私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となっております議案7件中、議案第1号「令和4年度各会計歳入歳出決算認定の件」並びに第7号「令和4年度札幌市下水道事業会計剰余金処分及び決算認定の件」に反対、残余の議案には賛成の立場から討論を行います。
 一般会計決算の歳入は1兆2,297億5,200万円、歳出は1兆2,187億6,100 万円でした。歳入から歳出を差し引いた形式収支は109億9,100万円、翌年度への繰越財源41億6,900万円を差し引いた決算剰余金は68億2,200万円です。
 このうち、35億円については、財政調整基金に積み立て、残余の33億2,200万円を翌年度に繰り越しました。財政調整基金は2023年度の活用見込み93億円を差し引いても本市が維持するとしている100億円を大きく超えていました。
 決算剰余金は、長引くコロナ禍の上に物価高騰で大きな影響を受けている幅広い市民の生活支援と社会保障や子育て支援に資する施策に積極的に使うべきでした。
 議案第1号に反対する理由の第一は、冬季オリンピックパラリンピック招致費3億円と、基金造成費1億6100万円が含まれているからです。
 18日の決算特別委員会で、秋元市長から、「今なお招致に対する理解が十分に広がったとは言い切れない状況」から、2030年の招致を断念し、2034年以降の大会招致の可能性を探るため、IOCとの継続的な対話を引き続き行う、旨の説明がなされました。
 私どもはこれまで、本市がオリパラを招致するにあたっては、住民合意を最優先に行い、明確な賛同を得てから招致へと進むべき、との立場で、住民合意のないオリパラ招致に関する費用に反対し、委員会や本会議での質疑を重ねてきました。
 本市が、公正さに欠ける意向調査を行い、その結果は賛否が拮抗していたにもかかわらず、「一定の理解を得た」として招致に突き進み、東京大会の贈収賄・汚職事件が明るみになって以降も、市民が求める住民投票を、「実施する考えはない」としてきた姿勢に対し、我が党は「否定的な意見を持つ市民との軋轢を生じさせるばかりだ」、と指摘してきましたが、まさにその通りになったのではないでしょうか。
 委員会での我が党の質問で、大会招致関連の費用が、2021年度3億9642万円、2022年度3億円など、この10年間で12億9252万円にもなることが明らかになりました。これだけの費用をかけて、機運醸成や理解促進を図ろうとしても市民理解が得られなかったのは、東京大会の贈収賄等の事件のみならず、市民合意のないままに招致活動に走り、常に市民意見をあと回しにする本市の姿勢によるものです。
 これまでの招致活動を検証する際には、「自治基本条例」に照らして、招致を進める前、招致活動に入った後、などそれぞれの段階で市民が主体となっていたかどうか、厳しく検証することを求めるものです。
 今後について市長は、「次のステップに進む場合には、市民の意向を確認して進めていく」と答弁されました。市民の意向は、いつ確認するのか、どのような手法で実施するのか、が重要なポイントですが、市民が求める住民投票の実施を今回も明らかにしなかったことは問題です。これまで住民投票を避けてきた本市が、今後「34年以降の招致の可能性を探るため、IOCとの対話を継続する」と表明したことは、再び市民の意向を確認することなく「可能性を探る」ことであり、「市民合意なし」を重ねることになりかねません。まず、いったんIOCやJOCとの対話や協議のステージから降りて招致意思のないことを明確にし、2034年以降を検討する際には、改めて住民投票をまず実施し、多くの賛同を得られたのちに招致活動へ進む、という明確な姿勢を市民の前に示すべきです。
 あわせて、2022年度末の残高51億9800万円余となっているオリパラ基金は、本市の一般財源から積み立てた50億円を一般財源に戻し、広く市民の暮らしを支える施策に使うことを求めるものです。
 反対する理由の第2は、「北海道新幹線推進関連費」58億9500万円や「札幌駅交流拠点まちづくり推進費」「大通・創世交流拠点まちづくり推進費」合わせて91億9200万円、「創成川通機能強化検討調査費」・「直轄事業負担金」いわゆる都心アクセス道路建設関連費2億4,100万円、民間再開発促進費58億5,200万円などが含まれているからです。
 本市は、冬季オリ・パラ招致を起爆剤として北海道新幹線の早期札幌開業など都心部のまちづくりを進め、誘発される再開発事業への補助金として税金投入を繰り返してきました。
 代表質問でも述べたように、現状の建築物の容積率を緩和することで、都心部に高層建築物を誘導していますが、ここには、オリンピック招致による経済波及効果・約4,000億円で、インバウンド観光客と消費が増加することも見込んでいます。
 30年招致断念、34年招致が絶望的とされ、抜本的な見直しが必要とされているにもかかわらず、高機能オフィスや高級ホテルの開発を目的に、さらなる容積率の緩和に踏み出すことは、都心部のみどりや歴史的建造物を高層建築物の間に埋没させることになります。
 官民を問わず、税金からの補助金や負担金が伴う再開発では、自治体が公共性の観点から事業計画をチェックすることが重要であり、社会経済情勢が大きく変化した際には、積極的に見直しなどを提案することが求められます。
 オリンピック招致を見込んだ各種の計画、指針、事業を見直さないまま、投資を呼び込む再開発やイベント型の誘致を優先させたまちづくりを進めるのは、本市が誇る豊かで広大な自然や、時計台などの歴史ある重要な資源の魅力を生かすまちづくりを後景に追いやる可能性があることから反対です。
 理由の第3は、マイナンバー関連費用として、マイナンバー制度に19億9,900万円、システム開発関連費などに21億1,100万円が含まれているからです。
 マイナンバーカードについては、誤交付や誤登録など、問題が次々と発覚しています。マイナンバーカードの利用拡大は、個人情報集積による漏えいの危険が増大し、プライバシーの侵害を引き起こす恐れもあります。また、国による情報の一元管理により国民監視を強める仕組みであることからマイナンバー制度は廃止すべきです。
 理由の第4は、学校規模適正化推進費570万円が含まれているからです。
 学校は地域コミュニティの中心であり、統廃合はまちづくりに大きく影響することから住民への周知徹底と広く意見を聞き、住民合意の上で時間をかけ慎重に検討することが必要です。
 この度の570万円は、現在、東区、豊平区、南区で進められている検討委員会と住民説明会などに要した費用です。住民説明会の参加者は297人であり、住民への周知という点では不十分であるにも関わらず、学校統廃合を前提とした学校配置検討委員会が進められていることは問題です。
 理由の第5は、札幌市職員定数条例の一部を改正する条例により、102人の市職員を削減しているからです。本市の市民千人当たりの職員数は、政令市の中で3番目に少なく職員定数は減らすべきではありません。
 あわせて、茨戸水再生プラザの運転管理業務を民間委託したことは技術の継承や人材育成の上で困難になります。よって議案第7号にも反対です。
 理由の第6は、国保、介護、後期高齢者医療の各会計において、いずれも高すぎる保険料が引き下がらないからです。また、後期高齢者医療は窓口負担割合が引き上げられさらに市民負担が増えたため反対です。
 次に代表質問ならびに決算特別委員会で、取り上げた諸課題について、局別に述べてまいります。
 はじめに、スポーツ局です。
 札幌ドームと新月寒体育館についてです。
 札幌ドームは、新コンサートモード等を取り入れ、5年間の指定管理契約が始まっています。イベントや展示会の開催日数を増やす見込みとなっていますが、すでに今年度は、下回る事態となりました。築22年が経過し、今後毎年約10億円の保全事業費が必要ですが、本市は、アクセスサッポロの「旧北海道立産業共進会場用地」への移転や、中島公園周辺の新たなMICE施設計画など、イベント会場等を増やし、札幌ドームと競合させる環境を作ろうとしています。また、北広島市に作られたエスコンフィールド北海道は、イベントがなくても常に人を呼び込むボールパークであり、激しく競合することは、避けて通れない状況です。
 このように札幌ドームの今後の経営が不透明になる要素が多い中で、「札幌ドーム周辺スポーツ交流拠点基本構想」を策定し、現在「アイスリンク構想案」を公表しています。アイスリンクとなる「新月寒体育館」は、400億円の施設整備費のうち、国からの補助として180億円を見込んでいましたが、2030年のオリ・パラ招致を断念したことで見込めなくなりました。同様の事情から、札幌ドームの隣接地となる国有地の購入も見通し不透明な現状です。
 こうした現状を見極めるなら、札幌ドーム周辺にスポーツ施設を集約することはやめ、アイスリンクとなる新しい月寒体育館は、現在の月寒体育館の場所に建て替えるべきです。公表した「アイスリンク構想案」を取り下げ、計画を抜本的に改めるよう求めます。
 大倉山、宮の森ジャンプ競技場についてです。
 大倉山ジャンプ競技場に現在の宮の森にあるノーマルヒルを併設するため、一部樹木を伐採する計画としています。自然や文化を壊すことや市民のレガシーである宮の森ジャンプ競技場が使われなくなることを知っている市民は多くないと思います。併設化に向けた検討は見直すべきです。
 次に、保健福祉局です。
 国保の子ども均等割についてです。
 国民健康保険には、家族が増えるたび保険料が増える均等割の仕組みがあります。
 国は2022年度から未就学児童の均等割額の半額を公費で負担しており、さらに本市が独自の減額策を拡大することによって、子育て世帯の負担を軽減することができます。検討されるよう求めます。
 コロナ対策についてです。
 コロナ感染症は5月に感染症法上5類に位置付けられた以降も感染は収まらず、クラスターの増加も見られました。コロナ健康相談ダイヤルの拡大や流行状況によっては早めの情報発信をされるよう申し上げます。
 また、市民がためらわずに検査できるよう、無料PCR検査や抗原検査キットの無料配布を再開されるよう求めます。
 国からの病床確保料が縮小され民間病院のコロナ感染患者の受け入れが困難となる恐れがあることから、市立病院では、コロナ感染拡大状況に応じた柔軟な病床確保をしていただくよう、また、そのためにも本市は市立病院へ一般財源からの繰入など必要な時には経営への支援をするよう求めます。
 保健所では、引き続き医療機関との連携調整を行い、病床ひっ迫が起こらぬよう取り組んでいただくよう申し上げます。
 生活保護制度についてです。
 通常の冬季加算額では賄いきれない場合、本市の判断で「冬季加算特別基準」を認定することができます。申請できることの周知徹底とともに、訪問活動での把握や認定を十分に行うよう求めます。特別な事情に該当する場合、エアコンなどの購入費用として「家具什器費」の支給が認められています。「冷房器具の購入に向けた適切な助言や、利用可能な貸付制度の周知など、これまで以上に丁寧な対応に努めたい」との答弁でしたので、徹底を求めるとともに、支給要件の緩和を、国に要請されるよう求めます。
 地域活動支援センターについてです。
 障がい者と社会の交流を促進する等の施設である地域活動支援センターは、国と北海道、本市の補助と運営費で賄っていますが、本市の補助金額は15年間据え置かれたままです。人件費を削って運営しているところもあり、センターの実態に見合った補助額にし、センターが経営困難や人材不足で閉所し、利用していた障がい者が行き場を失うことのないよう適切な対応を求めます。
 次に、子ども未来局です。
 障がい児保育巡回指導についてです。
 障がい児保育巡回指導は、保育園等において、障がい児保育の認定の有無にかかわらず、配慮を要する子どもに対して公認心理士などの巡回指導専門員が各園を回り、細やかな助言等の支援を行うものです。こうした支援は、障がい児へのかかわりを学び、保育の安心や自信となり障がい児保育の経験が深まることにつながります。発達の上で配慮を要する子どもが増えており、保育園から「巡回指導の回数を増やして欲しい」などの要望が出されています。さらなる体制の充実を求めます。
 放課後児童健全育成事業についてです。
 民間児童育成会への家賃補助の基準額は2008年から変わっておらず、転居費用への補助要件も実態に見合うものになっていません。民間児童育成会の意見を聞き、見直しの検討を求めます。
 児童会館などでは、利用児童数に対応するため、必要な職員数が増え続けているものの、多忙で給与が低いなどの理由から、定着が極めて厳しく、人材不足がさらなる多忙をうみだしています。給与水準の引き上げなど処遇改善につながる予算を確保されるよう求めます。
 次に、経済観光局です。
 定山渓観光魅力アップ構想についてです。
 宿泊客や日帰り客が増加し、イベント時などは、駐車場の不足で道路が混みあうことから観光協会や事業者と協議しできるだけ早い整備となるよう求めます。
 また、人材不足で部屋数に見合った予約が受けられない事態を改善するため、定山渓で働く方の居住環境整備等の支援策を求めます。
 次に、建設局です。
 除排雪についてです。
 気候変動、温暖化などの気象変化に合わせた柔軟で臨機な対応をするためには、十分な除排雪予算と人材確保が求められます。
 生活道路排雪の在り方検討においては、排雪費用の全額本市負担を検討すること、合わせて、幅員が狭いバス路線においては、バス事業者と協議し排雪を行い交通確保に努めていただくよう求めます。
 最後に教育委員会です。
 学校図書館への司書配置についてです。
 すべての中学校に学校司書が配置されたことで、貸出機会が増え、「学習センターとしての機能ということでも非常に専門性を発揮している」と答弁されました。小学校においても、学校司書の配置を検討されるよう求めます。
 就学援助制度についてです。
 就学援助の認定要件である所得限度額は、世帯人数に応じた設定ですが、子どもの学齢が高いほど学習費による家計負担は重くなることから、学齢を考慮した基準額の設定のあり方について検討するよう求めます。
 また、PTA会費、クラブ活動費、卒業アルバム費を支給費目に追加するために必要な額は約2,700万円とのことでした。十分対応できる額であり、支給費目に追加するよう求めます。
 代表質問で取り上げた学校のエアコン設置は、今年度から5年かけて設置する計画です。災害級の暑さに備えるため、できるだけ計画を前倒しされるよう、柔軟かつ、スピード感を持って取り組んでいただくよう申し上げます。
 また、給食費の公費負担については、保護者負担が増えないよう対応していきたいとの答弁でしたが、保護者の負担を軽減するよう公費負担の増額を求めます。
 以上で、私の討論を終わります。