私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっております議案第1号、第5号から第7号、第10号から第24号、第26号、第30号から第43号の34件に反対、残余の議案10件ならびに陳情第257号、第258号に賛成の立場で討論を行います。

 議案第1号「札幌市一般会計予算」に反対する理由の第1は、改選前の骨格予算であるべきが、今後時間をかけて議論すべき政策的な予算も含まれているからです。
 市長は、議案の提案説明で、本予算案について、「喫緊の課題に対し間断なく進める必要がある事業についても盛り込んだ」と述べました。
 連携中枢都市圏にかかわる40億7193万8千円や、「AIを活用した研究事業費」3500万円などは、「間断なく進める必要」はなく、時間をかけて議論をすべきものです。改選後の新しい市長と新しい議会のもとで審議すべきものであり、骨格予算案に盛り込むことは容認できません。
 理由の第2は、「創成川通機能強化検討調査費」500万円が計上されているからです。代表質問で、本市が実施した誘導的なアンケートについて質しました。設問は、アクセス道路建設に「期待する」ことにつながる選択肢しかなく、中立性を著しく欠いていました。市民の意思を本市の思惑に誘導したアンケートは問題です。
 また、本市は、アクセス道路建設の必要性について、渋滞が解消される、医療・観光に役立つ、などと説明をしていますが、その根拠は極めて乏しいものでした。創成川通の混雑度は本市の調査でも0.87と最低ランクであり、「渋滞やそれに伴う極端な遅れはほとんどない」状況です。今後建設に進んだ場合、地下構造で総工費1000億円以上、本市負担は200億円以上かかるとされる都心アクセス道路は必要がなく、建設に道を開く予算に反対です。
 理由の第3は、民間再開発促進費に「北8西1地区再開発事業費」6億8,900万円が含まれているからです。北8西1の再開発事業では、当初計画されていた医療施設が撤退し、超高層マンションとホテルやオフィスが中心で公共性に乏しいものとなり、また、地権者の理解と合意を積み上げて事業を進めるという点でも極めて問題です。
 理由の第4は、マイナンバー関連費6億1463万6千円の予算が組まれているからです。
 マイナンバー制度は、国家による国民監視と個人情報の漏えいの危険が伴います。また、その対策のためのセキュリティ強化に必要なシステム改修に際限なく税金を投入することになります。マイナンバー制度は、今からでも中止すべきです。
 理由の第5は、丘珠空港利活用検討費2040万3千円が含まれているからです。本市は、「空港整備に係る基本的な考え方に変わりはない」としながら「利活用に関する検討」を行い、滑走路を300メートルもしくは500メートル延伸させた場合の図を描いて金額を示しました。このような利活用の必要性の強調は、極めて誘導的であり、住民と合意した「滑走路は全長1500メートルとする」という「基本的な考え方」を反故にしようとしているとしか思えず、認められません。
 なお、学校規模適正化関係改修等整備費として、厚別区の上野幌小学校と青葉小学校統廃合後の新設小学校についての費用が盛り込まれています。あえて反対はしないものの、地域住民からはなお、統廃合について「納得がいかない」との意見が出されていることを申し上げます。
 また、本予算案に、子ども医療費助成制度の通院無料の対象を小学2年生まで拡大することが盛り込まれました。全国に20ある政令指定都市のうち、名古屋市や神戸市など11市が中学3年生まで、川崎市や福岡市など6市が小学6年生までであり、小学2年生までしか実施しない本市の通院無料は、最低ランクとなっています。子どもの医療費通院無料化の、中学3年生までの早急な拡大を求めるものです。

 議案第5号「国民健康保険会計予算」に反対する理由は、国民健康保険の平均保険料が引き上がるためです。
 市長は議案の提案説明で「人を大事にすることを原点に据えてきたと」述べましたが、高すぎる国保料の引き下げを求める市民の声には背を向け続けています。
 北海道は2019年度の平均保険料を4,137円引き上げる方針を示していますが、現在でも協会けんぽの2倍と高い保険料をこれ以上引き上げるべきではありません。一般会計からの繰り入れで、保険料が上がらないようにすべきことと合わせて、横浜市のように子どもにかかる保険料を軽減する仕組みを検討すべきです。
 また、資格証明書の大量発行や、差し押さえなどの苛酷な取り立てはやめるべきことも申し添えます。

 議案第6号「後期高齢者医療会計予算」は、75歳という年齢で医療制度をかえ差別するものです。
 来年度からは、被用者保険の被扶養者だった方の保険料の均等割を5割軽減としてきた措置を、加入後2年間限りとし、低所得で均等割を9割軽減してきた方の減額割合を引き下げるなど、被保険者の保険料負担が増えることとなるため反対です。

 議案第7号「介護保険会計予算」に反対する理由は、高齢者の負担となっている保険料の引き下げを行わなかったためです。また、2018年6月末時点で3096人となっている特別養護老人ホームの待機者を解消するための整備を行うべきです。

 議案第10号から議案第22号は、いずれも消費税増税に伴う値上げを含むものであるため、反対です。
 なお、議案第18号「札幌市電車乗車料金条例及び札幌市高速電車乗車料金条例の一部を改正する条例案」には、今年10月からの消費税増税による地下鉄乗車料金等の値上げがあり、反対ですが、障害者運賃半額割引制度に、精神障がい者も対象にした半額割引を実施する改正も含まれています。長年の障がい当事者からの要望が、ようやく本年4月から実施されることとなりました。引き続き、バスとの乗り継ぎ割引についても精神障がい者が適用されるよう求めます。また、このような賛否が分かれる可能性のある内容を、ひとつにまとめて議案提案することは改めるよう申し上げます。

 議案第23号「札幌市職員定数条例の一部を改正する条例案」に反対する理由は、職員定数を67名削減するからです。とりわけ、水再生プラザの運転管理業務の委託化で18名、水道局業務での委託拡大で6名、学校給食の調理業務の委託拡大で9名など、本来本市職員が担うべき業務を民間に委託して人員削減をすることは、行政サービスの低下を招き、技術の継承を困難にします。また、同時に、非正規雇用の拡大など、本市が官製ワーキングプアを広げることにつながるものであり、容認できません。

 議案第24号「札幌市児童会館条例の一部を改正する条例案」に反対する理由は、上野幌児童会館を閉鎖するからです。
 過去の学校統廃合問題について提出された陳情と同様に、住民との話し合いや情報提供が不十分なまま閉鎖を決めたことは重大な問題です。住民に説明し、意見を聴く機会をつくると同時に、跡活用が具体化するまでは児童会館を残し、地域住民が使えるようにすべきです。また、通学の安全は、本市が十分配慮し、責任を持ってその確保につとめるべきです。
 今後、学校規模適正化計画の実施に当たっては、十分な時間をかけて、学校関係者ならびに地域住民との議論をつくすこと、また、統廃合に影響する児童会館や避難所の、設置や廃止の問題も合わせた情報提供の徹底と、討議内容の全面公開を求めるものです。よって陳情第257号、第258号「上野幌児童会館の存続に関する陳情」は採択すべきです。

 議案第26号「札幌市病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案」についてです。
 この条例案は、現在の市立病院の一般病床数701床を、2017年12月から8階 東病棟 休止による病床44床と、インフルエンザの流行など突発的な患者数の増加や災害発生時の緊急対応用として予備的に確保している病床31床を合わせた75床を削減し、一般病床数を626床とするものです。
 質疑において、突発的な患者に備えた病床は「昨年9月の震災を含めた災害で使用することがなかったために整理する」と答弁されましたが、市立札幌病院は、災害拠点病院として、災害時における初期救急医療体制の充実を図るための医療機関であり、24時間いつ災害が起きても緊急対応のできる、受け入れ機能を充実させる必要があります。
 地震などの災害が多発する傾向にあるなか、予備的に確保している病床31床の削減は、災害拠点病院の機能低下が懸念され問題です。

 議案第30号~第43号は、連携中枢都市圏形成に関するものです。
 国は、人口減少・少子高齢化を理由に、すべての自治体がフルセットの行政サービスを行う必要はない、として、連携中枢都市圏構想を進めようとしています。公共施設、サービスなどを周辺自治体と統廃合・集約化すれば、周辺自治体の住民サービスは大幅に後退し、地方衰退を加速させる懸念が生じます。札幌市民のみならず、周辺自治体住民にかかわる問題であり、協定の締結は容認できません。

 危機管理対策室では、避難所の指定、帰宅困難者対策について取り上げました。
 高齢化の進展に伴った避難所の指定にあたっては、自宅から避難所までの距離についても高齢者に配慮したものにすべきです。
 本市は、高齢者に対する配慮として、歩行距離2km圏内に基幹避難所を指定していますが、本市は積雪寒冷地であり、厳冬期では短時間外にいるだけでも凍死する危険があります。高齢者が無事に避難所にたどり着ける場所に避難所を指定、整備すべきです。
 また、本市は、応急備蓄物資は基幹避難所に備蓄しておくことを基本方針としています。そのため、市有施設などの地域避難所には配置されていません。しかし、いつ、だれが、どこで災害に遭うかわからず、また、避難が長期化する可能性もあります。帰宅困難者対策として、基幹避難所だけでなく、市有施設の地域避難所においても備蓄物資を配置することも検討すべきです。

 次に、スポーツ局では「今後のスポーツ行政のあり方」について質疑しました。
 「札幌スポーツ推進計画」を今後見直すとのことですが、ユネスコの体育・スポーツ憲章や、オリンピック憲章、ヨーロッパスポーツ憲章などの国際的基準に沿った、スポーツに参加することの「権利」を明確に示すと同時に、「世界都市」「平和都市宣言」のある本市にふさわしく、スポーツを通じた、世界の人々との相互理解と、交流を促進することを表明すべきです。また、冬季オリンピックパラリンピックの招致については「財政面の透明性を確保する」との答弁がありました。費用を心配する市民の声は多く、財政規模について、今後も全面的な情報提供を求めます。

 次に保健福祉局です。
 「通所介護の送迎に関する課題」についてです。
 通所介護のための送迎車が共同住宅等の前に駐車されることが、住民とのトラブルへと発展するケースがあります。本市からは「実地指導により実態を把握する」旨の答弁がありました。運転手の他にヘルパーを同乗させた場合の報酬規定がないため、本市独自にでも支援を行い、安全・円滑に送迎できるようにすべきです。
 「産後ケア事業」についてです。
 この事業は、1泊2日の宿泊型で8000円、日帰り型が3500円で、市民税非課税世帯と生活保護世帯はそれぞれ半額となりますが、負担が重く利用を躊躇してしまう問題があります。「アンケート調査などで利用者の声を踏まえた検討をしたい」と答弁された通り、経済的な心配をせずに利用できるよう検討すべきです。また「妊娠出産包括支援推進協議会に、病院助産師・行政保健師等の実務者レベルの意見交換を行う場として『妊娠出産包括支援ネットワーク部会』を設置する」との答弁がありましたので、行政によるさらにきめ細かな支援を求めます。

 次に子ども未来局です。
 代表質問で、学童保育について取り上げました。
 国が「従うべき基準」から「参酌すべき基準」へと指導員の配置基準を緩和しましたが、本市は「あえて緩和する必要はない」と、現行の「2名以上」とする配置基準を変えない旨を明らかにしたことは重要です。
 また、文教委員会に「学童保育をなくさないための要綱改定を求める陳情」が付託され、登録児童数が10人未満になると助成金が打ち切られ、その後10人以上になっても校区内に放課後児童クラブがあれば再登録できない問題について訴えがありました。本市の「札幌市児童健全育成事業実施要綱」の第10条の改定を行い、10人未満であっても学童保育所を存続させるしくみを築くことを強く求めます。
 特別委員会では、保育の無償化について質しました。
 国は、幼児教育保育の無償化を今年10月から実施する予定です。しかし、その対象は、3歳から5歳の子どもと、住民税非課税の0歳から2歳の子どもとなっています。そのため、本市では約8000人の0歳から2歳の子どもの保育料が無料にならないことが明らかになりました。本市には「第2子無料化」の制度があり、全ての第2子が対象になれば、8000人のうち相当数の子どもの保育料が無料になるはずですが、本市の「第2子」のカウントのしかたは、「上の子が保育園に在園していること」が条件となるため、第2子であっても、上の子が小学校などにあがっていれば第1子とされ、無料化の対象にならないことは問題です。本市の、上の子の「在園条件」をなくし、無条件で第2子すべての保育料を無料にするよう求めます。
 また、保育料無償化に伴って、あらたに給食の食材費の実費徴収が導入される予定です。市民税非課税の世帯の保育料3300円は無料になりますが、給食の食材費は副食材料費だけでも4500円が徴収される予定で、これまでより負担が多くなる世帯があることを取り上げました。無償化といいながら、負担が増える世帯が生じることがないよう、早急な解決策を求めるものです。

 次に経済観光局です。
 経済センサスの2014年と2016年の比較では、従業者5人未満の事業所が、4万1890事業所から3万8861事業所へと減少しています。本市は「経営資源の不足や事業継承の困難さ」を、その要因として答弁しました。小規模企業が繁栄することが札幌らしい経済発展へとつながるため、小規模企業を育てる支援の強化と、小さな規模を含め、起業しやすい環境整備を求めます。

 次に都市局で、「市営住宅の駐車場に関する課題」について取り上げました。
 高齢化の進展に伴い市営住宅駐車場の空きが増えている一方、訪問介護や訪問看護等のサービスを提供する事業者の市営住宅への車両の乗り入れも増加しています。また、自治会役員も高齢化し駐車場の管理運営にも困難をきたしている状況です。「駐車場の課題については認識している。今後解決に向けて様々な視点で検討したい」旨の答弁がありましたので、「福祉車両駐車スペース」の設置や、入居者の介助をする第三者が利用できる「支援車両駐車場」の周知を含めた支援などに積極的に取り組むことを求めます。

 最後に水道局です。
 「災害時重要管路耐震化事業」の進捗状況は「対象医療機関123ヵ所のうち60ヵ所、49%。基幹避難所311ヵ所のうち22ヵ所、7%」と未整備箇所が多く、基幹避難所については整備が0件の区もあるため早急に事業を進めることを求めます。また福祉避難場所への対象拡大については「2019年度中に配水管の耐震化にかかる計画を統合し新たな計画をつくる際に検討する」との答弁でした。専門家からも「今後、一年間くらいは大きな余震が来る可能性がある」と指摘されており、配水管の耐震化を迅速に進めるよう求めます。

 以上で、私の討論を終わります。