私は、日本共産党所属議員全員ならびに市民ネットワーク北海道所属議員を代表して、ただいま上程されました「議案第32号 2030北海道・札幌オリンピック・パラリンピック冬季競技大会招致に関する住民投票条例案」について、提案説明をいたします。
まず、その主な内容についてです。
本市に選挙権を持つ市民が、2030年冬季オリンピック・パラリンピックの招致について、賛成の場合は投票用紙に印刷される「賛成」の項に〇の記号を付け、反対の場合は「反対」の項に〇をつける、という形で賛否を確認します。また、投票の期日は「条例施行の日から起算して90日を超えない日までの間で市長が定める」ことにしており、投票の資格や投票の方法あるいは開票などは、概ね公職選挙法に基づいております。
次に、理由についてです。
今年3月に本市が実施したオリンピック・パラリンピックの招致についての「意向調査」で、札幌市民1万人に郵送し5775人から回答を得た無作為抽出の調査結果は、52.2%の賛成でしたが、北海道新聞社が4月に行った調査では、一転して57%が反対で、賛成の42%を上回る結果となっており、賛否は拮抗しています。
世界では、2024年の夏季五輪を巡り、ドイツ・ハンブルグが住民投票を行い、反対が過半数となり招致から撤退しました。2026年冬季五輪でも、カナダ・カルガリー、スイス・シオン、オーストリア・インスブルックが、やはり住民投票の結果、撤退しました。
また、前回開催地となった韓国・平昌は、世論調査で90%を超える賛成、2026年開催予定のイタリア・ミラノでは80%を超える賛成と、圧倒的に高い開催支持率のもとで開催地となっています。
冬季オリンピック・パラリンピックは、圧倒的な市民の賛成なしに成功させることはできません。IOCも、地元市民の十分な支持があるかどうかを、最も重要視しています。
本市はすでに、「北海道・札幌2030オリンピック・パラリンピックプロモーション委員会」を設置し、5月10日に初会合の開催へと進展させていますが、招致活動を進める前に、まず、197万人を代表する市長として、多くの市民に、賛成か反対かの意思を確認することが必要だと考えるものです。
本市は、「自治基本条例」を定めています。まちづくりの主体は市民であり、参加する権利を持っていることが明記され、また、「市民の意思を把握し、市政の運営に反映させる」ことを「市長の役割および責務」としています。
その第22条には、「市政に関する重要な事項について、住民の意思を確認するため、別に条例を定めるところにより、住民投票を実施することができる。市は、住民投票の結果を尊重しなければならない」と書かれています。
2030年冬季オリパラの招致は、世界が注目する、市政に関する重要な事項であり、市民の政治参加を保障する民主的なプロセスがないまま進めることはできません。
自治基本条例を「まちづくりの最高規範」として正面から受け止めるなら、市長自らが条例を定める提案をしてしかるべきです。
それがかなわないことから、今回の住民投票の条例案は、地方自治法第112条「議員の議案提出権」に基づき提出することとしました。
以上で、説明を終わります。どうぞ、ご審議をお願いします。