私は、日本共産党を代表し、市政の重要事項について、順次、質問いたします。

 はじめに、市長の政治姿勢についてです。
 質問の第1は、改憲論議についてです。
 岸田首相は、「議論の引き延ばしは責任放棄」と、まるで改憲議論の停滞が憲法審査会の責任であるかのような発言を繰り返し、国会での改憲発議、総裁任期中の改憲をめざし、改憲スケジュールを加速させようとしています。
 早期の改憲論議を迫るやり方は、議会制民主主義を破壊するもので、世論調査で6割が「急ぐ必要がない」と答えている国民の意思に真っ向から反しています。
 岸田内閣の支持率は20%台という低迷が続き、憲法審査会の幹事を務めていた自民党議員3人が、政治資金パーティーの裏金事件に関与していたことで交代を迫られるなど、憲法論議をおこなう資格そのものが問われています。
 我が党は、改憲を前提とした議論はやめるべきであり、国民参加による慎重で十分な議論を保障すべきと考えますが、市長の見解を伺います。

 質問の第2は、自衛隊への名簿提供についてです。
 本市は、自衛官募集への協力として、自衛隊札幌地方協力本部に、2022年度から18歳と22歳になる市民の個人情報を紙媒体で提供しています。
 個人情報の提供を望まない人は、名簿から外す「除外申請」ができますが、奈良市では高校生が名簿提供をおこなう市を訴え、国の安全保障や防衛政策への個人的な見解、内心を披歴することになり、憲法の思想信条の自由を侵害すると主張しています。
 「除外申請」が必要なのは、そもそも本人や保護者の同意を得ないまま個人情報を提供しているからであり、本人の意に反して名簿提供されている可能性は否定できません。
 申請をおこなった場合でも、提供された名簿と住民基本台帳を突合することで、除外申請をおこなった市民の特定が可能となり、憲法の内心の自由やプライバシー権、自己情報コントロール権といった人権の侵害につながります。
 「除外申請」の制度を知らない、「除外申請」をしたくてもためらう市民の存在を考えるなら、名簿提供は直ちにやめるべきです。市長のお考えを伺います。

 質問の第3は、敬老パス変更案にあたっての市民意見についてです。     
 本市は昨年11月、敬老パス制度を敬老健康パス制度へ発展させるとして、敬老健康パス制度の素案、いわゆる敬老パスの変更案を発表しました。
 第1回定例議会の代表質問で、わが党は「市民の合意なしに制度変更を強行してはならない」と求め、他の会派・議員からも「現行制度を見直しつつも、敬老パスの維持も検討すべきではないか」等の意見が多く出されました。
 変更案を発表した後、各区での市民意見交換会やコールセンター、ウェブフォームで市民の意見を募り、寄せられた意見は約2,800件にのぼりました。若い世代から高齢世代まで、「現行のパスのままで残してほしい」、「外出が難しくなる」という意見が多く、若い世代からの「高齢者優遇に感じる」という意見は、「現役世代は負担ばかりで給付が受けられない」、「高校生の定期代補助の規模が小さすぎる」など、若年層への支援を求める声でした。
 議会には、「敬老パスをタクシーやJRでも使えるように改善を求める陳情」、ならびに「敬老健康パス制度を撤回し、現行の敬老パスの枠組みを生かした制度改善を求める」陳情の2件が出されており、さらに、市民団体でつくる「札幌敬老パスを守る連絡会」からは、4月26日、「現行制度の存続を求める署名」26,000筆が本市に提出されています。
 市民からのこれらの意見を、市長は、「新制度の詳細がわからないことへの不安」、「今後の見通しなどについて十分お示をしていない」としながら、「丁寧に進めていきたい」とのべておられます。これは、市長がこれまで、市民に是非を問うことなく、オリパラ招致を強引に進めてきた、市民不在の姿勢を彷彿とさせます。
 敬老パスの制度変更を市民に提示した後の、4月5日~7日に行われたマスコミの調査で、市長の市政運営について、市長就任以来初めて、不支持の割合が支持を上回りました。不支持の理由として「市民の声を重視していない」が最多の40%となっていることについて、市長はどのように受け止めておられますか。敬老パス制度の今後において、市民の意見を重視し、反映させるお気持ちはあるのか伺います。 
 
 次に、北海道新幹線札幌延伸についてです。
 今月8日、鉄道・運輸機構が、北海道新幹線札幌延伸の2030年度末開業は極めて困難であり、新たな開業時期を示すことは技術的に困難であると、国土交通省に報告しました。国は有識者会議を開催し、「全体工程の精査を行うこと」としています。
 その後、秋元市長は、鈴木知事とともに14日、「北海道新幹線の建設工事に関する要望書」を国に渡しました。
 
 質問の第1は、延期による札幌市における経済波及効果への影響についてです。
 2012年6月に認可・着工した北海道新幹線札幌延伸は、2015年に、政府・与党申し合わせにより、開業時期を2035年度から「2030年度末」と5年前倒しし、本市は、「北海道・札幌2030オリンピック・パラリンピック冬季競技大会招致」を見据えて、2030年に焦点をあわせて、札幌駅周辺を中心に、都心部の再開発を推し進めています。
 2013年に示された、北海道の「北海道新幹線札幌延伸による経済波及効果調査事業」では、総工事費約1兆6700億円を前提に、開業時期を2026年度、2031年度、2035年度の3つのケースをそれぞれ推計し、2035年度に開業した場合、純増交流人口は全道で42.4万人とし、開業初年度の経済波及効果は964億円、そのうち札幌は約7割の683億円としました。この調査では、「人口減少などに伴い将来の交通需要も減少すると予測されていることから、札幌延伸による開業時期が早いほど純増交流人口及び経済波及効果が大きくなる」とされています。
 当初、市議会調査特別委員会で説明した「開業後10年間の効果を単年度当たり平均にして札幌市は640億円」との経済波及効果は、2030年度末の開業ができないことで、ゼロになり、本市への経済波及効果額が大きく損なわれると考えますが、本市はどうお考えか、どの程度のマイナス額を見込むのか、うかがいます。

 質問の第2は、総事業費増額による地元負担額についてです。
 近年、資材価格の高騰や、建設労働者の労務単価の引き上げなどにより、全国的に総工事費が膨らみ続けています。今議会の補正予算にも表れているように、本市でも、市有施設等の改修・建設等の工事において、当初の予算では対応しきれず、工事費の増額補正、工期延長による債務負担行為が、議会の都度、提案されている状況です。
 2023年3月、鉄道・運輸機構が札幌延伸工事を試算しなおした結果、総事業費は2兆3,159億円となり、当初より約6,450億円の増額となる計画変更が認可されています。
 札幌市の負担分は、駅その他の地域の便益に密接に関連する鉄道施設にかかる工事のうち、共通経費を除く北海道が負担すべき負担金の「10分の5」であり、本市の負担する額は350億円と説明されてきましたが、総事業費増額により、札幌市の負担額はいくらになるとお考えですか、うかがいます。
 また、これまで本市が支出した負担金額について、総額についてお示しください。

 質問の第3は、環境配慮と安全を優先にすることについてです。
 建設業や運輸業は、高所・閉所での作業、重機の操作や機械音など現場では厳しい作業環境となり、労働災害が最も発生しやすい業種です。青函トンネルの工事では、出水事故などで多くの作業員が亡くなっており、ルートの8割がトンネルとなる北海道新幹線の札幌延伸工事でも、残念ながら、すでにトンネル坑内を中心に7件の死亡事故が起きています。
 こうした労働災害が二度と起きないよう、十分な工期を確保することや、作業員の週休二日の実施など、とりわけ公共工事の発注においては、適正化が求められています。
 また、小樽―札幌間の札樽トンネル工事では、土壌汚染対策法による基準値を上回る鉛やヒ素が発生土から発生する影響について、住民の不安に応えることなく、手稲区山口地区を発生土受け入れ地にした問題や、工事着工前の調査で長万部町や小樽市などでも同様の土壌が検出される問題など、住民や作業員への健康被害や、環境に大きく影響する課題に対し、十分な策が示されないまま工事が進められている状況です。
 本市は、循環型社会の実現や、環境に配慮した企業活動の後押しなど、2050年に温室効果ガス排出量を実質ゼロにするゼロカーボンシティであり、ウェルネスでスマートなまちとなるよう、第2次札幌市まちづくり戦略ビジョンを掲げています。北海道新幹線の工事においても、建設現場での安全の確保やカーボンニュートラルの実現に向けた作業等を求めていく立場ではないでしょうか。
 今後の北海道新幹線工事にあたっては、ことさらに工期短縮を求めるのではなく、環境配慮や安全をこれまで以上に優先した工事となるよう、国や鉄道・運輸機構に要請することが必要だと考えますが、いかがかうかがいます。
 
 質問の第4は、まちづくり戦略ビジョン、アクションプランへの影響についてです。
 2022年度から10年間の「第2次札幌市まちづくり戦略ビジョン」や、昨年度から5年計画の「アクションプラン2023」は、2030年度に札幌延伸が実現されることを前提に、地域経済、企業誘致、観光、公共交通、都心部や創成川東地区などの各事業計画が示されています。
 鉄道・運輸機構から国へ、2030年度末の延伸が困難との報告があったいま、戦略ビジョンやアクションプランで掲げた本市のまちづくりに、どのような影響をもたらすとお考えか、うかがいます。また、今後の状況により、計画の見直しも必要だと考えますが、認識をうかがいます。
 
 次に、在宅高齢者福祉についてです。
 「すべての高齢者が人間としての尊厳を保ち、自立した生活を送れる」ことを基本理念として2000年にスタートした介護保険制度は、3年ごとに見直され、本市は昨年度末から、これまでの「高齢者保健福祉計画」、「介護保険事業計画」に加え、「認知症施策推進計画」を包括し、3年計画の「高齢者支援計画」を策定しました。この計画は、「中長期的な視点を持って『地域包括ケア』システムの更なる深化・推進を目指す」、とされています。

 質問の第1は、地域包括支援センターが役割を果たす上での現状と課題についてです。
 本市では、介護予防支援の拠点となる「地域包括支援センター」27か所、「介護予防センター」53か所を設置し、高齢者の方々が住み慣れた地域でいつまでも暮らせるように、さまざまな支援を実施しています。
 総合相談、実態把握等を行って必要な支援を把握し、適切なサービスや、さまざまな機関・制度等の利用につなげることや、継続的な地域・医療機関・施設等との連携を図るなどの「包括的支援事業」と、予防給付の対象となる要支援認定者へのケアプランを作成する「指定介護予防支援」が主な事業で、主任ケアマネジャー、社会福祉士、保健師などの資格を持つ専門職員を配置しています。
 「札幌市地域包括支援センター運営事業の概況」によると、相談支援業務では、相談件数が2017年度は21,889件でしたが、コロナ感染拡大期を除いて年々増え、2021年度は24,780件、2022年度は28,923件と前年の約1.2倍で、「伸び率が著しい」状況です。相談の内容は、「複雑化、課題が複合化しており、継続的な支援を要する事例が年々増加している」と報告されています。また、介護支援専門員に対する相談支援・ネットワーク構築等支援数は増加傾向で、ケアプラン作成数も増加しています。
 3年ごとに行われる2022年度「介護保険サービス提供事業者調査」の地域包括支援センターへの調査では「要支援であっても要介護1、2に近い認知症状のある方、家族介護者支援で関わる機会が多々」あることや、「実態把握や認知症対応など相談が多岐にわたり、かつサービスにつなげるまでに時間がかかり労力がかかっている」など、職員の増員を必要とする多忙な実態にも関わらず、介護報酬が低く、事業所運営に直結することから、「待遇面で正当に評価されていない」、「一人で担当する利用者数が多い」職場となっています。
 今後、高齢者人口がさらに増加することに加え、一つ一つの相談・支援するケースが複雑化、多岐にわたり、時間・労力がかかるケースが増えている中で、介護予防支援の拠点である「地域包括支援センター」の役割を果たしていく上で、どのような現状と課題があり、本市はどのように支援をしていくのか、伺います。
 
 質問の第2は、介護認定を受けていない高齢単身世帯に対する支援の課題についてです。
 本市は、支援が必要な高齢者の早期発見・早期支援につなげるためとして、要支援認定を受けているものの、介護サービスなどを利用していない高齢者に対して、訪問等によるアプローチを行い、介護予防活動等に積極的につなぐ取組を進めています。
 要支援認定を受け、介護サービス未利用者の中には、本人は介護支援が必要ないと感じていても、認知症の疑いがあるなど介護福祉や医療的な支援が必要であるという高齢者は少なくないと言われています。
 このような場合は、ケアマネなどによる継続的な訪問や医療機関や地域などと連携してアプローチすることで必要な支援につなげていくことができます。
 一方で、介護認定自体を受けていない高齢単身世帯については、本市の早期発見・早期支援へつなげる取組の対象外となっているため、介護支援が必要かどうかなどの実態把握ができず、必要な介護支援などにつなげることができません。
 本市の高齢単身世帯数は、2000年46,600世帯から2020年には、121,800世帯と2.6倍に増えています。
 本市が2022年度におこなった「高齢社会に関する意識調査」によると、「困っていること、不安に思うことの相談先」が「わからない」、「特にない」を選択した高齢者の割合は20.7%でした。また、高齢単身世帯の23.7%は体調を崩しても頼る相手がいないと回答しています。
 同居家族がおらず、また町内会や地域の方々との交流が少ないことに加え、介護認定を受けること自体必要ない、受けることが嫌だと思っている高齢単身世帯に対しても、福祉支援が必要かどうか把握することはもちろん、必要な支援につなげることは、大切なことだと思います。
 本市において、地域との交流がない高齢単身世帯や介護支援などが必要であるにもかかわらず、介護認定を受けていない高齢単身世帯の現状や福祉支援等についてどのような課題があると認識されているのか伺います。

 次は、市営住宅についてです。
 本市の市民所得は政令市中、最低レベルのまま推移しており、物価高騰で市民生活はますます厳しさを増しています。固定費である家賃の負担は、毎月の生活費に重い負担となっており、家賃の減免制度がある公営住宅は、暮らしを支える住まいとして、今もっとも拡充が求められていると考えるものです。
 札幌市住宅マスタープランでは、「市営住宅の管理戸数を抑制する」という方針を掲げています。よって、2018年以降の市営住宅の新設はなく、管理戸数は2020年度末735棟26,714戸が、2年後の2022年度末には4棟約200戸も減っています。
 併せて、募集戸数もマスタープランで毎年約800~900戸を維持するとしているにもかかわらず、2022年度622戸、23年度745戸と大きく減少しています。
 一方、2023年度募集に対する応募者数は9,954人ですが、募集戸数が745戸のため、入れなかった応募者が9,209人にものぼっています。
 応募倍率は、約13倍から15倍と依然高く、入りたい市民がいるのに、募集戸数が減少していることは、毎年約800~900戸の募集戸数を維持するとしている、本市の住宅マスタープランに逆行していると思いますが、いかがか伺います。

 最後に、悩みや困難を抱える子どもへの支援についてです。
 子ども家庭庁が公表した「2022年度の児童相談所による児童虐待相談対応件数」は、21万9170件で、文部科学省のまとめによると、いじめの認知件数は68万1948件、不登校児童生徒数は29万9048人と、いずれも増加の一途をたどっています。
 2022年度の本市の児童相談所における「児童虐待認定件数」は2,286件で、前年度より4.8%減少したものの、深刻な事例が後を絶ちません。
 今年3月に策定した「第2期札幌市教育振興基本計画・前期アクションプラン」では、基本施策1-4として、「誰もが安心して学びに向かうことができる支援の充実」が掲げられ、「いじめや不登校などの未然防止、早期発見のために、積極的な生徒指導を実施していくとともに、教育相談支援体制の充実や教育にかかる経済的負担を軽減するための支援を進めます」としており、日々成長する子どもたちへの支援の充実は、一刻の猶予もなりません。

 質問の第1は、いじめや不登校などでの対応と支援についてです。
 1点目は、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの常駐化についてです。
 今月20日、調査特別委員会で示された、「令和7年度札幌市重点要望」案では、「スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの教職員定数化」を、最重点要望項目としてあげました。その背景として、「スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの活用事業に対する国庫補助については、計画の事業量に見合う財政措置が取られておらず、配置時間や配置人数等の拡大に限界がある」と述べられております。
 本市は、今年度、小学校へのスクールカウンセラーの配置を、年間69時間から140時間へと増やし、小・中学校へのスクールソ-シャルワーカーを、有償ボランティア19名の配置から、今年度は、会計年度任用職員15名、有償ボランティア8名と、4名増員する予算化をしました。スーパーバイザーの増員と、エリアスーパーバイザ―の新たな配置で、市内5つのエリアを3人態勢で巡回する拡充が図られたところです。
 しかし、児童生徒や保護者からの相談やカウンセリング、教員や学校・外部組織との連携など、きめ細やかに対応するためには、常勤として常駐できるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの体制が必要ではないかと考えます。
 国への要望、その実現を待つことなく、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの配置の拡大を急ぎ、常駐化へ向かうべきと考えますが、いかがか、伺います。

 2点目は、教育支援センターに通う不登校児童生徒への支援についてです。
 2017年の教育機会確保法施行から、多様な学びへの支援を行う自治体が増えています。全国では、教育支援センターやフリースクールなどへ通う子どもたちに、通学費用や利用料などを独自に補助する自治体が広がっています。補助額は月5千円から4万円など様々で、東京都では今年度から月額2万円の補助が開始されました。
 本市では、仲間と共に、学習や体験活動に取り組むことにより、人とかかわることへの不安や悩みを和らげることを目指し、不登校の児童生徒の学びや体験、交流の場として、現在6か所にある教育支援センターに、新たに4区を加え、10区すべてで開設することになりました。
 教育支援センターへ通う児童生徒は、昨年度334人で、2022年度の本市の不登校児童生徒数が4,836人と過去最多となっていることから、利用する児童生徒は増えることが考えられます。
 各区1か所となる教育支援センターに通いやすくするために、交通費を助成するなどの支援が必要だと考えますがいかがか、伺います。
 3点目は、フリースクールに通う不登校児童生徒への支援についてです。
 不登校の子どもの選択肢のひとつにフリースクールがあります。本市では、フリースクールを実施する施設への補助金が予算化されておりますが、子どもが利用している世帯への補助はありません。授業やカリキュラムがある通学型のフリースクールでは、利用料が月額3万円台から5万円台となっており、経済的事情から利用をあきらめざるを得ず、2016年、2020年には、利用料への補助を求める陳情も本市議会へ出されています。
 本市として、フリースクールへ通う児童生徒へ、通学費や利用料等の補助が必要だと思いますが、対象世帯への経済的支援について、お考えを伺います。

 質問の第2は、児童相談所職員の専門性のさらなる強化についてです。
 本市では、2019年に2歳女児が亡くなった事件を受け、二度と起こさないという決意の下、「第3次児童相談体制強化プラン」を策定し、取り組んでいます。わが党は、職員の専門性の向上と養成を求めて、人事異動サイクルを見直し、経験が蓄積される職場となるよう質問を繰り返してきたところです。
 2022年の「札幌市児童相談所及び一時保護所の第三者評価」では、スーパーバイザーの養成も含む人材育成の課題、専門人材の不足、時間外労働が多く年休の消化率が低いことなど、職員不足で増員が急務、と提言されております。
 今年度は、第2児童相談所の開設準備を視野に、相談判定や一時保護所の強化を図り、児童心理司の増員などで14人の増員となりました。児童福祉司は76人、児童心理司は40人の配置となり、配置基準を満たしたところであり、現在、児童相談所職員の平均在職年数は3年0カ月となっています。
 「第3次札幌市児童相談体制強化プラン」では、専門職の採用、育成、配置できるキャリア形成や体制について検討し努めるとしてきましたが、現状での児童相談所の児童福祉司・児童心理司とスーパーバイザーの養成はどのように図られているのか伺います。あわせて、養成するために必要な人事異動サイクルの構築について、今後の見通しを伺います。

 以上で、わたくしの質問のすべてを終わります。ご清聴ありがとうございました。

 

秋元市長 答弁
 全体で大きく5項目ご質問をいただきました。私からは1項目めの私の政治姿勢についての3点、それから2項目めの北海道新幹線札幌延伸についてお答えをさせていただきます。その余のご質問に対しましては、担当の町田副市長、天野副市長、教育長からお答えをさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 1項目目の私の政治姿勢についてお答えをいたします。
 まず1点目の改憲論議についてでありますが、国の最高法規であります憲法のあり方につきましては、憲法が定める手続きに基づいて国会において議論を深めていくものと認識をしております。その上で、憲法改正に関しましては、様々な意見がありますことから、その必要性や内容について、国民の理解を得ることが欠かせないものであり、慎重かつ十分な国民的議論がなされるべきものと考えております。
 次に、2点目の自衛隊への名簿提供についてでありますが、自衛隊法等の関係法令や名簿提供に関する国の見解、自衛隊の持つ公益的な役割を踏まえ対応しているところであります。名簿の提供に当たりましては自衛官募集の目的以外には使用しないことや、使用後は名簿を返却することを条件にしているところでもあります。今後も、自衛隊から同様の依頼があった場合には、名簿提供に対する市民の理解促進に努めるとともに、除外申請の手続きについても、様々な広報媒体を用いて幅広く周知し、十分な申請期間を設けるなど、適切に対応していく考えであります。
 次に3点目の敬老パス変更案に当たっての市民意見についてであります。昨年度公表いたしました敬老健康パスの素案につきましては、多くの市民の声を反映して、よりよい制度にするため、10区で改正をした意見交換会やコールセンター、ホームページなど幅広い形で意見を募集し、多様なご意見をいただいたところであります。得られた市民意見を反映させるために現在、事業費の将来見通しを含めた制度の課題を整理し、併せて経過措置などについて検討しているところであります。
 人生100年時代を見据え、生涯をより豊かなものとするために、今後も市民に寄り添い、しっかりとご意見を伺いながら、持続可能な仕組みの構築に向けて取り組んでまいります。
 次に2項目目、北海道新幹線札幌延伸についてお答えをいたします。
 まず1項目目の延期による札幌市における経済波及効果への影響についてでありますが、平成25年度に北海道が公表いたしました調査の結果では、開業時期を2030年度とした場合の推計値は示されておらず、また今回の鉄道運輸機構の報告におきましては、新たな開業目標の見通しが示されていないことから、現時点では札幌市における経済波及効果への影響は不明であります。一方、札幌延伸による効果を早期に発現させ、北海道経済の活性化に寄与するためにも引き続き、国や鉄道運輸機構に対し、1日も早い完成開業を求めていく考えであります。 
 次に2点目の総事業費増額による地元負担額についてでありますが、令和5年3月に国が変更認可した北海道新幹線の工事予算は、新函館北斗・札幌間全体の予算でありまして、札幌市が負担する工事の範囲における工事費は示されておりません。このため現段階では札幌市の負担額をお示しすることはできませんが、今後も情報収集に努めるとともに、できる限り地方負担が軽減されるよう、国や鉄道運輸機構に対し求めてまいります。また平成26年度から令和5年までの10年間に、札幌市が負担した建設負担金の合計額は約133億1200万円であります。
 次に3点目、環境配慮と安全を優先することについてでありますが、北海道新幹線の建設工事におきまして、環境への配慮や安全の確保は重要であると考えております。札幌市といたしましては、鉄道運輸機構に対し、これまでも環境への影響に十分配慮するとともに、工事従事者の安全確保に万全を期すよう求めてきたところであり、今後も必要な対策を講じた上で工事を進めるよう求めてまいります。
 次に4点目のまちづくり戦略ビジョン、アクションプランへの影響についてでありますが、今回の鉄道運輸機構の報告では、2030年度末の完成・開業が困難であるとしつつ、新たな開業目標の見通しなどが示されていない状況であり、現時点でまちづくり戦略ビジョンおよびアクションプランへの影響を見込むことは困難であります。引き続き、国や鉄道運輸機構に対し、1日も早い完成・開業を求めるとともに、開業目標の見通しを示すよう働きかけてまいります。
 私からは以上です。

町田副市長 答弁
 私からは大きな3項目目、在宅高齢者福祉についてのご質問と、大きな5項目目の1点目のいじめや不登校などでの対応と支援についての3つ目のフリースクールに通う不登校児童生徒への支援についてのご質問、そして2点目の児童相談所職員の専門性の更なる強化についてのご質問にお答え申し上げます。
 まず大きな3項目目、在宅高齢者福祉についてのうちの1点目、地域包括支援センターが役割を果たす上での現状と課題についてのご質問でございますが、地域包括支援センターにおきましては、高齢単身世帯や高齢夫婦世帯が増加する中、相談件数だけでなく、対応困難な事案も増えてきており、業務負担が課題になってきていると認識するところでございます。そのため2023年度、昨年度から専門職員の人件費の増額を通して処遇改善による人材の定着を図るとともに、フレイル改善マネージャー等を配置し、人員体制の強化にも努めてきているところでございます。加えまして効果的な運営機能強化に向けて地域包括支援センターと意見交換しながら、今後より実務的な業務改善について取り組んでまいります。
 次に2点目、介護認定を受けていない高齢単身世帯に対する支援の課題についてでございますが、地域との繋がりが希薄な高齢者に対しては、周囲から得られた情報をもとに、地域包括支援センターや区の保健師が訪問し、適切なサービスに繋がるよう支援を行っているところでございます。一方で、地域で孤立し悩みや困りごとを抱えていても自ら相談できず問題が顕在化したときには既に重篤化、複雑化しているという事案が一定程度あるということは大きな課題と認識するところでございます。今後は行政だけではなく、官民の支援団体や地域組織による重層的な見守り・支援体制の構築が重要でありますことから、関係機関による分野横断的なネットワークづくりを進めてまいります。
 次、大きな5項目目の悩みや困難を抱える子どもへの支援についての1点目、いじめや不登校などでの対応等支援についてのうちの三つ目の質問でございますが、フリースクールに通う不登校児童生徒への支援についてでございます。
 札幌市では、学校以外にも多様な学びの環境の充実を図る観点から、フリースクール等民間施設に対する補助を行っており、そのことが保護者負担の軽減に繋がっているものと考えているところでございます。
 次に2点目、児童相談所職員の専門性の更なる強化についてでございますが、児童福祉司およびスーパーバイザーにつきましては、必要な知識や技術の習得のため、法定義務研修等を受講させており、児童心理士についても、職務内容に応じた研修の体系化を図り計画的に育成を進めているところでございます。
 また、令和5年3月に策定いたしました福祉コース職員の育成方針に基づき各種の面接技法などを獲得すべき能力を明確にした上で、専門性の向上を図るとともに、経験年数に応じた段階別の研修を開始したところでございます。こうした取り組みに加えまして職務経験を考慮した効果的な人事異動により組織としての経験を蓄積させるなど、引き続き児童相談所における職員の専門性の強化に努めてまいります。
 私からは以上でございます。

天野副市長 答弁
 私からは大きな4項目目、市営住宅についてお答えをいたします。
 札幌市住宅マスタープラン2018における募集戸数に関する成果指標の達成を目指し、令和5年度から通常の指定管理費による修繕とは別に空き住戸修繕の予算を計上しているところでございます。今後この修繕を着実に進めることによりできるだけ多くの方が入居できるように努めてまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。

山根教育長 答弁
 私からは大きな項目の5つ目、悩みや困難を抱える子どもへの支援についてのうちの1点目、いじめや不登校などでの対応と支援についてのうち、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの常勤化についておよび教育支援センターに通う不登校児童生徒への支援についてお答えいたします。
 まず1点目の、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー他の配置につきましては、今年度、いじめ防止対策組織への参加などが可能となるよう、スクールカウンセラーの配置時間数の増加やスクールソーシャルワーカーが全校巡回できるような増員を行い、相談体制の大幅な充実と、より効果的な活用を図ることとしたところであります。今後も引き続き、国に対しまして、しっかりとした財政措置を求めるとともに、スクールカウンセラーおよびスクールソーシャルワーカーが、各学校において組織の一員としての専門性を一層発揮できるよう、子供の教育相談体制の充実に努めてまいります。
 続きまして2点目の教育支援センターに通う不登校児童生徒への支援についてであります。本市におきましては、これまで6ヶ所の教育支援センターに加えまして、このたび4つのサテライトを開設するとともに、全市を対象としたオンラインコースの試行を始めるなど、一人一人の子どもが支援を受けやすい体制の整備に努めているところであります。教育委員会といたしましては、今後も引き続き、不登校の児童生徒が学びたいと思ったときに、学びやすい環境を整えることで、支援の一層の充実を図ってまいります。
 私からは以上です。