私は日本共産党を代表し、陳情第14号「北海道新幹線札樽トンネル工事により発生する要対策土の受け入れ候補地から山口処理場の除外を求める陳情」につきまして、採択すべきとの立場で討論を行います。
北海道新幹線は2012年、新函館~札幌間の工事実施計画が認可されたことを受けて着工されました。2017年、札幌市街地区間の工事計画の変更認可がされ、大半がトンネルとなり、230万立米の掘削土と約5割の要対策土が発生することが判明しましたが、要対策土の処分地は、なんら決められないまま計画が進められてきました。
札幌市と鉄道運輸機構は、膨大な量におよぶ要対策土の受け入れ候補地として、手稲区金山地区と厚別区山本地区を。第3の候補地として手稲区山口地区を昨年6月選定しましたが、住民が猛反発したのは当然のことでした。トンネル工事の札幌工区から発生する掘削土に基準値の190倍ものヒ素が検出されたことに候補地の住民は大きな衝撃を受けました。
しかし、鉄道運輸機構と札幌市は、昨年6月27日から30日に住民説明会を実施しただけで、2週間後の7月14日、強引に事前調査に着手したことは許されることではありません。さらに事前調査結果を受けた今年3月の説明会では、工事と搬入のスケジュールが示されました。強引に事前調査を進め、事前調査が終われば、あたかも事前調査=工事着工であるかのように、工事着工、搬入スケジュールを示すことはあまりにも一方的かつ、強引です。
鉄道運輸機構と札幌市は、昨年6月と今年3月に住民説明会を実施しましたが、参加対象を2つの町内会80世帯に限って開催し、約6500世帯が住む近隣の星置地区は、受け入れ候補地に選定されて以降、1度の説明会も開かれていません。札幌市は、個別で話をするオープンハウスを開催していることで、責任を果たしているかのようにいいますが、住民にとっては議論を拒まれているとしか思えないことは当然です。また、今後行われる地域協議会のメンバーにも星置地区住民は除外されており、住民の声を無視した対応は改めるべきです。
本市は、市民とその代表である議会、行政が力を合わせて、自分たちのまちづくりは自分たちで決めるという札幌市自治基本条例を遵守すべきです。
陳情が審議された4月26日の朝、秋元市長、細川議長、総合交通調査特別委員会の各委員宛てに、山口地区、星置地区、山本地区、金山地区の住民団体代表などの連名で、住民の命と健康を恒久的に守る立場から、地元の反対を押し切って進めることへの危機感や、憤りが込められた要請書が届けられました。要対策土の受け入れに対する市民の合意が得られていないことは明白であり、工事着工はやめるべきです。
5年前倒しの30年開業は、2013年には北海道と札幌市の行政懇談会、2015年政府与党整備新幹線検討委員会において決まりましたが、コロナ危機が長期化するもと、街づくりや予算の使い方も見直す時期に来ています。北海道新幹線の2030年開業は今一度立ち止まり、要対策土は受け入れられないという市民の、この声にこそ札幌市は応えるべきであり、本陳情は採択すべきです。
以上で討論を終わります。