私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となっております議案29件中、議案第1号、第5号から第7号、第12号、第16号、第19号から第23号、第25号から第27号に反対、残余の議案15件に賛成の立場から討論を行います。
議案第5号、国民健康保険会計予算に反対する理由は、高すぎて払えない保険料の改善がされないからです。
2020年3月1日で資格証明書が4564世帯に発行されています。資格証の発行は資力がありながら、故意に支払わない悪質滞納者に限るべきです。
また、本市は通常、区に留置きしている短期証を、新型コロナウイルス感染症拡大を防止する観点から、2020年度1期分のみ郵送するとしています。
病院窓口負担10割の資格証については厚労省が、感染症発症の疑いがあり、病原体検査をする場合に限り3割負担にするよう通知を出しています。しかし、最初に受診する病院は10割負担であるため、受診を我慢し感染の拡大を招くことになります。資格証の世帯にも短期証と同じ対応をし、保険証の郵送をすべきと質しました。「国からも特段の指示はなく、資格証世帯に短期証を郵送することができない」とのことでありましたが、緊急事態にふさわしく、本市は率先して短期証を郵送し、資格証の発行は止めるべきです。
議案第6号 後期高齢者医療会計予算は、保険料算定の基礎となる保険料率で、均等割りが50,205円から52,048円など、保険料を引き上げるものであり反対です。
議案第7号 介護保険会計予算は、度重なる制度改悪により、保険料・利用料の負担増は、高齢者の生活に重くのしかかっているため反対です。
議案第12号「軌道整備事業会計予算」についてです。
路面電車事業の上下分離導入は、公共交通事業を担う本市の責任を後退させるものであり、容認できません。また、乗車料金の設定に、本市が積極的にかかわることができなくなること、民間委託は新たな「官製ワーキングプア」を生み出すものであることから、反対です。
よって、関連する議案第25号ならびに第26号にも反対です。
議案第16号「証明等手数料条例」、第19号「老人休養ホーム条例」、第20号「廃棄物の減量及び処理に関する条例」、第21号「札幌コンベンションセンター条例」、第22号「都市公園条例」、第23号「北3条広場条例」の一部を改正する条例案については、いずれも、利用料、手数料等の値上げであり、市民負担増となることから、反対です
議案第27号札幌市職員定数条例の一部を改正する条例案に反対する理由は、職員定数を203人削減するからです。保護課ケースワーカー6人、学校用務員10人学校給食調理業務委託拡大で15人削減となる上、軌道事業における上下分離導入で93人を委託にする等、本来市の職員が担うべき業務を民間委託して人員削減することは、行政サービスの低下を招き技術の継承や、専門性の蓄積を困難にします。また、同時に非正規雇用の拡大など、本市がワーキングプアを広げるものであり、容認することはできません。
次に本委員会で取り上げた諸課題について局別に申し述べます。
危機管理対策室です。
地震と洪水で避難場所が違う場合もあり、市民がわかりやすい掲示・標識の改善を求めました。本市で避難所が不足する場合を想定し、特に人口が集中している地域から優先して対策を検討するよう、また、地域避難所への最低限の物資の備蓄と、熱中症の懸念から避難所の暑さ対策をすべきです。
総務局です。
高齢化の進展や多様化する福祉制度などに対応するために新規採用はもとより、中途採用においても社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士の専門的な知識や資格を有した市職員を計画的に増やし、専門性が確保できるようにすべきです。
財政局です。
市が発注する工事などで働く労働者の賃金改善について、来年度実施する労働環境実態調査においては、賃金の正確な把握のために賃金台帳での確認等をすべきです。
施設清掃に従事する労働者が受け取るべき賃金について国が定める「建設保全業務労務単価」を時給換算にすると997円になると答弁しました。しかし、本市の調査で全清掃業務従事者の平均賃金は、時給945円です。そのうち総合評価方式契約を除く清掃業務従事者は880円であり、いずれも国の定めより時給が低く特に総合評価以外は、117円も低い実態です。総合評価方式以外の清掃従事者の約3割が最低賃金の835円となっています。
「清掃業務従業者が受け取るべき賃金を受け取れていないという実態を改善すべきではないか」の質問に対し「清掃で働く労働者には、経験や技能に応じた国が定めた労務単価が払われることが望ましい」との答弁がありました。
本市は、引き続き改善の指導を強めるべきです。
新型コロナウイルスの財政支援についてです。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う本市の財政に与える影響と今後の運営に関して質したところ「この度の感染の拡大が、長期化した場合には、ホテルや飲食店などの観光産業の落ち込み、イベント中止、消費マインドの冷え込みに伴う経済雇用環境の悪化等、地域経済に与える影響は大きい」と認識を示し、「今後の状況の進展を適切にとらえ、既往予算による柔軟な執行や補正予算を含めた財政措置による機動的な財政運営を行い、この難局を乗り越えたい」と答弁がありました。
直接かつ大規模な支援策を求めます。
市民文化局です。
LGBTの法的保護と性暴力について質問しました。
パートナーシップ宣誓制度には、婚姻にみられる法的保護はありません。同性婚を事実婚と同様と認めた判例も出され、市としても国に要望し支援すべきです。
#MeTooやフラワーデモで性暴力を許さない運動が広がっています。性暴力被害について「不同意性交等罪」の創設を国へ要望するとともに、本市として差別をなくし多様性を認め合う共生社会へ総合的な施策をすすめるため、人権課を設立すべきです。
消費者センターにおける消費者トラブルについてです。
民法改正に伴い、2022年から成人年齢が引き下げられます。それに伴い、未成年者に対する契約取り消し権が無くなるため、消費者被害から若年層を守るために消費者教育が重要です。市民の財産を被害から守るため、市が積極的に関わり、相談員の増員、資質向上と処遇改善を図ることが必要です。
保健福祉局です。
生活保護についてです。
がん、心疾患などの生活習慣病の予防と早期発見、治療に重要な特定健診の2016年度受診率は、わずか20,3%です。中でも、生活保護世帯の特定健診受診者数は5年間の平均で約400人前後と低調なことから、増加に向けた取り組みを進める必要があります。
受診向上のために受診券を送付すべきです。
また、ケースワーカーについては、高齢者の生活保護世帯が増えていることから、疾病の対応や介護サービス利用など、受給者それぞれの状況に即した適切な支援が求められ、
介護保険についてです。
政府が進める「補足給付」の要件見直しは、特養や老健などの介護保険施設入居者のうち、年金収入が年間120万円から155万円の方たちに、食費であらたに月額2万2000円の自己負担を上乗せするものです。介護施設に入ることができない高齢者を生みだしかねず実態の把握を求めます。
補足給付の見直しは、利用者のみならず介護者家族の家計に重すぎる負担となることから、本市は、制度の改悪に反対すべきです。
障がい者コミュニケーション条例・手話言語条例についてです。
手話は言語であることを明記した手話言語条例と、障がい者コミュニケーション条例では、本市が理解促進に取り組むことを求めています。
条例の認知度が10%程度であることに対し、「高める取り組みが必要」との答弁がなされましたので、さらなる施策を求めます。
また、専従と登録を合わせた手話通訳者は67名で、年間5000件近い手話通訳派遣要請に十分応えることができない実情です。あらゆる場面で派遣できるよう、通訳者の養成を支援し、報償費の改善を図るよう求めます。
子ども未来局です。
児童養護施設の保育士の処遇改善についてです。
児童養護施設で働く職員の多くは、保育士です。しかし札幌市で行っている保育士確保に向けた10万円の一時給付金は、児童養護施設で働く保育士には、支給されていません。支給すべきと質したところ「保育士の処遇に差が生じることは好ましくないので、検討していく」との答弁がありました。早急な対応を求めます。
民間学童保育についてです。
放課後児童健全育成支援事業において、児童が10人未満になり登録を外れた場合、要件を満たすと再登録が認められ助成が受けられるよう要綱が改正されることが明らかになりました。また、条例改正で、新規採用の指導員について研修受講を前提とし、資格要件を認めることで配置基準を満たす猶予ができ、民間学童保育所の運営や人材確保に前進となりました。引き続き支援員の処遇改善と、民間の賃貸建物の学童保育所について、国の制度を活用した耐震化の助成を実施すべきです。また、コロナウイルス感染予防のため、臨時休校に伴う開所に係る運営、感染予防対策費用等の支援について、申請ができないことがないように周知するよう求めます。
経済観光局です。
中小企業・小規模事業所支援についてです。
本市が創設した「新型コロナウイルス対応支援資金」の申請時、特に小規模事業者の認定手続きについて質問しました。「月々の売上が分かる日報など事業者が用意できる資料で申請を可能としている」との答弁でしたので、相談窓口に行く前にあきらめる事業者がいないよう周知することを求めます。国の制度である「雇用調整助成金の特例措置」や、「新型コロナウイルス感染症による小学校等対応助成金・支援金」は、事業者に資産がなければ、助成金の申請もできず、従業員の給与を保障するためには、事業者は融資を受けるしかありません。せめて、融資の利息分など、本市が独自に給付を上乗せすべきと求めます。返済のない助成金など、思い切った補正予算を組み、本市の中小、小規模事業所を守るべきです。
宿泊税についてです。
代表質問の中で、市長は宿泊税の導入を表明しました。
北海道経済部観光局と本市の試算によりますと、3月1日時点と同程度のコロナウイルス感染症の影響が6月まで継続した場合、札幌市は宿泊が約350万人減少、影響額は1200億円にものぼるとしています。
定山渓温泉のホテル経営者は「観光業の下降のスピードはすさまじく、市が思っているより、現場は大変な状況。間違っても、宿泊税の導入はしないでほしい」と話しています。宿泊事業者は、先の見えない苦しい経営状態にあり、コロナウイルス感染症の終息後も、経済回復には長期間かかります。宿泊税導入の表明は白紙撤回すべきです。
環境局です。
本市のエネルギー対策費は、2018年度の約4億7千万円から2020年度予算は、約2億7100万円減の約1億9900万円です。代表質問でエネルギーエコプロジェクト補助金は、設置費が下がり予算を、減らしたと答弁がありましたが、減らすべきではなく、目標を高めた本市の温暖化対策に見合う予算措置とすべきです。
都市局です。
高気密・高断熱住宅の普及についてです。
新築戸建て住宅を「札幌版次世代住宅」にする割合が、45%と増えています。今後「成果目標をスタンダードレベルに変更」するとのことですが、温暖化対策計画との関係で、どの程度CO2が削減されるのか、数値として示すべきです。また、大規模修繕を予定する分譲マンションに対し、「外断熱工法」の実例や、市営住宅での高断熱化実証実験の結果を生かし、高断熱住宅化を促進するよう求めます。
新築戸建て住宅を「札幌版次世代住宅」は増えています。今後「成果目標をスタンダードレベルに変更」するとのことですが、温暖化対策計画との関係で、どの程度CO2が削減されるのか、数値として示すべきです。
みなし仮設入居者支援についてです。
災害救助法に基づき、胆振東部地震で被災した方々が民間賃貸住宅を借り上げた、みなし仮設住宅で生活していますが、入居期間は2年間です。里塚地区などは、市の復旧工事等の影響で2年を超えても、引き続き支援を受けられますが、その他の場合はうけられません。一定期間の家賃補助や支援策を講じるべきです。
市営住宅の家賃減免の見直しについてです。
家賃減免の利用者は受けているのは、生活保護基準以下の所得で、しかも、生活保護を受けていない世帯です。2018年度、全市営住宅入居世帯の実に37%が家賃の減免を受けています。制度の利用者は「減免制度があるから何とか生活できる」と言っています。
アクションプラン2019では、家賃減免の見直しにより、2年間で「9549万4千円」の効果額を見込み、入居者の負担を増やす計画です。減免見直しによるこれ以上の負担増は止めるべきです。
最後に教育委員会です。
学校給食費の値上げについてです。
給食費の値上げは子育て世帯の負担増となります。学校給食費を無償化した自治体が増える中、本市は、「食材費の値上げ」を理由に小学校で月200円、中学校で250円の値上げをするとしています。子育て支援策に逆行するものであり、学校給食費の値上げは、やめるべきです。
GIGAスクール構想にもとづくタブレット端末整備
ついてです。
国のギガスクール構想に伴って、今年度補正予算と来年度予算合わせて69億5100万円を計上し、小中学校の全児童生徒に一人1台、タブレット端末整備を進めるとしています。整備後の通信費、維持管理費は自治体負担であり、子どもたちに使っていた教育予算が圧迫されることは明らかです。GIGAスクール構想は、経産省が作った提言を教育分野に持ち込んだ経済成長戦略です。
文部科学省は中央教育審議会でコンピュータ端末の「デジタル教科書」について健康への不安があることなどを指摘し「全面的な導入を拙速に進めることは適当ではない」と報告しています。今、早急に教育現場で求められているのは、教員の長時間労働や教員不足の解消です。そのための教育予算の拡充こそすべきです。
以上で私の討論を終わります。