私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となっております議案18件中、議案第11号、第15号、ならびに第29号の3件に反対、残余の議案に賛成の立場から討論をおこないます。
まず、議案第29号「第2次札幌市まちづくり戦略ビジョン(ビジョン編)策定の件」についてです。
反対する理由の第1は、市民意見が賛否拮抗している中、第5章の5番目として「オリンピック・パラリンピック冬季競技大会によるまちづくりの加速化」が記載されているからです。
この章の1番目に「市民が主役のまちづくり・多様な主体による連携」で明記しているように、本市自治基本条例に定める「まちづくりは市民が主役」であることは重要です。
主役である市民の意見が、賛否拮抗という状況であることを受け止めれば、招致活動や大会概要について一方的な説明を本市が繰り返すのではなく、いったん立ち止まり懸念や反対の声を真摯に受け止め、開催時期や計画の再検討がなされるべきです。
また、IOCが重要視している「十分な住民合意」を図るうえで、住民投票の実施が欠かせませんが、市長にはその意思がないことが、9月29日のわが党の代表質問の答弁で明らかになりました。
このように民主的プロセスを踏まないまま今後10年間の本市のまちづくりをオリ・パラ冬季競技大会が行われることを前提に記載することは、「市民が主役」であると明記しながら実際には主役になることができないもので、明らかに矛盾です。
また、オリ・パラ冬季大会開催を「まちづくりを加速」させるもの、として位置付ければ、今後10年間、オリ・パラ一色で行政運営が行われ、新幹線札幌延伸や都心アクセス道路の建設など、本来急ぐ必要のない大型公共事業が優先され、限られた税金を、子育て世帯や低所得世帯への支援などに回すことが難しくなるなど、住民の福祉の後退が懸念されます。
この点からも、第5章第5項は認められません。
反対する理由の第2は、基本目標の5に、市民の「マイナンバーカードの積極的な活用」、本市の「利活用の促進」が明記されているからです。
市民の個人情報やプライバシーを守ることこそ明記すべきです。常に情報漏洩の可能性があり、国民監視につながるマイナンバーカードの活用を目標とすることは認められません。
議案第11号「令和4年度札幌市下水道事業会計補正予算(第1号)」についてです。
この議案は、創成川通に埋設されている下水道管移設工事を来年度当初から開始する必要があるため、295億円の債務負担行為をするものです。
この度の下水道管の移設工事は、「札幌市下水道事業中期経営プラン2025」において、計画されていません。
しかし、地下構造の都心アクセス道路整備までに移設工事を終了する必要があるとして早められました。不要な都心アクセス道路整備に伴う事業であり、認められません。
議案第15号「札幌市児童福祉施設条例及び札幌市区保育・子育て支援センター条例の一部を改正する条例案」に反対する理由は、豊園保育園を廃止し、公立保育所が18カ所から17カ所へと減ることになる条例改正だからです。
公立保育所は、保育士の労働環境や保育施設、保育内容など保育の質の基準となる重要な役割を担っているものであり、減らすべきではありません。
以上で、私の討論を終わります。