私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となっております議案22件中、議案第29号、第36号、第44号の3件に反対、残余の議案19件に賛成の立場で討論を行います。

 まず、議案第29号「札幌市立学校設置条例の一部を改正する条例案」についてです。
 本市は、2008年ごろから、当時17園あった市立幼稚園を「1区1園」体制へと減らし、9園にしてきました。今回さらに、ひがしなえぼ幼稚園、あつべつきた幼稚園、もいわ幼稚園、手稲中央幼稚園の4園を廃止し、市立幼稚園を5園にしようとしています。
 幼児教育には、大人と子どもの1対1の濃厚な相互の関係を築く環境が必要です。とりわけ、障がい児は、「年々増加傾向」にあり、「障がいの重度・重複化、多様化などの状況も見られて」おります。本市は、こうした状況を認識しているにも関わらず、幼児教育を民間へ委ねる「市立幼稚園の今後の在り方に関する方針」を推進しており、このたびの4園を廃止する条例案はその一環です。
 幼児教育支援員の増員で私立幼稚園への支援を強化することはもちろんですが、同時に、市立幼稚園を残し、本市職員による幼児教育を継続することが公的役割ではないでしょうか。障がいを持つ子どもたちへの支援に逆行しかねず、本議案に反対です。

 議案第36号に反対する理由は、マイナンバーカードに関連する予算が組まれているからです。
 「ICT活用戦略推進費」を追加補正する3億6,400万円は、そのうち2億9400万円を次年度の繰越明許費とし、債務負担行為として「マイナンバーカードセンター運営費」1億8,490万円が組まれています。
 国は、マイナンバーカードを作っただけでマイナポイントを5000円分付与する、という普及策「マイナポイント第2弾」を進め、その申請期限を昨年12月末から今月末まで2カ月間延長しました。このたびの補正予算は、国の延長に伴い、カード申請をした市民への、ポイント付与を行うためのものとなっています。
 マイナンバーカードは、運転免許証との動きとあわせ、2024年秋には、健康保険証を原則廃止してカードとの一体化を目指す、という方針まで打ち出し、国民への誘導を強化し、カード取得を煽っています。
 しかし、マイナンバーカードは、氏名、生年月日など極めて秘匿性の高い情報を蓄積するものであり、万全なセキュリティは不可能なことから、情報を紐づけすればするほど、漏洩の範囲が広がることとなります。市民の個人情報を、漏洩という危険にさらしかねないマイナンバーカード関連の予算には、反対です。

 議案第44号「財産の交換の件」は、市有地である「北5西5街区」と(株)竹中工務店所有地である「大通東1街区」の土地交換を行うものです。また議案第36号には、この土地交換に伴う財産収入、35億2,000万円を「まちづくり推進基金造成費」に追加補正する分も含まれています。
 2022年第4回定例議会において、「北5西5街区」の譲渡予定地のうち、基金地を一般会計で買戻し、普通財産とすることが議決されました。「大通東1街区」の再開発の事業化に目途が立たたないため、本市が地権者として主体的に関与することを目的に、所有する「北5西5街区」との土地交換をするものです。
 財務省はこのたび、利用していない国有地について、原則として売却で収入を得るという方針から、貸し付けて賃料収入を得る活用が適当だとする方針に転換しました。その理由を、都心の一等地は、将来、公共施設の建設などで土地の利用が必要になった場合に買い戻すことは難しいため、としています。
 本市が所有する「北5西5街区」は都心部の一等地です。市民の財産である一等地は手放さず、公共的な活用を見据えて保有するべきです。よって、本議案には反対です。
 以上で私の討論を終わります。