転後、収益が大幅に落ち込み、株式会社札幌ドームの2023年度決算では、単年度の純損失約6億5千万円、実質運営赤字は4億5千万円となりました。
ドームの利活用策として、暗幕で仕切って2万人規模のコンサートを可能にする新コンサートモードの導入や、プロサッカー等の試合会場を見込みましたが、すでに、目標としていた指定管理契約期間である2027年度までの5年トータルでの黒字化は「困難」となる見通しで、頼みのネーミングライツも、昨年度末までの契約を見込んでも応募がなく、今年7月にようやく決定した状況です。
こうした札幌ドーム経営の状況が報道される都度、インターネット上で強い批判の声があがる根底には、札幌市民が誇りをもって応援していた日本ハムファイターズが、ボールパーク構想を本市に示した際、まともに対応できず、市外に移転させてしまったことへの、根強い市民の怒りがあると考えるべきです。
札幌ドーム周辺の「旧月寒グリーンドーム」に、本市は大谷地にあったアクセスサッポロを移転させる計画ですが、これは、札幌ドームの「新展示場」機能と競合することになります。15キロ先には、日本ハムファイターズのボールパークがあり、高校野球「南北海道大会」の決勝戦など、年間を通じたイベントが次々展開され、多くの人が参加しており、これとも競合します。また、新たに設置しようとしているアリーナに、プロバスケットチームの本拠地機能を模索していましたが、地下鉄・豊平公園直結の「北海きたえーる」で継続することになりました。
札幌ドームは、収益を大きく改善させる見通しがなく、クルマで来場すれば渋滞が懸念され、地下鉄・福住駅からの歩行環境も改善させる方向は示されません。こうした場所に、相乗効果を期待できる施設として、地下鉄・月寒中央駅から徒歩2分の月寒体育館を移転させれば、現在の年間12万人から14万人の施設利用を大きく後退させることになりかねず、「相乗効果」を期待できる根拠はありません。
「札幌ドーム周辺地域におけるスポーツ交流拠点基本構想」はもう一度見直し、施設を集約させる計画は改めるべきだと考えますが、いかがか、うかがいます。更新が急がれる月寒体育館は、現在の場所で建て替えるべきだと考えますが、いかがか、あらためてうかがいます。
質問の第5は、敬老パス制度の新たな変更案についてです。
9月12日に厚生委員会で審議された、新たな変更案は、「これまでの経緯」として、「『健康寿命延伸』と『敬老パス制度』は分けて考えてほしいとの意見を踏まえ、それぞれの制度が抱える課題が混同しないよう『敬老パス制度』と『敬老健康パス制度』を分けて整理」した、とされました。「敬老パス制度は当面存続する方向」としながら、存続中は現行の制度ではなく、対象年齢75歳への引き上げ、負担割合50%への移行、上限額4万への切り下げ等を段階的に行い、2029年度に移行終了する内容です。しかも、「5年後を目途に検証し、必要に応じて所要の措置を講じる」との提案は、5年後には何らかの変更が検討されることが前提となっており、「事実上の廃止に向かう提案でしかない」、「通院や買い物で日常使うことが多い人ほど困る」などの声が我が党に寄せられています。
この提案の前提は、本市が「健康アプリと切り離した」としながら、総事業費約52億円の枠内で、敬老パスと健康アプリの事業を行おうとするもので、やはり、「それぞれの制度が抱える課題が混同」したままです。
今回の提案は、当初提案と本質的に変わらないと考えますが、いかがですか、うかがいます。
健康寿命延伸の課題は、高齢者に限らずすべての市民が対象となる事柄であることから、「高齢福祉」の枠ではなく、ウエルネス推進部を中心にした保健福祉局、もしくは全庁的な課題とし、敬老パス事業とは分けて提案すべきだと考えますが、いかがか、うかがいます。
次に、2023年度決算についてです。
質問の第1は、財政調整基金についてです。
統一地方選挙が行われた昨年度の一般会計決算は、歳入は1兆2,103億円、歳出は1兆2,011億円で、形式収支額は92億円となり、次年度への繰越財源31億円を差引いた実質収支額は61億円の黒字、そのうちの31億円を財政調整基金に積み立てました。
財政調整基金は、93億円の取り崩しを予算計上していましたが、25億円の支消にとどまり、実質収支額61億円から31億円を積み立てた結果、年度末残高は320億円となりました。
2021年から2023年における財政調整基金の支消予定額は合わせて289億円に対し、実際の決算支消額は114億円になります。差し引きすると、3年間で175億円の支消予定額が使われず、アクションプランで、最低限維持するとした100億円を3倍以上も上回る基金残高300億円超えの年が、4年連続となっています。
市内の有効求人倍率は、雇用期間の定めがない「常用雇用」の場合で0.92倍、2020年度から1.0倍を下回ったままです。勤労者世帯の実収入平均は、前年比10万円弱上がったものの、社会保険料など非消費支出の負担増が、収入の増を上回っています。そのため可処分所得は減り、暮らしの大変さは改善されていません。
財政調整基金は、重要な市民の財産であり、物価や燃料の高騰など、市民生活がかつてなく厳しかった時でもあり、適切に取り崩して活用すべきだったと思いますが、いかがか、うかがいます。
質問の第2は、冬季オリンピック・パラリンピック招致費についてです。
選挙前の骨格予算で6900万円としていた「冬季オリンピック・パラリンピック招致費」を、選挙後さらに4100万円を追加補正し1億1千万円の予算としたのは、市民の賛否の意思を確認しないまま更なる招致に突き進もうとした姿を表しています。その後、市民による、住民投票条例の制定を求める「直接請求署名」運動が繰り広げられるなかで、本市は12月に招致を停止し、4556万円余を「市民理解促進活動」等に使った決算額となりました。
市長選挙の結果をみれば、市民理解促進や招致推進の諸活動に使うべきではなかったと考えますが、いかがかうかがいます。
次は、訪問介護と報酬改定についてです。
今回の改定は、職員の処遇改善と小規模事業所などの実態を正しく踏まえた対応が、最大のテーマでしたが、介護報酬の引き上げ幅は1.59%にとどまり、訪問介護の基本報酬は、逆に2%から3%も引き下げられました。
質問の第1は、訪問介護の現状認識と札幌市の対応についてです。
介護現場で働く職員の給与は、他産業の給与水準と比べて低く、慢性的な人材不足が続いています。2022年厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によれば、介護職員の賞与込み給与は、全産業平均より大きく下回り、その差は月額68,000円となり、介護職員の処遇改善は、社会問題化しました。仕事にやりがいがあっても、あまりにも給与が低いため、離職は増え、募集しても集まらない、悪循環に陥っています。とりわけ、訪問介護を担うヘルパーステーションなどの人材不足は、2022年度の有効求人倍率が15.53倍、全業種平均の10倍以上と、異常なほど深刻です。若い世代の確保と定着が進まないなか、60代や70代のホームヘルパーは、利用者のために重労働に耐えながら現場を支えていますが、経営体力のない小規模事業所の割合が多く、人材不足に加え、長引く感染症対策や物価・燃料費の高騰が追い打ちをかけ、小規模事業所の約4割は赤字です。
今月6日、東京商工リサーチは、今年1月~8月期の介護事業者の倒産が114件となり、介護保険創設以降最多を記録したと公表しました。この倒産件数はコロナの感染時期を上回り、歯止めがかからない状況を示すもので衝撃的な数字です。事業種類別で見ると、4月に基本報酬が引き下げられた「訪問介護」が、倒産件数の約半数を占め、そのほとんどが小規模事業者です。
本市では、訪問介護を担うとりわけ小規模事業所の倒産状況をどのように受け止めているのか、伺います。また、在宅の高齢者を支える訪問介護事業者の倒産は、地域の介護基盤の喪失につながることから、本市は、訪問介護の現場に直接出向くなど、事業者の状況を早急に把握する必要があると考えますが、どうのように対処されるのか、伺います。
質問の第2は、引き下げの根拠となった今回の実態調査についてです。
厚生労働省は「介護事業経営実態調査」の結果で、訪問介護の利益率は7.8%と高く、全介護サービス平均の利益率2.4%を上回っていることを根拠に、訪問介護の基本報酬の引き下げを正当化しました。
しかし、この調査結果は、地域を自転車や軽自動車などを使い、ヘルパーが一軒ずつ利用者を回る小規模事業所の利益率は低い一方、サービス付き高齢者住宅など、集合住宅に併設された、割と規模の大きい、いわゆる併設型事業所では、ヘルパーが効率よく、住宅内の利用者を回ることができるため、利益率が高く反映される傾向があります。サービスを提供する事業所の規模や環境によって、利益率は変動することから、関係団体は「カテゴリー自体を分けるべきだ」と、調査のあり方に疑問を呈しました。また、実態調査は煩雑なため、事務職員が不在の小規模事業所では、回答すること自体が難しく、現場の実態が調査結果に正しく反映されていないことも指摘しています。
そもそも、訪問介護の事業所は、職員不足が深刻ですから、仮に収入が上回らなくても、職員減による人件費などの支出が減ることで、利益率が高く出る可能性も想定すべきです。また、たとえ利益率が多少のプラスであったとしても、人材確保が進まなければ、経営的には厳しくなると見るのが妥当ではないでしょうか。
厚生労働省は「介護職員処遇改善加算を評価しておりトータルで見てほしい」などと釈明いたしましたが、事業者からは「初めて加算を取得する事業所は、報酬はアップするが、多くの事業所ではすでに取得済み」、「加算は本体の報酬に連動するため、本体報酬が下がれば加算額も少なくなる」など、現場の実態を踏まえない国の姿勢に批判と怒りの声が出されました。
事業者から疑問視されている実態調査そのものの正当性が問われると考えますが、本市の認識を伺います。また、この根拠による引き下げは、小規模事業所ほど、事業継続と人材確保に多大な影響を与えることになると考えますが、本市の認識を伺います。
質問の第3は、札幌市への影響についてです。
1点目は、総合事業についてです。
介護予防・日常生活支援総合事業いわゆる総合事業は、要支援に認定された方や生活機能の低下が見られ、事業に該当する方を対象に、介護予防と生活支援のサービスを組み合わせて利用することにより、できる限り住み慣れた地域で自立した生活を送ることができるようにするものです。
本市では、要介護等認定率は、全国に比べて高く、上昇傾向にあります。また、要支援認定者が占める割合が多いのが特徴ですから、要介護状態にならないため、通所型サービスにおいて運動機能の向上、生活援助、健康管理などの支援の充実は課題です。また、ホームヘルパーによる訪問型サービスは、一人では困難となった調理、掃除、洗濯などの生活援助はもちろんのこと、日々の利用者の体調の変化にも、いち早く気付くことができる極めて重要な役割もあることから、地域や町内会からも頼られているサービスです。
様々なニーズを有する高齢者の生活を支える生活支援サービスが必要に応じて利用できる環境整備の推進は、今後ますます必要になると考えます。
訪問介護報酬の引き下げにより、総合事業のサービス提供体制に支障をきたす懸念は無いのか、また、介護サービス提供事業者の状況は、職員を計画どおり採用できていない事業所が増加傾向にありますが、ホームヘルパーの人材確保や育成、研修はどのようになっているのか、状況を、伺います。
2点目は、在宅医療と介護の連携についてです。
高齢者の多くは、健康状態が悪化しても、自宅で暮らし続けることを望んでいます。この希望に応えるためには、在宅医療体制の量的・質的拡充は急がれる課題だと考えます。今後、在宅医療を担っていただく医療機関と専門職の確保が求められます。同時に、在宅医療を支えていく上では、訪問介護は欠かせないサービスです。
ホームヘルパーの人員が足りなくて、地域を支えるのが精一杯の状況では、今後の在宅医療・介護の連携の推進にも支障をきたすことになると考えますが、認識を伺います。
質問の第4は、介護関連団体の反応と国会決議についてです。
介護報酬の改定案が示され、今年2月、国の訪問介護報酬の引き下げ方針に対し、全国ホームヘルパー協議会と日本ホームヘルパー協会は「私たちの誇りを傷つけ、更なる人材不足を招くことは明らかで、このような改定は断じて許されない」と、厚生労働省に異例の抗議文を提出しました。また、認定NPO法人「ウィメンズアクションネットワーク」やNPO法人「高齢社会をよくする女性の会」など5団体も、引き下げに抗議し、撤回を求める緊急声明を発表しました。呼びかけ団体の「ケア社会をつくる会」世話人の小島美里さんは、記者会見で「在宅介護の終わりのはじまり」だと、強い危機感を表明しています。このように、国のまさかの引き下げ方針に対し、訪問介護の関連団体から強い批判が噴出し、撤回と再改定を求める運動が急速に広がりました。
この動きに連動し、6月5日、衆議院・厚生労働委員会では「介護・障害福祉分野の人材の確保及び定着を促進するとともにサービス提供体制を整備するための介護・障害福祉従事者の処遇改善に関する決議」を全会一致で採択しています。
訪問介護報酬の引き下げによる関連団体の反応と国会決議を、本市はどのように受け止めているのか、認識を伺います。また、本市として、報酬の柔軟な見直しを国に求めるべきですが、そのお考えがあるのかどうか、伺います。
次に、GX特区と地産地消の再生可能エネルギー推進についてです。
質問の第1は、「GX電源法およびGX推進法」についてです。
昨年5月、自民党・公明党・日本維新の会・国民民主党などの賛成多数で「GX電源法およびGX推進法」が可決成立しました。GX推進法の特徴は、「脱炭素」をうたいながら、石炭火力発電の廃止期限を決めることなく、原発について、これまでの「原発依存度の低減」から、「活用を進め」る、と大きく方向を変え、運転期間「原則40年、最長60年」の規定を削除し、原子力規制委員会による運転期間延長認可の権限を、経済産業省による認可へと移行させたことにあります。新たな「原発安全神話」を復活させたに他なりません。
福島原発事故から13年経ってもなお、原子力緊急事態宣言は解除されておらず、燃料デブリの取り出しも難航し、事故の発生経過などはいまだ解明できていません。2051年末までを目標にした廃炉作業も、計画通りに進む見通しはなく、人類と原発は共存できないことを表しています。
本市は、今年1月、北海道・札幌「GX金融・資産運用特区」に名乗りを上げ、6月に指定を受け、このGX推進法の、推進機構の一つになりました。
秋元市長は、原子力発電についてのわが党の質問に対し、「可能な限り依存度を低減していくことが重要である」と答弁され、また、再稼働は、厳格に安全審査を実施する原子力規制委員会の認可が前提だと答弁してきました。
このたび、特区の指定を受けた本市の市長として、国が、原発依存度を「低減」から「活用」へと大きく方向転換したことについて、どのように評価されているのか、うかがいます。また、泊原発の再稼働に原子力規制委員会が関与しない可能性が生じたことについて、見解をうかがいます。
質問の第2は、大規模な発電事業についてです。
全道で展開されるGX産業のひとつとして、洋上風力を振興しています。国内で45GW形成する目標のうち、15GWを道内で形成しようとし、それらは風車約1000基に相当する計算です。1基の高さは約150メートルで、1枚の羽根・ブレードは約100メートル、重さは400トン前後のものが、石狩湾周辺にも設置される計画です。
こうした大型基が次々と設置されるなか、「その発電は自分たちの生活に役に立っているのか。」、「生み出された電気で電気代は値下げされるのか。」など、目的や効果がわからず不満を生んでいることがたびたび報道されています。
大型の風力や、広域でのメガソーラーなどの太陽光パネル設置は、自然の力を利用して大規模なエネルギーが生み出される一方で、漁業関係者や周辺住民から、景観の悪化や周囲の自然や生態系への悪影響など、懸念の声や設置に反対する運動などが広げられる事例が増えています。
札幌でも、石狩湾の海浜植物群落や天然海岸林などの自然環境破壊、超低周波音による健康影響、野鳥のバードストライク等を懸念して、北海道自然保護協会や日本野鳥の会も加わった市民団体から、設置に反対する署名が集められ、北海道、石狩市、小樽市、そして札幌市に提出されています。「生物多様性さっぽろビジョン」の理念の実現を進めるうえで、石狩湾周辺の、25kmに及ぶ砂浜や砂丘、自生する海浜植物群落やカシワの天然海岸林などは、守るべき貴重な自然です。
本市は大規模発電となるGXを推進するうえで、これら多様な自然の生態系をどのように保護するのか、具体的な対応策をうかがいます。
質問の第3は、地産地消の再生可能エネルギー活用と地元企業の振興についてです。
私は、2021年の予算議会や決算議会等で、地産地消の再生可能エネルギーを進めるよう求めてきました。再生可能エネルギーは、自然現象が地域によってそれぞれ固有であることから、それを前提にしたエネルギー技術も地域固有になり、その開発等は地元企業が行い、製造あるいは設備の保有、管理、それらを分散型で数多く設置する産業を生み出すことにつながります。地元の企業が地域資源を活用することで、地域住民と一緒に再生可能エネルギーを作り上げる過程が生まれ、そのことにより地域の協力・協同が得られ、自分たちが作るエネルギーを身近に感じ、自ずと利用が生まれます。
いま、地域の地産・地消エネルギーに取り組む事業者が独自に敷設した電線である「自営線」を、地域の再生エネルギーで発電し、それを使いたい地元住民と自営線でつなげる、「地域マイクログリッド」が、進められています。地域の脱炭素化とあわせて、地域経済活性化としての効果も期待でき、国は、各自治体に向けた「はじめかたガイド」も作成しています。
本市は、地域住民が主体となった再生可能エネルギー電力の地産地消について「有効な手法の一つ」との認識を示し、調査されています。事業規模や事業採算性に課題がある、とのことですが、地域の脱炭素化は本市が推進していく立場です。中・小規模事業者の多い本市で、地元企業の事業振興、あるいはGXで本市がサプライチェーンと呼ぶものの地域版が生み出されます。地産地消の再生可能エネルギー活用と地元企業の振興をどのように図っていくお考えか、うかがいます。
次に、「札幌市地域公共交通計画・案」についてです。
質問の第1は、「持続可能な公共交通」についてです。
本市は、2020年に国が「地域公共交通の活性化再生法」を改正したのを受け、今年8月、「地域公共交通計画・案」を示し、今年度中に策定しようとしています。
計画案には、その策定の趣旨について、運転手不足や交通ネットワーク維持困難の懸念から「状況に対応する持続可能な公共交通ネットワークの構築が求められている」と記載しています。
上位計画であるまちづくり戦略ビジョンや総合交通計画でも、「持続可能でシームレスな交通ネットワーク」、「持続可能な都市交通」などが記載されていますが、これら「持続可能」とは、誰のためのものなのでしょうか。
計画案は、バス路線は「きめ細やかな路線の維持が困難」、「走行距離を短縮」、「幹線道路を通る路線を中心に集約」、路面電車は「収支採算性などが課題」、「経営への影響も懸念」があり「延伸は極めて困難」と、市民が外出し、うるおいある日常を送ることから遠ざけ、バスや路面電車がいっそう利用しづらくなる方向が示されています。これのどこが、持続可能なのでしょうか。
SDGsの「持続可能な社会の実現」とは、「誰一人取り残さない」持続可能な社会を実現するための17の目標です。
公共交通は、目標の11番目、「将来にわたって住み続けられるまち」の中で、「2030年までに、弱い立場にある人々、女性、子ども、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、すべての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。」という個別目標に示されている項目です。
目指す社会は、一人ひとり、とりわけ弱い立場にある人たちに光をあてており、バス路線や路面電車を単に維持させる、というレベルのものではありません。これらを拡充し、安くて気がねなく利用でき、すべての人が住み続けられる「持続可能な社会」の実現こそが目標なのではないでしょうか。クルマ中心のまちづくりをあらためる仕組みが必要です。
今回の「計画案」に記されている「持続可能な公共交通」とは、SDGs「持続可能な開発目標」として使われる言葉と同じなのかどうか、うかがいます。SDGsの目標、「住み続けられるまち」、「誰もがどこでも行けるように、安全で手頃な公共交通機関」を目指そうとするものなのか、うかがいます。
質問の第2は、市民の生活の質QOL(Quality of life)の向上についてです。
地域公共交通は、地域住民の重要インフラであるため、生活の質(QOL)や、地域の将来の姿を決定づけます。
公共交通で外出でき、買い物に行く、人と会うなどにより、おのずと体を動かすことになり、人との会話でもたらされる精神的・身体的な健康の増進、あるいは消費行動による経済の活性化、社会的な活動への参加による地域の循環などを生み、外出が増えて新たな商店も作られる、など交通政策はまちづくりです。
北陸新幹線の開業を契機に進められた富山市のコンパクトシティ構想とLRTネットワーク形成事業では、鉄路を路面電車化し、路面電車を鉄道駅と結び、富山駅の南北を接続しました。ここに至る20年近い事業の中で、自家用車からLRTへの利用転換、平日の高齢者の利用と中心商業地区の人・モノの流れの大幅な増加、など、明らかに外出の機会を増やし、街の活性化を生み、地域住民の生活の質を向上させ、富山市の調査で、沿線住民の8割が「住みやすいと感じている」と答えるまちになっています。
本市の地域公共交通は、こうした富山市の例にあるようなまちづくりにつながる、重要なインフラであることを「札幌市地域公共交通計画」に明記するとともに、地域と住民の生活の質「QOL」を向上させることを、計画の目的に掲げるべきだと考えますが、いかがですか、うかがいます。
質問の第3は、公共交通への財政支援についてです。
本市は、路面電車の延伸を、収支採算性が「課題」だとして「困難」だと結論付けましたが、バスも地下鉄も同様の課題を抱えており、路面電車だけの問題ではありません。バスの最終便の復活を求める議会陳情や、バス路線縮小撤回を求める声、路面電車乗車料金値上げに反対の要望など、市民から多くの切実な声が出されています。
その根本には、世界ではあたりまえの、公共交通に対して国が財政負担をして運行を支える、という考えが日本には欠如し、民営も公営もすべて独立採算を基本とし、わずかな赤字補填程度の補助で済ませていることに問題があります。
例えば、道路も同じ交通インフラですが、道路建設の際に収支採算を考えるでしょうか。例えば、デパートや地下鉄駅構内にはエスカレーターがありますが、そこで利用料を徴収するでしょうか。誰もが移動できるように、当たり前のサービスとして設置されています。道路に軌道を敷くだけの路面電車も、バスも、本来、道路建設と同様に考えるべきです。
こうした根本的な問題について、国に対し抜本的な改定を要望するとともに、まずは本市が、差し迫っている高齢化社会の到来、脱炭素社会の実現に向け、地域公共交通を本気で支えるため、市内交通事業者に対し、財政的な支援をこれまで以上に強化するお考えがあるのか、うかがいます。
質問の第4は、新たな公共交通システムについてです。
「札幌市地域公共交通計画案」では、2012年に策定した「路面電車活用計画」で示したJR札幌駅・苗穂駅・桑園駅の3方面への延伸を、「収支が悪化」、「既存線の経営への影響も懸念」だとして、「極めて困難」と結論付け、計画の見直しすなわち、今回の計画案へと改定しようとしています。
路面電車は、2005年に事業存続を決定したのち、2015年にループ化し、2017年に乗車料金を170円から200円に値上げ、2020年には上下分離をし、今年12月からは乗車料金をさらに230円へと、2度目の値上げを行おうとしています。これらは、延伸を進めるために計画、実行されたものであり、延伸が実現してはじめて、これら改革を行った目的が果たせるのです。目的地に到着せず、値上げだけを市民に押し付けて途中下車、などあっていいのでしょうか。
市民団体「市電を守り再配置をすすめるプロジェクト」からは、毎年のように市長に対して延伸を実現するよう求める要請書や沿線住民や市民からの2000筆を超える署名が提出され、環境に配慮し、人にやさしい路面電車の延伸への期待の声が本市に直接届けられ、私も同席しました。今回の「困難」とする判断に対し、強い憤りの声が寄せられています。
本市は、「路面電車の延伸検討」で、軌道を敷設する際の用地買収や道路整備には多くの地権者との協議調整が必要になる、沿線施設へのクルマの出入りに支障がある、などを理由にしていますが、2015年にループ化を進めた際には、沿線商店街や商業施設、交通事業者などとの協議を何度も重ねて、荷捌きやタクシーの乗降場の位置などを、事業者にとっても利用者にとってもスムーズになるよう、解決を図ってきました。この自らの実績に、自らが学ぶべきです。
また、レールを敷くことによる自動車交通への影響があることも困難な理由のひとつにしていますが、もともと、路面電車は「環境首都・札幌」の実現に向け、「過度に自家用車に頼らない都市構造への再構築に貢献」し、「歩いて暮らせるまちづくり」の実現のための乗り物だ、と位置づけているものです。自動車交通への影響は、延伸するために本市が解決を図らなければならないのであって、「影響があるから延伸できない」など本末転倒です。理由になどなりえません。
現在本市が、路面電車の延伸の代わりに示している「新たな公共交通システム」は、小型・中型のデマンド車両と、大型バス車両を2台つなげた形の連接型を、水素燃料で走る車両として検討していますが、運行形態や経営見通しなどが全く不透明です。
水素燃料は、燃料電池の耐久性、可燃性の高い水素の安全な取扱い、寒冷地での燃料電池が作動するかどうか、など多くの課題があり、技術研究がいまも進められています。販売されている普通自家用車をみれば、普及はわずかで、1台800万円前後とまだ高額です。本市が導入しようとしている車両はどれだけの費用がかかるのでしょうか。
車両基地をどこに置くのか、これらをどの事業者が運行するのか、運転手は確保されるのか、など具体的な見通しは全く示されていません。本格運行が始まれば、赤字・収支採算性が再び問題になるのではないでしょうか。路面電車は収支採算が「課題」だと延伸をやめても、それに代わる新交通システムは収支採算が「課題」にならない保証はありません。
それに比べて、路面電車は経営形態も運行技術も確立され、3年前の大雪でJRが止まった時でも「ササラ電車がきちんと除雪して運行した」「市民生活を支えた」、と喜ばれている実績豊かな乗り物です。
この「計画案」には、「シームレスな公共交通」、「施設のバリアフリー化」などが謳われています。仮に、新たな公共交通システム車両がバリアフリーであったとしても、札幌駅まで移動する路面電車の乗客には、乗り換えという「バリア」が生じます。インバウンドの観光客が札幌駅から公共交通機関で藻岩山に行く場合、新たな公共交通システム車両等に乗り、路面電車に乗り換えて電停「ロープウェイ入口」に行くことになるのです。路面電車を札幌駅まで延伸したほうが、どれだけシームレスで、わかりやすいでしょうか。さらに、路面電車に軌道・レールがあることは、運行の定時制の確保、行先のわかりやすさという優位性もあるのです。
こうした機能をすでに持っている路面電車を延伸せずに、運営形態も運行システムもわからない、新たな公共交通システムを導入実験する「計画案」など、検討する土壌にも乗せられません。
このたびの、水素を燃料とする連接の大型・中型・小型の新交通システム車両の購入費用、車両基地の場所、運行事業者や形態、運転手確保等の見通しについて、どのようになっているのか、現在の状況をうかがいます。それらが、路面電車の延伸よりも収支採算性があり、利用者にとって利便性が高く優位だといえるのか、うかがいます。
次に、ウォーカブルシティ推進における「歩行環境の整備」ついてです。
2019年 「都市の多様性とイノベーションの創出に関する懇談会」の提言が国土交通省に出され、この提言に共鳴し取り組む「ウォーカブル推進都市」が2024年7月31日現在で381団体となっており、本市も2019年に登録都市になっています。
今年6月、天野副市長を推進本部長に据え、第1回札幌市ウォーカブル推進本部会議が開催され、来年度にはビジョンを策定しようと、「策定検討委員会」で議論が進められているところです。
国は「ウォーカブルシティ」推進にあたり様々な支援制度を用意しており、民間事業者が市町村による道路や公園の整備に合わせて、民地に滞在環境の再整備を行った場合に、土地や家屋に税優遇や補助金が受けられる制度となっていますが、こうした大規模な再開発誘導型に固執せず、市民が安心して移動できる環境づくりを進めることが重要です。
本市の場合、冬の積雪時期に、路面の凍結による転倒の危険性から、高齢者や障がいを持つ方など、外出を控える人が増えます。都心部は、地下歩行空間などを軸に、一定程度地下を利用して歩行することができますが、地域交流拠点や住宅市街地では、地下を利用したウォーカブルは難しく、外を歩くことになると思います。
今回のビジョン策定において、積雪期の歩道上の除雪を、歩行環境整備として位置づける必要があると思いますが、お考えをうかがいます。
国土交通省への「提言」では、公共空間を居心地がよく、人が中心の豊かな生活が実現できる都市再生を求めています。この夏の札幌も近年と同様の猛暑が続きました。真夏でも安心して外出できる歩行環境にするために、水分の補給や、陽射しを避けて休憩できるスペース、トイレ環境の整備など、高齢者等が休憩しながら歩ける環境を整備する必要があると思いますが、どのように対処されるのか、うかがいます。
最後に、樹冠で覆われる都心部・市街地づくりについてです。
「第4次みどりの基本計画」では、みどりが「市民が生活していくうえで、欠かすことのできない多様な役割を持つ」として、都市については、「都市環境の形成」などの3つを、その役割や機能として位置づけています。
近年の地球温暖化による著しい現象として、夏の最高気温40度を超える地域が頻発するようになり、札幌でも30度を超える真夏日や、35度を超える猛暑日が、10年前よりも多く見られ、ヒートアイランドを緩和する施策を強める必要があると感じています。
樹木には、CO2を削減する効果、ストレス緩和や生物多様性の保全などの効果もあり、夏に外を歩く時には、直射日光や路面からの強い照り返しを避ける街路樹等が、グリーンインフラとして大事な役割を持っており、人が木陰に入れるような高い樹木の下では、涼しさを実感できます。樹木の枝が広がって、葉が茂っている状態、つまり「樹冠」が豊かな状態が、日陰を作り冷却効果を生み出します。
質問の第1は、「樹冠」で覆うみどりについてです。
環境植栽・造園に詳しい千葉大学名誉教授の藤井英二郎氏は、著書『街路樹が都市をつくる』の本の中で、都市防災美化協会が行った調査研究を示し、「街路樹の樹冠が道路を覆えば、直射日光が当たる道路より路面温度が20度下がる」と述べています。
みどりを測るために「緑被率」が使われますが、これには芝生や花壇などが含まれます。高い樹木の枝葉が一定面積に占める割合である「樹冠被覆率(じゅかんひふくりつ)」を、都市の緑化状態を測る方法として取り入れることは、ますます温暖化・ヒートアイランド現象が進む本市でも重要ではないかと考えますが、いかがかうかがいます。
質問の第2は、市街地・緑化重点地区における「樹冠」の育成についてです。
本市の市街地における緑被率は17.8%と、仙台市の26.3%、福岡市の19.8%等と比べて低く、都心部においてはさらに、緑被率12.4%と市街地より低くなっています。
「みどりの基本計画」で、都心部について、「みどりの増加と価値の向上」を掲げ、「建物の新築・改築の際の緑化の義務付け」や、「民有地緑化助成等の支援」、「都心の再開発や公共施設の建替えなどに対応した緑保全創出地域制度」などを取り入れ、再開発の時にはみどりが多くなるしくみがあります。
2022年5月の第2回定例会での我が党の、都心部のみどりに関する代表質問で、都心部においては植栽の種類やボリュームなども勘案した緑化率を用い、市街地再開発事業においては、標準的な基準値の3割増しの値を採択基準としている、と答弁されました。
しかし、これまで都心部の再開発等で緑化スペースに新たに植えられた樹木は、マツやヒバなどの針葉樹や、ライラックなどの中低木が多く見られ、樹冠で日陰を作ることが難しく、ヒートアイランド現象から逃れられる空間は少なく感じます。また、植えた樹木が十分に育成されず、細い樹木のままであったり、夏場の水やりがなされているのか疑問を感じるような乾いた土の状態、などが再開発後の敷地で散見されます。
再開発等で生みだされた公共空間に緑地を設置する際に、「樹冠で地面を覆う」という考えを取り入れ、空間を増やすとともに、樹木の選定や、その後の保全・管理に本市が積極的な関与を行い、「五感を通して」みどりを感じられるように推進する必要があると思いますが、本市のお考えをうかがいます。
質問の第3は、街路樹の伐採についてです。
私の住む中央区では現在、旭山公園米里線において「歩道バリアフリー工事」が6月から行われています。中央区は特に、古くから街が作られ歩道幅が狭いことから、工事に伴い約30本のイチョウの街路樹が伐採されました。工事の約2年前に地元町内会に説明・周知し、「合意があった」と判断したとのことですが、着工を知らせるロープや看板が掲示されると、「なぜ街路樹を伐採するのか」との周辺住民からの苦情が、私の事務所や市役所に、あわせて20件以上ありました。
幅の狭い歩道について、「みどりの基本計画」では、「新たに街路樹を植えない」、「既存の街路樹については、廃止も検討」する、とされていますが、樹齢の長い樹木を、バリアフリーという名目で30本も切ってしまってよかったのでしょうか。実際に車椅子を利用している障がい者団体の方にお聞きしたところ、「車椅子が通れないからといって、私たちは『木を切ってくれ』と市に要望したことはありません」とおっしゃっていました。
本市の、ウォーカブルシティ推進に合致させれば、街路樹を伐採し樹冠がなくなることは、歩行者にとって、夏の直射日光を遮れず、涼しさを感じることが難しく、歩いて移動しづらくなるのではないでしょうか。
街路樹は倒木などの危険性がある場合を除き、原則、維持・保全をするべきだと考えますが、いかがですか。また、伐採したままでは、市街地のみどりを増やすことはできないため、街路樹を伐採したあとも、周辺を樹冠でおおわれる歩道にする工夫を、検討する必要があると思いますが、いかがかうかがいます。
これで、私の質問のすべてを終わります。ご清聴ありがとうございました。
秋元市長 答弁
全体で大きく7項目にわたりご質問いただきました。私からは大きな1項目目の私の政治姿勢についての5点、そして2項目目、2023年度決算についてお答えをさせていただきます。その余のご質問に対しましては、担当の町田副市長、石川副市長、天野副市長からお答えをさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
私の政治姿勢についての1項目目、政府の大軍拡方針のもとでの指示権の発動と改定地方自治法についてお答えをいたします。大規模な災害や感染症の対応に当たり、国が一定程度の方向性を示すということについては理解をするところでありますが、地域の実情を踏まえた上で限定的に行使する必要があるものと考えております。また災害対応も含め、自治体が行う事務が円滑に執行できるように、権限とそれに見合う財源が十分に確保されるべきでありますことから、国に対して必要な財政措置などを要望しているところであります。
次に2項目目の札幌市働きやすいまち推進協議会についてお答えをさせていただきます。公約にあります「条例を含め」とは、公契約条例に限らず様々な条例や制度を含め、働きやすいまちの実現に向けて検討を行うという趣旨のものであります。働きやすいまち推進協議会では、経済界や労働界と課題を共有しながら人手不足対策、このことをテーマに情報交換を行っているところでありますが、新たな仕組みの創設についてもその中で方向性を示してまいりたいと考えております。
次に3項目目の(仮称)札幌市誰もが繋がり合う共生のまちづくり条例についてお答えをさせていただきます。1点目の附属機関の役割および委員構成についてでありますが、共生社会の実現に向けた政策は多岐にわたるところであり、政策の推進に当たりましてはその全体像を把握し、政策間連携を促進していくなどの工夫が特に必要になるものと認識をしております。そこで本条例で新たに設置予定の附属機関におきましては、共生社会の実現に向けて必要な事項について幅広く調査審議を行い、意見を述べることをその役割として定める考えであります。また、委員につきましては、多様な立場から意見をいただくために、学識経験者のみならず、様々な背景を有する幅広い市民で構成していく考えであります。
2点目の市民意見の募集方法についてでありますが、本条例の検討に当たりましては、様々な背景を有する方が参加する市民ワークショップの開催や関係の審議会等での意見交換など幅広い手法を用いて意見を伺ってきたところであります。今後もパブリックコメントに合わせて、別途オープンハウスを開催するなど、引き続き多様な立場の方からご意見をいただいていく考えであります。
次に4項目目の札幌ドーム周辺地域におけるスポーツ交流拠点基本構想についてお答えをいたします。プレミストドームの周辺地域につきましては、スポーツ・文化芸術や集客交流産業を振興する拠点形成ということを目指しており、この実現に当たりましては、プレミストドームを核としてアリーナや賑わい施設等の集積が必要であると考え、検討を進めているところであります。また月寒体育館の更新に当たりましても、こうした拠点形成に合わせ、より効率的、効果的な運用配置ができるプレミストドームの周辺地域に立地することが妥当と考え、候補地としているところであります。今後この拠点形成に向けて様々な民間からの提案等を参考にしながら検討を進めてまいります。
次に5項目目の敬老パス制度の新たな変更案についてお答えをさせていただきます。健康寿命延伸に向けた取り組みは重要であるという基本的な考えに変わりはございません。その上で素案への市民意見を踏まえて、敬老健康パス制度と敬老パス制度、この課題を分けて整理をし、敬老パスの当面の存続ということについて判断するとともに、選択可能としたものであります。健康アプリにつきましては、高齢化に伴う医療介護等の予算増加への対応はもとより、人生100年時代における長い高齢期の充実という観点において、こうした課題の解決に資する高齢者施策として実施するものであります。
続いて大きく2項目目の2023年度決算についての1点目、財政調整基金についてお答えをいたします。令和5年度は物価高騰対策として、住民税非課税世帯への給付を始め、商品券事業や食材費高騰対応など適切な対応に努めてきたところであります。一方で、令和5年度決算における基金残高につきましては、財源確保に努力を払うとともに、事務事業の再構築や徹底した経費の節減を図るなど、効率的な予算の執行に努めたことによって、結果として確保されたものであります。今後とも財政調整基金につきましては、アクションプランを着実に推進していくために活用してまいりますが、財政調整基金とは、財政面での急激な環境変化や年度間の財源不均衡の調整に対応するための財源であり、今後も機動的な対応が求められる物価高騰や人件費の増高などの事業費の増大、大雪や災害などへの備えとして、一定程度の残高は必要であると認識をしております。
次に2点目の冬季オリンピック・パラリンピック招致費についてお答えをいたします。決算額4556万円余につきましては、主に各区での市民説明会や公開討論会を実施するために執行したものであります。大会招致に対して賛否両論がある中で、その開催の意義や将来のまちづくりに与える効果などについて市民に深く考えていただく機会になったものと認識をしております。私からは以上です。
町田副市長 答弁
私からは大きな3項目目、訪問介護と報酬改定についてのご質問、そして大きな4項目目、GX特区と地産地消の再生可能エネルギー推進についての、1点目のGX電源法およびGX推進法についてのご質問にお答え申し上げます。
まず大きな3項目目、訪問介護報酬改定についてのうちの1点目、訪問介護の現状認識と札幌市の対応についてでございますが、札幌市の訪問介護事業所数につきましては、近年増加傾向となっております。令和6年度におきましても、6月末時点で新規事業所数が廃止事業所数を12件上回り、状況に大きな変化は見られず地域の訪問介護サービス事業に顕著な影響は見られておりませんが、引き続き各事業所の新規廃止件数の増減および廃止理由について状況を注視してまいりたいと考えるところでございます。
次2点目、引き下げの根拠となった国の実態調査についてのご質問でございますが、厚生労働省が行った実態調査は、各サービス施設、事業所の経営状況を把握し、今回の介護保険制度の改正および介護報酬の改定に必要な基礎資料を得ることを目的として適切に行われたものと認識するところでございます。一方、今回の介護報酬改定を受け、国の社会保障審議会介護給付費分科会におきまして、各事業所に対し、職員や利用者の状況等を含む様々な項目について調査が行われているところでございます。介護報酬の改定につきましては、全ての事業所に影響を与えるものと認識しており、今後、調査結果を踏まえた国の動向を注視してまいります。
次、訪問介護と報酬改定について3点目、札幌市への影響についてでございますが、1つ目の総合事業についてのご質問でございますが、訪問介護報酬の改定が総合事業のサービス提供体制に与える影響については、現時点での言及は困難でございますが、札幌市におきましては、ホームヘルパーを含め、介護人材の確保を重要な課題と認識しているところでございます。様々な事業を展開しているところでございます。具体的には、事業者が採用活動をする際のポイントを学ぶセミナーや、職員定着化のための研修、離職を防止するためのグループワークなどの事業を実施しているところでございます。
次にこの質問2点目の在宅医療と介護の連携についてでございますが、在宅医療と介護の連携につきましては、ホームヘルパーのみならずケアマネージャーやデイサービス職員等の介護従事者と医師などの医療従事者が互いの役割を理解し、連携体制を構築することが重要と認識するところでございます。そのため、今後も引き続き医療と介護の関係者の意見交換会や研修会などを実施し、連携の強化を図ってまいります。
次に4点目、介護関連団体の反応と国会決議についての質問でございますが、訪問介護報酬の引き下げに伴う各関連団体の動向につきましては、業界の窮状を訴えるものとして受けとめているところでございます。また国会決議につきましては、優れた人材の確保およびサービス提供体制の整備を目指すため、介護または障害福祉に関するサービスに従事する方々の処遇改善を幅広に求めているものと認識しているところでございます。今後も報酬改定が事業者へ及ぼす影響を注視しつつ、必要に応じて国へ要望するなど適切に対応してまいります。
次は大きな4項目目、GX特区と地産地消の再生可能エネルギー推進についての1点目、GX電源法およびGX推進法についてのご質問でございますが、原子力発電につきましては、省エネの推進や再生可能エネルギーの拡大を図っていく中で、可能な限り依存度を低減していくことが重要と認識するところでございます。そして何よりも安全性の確保が大前提であり、安全性や必要性については国が責任を持って丁寧な説明を行い、国民の理解と信頼を得ていくことが重要と考えるところでございます。なお、発電用原子炉設置者は、再稼働に当たり、核原料物質、核燃料物質および原子炉の規制に関する法律に定める各種事項につきまして、原子力規制委員会の変更許可を受けなければならないと規定されていることから、同委員会の許可を得てなければ運転できないものと認識しているところでございます。
私からは以上でございます。
石川副市長 答弁
私からは大きな4項目目、GX特区と地産地消の再生可能エネルギー推進についてのうち、2点目の大規模な発電事業について、3点目の地産地消の再生可能エネルギー活用と地元企業の振興について答弁を申し上げます。
まず4項目目の2点目、大規模な発電事業についてであります。GXとは化石燃料から再生可能エネルギーへ社会経済を変革し、経済成長へと繋げる取り組みでありまして、国内随一の再エネのポテンシャルを持つ北海道で推進すべきものである一方、自然保護など環境への配慮との両立も重要であると認識をいたしております。大規模な発電施設などを設置しようとする事業者は、環境影響評価法などの法令によりまして、環境への影響を極力回避または低減するよう適切な配慮が求められているところであります。札幌市以外の事業におきましても、市内の自然環境に影響があるものにつきましては、環境影響評価の手続きの中で、札幌市として必要な意見を述べてまいります。
次に3点目、地産地消の再生可能エネルギー活用と地元企業の振興についてであります。今後進めますGXの取り組みは北海道の再エネポテンシャルを活用し、道内にGX産業を集積させ、経済と環境の好循環を実現することを目的としているところでございます。その実現には、地元企業がサプライチェーンに参入することが重要であると考えておりまして、地元企業の参画意欲を高める普及啓発やマッチング等の機会創出を進めてまいりたいと、このように考えております。また、現在、札幌市におきましては、太陽光発電設備や蓄電池の普及拡大により、再生可能エネルギーの地産地消を進めてきており、この取り組みを通じて、地元企業の振興を図ってまいります。
私からは以上であります。
天野副市長 答弁
私からは大きな5項目目、札幌市地域公共交通計画案について、6項目目、ウォーカブルシティ推進における歩行環境の整備について、7項目目、樹冠で終われる都心部市街地づくりについての3項目についてお答えをさせていただきます。
まず大きな5項目目、札幌市地域公共交通計画案についての1点目、持続可能な公共交通についてお答えをいたします。現在策定中の地域公共交通計画におきましては、目指すべき将来像として、持続可能な公共交通ネットワークを掲げております。これは路線バスの利用者減少や運転手不足といった厳しい環境の中でも、将来にわたって公共交通機関による移動手段を確保していくという観点におきまして、SDGsの考え方と方向性が一致していると認識をしております。今後はこうした将来像の実現に向けて路線バスの運行の効率化や状況に応じた代替交通手段の導入等を通じて、既に市内に張り巡らされている面的な公共交通ネットワークを維持することによりまして、公共交通の空白地域を新たに発生させずに市民生活を確保していく考えでございます。
次に2点目の市民生活の質の向上についてお答えをいたします。市民生活の質の向上につきましては個人の多様な活動を通じて実現されていくものと考えられ、公共交通による移動手段の確保はそれらの活動を支えるものと認識をしております。この観点では、バス運転手が不足する状況において今後、路線バスを利用している方々の移動手段をどのように確保していくかということが重要であると考えております。そのため現在策定中の地域公共交通計画の基本方針におきましては、各公共交通機関が連携し、バス路線再編や代替交通の導入等も行いながら、まちとくらしを支える公共交通ネットワークを構築するといった考え方を掲げているところでございます。
次に3点目の公共交通への財政支援についてでございます。札幌市ではこれまでも市内の公共交通事業者に対しまして、財政的な面も含めた様々な支援を行うとともに、国に対して支援の拡充等の要望を行ってきたところでございます。今後も公共交通事業者とも協議を行いながら、公共交通を取り巻く社会情勢を踏まえた適切な事業支援や国への要望活動を進めてまいりたいと考えております。
次に4点目の新たな公共交通システムについてでございます。現在都心部において検討を進めている新たな公共交通システムにつきましては、来年度以降に実施予定の社会実験の検証結果を踏まえてサービス水準を定めた上で、車両数や維持管理施設の規模、運用形態などを決定する考えでございます。今後は本格運用に向けて詳細な費用や具体的な運行体制、収支採算性などについて検討を深めながら、人にやさしく、利便性や回遊性の高い公共交通の実現を目指して取り組んでまいりたいと考えております。
次に大きな6項目目、ウォーカブルシティ推進における歩行空間環境の整備についてお答えをいたします。冬のウォーカブルを進めるためには、歩道の除雪に加え札幌ならではの雪を生かした魅力づくりなど様々な外出を促す工夫や取り組みが必要と認識をしております。また、歩道の除雪につきましては札幌市冬の道づくりプラン2018に基づきまして、冬期の歩行空間の確保に向け計画的に実施をしているところでございます。今後はこれまで実施した冬期間におけるウォーカブルの実証実験の効果を検証し、将来のまちづくりに生かすべく検討を進めてまいりたいと考えております。また、高齢者等が休憩しながら歩ける歩行環境の整備についてですが、本市では現在都心や地域交流拠点における開発誘導に際しまして、容積率緩和をインセンティブとして歩行者が季節を問わず利用できる屋内広場やピロティ空間などの整備を促しております。
ご指摘の通り、よりウォーカブルなまちづくりを進めていくためには、誰もが安全・安心に外出できる環境を整備する視点が今後一層重要になると認識をしております。現在策定中の(仮称)札幌市ウォーカブルビジョンにおきましても、高齢者をはじめ障がい者や子どもなど、多様な市民の視点に立って案を取りまとめてまいりたいと考えております。
次に大きな7項目目、樹冠で覆われる都心部・市街地づくりについての1点目、樹冠で覆うみどりについてお答えをいたします。みどりの量を測る指標につきましては、樹林地や草地などの面積が市街化区域などに占める割合を、緑被率として把握しているところでございますが、樹冠被覆率のような項目に関する指標も、都市の緑化状態を測る様々な数値の一つとして今後活用してまいりたいと考えております。
次に2点目の市街地緑化重点地区における樹冠の育成についてお答えをいたします。みどりを感じられるような空間を創出するためには、高い樹木を含めた多様なみどりを活用していくことが望ましいと考えております。そのため民間事業者に対して維持管理面を踏まえつつ、日差しを和らげてくれるような樹木の種類やボリュームを示しながら、真夏でも居心地の良い魅力的なみどりの空間の創出を誘導してまいりたいと考えております。
次に3点目の街路樹の伐採についてでございます。市民にとって貴重な財産である街路樹は維持保全をすることを原則としておりますが、交通の支障となる場合など、やむを得ず伐採することもございます。街路樹を伐採した後、新たに街路樹を植えることが可能な場合には地域の声を伺いながら潤いや安らぎを感じられるような樹種などを検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
小形議員 再質問
再質問させていただきます。3つお聞きしたいと思います。1つは決算についての財政調整基金のこと、2つは介護のこと、3つは地域公共交通計画に関連することをお聞きしたいと思います。
まず、財政調整基金ですけれども、市長は今お答えの中で、結果として残ったものだと、財政調整基金は今後も備えとして一定程度必要だと、これをこの間も使い方に十分、財源を確保する経費削減などに努力して、そして一定程度、この財政調整基金は必要だというふうにおっしゃり、このたびの決算もこれまでの使ってきた結果として残ったものであるんだということをおっしゃったと思います。私、4年間ね、連続して財政調整基金が100億円を3倍も超える金額になっていますので、やはり市民生活を支えていくということで、これをもっと有効に使っていくということが大事だったんじゃないかと思ってるんです。
市民生活は処分所得が減っているということは、市長も認識されていると思うんです。そして、これまで国が物価高騰緊急支援給付金を非課税世帯などに5万円出したときには、札幌市が独自に1万円上乗せして追加支給などもしてきたわけです。これ、例えば39万世帯ありまして、ここに1万円追加支給しても40億円程度なわけですね、このたびの決算では61億円の黒字があったわけですから、こうした市民生活の支援に財政調整基金を活用すべきだったんじゃないかと私は思うんです。
これから冬に入ります。灯油代は今、1L117円から119円ぐらいとなっておりまして上昇傾向は続いてます。とりわけですね、所得の低い世帯への生活支援というのは急がれるのではないかと私は思いますけれども、市長は今後ですね、この財政調整基金も活用して、とりわけ所得の低い市民生活を支えるなどのこの取り組みを、今後進めていくお考えがあるのかどうか伺いたいと思います。
それから、2つ目ですけれども、介護の報酬改定に関連していくつか質問をさせていただきました。札幌市の市内の影響、総合事業などの影響について、サービス提供体制に支障をきたすような懸念はないのかというふうにお伺いをいたしました。副市長は現時点では、言及は困難なんだというふうにおっしゃっておりました。新規の事業も増えていると、新規事業者数が増えているということをおっしゃっておりました。しかしですね、とりわけ小規模事業者というのは事業が継続できるかどうかという苦境に立たされているというふうに私は見るべきだと思っています。
既にですね、昨年の3月に札幌市が取りまとめをしました介護保険サービス提供事業調査報告書例に基づいて、高齢者支援計画2024というのが作られましたけれども、介護サービス提供事業者の状況というのは、職員を計画通りに採用できていない、そういう事業所が増加傾向にあるということが計画にも書かれておりますけれども、この採用できていない背景、要因の一つとして、やはりその介護報酬が低いということがあると見るべきだと私は思っています。さらにこの4月から訪問介護の基本報酬が引き下げられたわけですから、調査を行った2022年の12月時点よりもさらに深刻になっている可能性が大きいのではないでしょうか。
倒産などに至る前に、やはり手を打つ必要があるだろうと私は思うものですから、この報酬引き下げによる市内の介護サービス提供事業者への影響、これをつぶさに把握される必要があるのではないかと思いますが、そのようなことをされるお考えがあるのかどうか伺いたいと思います。
3つ目は公共交通計画に関連して、私は財政的な支援のことについて質問の3つ目に伺いました。道路やあるいはエスカレーターなどを例示して、採算性など考えずに誰でも利用できるように、道路やエスカレーターというのを作られていて、やはり、市電やバスなども本来そうあるべきなんだということを私は述べさせていただきました。それで私はこうした根本的な問題、つまりですね、国はどこの自治体や事業者に対しても、収支採算性を求めるわけですよね。だからその収支採算性を求められれば、料金を上げるか、あるいは利用者が減るかということの悪循環に陥るわけですから、この根本的な枠組みの問題について、国に改定を要望するお考えについて伺ったわけですが、今のご答弁は更なる財政支援についてこれまでも求めてきたし引き続きやっていきますよ、という答弁だったと思うんですね。
これまでの枠組みのお話ではなくてですね、やはり収支採算性を求めていくという今の道路運送法そのものの枠組みですね、これをやっぱり抜本的に見直して、法制度やあるいは財政措置のあり方というのを全面的に作り直す。これはもう札幌市だけの問題ではなくて、全国的に起きている問題ですから、国に対してこの収支採算性を求めるような枠組みそのものを改めることを国に求めることをご検討いただけないかということを伺っておりますので、ご答弁いただきたいと思います。以上3つです。
秋元市長 答弁
私から財政調整基金についてのご質問、再質問にお答えをさせていただきます。調整基金、決算処理をした段階で最終的に金額が出るという状況であります。そういう意味では年度内、年度中にですね、その見込みという形ではなく、むしろ年度間、翌年度以降にその財源を使っていくということだというふうに思います。一定程度、災害だとかそういった不測の事態に備えるために、一定程度の残高はこれ必要だというふうに思っておりますが、それを超えるといいますか、可能な限り有効な財源として消費していく、使っていく、ということはですね、その翌年度以降の予算編成の中で考えていかなければいけないというふうに思っております。
物価高騰対策については昨年度も実施をさせていただきました。ここにおける基本的な考え方は、国あるいは北海道なりと重複しないような形で役割分担を考えながら進めてまいりました。引き続き今後の情勢を見極めながら予算編成等で議論をしていきたいというふうに思います。
町田副市長 答弁
私から介護業界、人手不足、大変、に対してどう対応していくのかというような中で、今回の報酬改定というものをどういうふうに捉えていくのかというご質問だと思います。確かに介護のいろんな事業者はたいへん人手不足です。そういう人手不足をどういう形でそれぞれの事業所が補っていくのか、外国人材の受け入れもどうしていくのかというのは大きな業界としての問題があると思います。それに対して私ども札幌市としても業界とどういう形で対応していくのか非常に大きな形でこれから検討していかなければいけないというところでございます。
今回の報酬の改定につきましては、これはいろんな事業者の皆さんといろんなやり取り、あるいはそれから日ごろのその事業者に対しての運営指導をいろんな形で事業者の皆さんとやり取りがあるわけでございます。そういう中で各事業所の運営状況、そして今回の国の報酬改定に伴う影響について注視しながら、今後の動向というものを見極めていきたい、そういうやり取りの中で必要な対応を検討してまいりたいと考えているところでございます。以上でございます。
天野副市長 答弁
公共交通に関連いたしまして、国の収支採算性というものについて抜本的な枠組みを変えるように国に求めていかないかというご質問だと思います。現在我が国では収支採算性ということになっておりますので、これまで札幌市におきましては、財政面において様々な支援を行うとともに国に対してその支援の拡充の要望を行ってきたところでございます。
ご質問の収支採算性の抜本的な枠組みの変更につきましては、これは全国考える、日本全体で考える問題であるというふうに思っております。そのため政令指定都市の会議などの機会を活用いたしまして議論などもしていきたいというふうに考えております。以上でございます。