私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となっております議案等21件中、議案第1号、第12号に反対、残余の議案等に賛成の立場から討論を行います。

 代表質問で、コロナ危機が示した政治・社会の問題の一つとして、新自由主義の下で医療・福祉が縮小され続け、感染症の拡大に対し、病床すら確保できなかった事態を述べ、国の病床削減計画である「地域医療構想」の推進について、市長の考えをおたずねしました。副市長は、北海道の構想は「過不足のない医療提供体制」と述べ、事実上削減計画推進を容認する姿勢を示しました。
 また、新型コロナウイルスがとりわけ高齢者にリスクが高い、とされていることから、介護施設等へ直接出向いてPCR検査を行い、感染拡大を未然に防ぐよう求めましたが、あくまで国の指針に基づく、として「感染者を確認した場合」の検査とする旨を答弁されました。
 市民に対し「新しい生活様式」の呼びかけを行っている市長として、感染拡大を防止する施策をとることはもちろんのこと、可能な限り早い段階で感染の有無を確認し、「拡大させない」ための事前の対策をとることが不可欠ではないでしょうか。また、第3波、第4波が予想される中で、国が今後も病床削減計画を推進しようとしていることについて、異を唱えるべきです。
 コロナ危機は、市民の暮らしと市内経済に大きな影響を与えており、今後の公共事業計画の見直しが迫られています。計画を総点検し、老朽化したインフラ整備、福祉、子育て、防災などを優先して見直すべきです。
 しかし、市長は、「市内経済の活性化を図るもの」だとして、都心アクセス道路整備を進めることが重要との認識を示しました。いま求められていることは、コロナ禍で苦しむ市民の暮らしと中小・個人事業主等の経営を守り抜くことに最大限の力を注ぐことであり、渋滞していない道路に1000億円もの公費を投じる都心アクセス道路は止め、費用負担の少ない交差点改良にすることを、国に提言すべきだと申し上げます。
 密閉・密集・密接の「3密」を避けるため、子どもたちの分散登校が行われていることは、これまでの学校規模や学級規模が、感染を拡大させやすいものであったことを示しています。今後、特別教室を活用しての授業も想定している一方で、本市は、「学校規模適正化計画」と称し、小学校で12学級未満、中学校で6学級未満となる学校の統廃合を進めています。新型コロナウイルス感染拡大は、大勢を一か所に集める、という人間の行動が問われており、学校規模のあり方も、1学級を40人とする学級編成も、根底から考え直す必要があります。まず、計画を中止し、子どもたちの健康衛生を守る立場から、「新しい生活様式」に沿った学校規模・学級規模の検討を開始すべきです。
 議案第1号「一般会計補正予算・第3号」ならびに議案第25号「一般会計補正予算・第4号」は、国からの「地方創生臨時交付金」、国庫支出金等364億4262万3000円、本市一般財源43億2337万7000円、総額で407億6600万円の補正予算となっています。
 民間病院への体制整備の協力金や、4月27日以降5月25日までに生まれた子どもへの特別定額給付金の対象拡大など、本市独自の工夫・努力はあるものの、国の事業対象から外れる市民や中小事業者を支えるものになっていません。
 「持続化給付金」は、前年同月比で50%以上売り上げが減少した事業者が対象となるため、50%に満たない事業者は対象になりません。売り上げが20~30%減少した理美容業などは、北海道と本市が行った「休業協力金」や「経営持続化臨時特別支援金」の対象から外されています。消費税が10%となったもとで、市民の消費活動が止まり、経営の見通しすら立たない個人事業主・フリーランスの方々に、迅速で効果的な事業継続の支援が求められています。
 事業者に対する家賃などの固定費補助の検討が進められていますが、国の補正予算を待つことなく、自主財源を活用した支援策も含め、できるだけ速やかに追加の補正予算を編成されるよう求めるものです。
 また、放課後児童クラブ運営関連費9100万円は、放課後児童クラブを利用しなかった世帯へ返還するための経費として、国が単価とする日割り利用料「一人当たり一日500円」を補助するもの、としています。民間学童保育所の利用料は運営団体によってまちまちで、月1万5000円程度の場合、一日500円では不足が生じます。こうしたところへ柔軟に対応し、きめ細かく支援が行き渡るよう、あわせて求めます。
 このたびの議案第1号には、これまでの氏名・年齢・性別・住所の4情報に、戸籍や住民票の情報も紐づける、社会保障・税番号制度対応のための「システム改修費」1億3900万円が含まれています。国は、新型コロナウイルス対策に乗じて「利便性の向上」などと利用誘導を進めていますが、マイナンバー制度は、情報漏えいを完全に防ぐ方法はなく、常に個人情報流出の危険が伴うこと、国家による国民監視につながることから、反対です。
 議案第12号「札幌市税条例等の一部を改正する条例案」のうち、地域再生法に基づく本社機能移転等に対する軽減措置の2年間の延長、連結納税制度のグループ通算制度への移行に伴う改正は、いずれも財界の要望に応えた、大企業優遇策であることから反対です。

 以上で、私の討論を終わります。