私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となっております、議案19件中、議案第1号、第5号から第7号、第15号、第16号並びに第18号に反対、残余の議案に賛成の立場で討論を行います。
2023年度予算は、2022年度の補正予算と一体的に編成する「16ヶ月予算」であり、予算額は1兆1,922億円、公債会計を除く特別会計と企業会計を合わせた全会計は、1兆8,496億円となり、本市の予算は10年連続最高額を更新しています。
秋元市長2期8年の市政運営は、アクションプランによる、都心再開発などの大型事業を積極的に展開してきた結果、企業会計を含む中長期的な計画では、建設事業費財源のうち、市債が2015年度517億円から、2023年度は907億円という参考値になっています。
市長は代表質問で「再開発事業により、にぎわいの創出や訪れる人の利便性の向上が図られ、国内外の人や企業を呼び込み、経済を活性化させることができる。それにより雇用の創出や固定資産税などの税収増となり、暮らしの充実に繋がる」むねと、答弁しています。
しかし2015年以降続いている政令市比較で最低レベルの社会保障と個人所得に、長引くコロナ禍と物価高騰が追い打ちをかけ、市民から「オリンピック招致にお金を使うより、暮らしや福祉を充実してほしい」という切実な声があがっています。市民は、暮らしの充実を実感していないということです。
再質問で市長は「福祉かオリンピックかではなく、福祉の充実を図っていくためにも、再開発の経済力を高め、両方をしっかり取り組んでいかなければならない」と答弁をされています。しかし本市の実態は、全国の消費者を対象に観光意欲度などで選ばれる「市区町村魅力度ランキング」では、2年連続の1位になっていますが、勤労者世帯の可処分所得や健康診査の受診率などで図る「市民の幸福度」は、20政令市中16位という低さです。つまり、観光で訪れる方は魅力を感じているけれど、市民は日々の暮らしの中で幸福の程度が低いということです。
福祉もしっかり取り組むということは、「市民の幸福度」をあげる予算であるべきです。
「新型コロナウイルス感染拡大」は、本市の感染数、死亡数ともに過去最悪を更新し、第8波にいたるまで病床がひっ迫する事態となりました。高齢者の感染に対応するためにも、恒常的に余裕のある病床確保が必要です。
冬の市民のくらしに欠かせない、生活道路の除排雪については、気候変動や大雪に備え定期的に排雪し、冬道の安全と除雪事業者の安定した仕事をつくるべきです。
議案第1号「令和5年度札幌市一般会計予算」に反対する理由の第1は、「北海道新幹線推進関連費57億3,872万円」、北5西1・西2地区、北4西3地区の再開発に係る補助金「札幌駅交流拠点まちづくり推進費77億8,500万円」、北8西1・南2西3地区の「民間再開発推進費44億8,000万円」「冬季オリンピック・パラリンピック招致費2億1,250万円」があるからです。不要不急の事業は見直し、福祉・くらしに使うべきと申し上げます。あわせて、市民合意が不十分なまま五輪招致活動を続ける予算に反対です。
理由の第2は、マイナンバー関連の予算が組まれているからです。
このたび、マイナンバー制度対応費、マイナンバーカードセンター運営費などに9億3,132万6000円、社会保障・税番号制度対応システム改修等に8,454万2000円の予算が補正予算に続いて組まれました。
国は、今後健康保険証や運転免許証、預金口座等、極めて秘匿性の高い情報の紐づけをさらに進める計画です。
しかし、個人情報を完全に保護するためのセキュリティは不可能であるため、情報漏洩の危険に市民は常にさらされることとなります。また、国家が国民の消費動向や健康・医療・預金などの情報を得ることは、国民監視につながることから、マイナンバー関連の予算に反対です。
議案第5号「令和5年度札幌市国民健康保険会計予算」並びに、議案第18号「令和5年度札幌市国民健康保険条例の一部を改正する条例案」に反対する理由は、保険料が高くなるからです。
国保支払準備基金から物価高騰対策として10億円の繰り入れをし、引き上げ幅をおさえたものの、それでもなお平均保険料で5,754円の値上げとなります。国保には自営業者や非正規労働者、年金生活者が多く加入しており、高い国保料の負担とコロナや物価高騰によるいっそう厳しい生活を強いられています。賦課限度額世帯の保険料引き上げによる中間層の負担軽減措置はすでに限界であり、国保支払準備基金をさらに取り崩し、市民負担を軽減すべきです。
議案第6号「令和5年度札幌市後期高齢者医療会計予算」並びに、議案第7号「令和5年度札幌市介護保険会計予算」に反対する理由は、度重なる制度改悪により、高齢者への負担を増やしているからです。
議案第15号「令和5年度札幌市下水道事業会計予算」に反対する理由は、都心アクセス道路事業に伴って、創成川通り東側・西側に管路の移設をするための工事費用14億円が含まれているからです。通常管路は可能な限り延命化を図っておりますが、都心アクセス道路整備を開始する前に下水道管移設工事を終了させる必要があるため、管路改築計画にはない工事を行うことになりました。そのことによって、計画的な管路の改築が遅れることが危惧され、また、本来必要のない移設による経費の増額となるからです。
議案第16号「札幌市職員定数条例の一部を改正する条例案」に反対する理由は、児童相談所の児童心理司や、保護課ケースワーカー等体制強化をしているものの、委託拡大により、茨戸水再生プラザ23人、学校給食調理業務の8人を削減する事から反対です。
次に、予算特別委員会で取り上げた諸課題について、局別に申し述べます。
はじめに、総務局です。
会計年度任用職員制度についてです。
本市の会計年度任用職員4170人のうち、約1440人が今年度末で、雇止めとなる事がわかりました。会計年度任用職員の任用限度年数は、自治体独自で決める事が可能です。職員の経験や市民サービスの向上に活かせるよう任用期限を設けた働き方は見直すべきです。
次に、市民文化局では、ヘイトスピーチなど差別解消について取り上げました。
国連女性差別撤廃委員会に札幌市から参加したアイヌ女性へ向けられた差別的な発言についての認識をお聞きしたところ、「特定の民族や人種などを理由とした不当な差別的活動、差別的言動、いわゆるヘイトスピーチは誠に恥ずべきもので、決して許されるものではない」との答弁でした。アイヌ民族や性的マイノリティなどへの理解を広げ、ヘイトスピーチや差別をなくすため、施策の充実を求めます。
次に、スポーツ局です。
大倉山ジャンプ競技場の施設整備費90億円のうち、ラージヒルの北側に、ノーマルヒルを新たに併設する整備費は61億円となり、競技エリアの面積は約7100平方メートル、観戦スペースとなる面積は約3000平方メートルを拡張する見込み、との答弁でした。
ラージヒルの北側への整備となれば、ラージヒル競技の観戦場所は、現在よりも距離ができ、観戦客が楽しみにしている臨場感や躍動感が薄れることになります。また、新たに拡張する競技エリア7,100平方メートル部分は、風致地区である大倉山の樹木を伐採することになり、SDGsの観点から問題です。
宮の森ジャンプ競技場は、1972年の札幌冬季五輪で、日本の選手が金・銀・銅を飾った輝かしい歴史が刻まれている場所です。選手にとっても市民にとっても、ジャンプ競技の聖地であり、まさに歴史の浅い札幌の誇るべきレガシーではないでしょうか。この価値あるレガシーを守ろうともせず、2030年招致の大会概要案で、「レガシー」を強調するのはおおいに矛盾です。
これらについて、市民に情報を十分に提供することとあわせ、そもそも、2030札幌冬季五輪招致への市民合意が不十分なもとで、大倉山ジャンプ競技場への併設を拙速に進めることのないよう求めます。
子どものウインタースポーツ塾とスキーリフトクーポン券についてです。
ウインタースポーツ塾は、カーリングやアイスホッケー、リュージュなど普段体験できないスポーツを無料で体験でき、人気も高く、来年度は参加定数を増やして対応するとのことでした。関係団体の意見をお聞きして、充実させていただくよう求めます。
また、スキークーポン券は回数や利用できるスキー場を増やすこと、中学生も利用できるようにするなど拡充を求めます。
次に保健福祉局です。
子ども医療費助成制度についてです。
所得制限を撤廃したうえで、高校3年生まで対象を拡大した場合の所要額は、およそ19億3千万円の見込みであるとのことでした。助成制度の拡充は、システム改修に準備を要するため、段階を踏むことなく、所得制限の撤廃と高校3年生までの拡大を行い、すべての子どもと子育て世帯がお金の心配なく医療が受けられるよう支援を求めます。
無料低額診療制度についてです。
所得が低い方が医療機関を受診した際、病院代について支払いを無料または低額にする制度ですが、国の医薬分業により、調剤薬局では制度が適用されません。
近年は若者や外国人の利用も増え、この10年間で外来利用は約3500件増えています。市民のくらしは厳しくなるばかりです。困窮する市民への幅広い周知と本市が実施医療機関を増やす努力や、院外薬局の薬代助成をすべきです。
次に、子ども未来局です。
加配保育士等雇用促進補助金についてです。
国のチーム保育推進加算の拡充により4~5歳児において25対1の保育士の配置が可能となりますが、要件として定員121人以上の規模であることから、本市は11施設しか対象となりません。本市は加配保育士等雇用促進補助金の取組で保育士配置を国の基準よりも厚くしています。しかし、保育施設では、障がい児や外国籍家庭の子どもの受入れなど様々な課題もあり、本市の更なる保育士の加配が必要です。本市の加配保育士雇用補助金の加配人数や基準額の見直しを求めました。
次は、環境局で、ヒグマ対策について取り上げました。
本市の電気柵の貸し出し事業の、貸し出しセット資材不足と家庭菜園用電気柵は、市街地にヒグマを定着させないための事業として重要です。普及に向けた補助額の増額を求めます。また、市民がヒグマについて正しい知識を持ち、自らがヒグマ対策を実践する意識を高めるための効果的なイベントの企画の取り組みを求めました。
次に建設局です。
厚別区山本通り拡幅整備事業についてです。
JR函館線を跨ぐ部分の工事の際は、こ線橋に接続する線路沿いの昇降階段は一時撤去せざるを得ず、約3年間、使用できない期間が生じます。住民は長距離の迂回を迫られますが、とりわけ子どもには負担となるため、昇降階段の使用できない期間は、仮設階段が必要です。また、昨年10月、こ線橋から昇降階段で降りた市道の横断歩道で中学生の人身事故が発生しました。再発防止策として、利用者が安全に通行できる構造への具体的な変更を提案したところ、仮設階段の設置と安全な昇降階段への構造変更は、いずれも2023年度(R5)に検討すると答弁されました。こ線橋を利用する周辺住民への配慮と利用者の安全性を優先して進めるよう求めます。
藻岩山スキー場の市民ロッジについてです。
市民ロッジが老朽化し現行の建築基準に合致しない、いわゆる既存不適格の施設となっているため建替えや改築の検討を行っているとのことでした。建て替え主体は札幌市に限らず幅広く検討するとのことですが、更新は急がれますので、本市がリードして進めるよう求めます。
次に都市局です。
市営住宅の家賃減免基準見直しについてです。
昨年3月に諮問され、現在「住まいの協議会」で協議されているところです。
2011年の見直しで基準が下げられて以降、入居者の負担は増えています。
家賃減免制度は、生活保護世帯を除く低所得世帯を対象としています。ここ10年で下がり続けた生活保護基準にあわせて家賃減免基準を下げることは、現在減免を受けているのに対象から外れるなど、低所得世帯の負担が増えてしまいます。困窮する低所得世帯への家賃減免基準を下げるべきではありません。
最後に、教育委員会です。
教員の不足と働き方についてです。
本市の教員の定数欠や、病欠・産育休での欠員に対し、常時50人ほどが未配置で、本来配置すべき教員の不足している状態が続いていることが明らかとなりました。学級編成の変更などで教員定数を増やしてきたところですが、臨時教員も不足し欠員が続いております。
教員不足が長時間労働など、問題の要因と指摘されており、定数を増やし臨時ではなく正規の教員を増やすことが必要です。
学校給食費の無償化についてです。
現在無償化の対象になっていない、全児童、生徒を対象とする場合、必要となる費用は、61億円と言うことです。子育て世帯を積極的に支えるため、就学援助制度の拡充を行い、実質無償化の対象を拡大するべきです。
学校規模適正化についてです。
学校は、地域での子育てや、地域のまちづくりに深く関わるため統廃合には、住民合意が欠かせません。地域住民の合意を得ない、画一的で一方的に進める学校規模適正化の取り組みは、中止するよう求めました。
以上で、私の討論を終わります。