私は、日本共産党を代表して、市政の重要問題について順次質問いたします。

 昨年の第1回定例会で私は、市長から予算案が上程されたときに、予算を撤回の上、再提出を求める動議を議会に提出させていただき、その理由を説明しました。
 主な内容は、創成川通機能強化、いわゆる都心アクセス道路は、都市計画審議会でも委員の意見や疑問について議論が尽くされず、保留の態度も認めるという異例の採決であったことと、総事業費1,200億円は、将来にわたり大きなツケを回すことになること、などを指摘しました。また、北海道新幹線の札幌延伸は、2030北海道・札幌オリンピック・パラリンピック冬季競技大会の招致に間に合わせようと、5年前倒しで工事が進められ、有害残土の受入れ候補地とされた周辺住民から、強い反対の声が上がっていることから、いったん工事を凍結すべきことと、オリ・パラは、2030年招致ありきで進むのではなく、立ち止まって市民とよく対話し、意見を聞いてから予算化すべきであることなどを申し上げました。
 これらに関わる歳出は削減し、その分を町内会の負担となっているパートナーシップ排雪制度の地域負担分全額補助や、子どもの通院にかかる医療費助成の中学3年生までの拡大など、コロナ禍で苦しむ市民のくらしを最優先に支えるための予算を重点的に確保すべき、という提案が、私の動議でした。
 2021年度決算は、市民合意のない大型開発や事業に関わる歳出予算を執行したもので、この度の議会では、その問題をただす視点で審議することを申し上げて質問に入ります。

 それでは、はじめに、市長の政治姿勢についてです。
 質問の第1は、「国葬」についてです。
 一昨日の27日に執り行われた、安倍晋三元首相の国葬は、憲法第14条が規定する「法の下の平等」や、第19条が保障する「思想及び良心の自由」を侵す憲法違反であり、国民世論が賛否で分かれるなか強行したことに抗議したいと思います。
 1点目は国葬への参加についてです。
 市長は、弔意を表すとして公務により参加をされました。市民を代表する立場で参加されたわけですが、「国葬」に反対する多くの世論と、市長の判断は相反するものであったと思いますが、どのようにお考えでしょうか。そもそも「国葬」が憲法違反であり、法的根拠がないという認識を持たれているのかどうか、伺います。
 2点目は、「内心の自由」との関係についてです
 先日、「国葬」への参加を見合わせるよう、会派として申し入れをさせていただきました。政府は、弔意の協力を求めないとしていましたが、「国葬」の実施は、弔意への同調を求める機運を高め、市民の中には、断り切れない人も出てくるという懸念もお伝えしました。
 本市は、弔意の協力を求められないのに、なぜ本庁舎のみに半旗を掲揚されたのか伺います。また、「国葬」の実施で市有施設や学校等教育施設での弔意の表明、市民に対する弔意の協力要請などがなかったのか実態を把握し、今後の教訓とする必要がありますが、その考えがおありか、伺います。

 質問の第2は、統一協会についてです
 この団体は、名称変更後「旧統一教会」と表現されていますが、団体の実態に変化が見られないことから、代表質問では、「統一協会」と表現いたします。
 1点目は、統一協会等と政治家との関係についてです。
 霊感商法や人権侵害といった、反社会的活動による被害者や支援団体の方々は、以前から政治家が統一協会及び関連団体と関係を続けることは、活動にお墨付きを与えることになると、警鐘を鳴らし続けてきました。
 日本共産党は、1987年の国会審議で、「霊感商法の背後に、統一協会、勝共連合があることは明白なのに、総理のご子息や福田元首相らが勝共連合の依頼で霊石(れいせき)感謝の会に祝電を打っています。一方、これを糾弾するマスコミや弁護士などに対する脅迫も続いています。きっぱり手を切ると明言されますか」と質問しました。当時の中曽根首相は、「縁を切れとか言っているが、思想と行動の自由に対する重大な侵犯発言だ」と反論し、関係を絶つということは明言しませんでした。
 今回、岸田首相自らが、統一協会との関係を絶つことを党の基本方針とすると説明されていますが、違法な勧誘による入信や献金の強要といった活動は、2001年6月の札幌地裁判決で、「信仰の自由を侵害する恐れがあり違法」とされ、思想の自由を守る正反対の行為として断罪されています。
 市長は、反社会的な行為を繰り返してきた団体に対し、政治家が選挙などの支援を期待するという関係が長期間にわたり、そのことが霊感商法など被害の根絶を長引かせてきたとの認識をお持ちなのかどうか伺います。
 2点目は、統一協会等と行政の関係についてです。
 統一協会の関連団体である「北海道CARP」が、2021年11月から、札幌市の外郭団体との共催でSDGsや環境保全をテーマにしたイベントを開催しています。
 本市は、関連団体とは知らなかったと説明しています。
 札幌市や公的団体と統一協会等との関係の全容解明や、共催の判断基準、後援の基準について、反社会的な行為を続ける団体との関りを防ぐ仕組みが必要と考えますが、市長の見解をうかがいます。
 わが会派は、いまから約30年前の1992年、札幌市消費生活安定条例の見直しに関わり、「統一協会,いわゆる勝共連合のつぼなどの霊感商法、エステティック被害、カード・クレジット問題など、悪質商法の被害の急増は、とても見逃せない問題」であり、「消費者の意向が市の施策並びに事業者の事業活動に適切に反映される権利」が見直しに盛り込まれるよう提案しました。
 その後、条例はどのように見直され、発展してきたのか、今後はどのように強化していくのか、うかがいます。

 質問の第3は、核兵器禁止条約とNPT再検討会議及び、本市平和事業についてです。
 8月1日から26日まで、ニューヨーク国連本部で開かれた第10回NPT再検討会議は、最終文書が合意されないまま、終わりました。全会一致を原則としている「最終文書案の採択」にロシアが反対したためです。ウクライナに侵攻したロシアが核兵器の使用をほのめかすなかで、約1か月続いた各国の討議では、核保有国が明確な根拠を示さずに最終文書案への削除・変更を求める一方、核兵器を持たない多くの国から、NPT第6条の「核軍備撤廃義務」を履行するよう、保有国に求める発言が相次ぎました。
 採択されなかったとはいえ、ロシアを除くすべての締約国が異議を唱えなかった最終文書案には、「核兵器の使用がもたらす壊滅的な人道的結末への深い懸念」が示され、条約第6条の下で約束している「核兵器の全廃を達成するという核兵器国の明白な約束の再確認」、核兵器禁止条約の発効とその第1回締約国会議の開催を「認識」すること、などが盛り込まれました。
 市長は、NPT会議の最終文書案に核兵器禁止条約が新たに「認識」されたことについて、どのように受け止められたのか伺います。
 本市は、今年「平和都市宣言」30周年を迎え、市民イベントや動画の作成などを実施し、10周年の節目となる2002年から始めた平和訪問団派遣事業枠を、市内の小中学生に加えて、今年の派遣は高校生まで拡大しました。この事業は、市内の子どもたちを広島や長崎の被爆地や、地上戦のあった沖縄に派遣するもので、とても意義がある取り組みです。この夏に参加された高校生は、「実際に沖縄に行き、改めて平和がどれだけ尊いものかを考える事ができました」と感想を寄せています。
 高校生まで広げた派遣枠を来年度以降も継続する考えはないのか、お伺いします。また、札幌にあるノーモア・ヒバクシャ会館を運営し、被爆体験を語り継いできた北海道被爆者協会等との連携強化についても重要と考えますが、市長のお考えを伺います。

 質問の第4は、原発の再稼働と新増設についてです。
 岸田首相は、8月の、脱炭素化を促進するためとして設置された「グリーントランスフォーメーション会議」において、電力需給ひっ迫等を理由に「既存原発の最大限の活用」を図るため、すでに再稼働した10基に加え、新たに7基を順次再稼働させると表明しました。「国が前面に立ってあらゆる対応をとる」とまで明言し、前のめりの姿勢を鮮明にしました。
 11年前の東京電力福島第一原発事故は、住民生活に甚大な被害を及ぼし、未だに廃炉の見通しも立っていません。
 全国の避難者数は約3万2千人と、復興庁が公表しましたが、原発被害者連絡会は、「避難者数や実態をリアルに把握してほしい」と復興庁に要請しており、8万人以上が故郷に帰れない、という被害者団体の調査報告も出されています。
 政府は、敷地内に保管されている131万トンの原発処理水を、2023年春から海洋放出する事を決定し、地元漁業関係者を苦しめています。
 昨年決定したエネルギー基本計画で「再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存を低減する」として、新増設・建て替えは、想定していないとしてきたにもかかわらず、方針を大転換したことは問題です。
 市長は、原発の再稼働と新増設に対する新たな方針をどう受け止められたのか、反対の意志を伝えるべきと考えますが、いかがか伺います。

 質問の第5は、食料危機と本市の農業振興についてです。
 ロシアによるウクライナ侵略で、小麦やトウモロコシなどの国際価格が値上がりし、食料危機がいっそう深刻になりました。日本の食料自給率はカロリーベースで37%と、過去最低になり、外国からの輸入に依存せざるを得ない実態であり、その引き上げが求められています。
 食料問題は、気候危機、健康危機などと相互に連関していることから、大量の農薬や化学肥料を用い、遺伝子組み換えなどを行う「工業型農業」から脱却して、地域の生態系を守り活用するローカル農業を振興させることが重要です。
 本市の農業は、農家戸数627戸、経営耕地面積1480ヘクタールと、いずれも減少の一途のなか、タマネギ、コマツナなどの野菜生産を主流に、懸命な維持が図られておりますが、農業者の減少に歯止めがかかっているとは言い難い現状です。ウクライナ侵略により、本市の農業を今まで以上に振興させる必要性が増したと思いますが、いかがお考えか、うかがいます。本市は「第2次さっぽろ都市農業ビジョン」の中間評価をされたところですが、農業に関心のある市民、札幌産農産物を購入している市民を、今後どのような取り組みで増やしていくお考えか、検討状況をあわせてうかがいます。

 質問の第6は、日本ハムファイターズと札幌ドームについてです。
 1点目は、本拠地移転に伴う本市経済への影響についてです。
 北広島市に建設中の「北海道ボールパークFビレッジ」完成に合わせて、来年2023年に、日本ハムファイターズの本拠地が新球場に移転します。北広島市議会に示された資料には、完成後10年間の経済効果は、北海道全体で8千億円、北広島市で約1,500億円と説明があります。
 北海道ボールパーク完成後、札幌市が失う経済損失はいくらになり、2024年度からの黒字化を見込む札幌ドームの利益で、どれだけ補えるのか、伺います。
 2点目は、ドーム経営についてです。
 2024年以降の黒字化は、試合の誘致やアマチュアスポーツの開催日の拡大、支出削減が条件となっています。本市は赤字になった場合の補てんは、現時点で想定していない、と含みを持たせています。
 本市は、大手道内企業のほか電通グループなども名を連ねる株主の一員であり、ドーム株式会社の役員でもあるため、赤字解消に大きな責任を負うことになります。
 札幌ドームの指定管理者と合意が交わされた場合、赤字補てんが可能となるのか、また、現時点で想定していないとのことですが、どのような場合に想定されるのか、伺います。

 質問の第7は、厚別区山本地区の市有地と、その周辺地域の課題についてです。
 山本地区は、北海道新幹線トンネル掘削土受入れ候補地とされている市有地があります。交通局が取得し、地下鉄のトンネル掘削土置場として利用した土地です。
 当時、数メートル積み上げられた掘削土は、経年変化で2メートルから3メートル沈下しています。
 雪堆積場などで活用している部分もある一方、市有地の大半は、樹木が鬱蒼とした状態のため、周辺住民からは、かつて、キツネやタヌキはもちろん、鹿の群れがすみつき、近隣農家の畑や家庭菜園などが荒らされる被害が発生したり、市有地からの融雪水が民地まで浸水する被害もあったと聞いています。いずれも、市有地の管理に関する周辺地域の課題です。
 市長は、厚別区山本地区にある市有地周辺住民に対して、これまでどのように対応してきたのか、市の責任で改善すべきだと考えますが、いかがか伺います。また、この市有地を新幹線トンネル掘削土受入候補地として、鉄道・運輸機構に伝えた時期と、その現在の状況をお示しください。
 あわせて、財政局管財課が土地所管していますが、売却又は貸し付けをするため、土地情報を公開した経緯と、応募状況についても伺います。

 次に、2030冬季オリンピック・パラリンピック招致についてです。
 質問の第1は、東京2020大会の汚職事件についてです。
 平和と友好の祭典といわれるオリンピックの現状は、今や、だれもが賛同できる催しとはいえません。その最大の理由は、東京大会の未曽有の疑惑と汚職です。
 逮捕された、大会組織委員会の高橋治之(はるゆき)元理事は、「スポーツビジネス第一人者」と呼ばれ、東京五輪の招致段階から大きな役割を果たしてきた人物です。大会組織委員会の森喜朗元会長やJOC前会長で大会組織委員会副会長を務めた竹田恆和(つねかず)氏の事情聴取など、汚職は底なしの様相を見せています。
 逮捕者が相次いでいる背景に、スポンサー契約に群がる五輪ビジネスがあることは、いまや誰の目にも明らかです。
 市長は9月8日、JOC会長・山下泰裕(やすひろ)氏と連名で、「クリーンな大会に向けた宣言」を公表しましたが、宣言で解決できるものではありません。「金もうけ第一」の商業主義と、その体質への過度な依存など、五輪が抱える問題の抜本的な解決が図られなければ防ぐことができないと考えますが、市長の見解を伺います。

 質問の第2は、大会運営費のスポンサー料についてです。
 運営費を民間資金で賄うやり方は、1984年に開催されたロサンゼルスオリンピック以降も引き継がれ、莫大な放映権料と、そこでコマーシャルを流す企業のスポンサー料は、主要な収入源となりました。企業にとって大きな宣伝効果とともに、「平和の祭典に貢献している」というイメージアップにもつながるといわれます。
 本市が作成した、2026年招致の開催概要では、大会運営経費のうち約800億円を国や自治体が負担する予定でしたが、血税投入への批判から、2030年招致計画では、IOC負担金及びTOPスポンサー収入800億円、国内スポンサー収入800〜1000億円の2本立てとする、スポンサー料の大幅増額を見積もりました。
 2030冬季オリ・パラは「クリーンな大会を目指す」といいますが、東京五輪の汚職事件により、スポンサー契約の企業そのものが集まるとお考えでしょうか。また、スポンサー料が当初の見込みを下回った場合、本市の負担が発生するのではないかと思いますが、市長はどうお考えか、伺います。

 質問の第3は、市民の意向と招致の取りやめについてです。
 第2回定例会で、私ども日本共産党と市民ネットワーク北海道は、「2030北海道・札幌オリンピック・パラリンピック冬季競技大会に関する住民投票条例案」を共同提出しましたが、否決されました。
 しかし、市内では、オリ・パラ招致に反対する集会や、東京2020大会の汚職問題をテーマにした講演会が開催され、さまざまな、反対する市民団体が作られるとともに、有志がよびかけた「オリ・パラ不招致デモ」が、毎月行われるなど、招致推進に反対する市民の声は日増しに高まり、広がっているのです。
 今年3月の本市の意向調査で52.2%の賛成しかなかった結果は、その後の北海道新聞の調査で「57%が反対」と賛成を上回り、東京2020大会の汚職問題の根の深さを見れば、さらに本市のオリ・パラ招致に反対する市民は増えている、と見るべきです。
 我が会派は、第2回定例会で「市民の声を公正に、広く聞くことなく、招致に走っている本市の現状は、否定的な意見を持つ市民との軋轢を生じさせるばかりだ」と指摘いたしましたが、軋轢はさらに深まるばかりです。市民は、大会概要を理解していないのではなく、民主的なプロセスを踏まないまま招致活動に突き進む、本市の強硬な姿勢に、反対しているのです。
 市長は、市民の声を真摯に受け止めて、2030冬季五輪招致を断念すべきだと考えますが、いかがか伺います。

 次は、除排雪の強化についてです。
 質問の第1は、大雪対策についてです。
 札幌市は4月に「大雪対応検討会議」を立ち上げて、大雪対策を公表しました。
 現在、本市がおこなう排雪は、幹線道路が最優先で、生活道路については、地域・町内会がその費用を負担するパートナーシップ排雪制度が担っています。今後は、大雪時に限定して幹線道路の運搬排雪が前倒しで強化されるほか、生活道路も本市が早めの排雪作業を開始し、パートナーシップ排雪制度を中断して、幹となる、緊急車両やごみ収集車両などが通る道路の緊急排雪を実施することや、枝となる、幅が狭い生活道路については、走行可能な程度の排雪をおこなうとしました。
 こうした、本市による大雪時の排雪作業は、どのような意義があり、効果が見込まれるのかお伺いします。
 質問の第2は、日常的な生活道路の対策です。
 昨冬の大雪は、24時間降雪量が統計開始以来最多の記録を更新し、1月以降も断続的な大雪があったことにより、公共交通機関の運休や、市内各所での渋滞、生活道路の除排雪の大幅な遅れなどが発生しました。
 一部の生活道路で、新雪除雪の出動基準を20cm以上の降雪に変更して試行した「生活道路の新たな除雪方法」はシーズン途中で見合わせ、パートナーシップ排雪についても大幅な遅れが見込まれたため、できるだけ早期に終えられるよう、7割程度の排雪をするという緊急対応をせざるを得ませんでした。
 検討会議の検証によると、「新たな除雪方法」やパートナーシップ排雪制度が機能しなかった原因は、「大雪で予定通りの作業が困難」「作業日程の変更等、地域との調整が困難」と説明されています。
 生活道路は、ごみ収集車やデイサービスの送迎車、緊急車両などが日常的に通行します。
 今年度検討された大雪対策では、幹線道路で運搬排雪を強化する前進が図られています。このため、大雪時はもとより、日頃から降雪による生活道路の交通障害を回避する強化案として、市の全額負担によって、全ての生活道路をパートナーシップ排雪と同程度の排雪を行うべきと考えますがいかがか、お伺いします。
 次は、新型コロナウイルス感染症と高齢者医療についてです。
 国は、国立感染症研究所の研究者と予算、感染症病床などを大幅に削減するなど、感染症対策を軽視してきたため、医療機関の施設整備と専門家の育成に重大な遅れを生じさせました。また、度重なる診療報酬の削減と徹底した医療の効率化路線は、本来、医療機関に欠かせない、ゆとりまで奪い取り、コロナ感染症の拡大など、緊急時に求められる医療提供体制を脆弱にしました。

 質問の第1は、感染者の「全数把握」の見直しの問題点と今後の対応についてです。
 8月、感染が猛威を振るい、クラスターの発生件数と救急搬送困難事例は、連日最多を更新し、世界保健機構(WHO)の集計で、日本の新規感染者数が世界で最多を記録し、死者数も世界で2番目となるなど、国は感染の拡大に歯止めをかけられませんでした。
 政府が、医療現場と高齢者の犠牲の上に観光・経済を回すことを優先し、責任ある感染抑止策など、命を守る戦略がなかったことが要因ですが、政府は、自らの無策を反省するどころか、公的責任を自己責任に転換する「全数把握」の見直しを行いました。感染状況の正確な把握や、早期発見と治療の原則からみても本末転倒です。
 感染が判明した場合、これまでは政府の情報システム「HER―SYS(ハーシス)」に、医療機関が全ての感染者情報を入力する「全数把握」の仕組みでしたが、厚生労働省は、医療機関や保健所の負担が重いことを理由に、従来の仕組みを簡略化し、「定点把握」へ見直す検討を8月中旬に公表し、今月12日には「withコロナの新たな段階への移行に向けた全数届出の見直し」を都道府県に通知し、今週の26日から適用しました。
 1点目は、発生届のない陽性患者の入院調整と保健所との連絡体制についてです。
 医療機関は、患者の症状や基礎疾患の有無などを発生届に記録し、保健所は、その情報に基づき、患者の健康観察や入院調整などを行っています。全ての患者にとって、重要な情報ですが、今回の見直しは、医療機関が保健所に発生届で報告する対象を、高齢者と重症化リスクがある者などに限定しました。今までも、保健所の入院調整には、かなりの時間を要するケースがあり、今後、発生届のない陽性患者の容態が急変した際の入院調整には、いっそう時間を要することが想定されますが、そのような懸念はないのか伺います。
 また「健康フォローアップセンター」や「陽性者登録センター」において、発生届のない陽性患者と保健所との連絡体制を構築されましたが、登録は任意です。重症化リスクがなくても容態が急に悪化するケースもあることから、ネット環境がないなど、登録できない患者の療養指導や健康チェックなどはどのように対処されるのか、併せて伺います。
 2点目は、療養証明書などの発行についてです。
 今回の見直しにより、発生届がある場合には、ハーシスの登録が行われ、療養証明書は発行されますが、発生届のない患者の場合には発行されないことになります。
 政府は9月、金融庁からの要請を受け、生命保険協会が会員各社に対し、給付金等の支払いに当たり、療養証明書の発行を医療機関や保健所に求めない事務構築の検討を行うよう周知されている、また、企業や学校に対しても療養証明書を求めないことを要請したといいますが、どのような状況となるのかは不明な点があります。
 療養証明書などの発行を含め、医療機関の負担が増えることにはならないのか、現状認識を伺います。

 質問の第2は、今冬のインフルエンザとの同時流行に備えた対策についてです。
 市内の定点医療機関における患者報告数は増加傾向になっています。過去2年間、インフルエンザは大きな流行がなかったことから、例年より早く流行し、コロナとの同時流行となることが懸念されます。
 同時流行では、発熱した場合に、コロナ感染なのかインフルエンザなのか判断がつかず、専門家は「検査キットでコロナ陰性が確認された後のインフルエンザの診断と治療では、抗インフル薬の適切な使用時期を逃す」と、必要な対応が遅れる可能性を指摘しています。
 そのため、重症化リスクのある高齢者が集中する介護施設などで、事業者が希望する場合には、施設内でインフルエンザワクチンの接種が可能となるような対応が必要と考えますが、いかがか伺います。

 質問の第3は、エアロゾル感染を防ぐための高齢者施設への対策強化についてです。
 コロナウイルスは、オミクロン株、BA5、BA2.5と、徐々に感染拡大のスピードが上がり、マスクの着用、手指消毒など感染防止策を徹底していても「どこで感染したのか分からない」というケースが増えた要因の1つとして、エアロゾル感染があげられます。
 このエアロゾル感染とは、空気感染とは異なりますが、飛沫より更に細かい小さな水分を含んだ微粒子を吸い込んで感染するとされ、エアロゾルは空気中にとどまり、密閉空間などにおいては、離れた距離まで感染が拡大する可能性があると言われているものです。
 当初、厚生労働省は、コロナの感染経路について、飛沫と接触のみとし、2021年8月31日の新型コロナウイルス感染症診療の手引き(第5.3版)までは、エアロゾル感染は「現在の流行における主な感染経路であるとは評価されていない」と否定的な見解を示していました。しかし、同年11月2日の手引き(第6.0版)では「エアロゾルは空気中にとどまりえることから、密閉空間などにおいては1メートルを超えて感染が拡大するリスクがある」として「エアロゾルの吸入が主要感染経路と考えられる」と説明文を変更し、新型コロナは、空気中を漂うウイルスを含んだ微粒子いわゆるエアロゾルを吸い込むことで感染するとの新たな見解を示しました。
 特に、介護施設などでは、口腔ケア、むせ込み、マスクを着用できない高齢者などで、常にエアロゾルが発生する場面が多いことが特徴です。
 換気が不十分となる冬期間のエアロゾル感染対策を重視すべきだと考えますが、認識を伺います。また、クラスターの発生を防ぐためには、最新の知見に基づいた指針の策定や十分な換気が可能となるよう、介護施設などへの更なる換気設備の設置支援を行うべきと考えますが、どのように対応されるのか伺います。

 質問の第4は、75歳以上の医療費窓口負担の2倍化に伴う影響についてです。
 年金は6月支給分から支給額を0.4%削減され、この10年間で物価が5.6%上昇、年金が1.1%下落と、実質6.7%もの減額です。総務省が今月20日発表した8月の消費者物価指数は、前年同月比2.8%上昇し、1991年9月以来、約31年ぶりの水準となり、5カ月連続で2%を超えました。原油だけでなくパンや冷凍食品なども相次いで値上がりし、電気・ガス代や生鮮食品も大幅な値上がりが続いています。年金削減で所得が下がるなか、物価高騰は高齢者の暮らしのみならず、健康と命まで圧迫しています。
 国は、コロナ禍と物価高騰の下、生活支援こそ優先すべきですが、来月10月1日からは、75歳以上の医療費窓口負担割合を1割から2割に引き上げます。対象となるのは、単身世帯の場合は年金収入などが200万円以上、複数世帯の場合は320万円以上の方々です。
 医療機関や介護事業所をはじめ、社会全体が「いかに高齢者の命と健康を守るのか」という取り組みを強めているさなか、全国で約370万人もの病院窓口負担を一気に2倍化するというものです。高齢者が必要な医療を受けられなくなることを前提にした負担増を強いるもので、血も涙もない冷酷な仕打ちだと言わざるを得ません。
 本市では、医療費の窓口負担割合が1割から2割負担となる高齢者への影響をどのように捉えているのか伺います。また、負担増となる対象人数と激変緩和措置を当てはめない1人当たりの平均負担額もお示しください。

 次に、札幌市のまちづくりについてです。
 「まちづくり」という言葉は、1952年に初めて雑誌「都市問題」に登場しました。当時、産業優先の高度経済成長の中で、劣悪な住環境、公害など生活環境の悪化から、住民が声を上げたという背景がありました。居住環境を改善し、地域の魅力や活力を高めるため、自治体だけでなく、様々な団体や機関、住民が連携・協力し合ってすすめることが「まちづくり」の定義とされています。まちづくりは市民が主役であり、市民とともにめざすことが最も大切です。

 質問の第1は、市民意見の重視と反映についてです。
 市長が1期目に「町内会条例」について提案したとき、「加入が強制となるのか」「町内会を市の下部組織とするのか」など大反対され、取り下げた経過があります。町内会や市民の意見を聞かないまま提案したことの反省から、2期目には、条例案を白紙として、時間をかけてすべての連合町内会連絡協議会、各単位町内会へ本市職員が地道に足を運び、意見交換会を実施しました。2600件もの意見が寄せられ、それを踏まえて支援策や素案を示し、再度の意見交換会や意見募集をして510件が寄せられ、条例案を作成後も再度説明し、修正してきました。その後パブリックコメントで寄せられた162件の意見も考慮して、最終的に取りまとめをおこなっています。こうした、丁寧に市民の意見を聞き、施策に取り入れる姿勢は、市民の理解と信頼を得られるものと考えます。
 しかし、一方で、都心アクセス道路計画や、丘珠空港滑走路延長では、オープンハウスや説明会、シンポジウムを開くなど、施策の説明をする手法ですすめられ、反対する市民の声は、いまだくすぶったままです。
 新幹線延伸に伴う有害な重金属を含む要対策土の処分地をめぐては、市長が「市民理解が得られなければすすめない」と明言したにも関わらず、地元の農家や、近隣地域の星置の住民が、安全性や風評被害を懸念して猛反発しましたが、手稲区山口を処分地として、強硬に決定しました。
 まちづくり戦略ビジョンには、市民が主役のまちづくりが基本姿勢に掲げられています。
 市民が主体的に参加できるようにするために、市民合意を何よりも大切にすべきだと思いますが、いかがですか、伺います。賛否が分かれるようなときには、計画等の策定時期を先延ばしにすることも含め、ていねいに市民意見を聞くことが、市民が主役のまちづくりになると考えますが、いかがか伺います。
 質問の第2は、子育てにやさしいまちづくりについてです。
 本市の第1次まちづくり戦略ビジョンの期間には、子育て支援が不足し、2人目、3人目を産みたくてもあきらめるという方が増える状況が続きました。合計特殊出生率は、2005年の0.98以降上昇したものの、2016年から減少に転じ、2020年は1.09と政令市で最低です。今年は、初めて人口減少に転じました。
 第2次札幌市まちづくり戦略ビジョン(案)基本目標には、まず、子ども・若者の分野として「子育てにやさしいまち」が掲げられています。
 子育て支援団体の4月の調査では、経済的事情などから第2子以降の出産をためらう「2人目の壁」を75%以上が実感し、理想の子どもの数が減った人は29%です。「収入が低い」「将来上がる見込みもない」という理由が多く、少子化の背景となっています。市民からは「子どもが多いほど保育料などで共働き収入の大半がなくなる」、札幌に転勤してきて「支援が少ないことに驚いた」という声もよく聞きます。
 全国では、子どもの医療費無償化や給食費無償化も広がりを見せ、保育料の3歳未満や第2子以降の無償化、ミルクやオムツ、居住支援など、独自に子育て支援に重点をおく自治体では、経済にも好影響を及ぼし税収が上がっています。また、若い世代の人口が増え、出生率、出生数が上昇するなど、まちづくりにも好循環をもたらしています。
 子育て支援は、人口増や経済などへの波及効果だけではなく、子どもの健康や育ち、学ぶ環境などに大きな効果をもたらし、子どもの心身に豊かな成長を促すと考えますが、いかがか、伺います。
 また、将来、道外へ進学・就職しても「子育てをするなら札幌で」と思えるような、「子育てにやさしいまち」を実現するには、子育てや教育への直接的な経済支援を独自に増やし、取り組む必要がありますが、いかがお考えか伺います。

 次は、教育の課題についてです。
 質問の第1は、学校規模の適正化についてです。
 地域の人口の増減は、まちの再開発や商店街等のリニューアルなどで常に変化し、高齢化に悩む地域では、若い世帯の増加によるまちづくりに期待は大きいと考えます。
 厚別区、新さっぽろ駅周辺の再開発では医療機関や大学が誘致され、2021年「経済センサス活動調査」の速報によると、医療・福祉分野と教育・学習支援分野での従業者数が増えています。また、日本ハムファイターズの本拠地が北広島市に移転することでの人の移動が増える等、新さっぽろ周辺地域のまちづくりに変化が期待されていました。
 しかし、本市は、新さっぽろ駅に近い青葉小学校と、上野幌小学校との統廃合を進めました。廃校となった青葉小学校の地域説明会には、85名が参加し、通学時の冬道が危険で不安という声や、「学校がなくなれば、子育て世帯は離れ、益々高齢化が進んでしまう」「避難所はどうするのか」等の意見が出され、圧倒的に廃校に反対の意見が多かったのです。
 教育委員会の一方的な回答や説明に住民が納得できず、地域住民から「学校統廃合の凍結を求める」陳情が3件も出されましたが、それでも教育委員会は立ち止まることもせず学校統廃合を強行したのです。
 行政主導で計画を強行することは、行政への不信感となり、地域づくりの後退にもつながりかねません。
 そして、たとえ再開発により若者の雇用が広がっても、小学校の廃校により子育て世帯の流出、新たな流入が見込めないなどの懸念が現実のこととして起ころうとしています。
 学校統廃合によって起こる住民との軋轢やまちづくりの弊害は、本市のまちづくり戦略ビジョンにある「地域での支えあいとつながり」「暮らしと雇用を支える経済の発展」との矛盾を生じさせると考えますが、認識を伺います。
 また、現在進められている13地域での学校統廃合計画でも、連合町内会やPTAへの説明の中で「小規模となるリスクは感じていない」などの意見が出されており、これ以上、進んではならないと考えますが、お考えを伺います。

 質問の第2は、学校給食の無償化についてです。
 給食は、学習指導要領の特別活動の一部とされており、食育としての授業の一環です。コロナ禍の負担や物価高騰対策として、学校給食の無償化の取組が広がっており、本市も物価高騰に対応し、給食食材の値上がり分について、追加補正を組み対策を講じています。
 給食費の無償化は、子育て世帯の負担軽減につながり、市長が掲げてきた「すべての子どもたちが健やかに育つ街」「女性がさらに輝き活躍するまち」の公約にもつながるものです。
 コロナ禍の影響を受けて大阪市や、青森市などで給食費無償化の実施が行われています。本市も子育て支援として給食費の無償化に踏み出すべきですが、いかがか伺います。

 次は、指定管理者制度についてです。
 2003年、政府の規制緩和政策の流れの中で、地方自治法の改正が行われ指定管理者制度が導入されました。従来型の民間委託では委ねることができなかった公の施設の料金の設定及び直接収受、施設の使用許可を指定管理者となった民間事業者に委ねることが可能となり、公的責任を曖昧にするものです。
 本市では2006年に本格導入され、市民の生活に重要に関わる施設がほぼ、株式会社、社団法人、社会福祉法人、NPOなどの管理となっています。
 2018年度から指定管理期間が4年から5年に変更され、本市は「雇用の安定化に期待する」としましたが、次の更新が約束されたものではなく、雇用が安定したという状況にはなっていません。
 わが党は、指定管理者制度が、不安定な非正規雇用を生み、官製ワーキングプアの温床であることを指摘してきました。

 質問の第1は、賃金水準スライド制度の導入についてです。
 本市の資料によると、2020年度、指定管理者の職員中、正規職員は1,469人に対し、非正規職員は2,497人と、非正規職員が1.7倍も多くなっています。
 制度の目的の一つである「経費の節減」とは、概ね人件費の削減で行われているのではないかと危惧するところです。
 本市は、指定管理者の選定時において「最低賃金より高い設定を基準額」と定め、これを超える賃金額を予定する応募者には加点を行っています。
 近年、最低賃金は上昇傾向にあり、北海道でも昨年度は28円増、今年度は10月から31円上がり920円になります。
 選定時、最低賃金より高い設定であっても指定期間内に最賃を下回ることも考えられます。
 本市の指定管理者制度は、最低賃金が上がった場合等に、補足するという仕組みにはなっていません。  
 事業者に賃上げの努力を求めるだけではなく、本市が発注者として「最低賃金より高い基準額」への責任を果たす必要があると考えますが、いかがか伺います。
 指定期間中、賃金水準の変動に応じて、指定管理料を変更するしくみ、いわゆる賃金水準スライドを導入すべきと思いますがいかがか伺います。

 質問の第2は、制度の検証についてです。
 本市は、特に福祉分野で利用者との継続的な信頼関係を構築していく上で必要であるとして、非公募での随意契約が多く見られます。しかし、非公募の施設でも経営が難しくなれば指定更新をせず、本市の施設であるにも関わらず、廃止する事例が起こっています。不利益を受けるのは施設利用者や労働者です。
 公共施設は住民の暮らしを支える共同財産であり、必要な人が安心して利用できることが大前提です。利用者との信頼関係を構築する上では、安定的に運営され、継続的に専門性が発揮できる職員が配置されることが大事です。
 本市は、制度導入から16年、業務の質や公共性、専門性の担保、当該施設で働く労働者や利用者、地域住民への影響など、全体を再度検証して、対象施設の限定や直営化に戻すことなどを含め、検討する必要があると思いますがいかがか伺います。

 次に、市電の3方面への延伸についてです。
 大通西4丁目、藻岩山ロープウエイ、中央図書館、中島公園、すすきの、をつなぐ市電は、1973年に全廃されようとしましたが、沿線住民の運動で存続が決まり、路線を残してきました。2003年ごろから再び「存・廃」の議論が起こりましたが、これも、沿線住民の運動で存続となり、2015年12月に「すすきの」と「西4丁目」をつなぐループ化が実現しました。
 ループ化と並行して、本市が、2012年に「札幌市路面電車活用方針」を策定し、札幌駅・創成川以東地域・桑園地域の3方面への延伸検討を始めたことに、市民からは、「市電延長時代の幕開け」だと、強い期待が寄せられました。市民団体は、延伸計画の実現を願って地域や街頭で署名にとりくみ、要望書と合わせて、毎年、市長に手渡され、私もその場に同席してまいりました。
 このたび、本市が「延伸を行うことは極めて困難」との結論を示したことに、市民から「納得できない」など落胆の声が出ています。
 地方自治体が担う公共交通は、本来、収支採算にとらわれることなく、住民の足を守る公共の福祉として維持・発展させなければならないものです。公営交通に独立採算を求める国の方針が、本市の交通経営やまちづくりの見通しを困難にする最大の原因であることは間違いありません。
 しかし同時に、本市の「公共の福祉」としての責任は免れず、必要性がいまや明白となっている路面電車の延伸は、一般会計で実施する事業の再検討や、交通事業会計との相互の支援なども含めて再度検討すべきです。あらたな道路は本市負担240億円をかけても作るのに、道路の上をエレベーターのように動く路面電車は「採算が取れないから困難」とする本市の判断は、地下鉄東豊線の「福住」駅から先の延伸を願う市民をも失望させるものであり、とうてい納得できるものではありません。
 採算性や道路交通への影響などの課題にとらわれることなく、路面電車の優位性・必要性を総合的に考えて、どうすれば軌道を延伸できるか、との立場で再検討すべきだと考えますが、いかがか、うかがいます。
 今後、軌道を敷かない「新たな交通システム」による計画へと見直しを図るとの説明がありました。
 本市は2030年冬季オリ・パラ招致にあわせ、札幌駅周辺の再開発をすすめています。新たなビル建設などにより、平日一日当たりのクルマの走行量が、いまより1万4700台増えるなど、本市の目指す「環境首都札幌」を実現するうえで懸念される渋滞の解消は喫緊の課題であり、中量輸送機関である市電の役割発揮が必要です。また、高齢者や障害のある方がスムーズに移動できる交通手段として、車両の低床化のみならず、乗り換えなしにJRの駅につながることが求められています。
 にもかかわらず、次世代の公共交通は、どのような形状の乗り物になるのか、レールがあるわかりやすさを新システムで保障できるのか、水素を使う乗り物はいつ開発されるのか、など不確実な要素が多く、イメージできるものではないのが現状です。
 私は、検討した9ルートの中で最も短い整備で済む「西4丁目」から駅前通りを札幌駅で結ぶ軌道を、どのようにして用意し、どのように採算性をあげるかを検討する方が現実的だと考えますが、本市が今後展開しようとする新たな計画で、軌道がないままで既存の市電を利用する市民が快適に利用できるものになるのか、次世代の公共交通とはどのようなものをお考えなのか、うかがいます。

 最後に、都心部のみどりについてです。
 2020年3月に策定された「第4次札幌市緑の基本計画」で、課題としてあげられた「都心のみどりの不足」について、現在「札幌市緑の審議会」で、「札幌市都心のみどりづくり方針」の策定にむけた議論が行われています。
 第2回定例会のわが党の代表質問で、札幌駅周辺再開発における緑の確保について質問いたしました。吉岡副市長は、市街地再開発事業において緑化率を、「標準的な基準値の3割増しの値を採択基準として」増やしていく旨をお答えになりましたが、緑被率については、「再開発等の機会を捉えて、みどりの確保を積極的に誘導」するという答弁にとどまりました。
 札幌の都心部は、北大植物園や大通公園などまとまった部分はあるものの、緑被率は13%程度と少なく、市街化区域よりも大幅に少ない現状です。いうまでもなく、みどりは自然環境の保全・人と自然の調和、共生という点で欠かすことはできず、都心部は積極的な人の関与がなければ増やすことも保全することもできません。

 質問の第1は、大通公園の緑化についてです。
 大通公園は、春の雪解け後から冬の雪まつりまでイベント会場となることが続くため、春に芝生や花壇が整備されても、緑を実感する時期は限られているのが現状です。公園の散策や、仕事中の休憩や観光で訪れた人が、木陰で休憩するにはベンチも緑も少ないと、私は感じています。
 公園の南北側に植えられている樹木のエリアを広げることや、イベントのエリアを狭めること、大通公園に面している南大通り、北大通りの街路樹を増やすなど、「はぐくみの軸」となる大通公園の緑を全体的に増やす必要があると考えますが、いかがですか、うかがいます。

 質問の第2は、街路樹についてです。
 都心部でみどりを増やすためには街路樹を整備することが有効ですが、本市の2021年の調査結果では、植栽道路延長が伸びているのに対して街路樹数が減り、市民100人当たりの街路樹は10年前の12.4本から、11.3本となっています。
 街路樹は、狭い植樹マスにも関わらず、状況によっては大きく成長し、長い年月が経って歴史的な意味合いを示すシンボルにもなりえます。例えば、北海道庁前の赤レンガ広場から東側につながる北3条通りに植えられているイチョウの木は、「さっぽろ・ふるさと文化百選」に選ばれている並木です。札幌で初めて道路が舗装された場所で、「当時で20年程度に育ったイチョウの木を、シンボルにしている東京都から贈られたものだった」、と話す市民もいます。
 都心部の街路樹を増やす必要があると考えますが、いかがですか。幅の狭い歩道では街路樹を植えられない事態も起こっていることから、歩道幅の拡幅とあわせて行うことも必要だと考えますが、今後の対処方針をうかがいます。

 質問の第3は、都心部東側「創成イースト」エリアの緑の確保についてです。
 創成イーストは、マンションが増え、子どもたちが通う中央小学校の児童数は10年前の約1.7倍と増えています。しかし、このエリアは都心部の中でも緑が少なく、まとまった緑は、北2条東6丁目の永山記念公園のみとなっています。子どもたちが遊ぶ公園も人口増に比べて少なく、本州から転居してきた子育て世代の人から、近所に公園を作ってほしいとの願いもお聞きしています。
 今後、東4丁目線は道路整備に合わせてみどりを増やすとのことですが、もっと大幅に、公園の整備も併せて緑化を進めるべきだと考えますが、お考えをうかがいます。

 以上で、私の質問のすべてを終わります。ご清聴、ありがとうございました。

 

秋元市長 答弁

 全体で9項目にわたりご質問をいただきました。私からは大きな1項目目の私の政治姿勢についての7点、そして2項目目の2030東京オリンピック・パラリンピック招致についてお答えをさせていただきます。その余のご質問に対しましては担当の町田副市長、吉岡副市長、教育長からお答えをさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 まず、大きな1項目目、私の政治姿勢についての1項目目の「国葬」について、お答えをいたします。
 1点目の「国葬」についての参加についてでございますけれども、国葬儀につきましては、その決定プロセス等について様々な意見があると承知をしているところでありまして、どのような場合に、国葬儀とするのかというようなことなどについてしっかりと国会等で議論されるべきものと考えております。
 2点目の内心の自由との関係についてでありますが、本庁舎における半期の掲揚は、国の儀式としての葬儀の実施にあたり儀礼的な弔意を示すものとして行ったものであります。また本庁舎以外の各市有施設や学校等教育施設、市民の方々に対して弔意の表明の協力は求めておらず、市民の方々の内心に弔意の強制はしているものではありません。
 次に2項目目の統一協会に関連してのご質問を答えをいたします。
 まず1点目の統一協会等と政治家との関係についてであります。政治家にとりまして多くの有権者と接していこうをくみ取るということは大切なことでありますが、社会的に問題が指摘される団体との関係についてはより厳格な慎重さが求められると考えております。
 2点目の統一協会と行政の関係のうち、反社会的な行為を続ける団体との関わりを防ぐ仕組みについてであります。旧統一協会等と市役所や指定管理者等との関係を調査をしたところでありますが、札幌市や社会福祉協議会によるマスク等の寄付受理や指定管理者による事業共済というものがわかっているところでありますが、当該寄付や共済が宗教的不況活動に当たらないということはもとより、札幌市等の事業の趣旨が曲げられていないということを確認をしているところであります。札幌市の名義公演についてのガイドラインにおきましては、特定の思想に関わる事業で行政の中立性を損なう恐れがあると判断される場合には、後援を承認しないなどの定めがあり、事業の共催等の際にもこうした考え方に基づいて判断をしているところであります。今後とも市民の皆さんの疑念や懸念を招くことのないよう、社会的に問題のある団体だと疑われる場合には、より慎重かつ厳格に対応していく必要があるものと考えております。
 次に統一協会等と行政の関係のうちの消費生活安定条例に関連いたしましてお答えをいたします。平成6年に当該条例を廃止をし、当時社会問題化をしていた製品事故や悪質商法などの被害から消費者を保護するということを目的として新たに制定いたしました「札幌市消費生活条例」では、「消費者の意見」の反映について明記をしその後、消費者基本計画の策定を定め、消費者を取り巻く環境の急速な変化に対応できるよう、必要な政策を計画に盛り込んできたところであります。現在策定中の第4次の計画につきましても、成年年齢引き下げによる若者の被害防止などに対応するため、消費者教育のさらなる充実を掲げるなど、今後も柔軟で適切な消費者政策を推進してまいります。
 次に3項目目の核兵器禁止条例とNPT再検討会議および本市の平和事業についてお答えをいたします。
 1点目のNPT会議の最終文書案の受け止めについてであります。採択には至らなかったものの、核兵器禁止条例に関する記載を含め1カ国を除く全ての締結国が合意可能な最終分文書案が作成されたことにつきましては、今後も国際社会が核廃絶に向けた議論を続ける上で意義があったものと認識をしております。
 次に平和訪問団の高校生派遣の継続についてでありますが、今回は平和都市宣言30周年の節目として、派遣対象を高校生まで拡大したところでありますが、高校生の派遣を含めて、今後の事業の継続について検討してまいりたいと考えております。
 次に、北海道被爆者協会等との連携強化についてでありますが、札幌市では、北海道被爆者協会のご協力をいただき、市内の各学校へ被爆体験の語り部を派遣する事業を行っておりまして、次代を担う若い世代に戦争の記憶を伝えるため、今後も連携しながら、事業の拡充を図ってまいりたいと考えております。

 次に4項目目、原発の再稼働と新増設についてであります。
 原子力発電につきましては、脱炭素社会の実現に向け、省エネの推進や、太陽光発電などの再生可能エネルギーの拡大を図っていく中で、可能な限り依存度を低減していくことが重要であると認識をしております。原子力発電所の再稼働や新増設につきましては、原子力規制委員会において審査が行われるとともに専門的知見に基づき、政府が判断するものと理解をしており、引き続き議論の動向を注視してまいりたいと考えております。
 次に5項目目の食料危機と本市の農業振興についてであります。
 札幌市の農業は、市民に新鮮かつ良質な農産物を供給するとともに、市民が直接農業に触れる場として重要な役割を担っており、引き続き都市型農業として、その振興に取り組む必要があると認識をしております。また市民の農業理解の促進にあたりましては、サッポロさとらんどでの農業体験や、食と農学ぶ機会の創出に努めるとともに、地元農産物に関する情報発信をより充実させていく考えであります。
 次に6項目目、北海道日本ファイターズと札幌ドームについてであります。
 1点目の本拠地移転に伴う市経済への影響についてでありますが、プロ野球の開催がなくなることで、株式会社札幌ドームの売り上げ減は見込まれるところでありますが、一方で、プロ野球に代わる新たな観戦・鑑賞型イベントの開催等により一定の経済効果が規定を期待されるところであります。さらには、北海道ボールパークは、札幌圏の新たなランドマークとなる大型種集客施設であり、プロ野球の観戦に加え、食や周遊観光などによる、これまでにないにぎわいが生まれることで、新たな雇用創出となり札幌2札幌市にとっても大きな経済効果が生まれるものと考えているところであります。
 次に、ドーム経営についてでありますが、プロサッカーやコンサート等の開催、広告事業の拡充等で収入を確保することに加え、支出の削減や見直しを進めることで黒字を黒字化ということを目指しており、次期指定管理期間中に、仮に赤字になった場合でも税による補填は想定をしておりません。
 次に7項目目、厚別区山本地区の市有地と、その周辺地区の地域の課題についてお答えをいたします。
 まず市有地周辺の住民に対するこれまでの対応についてでありますが、ご質問にある市有地に関しましては、現地確認や草刈りなど日常的な維持管理の他、周辺住民から寄せられる個別の要望にも、都度対応しているところであります。近年は周辺住民から特別な対応を要する要望は寄せられておりませんが今後とも、必要に応じ適切な対応をしてまいります。
 次に新幹線トンネル掘削度受け入れ候補地の情報提供時期と現状についてでありますが、山本地区につきましては、平成31年の初め頃に受け入れ候補地として、鉄道運輸機構へ情報提供し現在に至っているところであります。
 次に売却貸付に向けた土地情報の公開情報状況についてでありますが、売却貸付可能な市有地につきましては札幌市のホームページで情報公開をしているところでありますが、当該地は、そのような状況にはなく、情報も公開しておりません。
 次にご質問の大きな2項目目、2030冬季オリンピック・パラリンピック招致についてお答えをいたします。
 まず東京2020大会の汚職事件についてでありますが、2030年大会においては、透明性・公正性の高い組織委員会運営を目指すという決意を示すために、9月8日にJOC山下会長とともにクリーンな大会に向けた宣言を行ったところであります。札幌開催が決定した場合には、JOCや関係機関と連携をして、今回の汚職の原因、問題がどこにあったのかということをしっかりと検証した上で、同様の事件を起こさないための組織委員会の運営のあり方を検討して参りたいと考えております。
 次に、大会運営費のスポンサー料についてであります。現在、招致を進めている段階でありまして、スポンサー獲得への具体的な影響について現況できるもの言及できるものではありませんが、透明性の高いクリーンな大会を目指すということで信頼を確保し、より多くの企業の支援をいただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。また、スポンサー収入が見込みを下回るなどの不測の事態におきましても、収入に見合った大会運営を行うということで、市の負担が発生しないように努めてまいりたいと考えております。
 次に、市民の意向と招致の取りやめについてであります。招致につきましてはこれまで様々な機会を通じて、市民の声を把握し、議会とも議論を重ねながら、招致活動を進めてきたものでありまして、3月には議会の招致決議もいただいたところであります。今後も必要最小限の経費で効率的な大会運営を目指すとともにクリーンな大会にしていくという点をしっかりと市民にお伝えをし、理解を得ながら、招致活動を継続していく考えであります。私からは以上です。

町田副市長 答弁

 私からは大きな4項目目、新型コロナウイルス感染症と高齢者医療について、そして7項目目の指定管理者制度についてお答え申し上げます。
 まず大きな4項目目、新型コロナウイルス感染症と高齢者医療についてそのうち1点目、感染者の全数把握の見直しの問題点と今後の対応についてのご質問のうち、まず発生届のない陽性患者の入院調整と保健所との連絡体制についてでございますが、これまでも発生届が提出される前の段階で入院が必要とされた場合には、本人関係者から必要な情報を素早く収集し、迅速に入院調整を開始しているところでございます。また札幌市では、陽性者サポートセンターを全国に先駆けて今年5月に開設し、ネット環境のない方に対しても電話等により広く陽性患者の健康相談を受け付け、状態に応じて継続的な健康観察や入院に繋いでいるところでございます。今後も発生届の有無に関わらず、患者に寄り添い、必要な医療を提供する体制を継続してまいります。
 次に療養証明書などの発行についてのご質問でございますが、今回の見直しにより発生届対象者は陽性者の約2割と想定しており、これに伴い療養証明書の発行数が大幅に減少すると考えているところでございます。また、生命保険協会等は「マイハーシス」画面による証明の徹底や診療明細等の代替書類の活用を各社に呼びかけており、札幌市においてもこれらについてホームページ等々で周知していることから、より一層医療機関等の負担軽減が図られていくものと認識するところでございます。
 次に2点目、今冬のインフルエンザとの同時流行に備えた対策についてでございますが、今年は例年より早く9月に札幌市内の医療機関においてインフルエンザウイルスA香港型が既に検出されており、早期流行の可能性もありますことから、早めのワクチン接種を呼びかけているところでございます。10月1日から始まる高齢者インフルエンザワクチンの定期予防接種では、市内医療機関における接種とあわせて、特別養護老人ホームなどの高齢者施設が希望する場合には、施設内で接種を行うことも可能としているところでございます。今後もインフルエンザの発生状況を注視しながら、市民と高齢者施設への適切な情報提供と注意喚起を行ってまいりたいと考えております。
 次に、エアロゾル感染を防ぐための高齢者施設への対策強化についてでございますが、新型コロナウイルス感染予防対策として、施設内の換気が重要であることは認識するところでございます。感染力が強いオミクロン株が主流となってからはひとたび施設内にウイルスが入り込むと厳しい状況となりますことから、札幌市としては、要介護の高齢者病床の確保や、感染管理看護師の助言などによる感染症に強い施設づくりへの取り組みを行っているところでございます。また感染リスク低減のため、国や北海道の財源により、換気設備設置への補助の他、家族面会室の整備などのゾーニング環境等整備を行うなど、総合的な対策を促す取り組みを行っているところでございます。今後も国や北海道の動向を注視しながら、感染対策や環境整備への支援を実施してまいります。
 次に75歳以上の医療費窓口負担の2倍化に伴う影響についてのご質問でございますが、今回の見直しは現役世代の負担上昇を抑え、医療保険制度を持続可能なものにしていくため行われるものと認識するところでございます。一方で、必要な受診機会の確保は欠かせないものと考えていることから、国に対し、見直しの影響を把握した上で、必要に応じて適切な対応を検討するよう求めているところでございます。また窓口負担が2割となる人数は約6万人でございます。また、1人当たりの平均負担額はこれは国が試算しているところでございますが、現在、1ヶ月あたり約6900円のところ、経過措置終了後は約9800円になるものとされているところでございます。
 次に大きな7項目目、指定管理者制度についての1点目、賃金スライド制年度の導入についてでございますが、指定管理施設におきまして従業員の適切な賃金水準が確保されることは重要と認識するところでございまして、選定時に一定以上の賃金を支払うものに加点する仕組みを設けている他、経営状況の激変時には指定管理費を見直せる協定内容としているところでございます。
 賃金スライドの導入につきましては、指定管理費の増額は必ずしも地域に反映されるとは限らない等の課題があるため、他都市の状況も調査しつつ、様々な手法を検討してまいります。
 2点目、制度の検証についてのご質問でございますが、これまでも、多様化する住民ニーズに効率的・効果的に対応するため、指定管理者制度を積極的に導入してきたところでございまして、それらの施設におきましては、利用者満足度調査や所管部局による定期評価の結果からもおおむね良好な運営ができているものと認識するところでございます。今後も公共施設の運営に当たりましては、その必要性や役割の変化などを常に見直しながら、最適な運営方法を見極めてまいりたいと考えるところでございます。私から以上でございます。

吉岡副市長 答弁

 私からは、4項目についてお答えをいたします。最初に3項目目、除排雪の強化についてであります。
 1点目の大雪対応についてでありますが、大雪時の対応である幹線道路の運搬排雪前倒しと強化や、生活道路の緊急排雪は、バス路線の渋滞緩和や生活道路の路面状況の改善に繋がるものと認識しており、今後の大雪時におきましては、これらの対策を適切に実施することで、冬の安全・安心な市民生活や、円滑な社会経済活動の確保に努めてまいります。
 2点目の日常的な生活道路の対策についてであります。大雪時に実施する生活道路の緊急排雪は、生活道路の通行が困難となり、早急に対応が必要な場合に、必要最小限の通行幅を確保すべく、札幌市が緊急的に実施するものであり、一方、パートナーシップ排雪につきましては通常時において、広い通行幅を確保するとともに、道路の雪解けが早まるよう、地域と札幌市が費用を負担し合い、共同して実施するものでございます。このようなパートナーシップ排雪と同等の排雪を全ての生活道路で、札幌市が全額負担して行うことは、財政面や体制面などで大きな課題がありますことから、慎重な議論が必要と考えるところでございます。
 次に、5項目目、札幌市のまちづくりについての1点目、市民意見の重視と反映についてであります。
 これまでも様々な事業におきまして、その内容、性質等に応じ、パブリックコメントの他、広報さっぽろなどの各種媒体による情報提供や、大規模なアンケート、ワークショップ、地域住民を対象とした意見交換会などを実施し、わかりやすい情報提供とともに、丁寧な意見聴取と、その繁栄に努めてきたところでございます。今後も対象事案や、その検討段階に応じて、引き続き適時適切な情報提供と、市民参加の機会確保に努めてまいります。
 次に2点目の子育てにやさしいまちづくりについてであります。子育て支援は、「を産み育てやすい環境作りや、子どもの健やかな成長を支えることが重要であると認識しており、これまでも、通院に係る医療費の助成対象学年の拡大の他、保育料の無償化対象の拡大などに取り組んできたところであります。一方、「子育てに優しいまち」の実現に向けては、経済的負担の軽減だけではなく、様々なニーズに応じた保育サービスの拡充や、ワークライフバランスの推進などとともに、地域経済力の向上による安定した雇用環境の構築が不可欠と認識するところであります。今後もこれらの取り組みを総合的に推進し、「安心して子どもを産み育てることができる、子育てに優しいまち」の実現を目指してまいります。
 次に8項目目、市電の3方面への延伸についてであります。
 これまで路面電車の人や環境に優しく、街の魅力やにぎわいを創出するなどの特性を踏まえ、延伸の検討を行ってまいりましたが、レールを敷くことによる自動車交通への影響や、収支採算性など、様々な課題に加え、既存線の経営への影響も懸念されますことから、総合的に評価し、延伸は困難と結論付けたものでございます。今後は、従来の形での延伸ではないものの、人や環境に優しく、街の魅力は、にぎわいを創出するという路面電車の特性を引き継ぎ、少子高齢化など社会情勢の変化に対応する他、脱炭素社会への取り組みに資するような次世代の公共交通システムを検討していく考えでございます。あわせて、この次世代の公共交通システムと、既存の路面電車も含めた他の公共機関交通機関との円滑な接続方法につきましても、しっかりと検討してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、9項目目、都心部のみどりについての1点目、大通公園の緑化についてであります。
 大通公園は、都心の貴重な憩いの空間であるとともに、ビアガーデンや雪まつりなどのイベントが開催されるなど、多くの市民や観光客に利用されているところであります。このため、現在策定中の都心のみどりづくり方針の中で、重点エリアに位置づけて、検討を進めているところであり、憩いとにぎわいが両立した魅力的なみどりの空間の創出を目指してまいります。
 2点目の街路樹についてであります。主に郊外の生活道路などにおきましては、より円滑かつ安全な歩行空間を確保するため、歩道幅員などの道路環境に応じて、街路樹の配置の見直しを進めているところでございます。一方、比較的歩道幅員の広い都心部におきましては、各街路に植樹された街路樹について、緑のボリュームが感じられるような剪定に努めており、今後も都心部のみどりをしっかりと確保してまいります。
 3点目の都心部東側「創成イーストエリア」の緑の確保についてであります。創成イーストエリアは、市内でも公園が少ない地域でありますことから、道路整備や民間開発と連携して緑地整備に取り組んでおり、今後も機会を捉えて、緑地空間の充足を図ってまいります。私からは以上でございます。

檜田教育長 答弁

 私からは大きな6項目目、教育の課題についてお答えをいたします。
 1点目、学校規模の適正化についてでございますが、学校規模適正化の取り組みや、学年が進む中で、クラス替えを行うことができ、その中で子どもたちが切磋琢磨し、多様性を認め合い、お互いを尊重することで、社会性や協調性を育むことを目的としたものでございます。実際に取り組みを進めるに当たりましては、それぞれの地域の実情に合わせて関係部局と連携を図りながら、広くまちづくりの観点から、地域や保護者の方々と一緒に検討していくことも重要というふうに考えているところであります。今後も学校規模適正化の意義をしっかりと説明し、寄せられた声を受けとめながら、子どもたちにとってよりよい教育環境を整えてまいります。
 2点目の学校給食の無償化についてでありますが、学校給食は、施設、設備、運営等の経費を公費で負担をし食材費のみを保護者の皆様にご負担をいただいているところであります。これまでも生活困窮世帯に対しましては就学援助制度等で給食費を支援しておりまして、これ以上の公費負担は難しいというふうに考えおります。以上でございます。

小形議員 再質問

 私から3点再質問させていただきたいと思います。
 1つは大きな項目1の7番目、厚別区山本地区の市有地とその周辺地域の課題についてのところ、2つ目は大きな項目2つ目、2030札幌冬季オリンピック・パラリンピック招致について、とりわけ3番目の市民意向と招致の取りやめについてのことです。それから3つ目は大項目で言いますと、8・市電の3方面への延伸について、この3つを再質問したいと思います。
 まず1つ目の政治姿勢なんですけれども、私質問で、山本地区を新幹線トンネル掘削等を契約候補地として鉄道運輸機構に伝えた時期と、その現在の状況についてというふうに質問しましたけれども、ご答弁は、平成31年に初めて同情報提供して現在に至るというご答弁だったかと思います。平成31年に情報提供を初めてされたということは、ご答弁でわかりましたけれども、現在の状況というのがちょっと不明確だったと思いますので、もう一度、現在の状況についてわかりやすくご答弁をいただきたいと思います。
 それから2つ目、冬季オリ・パラの問題であります。招致は今後も撤回せずに進めていかれるというご答弁でありました。東京2020大会の汚職事件は、いま全容がまだわからない、底が相当あるだろうという、底が深い問題でありまして、まだ時間を要すると思いますし、それがわかってから、ではその後どこを改めなければならないのか、JOCの中での徹底した議論だとか、その後の検証というのも必要でしょう。そしてその上で、今後どのようにするのかということを国民全体に示さなければ、疑問も不安も払拭できないのではないかと思っております。市長はこの汚職事件が明るみになって以降、市民の中に招致反対の声がさらに広がっているという認識があるのか、この点を伺いたいと思います。
 それから3つ目は、市電の3方面への延伸ですけれども、先ほど円滑な接続方法も検討したいと、軌道は敷かずに円滑な接続方法を検討したいということでありました。今も例えば、今ある路線に乗っている、既存の路線に乗っている市民は、JR札幌駅まで行こうと思ったときには大通で乗り換えているわけですね。ですから円滑な接続とおっしゃるけれども、結局それは乗り換えをするということなのではないかと思っておりますけれども、そうなれば、既存の市電を利用する市民にとっては利便性が高まるというふうには言えないんじゃないかと思いますけれども、その点どうお考えか伺いたいと思います。以上です。

秋元市長 答弁

 3点の再質問をいただきました。私からは私の政治姿勢についての山本地区の関係、それから2030年冬季オリンピック・パラリンピックの関係お答えをさせていただきます。
 まず1点目の、新幹線の掘削土の関係でございますけれども、この掘削土の受け入れ地については、引き続き総量についてはまだ確保する必要があります。そういう意味では、この山本地区などの現在の候補地の他、新たな候補地の可能性も含めて、鉄道運輸機構などと協議、検討を進めている状況でございます。継続して協議をしている、という状況でございます。
 2点目の、東京大会に係る汚職事件の関係でございます。この東京2020大会の事案によりましてオリンピック・パラリンピックそのものに対してのイメージが損なわれているということは大変残念に思っているところであります。今後、この事実関係というものについては今後明らかになっていくわけで、私どもこの状況をしっかりと注視していかなければいけないというふうに思っておりますが、今報道等で行われているような、組織委員会の中でのスポンサー企業の選定、こういったようなところについてのプロセスがどうであったのかということなどについては、今の東京の組織委員会でどういう状況で決定プロセスがあったのかというようなことについては、現状でもいろいろな形で確認をすることができますので、そういった意味で、JOCなどとともにですね、仮にこういった事実があったということになったとすれば、それは言う決して許されることではありませんので、それへの対策を事前に協議していくことが可能だというふうに思っております。

吉岡副市長 答弁

 8項目目、自然の3方面への延伸について、乗り換えが発生するのであれば、利便性が高まるとは言えないのではないかというご質問でございます。
 今後検討を進める新たな公共交通システムはお話がございましたように、軌道や河川がなく、様々な乗り換え場所の設定が可能と、乗降カ所の設定が可能ということでありますので、公共交通手段として利便性が高まるものと考えております。ご指摘のありました乗り換えにつきましては、既存の路面電車含めてできるだけ負担の少ない乗り継ぎとなるよう、その手法については検討してまいりたいと考えております。以上でございます。

小形議員 再々質問

 再々質問に入る前に、今の市電のことでありますけれど、もう既存の市電に乗ってる利用者がやはり利便性が良いと感じるものにしなければならないと思いますし、例えば2015年の12月にループ化した、それ以降いわゆるループ化効果があったのは、まさに利用者が便利だと思ったから、そこに乗る人が増え、そのことが広がって、より観光客も乗っていったとこういうことなのではないかと思うので、やはり利便性が良いと感じるものにしなければならないというふうに私は思いますし、一番円滑なのは、やはり軌道は伸ばすことなんじゃないかと思うんですね。乗り換え場所の設定が可能だとおっしゃいますけれども、それは交通渋滞での関係でどうなるのかということが不明ですし、どこでどうと止まるのかということも不明であります。軌道があるということが一番わかりやすいというふうに思いますので、やはりこのまま軌道を伸ばして3方面に行けるという仕組みを考えるべきではないかということを申し上げておきます。
 それで再々質問でございますけれども、例えば、決算を見ますと、オリ・パラ招致気運醸成のための決算額というのが2億3864万円余、それから今年度の予算でも1億9000万円かけているわけですけども、私はこうやってお金をかけても市民の機運は醸成できていないというふうに感じています。
 反対が減らないのはなぜなのか、東京2020の問題ももちろん非常に大きいと思いますけど、しかし、やはり市民の声を聞かないまま進めるというこの状況が、市民にとっては納得できないということでもあるわけです。IOCは市民、地元の合意というのを何よりも大事にしておりますし、オリンピックの選手が最高のパフォーマンスを発揮する上では、やはり圧倒的な地元の支持というのが必要です。歓迎する人も当然たくさんいるでしょうけれども、歓迎しない人も多くいる中で、世界から集まるトップアスリートが快く札幌に来ることができるのか、私は選手にとっても心に引っかかるものがあるのではないかと思うんですね。ですから圧倒的な賛成のもとで、トップアスリートを迎え入れるべきだと思います。ですから、こうして市民の声も聞かずに招致に突き進むということに市民は異議を唱えているのですから、改めて市民の反対する人たちの意見をよく聞いて、住民投票という形で明確にする必要があると思います。市政の重要事項でありますから、民主的なプロセスを踏むことが重要だと思います。
 この先招致に向けて進めようというのであれば、今からでも、市長が住民投票を実施するべきだと考えますけど、いかがですか、伺います。

秋元市長 答弁

 反対の方の声を、そういったことを、これを聞いて、例えば市民の意向調査のときに何が心配なのか、懸念なのかということをお伺いをして、費用面というようなことというのも挙げられてきているわけであります。よく私は市民の方と話をするときに、やはり勘違いをされてる方が結構まだ多い。というのは、例えば運営費、組織委員会での運営費が2000億強と、これは全て税金で行われるというふうに思われてる方もまだ多いとお話をさせていただいて、実はこれはIOCからの負担金であったり、企業からのスポンサー収入であったり、こういったようなもので、施設に関しては公費を投入しますが、運営費については、こういう状況で税金を投入する考えではありません、と。そもそも、この他の事業に回すオリンピックを開催をするために集まってくる、集めてくるお金であって、その費用が2000億が、他の事業に回せるというものではないというお話をさせていただくと、そうだったんですかということがあります。まだまだそういう意味でしっかりと市民の皆さんに状況をお伝えをし切れていないということはあるのかなというふうには思っておりますが、引き続きこういった市民の皆さんの不安の声と懸念の声ということについて、改めてお話をしていく、いろいろな機会で出前講座なども行ってきております。そういった中でご説明をするとご理解をいただいている、勘違いをしていたということを言っていただける方もまだ多いわけであります。
 引き続き市民の声に真摯に向き合って進めてまいりたいというふうに思っております。議会での様々な議論を含めて、住民投票ということは考えておりません。