私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となっております議案7件中、議案第1号及び第7号の2件に反対、残余の議案5件に賛成の立場から、討論を行います。
一般会計決算の歳入は1兆2,991億7,570万円、歳出は1兆2,849億4,442万円でした。歳入から歳出を引いた形式収支は142億3,128万円、翌年度への繰越し財源44億4,681万円を差し引いた実質収支は97億8,446万円です。このうち、49億円については、財政調整基金に積み立て、残余48億8,547万円を翌年度に繰り越しました。
一般財源として活用できる財政調整基金は、決算残高で311億円、今年度と来年度の活用を見込んでもなお100億円を超える残高となります。財政調整基金は、コロナ禍に加え物価高騰により苦しい生活を強いられている市民の支援に積極的に活用すべきです。
2021年度決算では、臨時財政対策債が全国的な総額が増加したことで、前年度から183億円、40.2%の増加となりました。
今のところ、基準財政需要額は増加していますが、今後は人口減少によって教育費などの行政項目の基準財政需要額が減り、地方交付税の交付金額の減少が懸念されます。
また、後年後に国が地方交付税措置をすると言っても借金には変わりはなく、将来の世代へ負担の先送りとなるものです。
将来的には、国が地方交付税の法定率の引き上げによって対応すべきであり、臨時財政対策債の廃止を強く求めるべきと申し上げます。
議案第1号、「令和3年度札幌市各会計歳入歳出決算認定の件」に反対する理由の第1は、都心アクセス道路建設のための検討調査費438万円、直轄事業負担金2,000万円、北8西1地区などの民間再開発促進費48億円と、北5西1西2地区の再開発を進める札幌駅交流拠点まちづくり推進費9億8,000万円、北海道新幹線推進関係費52億5,700万円が含まれているからです。
都心アクセス道路調査費は、当初予算300万円から、決算では438万円に膨らむ結果となりました。
北海道新幹線推進関係費の札幌への延伸工事は、トンネル掘削工事で出る有害残土の処分地や処分方法も決まらないまま着工され、受入れ候補地となった周辺の住民から強い反対の声が上がっています。
都心の再開発を投資と位置付け、北8西1地区などの民間再開発事業の施工者等への事業費補助を行う税金の使い方は、公共性の観点から見直しが求められています。市民の暮らしや福祉を優先するべきでした。
理由の第2は、東京2020オリンピック・パラリンピック開催費3億5,260万円、冬季オリンピック・パラリンピック招致費4億8,515万円が含まれているからです。
東京2020オリンピック・パラリンピックは、東京に4度目の緊急事態宣言が出される中、無観客開催されました。
札幌を会場にしたマラソン・競歩の競技は、一部で沿道が密になるなど無観客とは言い難く感染拡大が懸念される事態でした。
その後、スポンサー契約を巡る汚職事件も発覚し、国内外からJOCと東京オリパラ組織委員会に対する厳しい批判の目が向けられています。
代表質問で、招致の断念と住民投票の実施を求めましたが、市長は、「考えていない」と答弁し、市民の中に勘違いされている方が結構多いので、引き続き説明に努めたいと述べました。
しかし、市民は招致機運醸成のためとした市長のテレビ出演など、メディア媒体や大型ビジョンやデジタルサイネージ広告などに税金を使う、この一方的な招致活動に異議を唱えていることを市長は理解すべきです。
住民投票をしないなど民主的なプロセスを踏まない招致活動はやめるべきです。
理由の第3は、丘珠空港関連調整費7,230万円に丘珠空港将来像検討が含まれるからです。
将来像は、1998年に北海道と札幌市が地元の合意としてまとめた、「空港整備に関する基本的な考え方」を反故にし、滑走路の延伸や増便を図るというもので、北海道と一体となって国へ要望を上げるとしています。
空港周辺の生活環境の保全について、騒音は環境基準の範囲内であり、今後も基準内の運用で取り組むとの見解でありますが、基準内であっても一般の生活にはない騒音であり、増便によりさらに騒音被害が増えることは明らかです。
将来像は、これら住民の懸念に配慮されたものとは言えません。
また、丘珠空港は、敷地面積の約90%が防衛省管轄であり、自衛隊との共用空港です。10月、丘珠空港を使用した日米共同訓練によって、騒音はさらに増し、新たな不安となっています。自衛隊基地としての役割があることは避けられない事実であるにも関わらず、将来像がそこにふれていないことは問題です。
描く将来像として、ふさわしいものかどうか再検討が必要であり、反対です。
理由の第4は、マイナンバー関連事業費19億9,311万円が含まれているからです。
マイナンバー制度に対応するため、検診情報や母子保健のシステム改修、転入・転出手続きワンストップ化に係る改修やマイキーID設定支援などを行いました。
マイナンバーカードの利用を国民生活の様々な分野に拡大することは、個人情報の集中や国家による一元管理の国民監視の危険が指摘されています。また、個人情報漏えいの危険、それに伴う、セキュリティー強化のため、際限なく費用が掛かり続けることになるため反対です。
理由の第5は、本市が一方的画一的に進める学校規模適正化推進費733万円が含まれるからです。
理由の第6は、国保、介護、後期高齢者医療の各会計において、市民負担が増えたからです。
理由の第7は、札幌市職員給与条例の一部を改正する条例等により職員の期末手当0.15ヶ月分、再任用職員は、0.1カ月分引き下げを行ったからです。新型コロナウイルス感染症拡大対応の、最前線で奮闘する職員の期末手当の減額は、行うべきではありませんでした。
議案第7号、「札幌市下水道事業会計剰余金処分及び決算認定の件」に反対する理由は、民間委託を増やし職員を減少させたからです。
下水道事業は極めて公共性の高い事業であり、市が責任を持って管理監督すべきです。
次に、代表質問ならびに決算特別委員会で取り上げた諸課題について、局別に申し述べます。
はじめに、まちづくり政策局です。
南区のバス交通は、バス路線や便数の維持が難しく、公共交通ネットワークの維持に向けて整理すべき課題があるとの認識が示されました。今後策定する地域公共交通計画は、市民要望を反映したものにすべきと申し上げます。
次に、市民文化局です。
多様な性のあり方に関する取り組みについてです。
次期「第5次男女共同参画札幌プラン」では、必要な支援と、偏見や差別をなくすため、当事者の声を盛り込んだプランにすること、また、「札幌市男女共同参画推進条例」は、多様な性についての議論がないまま策定されていることから、条例の基本理念に位置付けるべきと申し上げます。
次に、スポーツ局です。
大倉山ジャンプ競技場のノーマルヒル併設化についてです。
オリンピック大会概要案では、現在の宮の森ジャンプ競技場をなくし、事業費80億円をかけて大倉山ジャンプ競技場に現在の宮の森ノーマルヒルを併設する計画です。
本市は併設化の必要性を工事費と維持管理費の縮減などといいますが、そもそも大倉山には大小2つのジャンプ台が併設されていましたが、オリンピックに使用するには敷地が狭いことから今の宮の森ジャンプ競技場を建設したと言われており、併設化は矛盾するものです。
宮の森ジャンプ競技場は、1972年札幌オリンピックの、スキージャンプ競技で金銀銅を独占した歴史的な競技場です。
レガシーと言いながら、聖地である宮の森ジャンプ場をなくすことは、2030年に冬季オリパラを招致したいという、期限を切った進め方の表れです。拙速に宮の森ジャンプ競技場の廃止を決めるべきではありません。
次に、保健福祉局です。
新型コロナウイルス感染症対策についてです。
代表質問では、感染者の「全数把握」の見直しの問題点と今後の対応について取り上げました。
国が、公的責任を自己責任に転換する「全数把握」の見直しを行ったなか、早期発見、早期治療のため、感染状況を正確に把握することが必要です。
発生届のない陽性患者の容態が急変した際でも、引き続き、迅速な入院調整を行うことと合わせ、ネット環境のない陽性者に対しても、健康状態を観察し、必要な入院に確実につなげるよう、保健所ならびに医療提供体制の強化を求めます。
委員会では、7・8月の感染拡大時の状況を取り上げました。病院でクラスターがおこると発生病棟以外の入退院も制限せざるを得ず、補助金で減収分を補填できない場合もあり、経営が厳しい状況です。支援の拡充をすべきです。
生活保護制度についてです。
制度の一層の周知と改善された扶養照会の内容を、相談者向け「生活保護のしおり」に反映させ、安心して申請できる環境づくりを広げることを求めます。
子どもの医療費助成についてです。
お金の心配なく受診できるよう、医療費助成は少なくとも中学卒業まで引き上げ、所得制限や一部負担金はなくすべきです。
重度心身障がい者医療費助成制度についてです。
3障がい同一と法的に位置づけられているなかで精神障がいのある方だけ入院医療費の自己負担があるという課題は早急な解決が必要です。
加齢性難聴による補聴器助成についてです。
加齢性難聴は、高齢者が外出などに消極的(しょうきょくてき)になる傾向があり、また認知症の危険因子のひとつとされています。高齢者の社会参加や安心できるコミュニケーションのため、補聴器購入への助成を求めます。
小規模介護施設についてです。
国と道から10割交付される「地域医療介護総合確保基金」のうち、介護施設開設時の補助金について、地域密着型小規模施設は対象から外れています。早急に対象とすべきです。
次に、子ども未来局です。
民間学童保育所の支援についてです。
冬休みなどでは暖房費がかさむことから、国の価格高騰重点支援地方交付金の活用も含め、本市の支援が必要です。
民間学童保育所では、登録児童数が20人から1人減り、19人になると本市の補助金は大幅に減ってしまいます。運営に支障をきたす場合もあり、19人以下の小規模加算の拡充を求めました。
子どもの貧困対策についてです。
児童扶養手当や、就学援助、医療費助成制度等は、必要とする世帯に、早く確実に届き貧困対策として有効です。次期「子どもの貧困対策計画」では、それら制度の拡充と、家賃補助等の住宅支援策を盛り込むべきです。
次に、経済観光局です。
定山渓観光魅力アップに向けた人材育成の取り組みについてお聞きしたところ、観光客の満足度向上やリピーター作りを目的とした、定山渓ガイドの検定制度を創設するとのことでした。定山渓の魅力を学び、スキルを習得することで、地域への愛着や働くモチベーションとなり、定山渓観光魅力アップへと繋がる取組みとなるよう求めます。
環境局です。
ヒグマ対策についてです。
ヒグマの生態や習性などを市民に広く知っていただくために関係部局と連携した取組みが必要です。
また、ヒグマの市街地抑制策の緑地管理ボランティア活動について、持続的な取組みとしていくためにも、登録制度や効率的(こうりつてき)な草刈り機の貸し出しなど、必要な支援をすべきです。
次に、建設局です。
創成イーストの街路樹の伐採についてです。
創成エリアは開拓使の官営工場が設けられた歴史をもち、町並みを作る上で歴史的な建物の保存とともにそれを繋げる道路の景観が大事です。
電線地中化工事により、街路樹を減らさざるを得ないとしても、総量で減らすべきではありません。電線地中化の工事の方法を研究するとともに、地上機器の形状や色、周辺を緑で囲むなどの工夫で都心部の中でも緑の少ないエリアの緑化を進めるよう求めます。
次に、交通局です。
市電の利用促進策についてです。
まちづくり政策局が需要喚起策として実施した「路面電車無料デー」は、従来の土日祝日の約1.6倍の乗車人員になっているとの答弁でした。こうした取組みは市民の外出を促し、経済の活性化にも繋がることから、今後も交通事業振興公社と本市が積極的に連携し、利用促進を図るよう求めます。
最後に、教育委員会です。
生理用品の学校トイレへの設置についてです。
ジェンダー平等の視点や、子どもが安心して学習できる環境のために、すでに実施している全国の先行事例を参考にして、本市でも学校のトイレに設置すべきです。
特別支援学級の設置についてです。
来年度以降も、支援学級の設置が見込めない中学校が6校あることがわかりました。教室が確保できないため支援学級が設置できないなど、施設の問題で校区の学校に通えない生徒がいる不平等な状態は正すべきです。
大規模校の改善についてです。
現在、適正規模を超える大規模校は、小中学校合わせ19校あり、学校敷地面積の中に増築(ぞうちく)してしのいできたため、過大で過密な学校が増えています。
グラウンドや特別教室など、使える施設の広さや時間、頻度が制限され、学習機会を十分保障するものとなっていません。教育環境や学ぶ権利を保障するため、大規模校の解消を図るべきです。
以上で、私の討論を終わります。