私は、日本共産党を代表して、市政の重要問題について順次質問いたします。
質問に先立ちまして、去る5月20日にご逝去されました自由民主党の故宗形雅俊議員のご冥福を心からお祈りするとともに、謹んで哀悼の意を表します。
それでは質問に入ります。はじめに市長の政治姿勢についてです。
質問の第1は、「働き方改革」一括法案についてです。
安倍自公政権は、労働団体をはじめ全国過労死を考える家族の会など、広範な国民の反対世論に背き、「働き方改革」一括法案を強行しようとしています。
しかし、この法案は、その前提となる労働時間の調査で大量の虚偽データがみつかり、削除せざるを得なくなるなど、本来、提出自体が許されず、白紙撤回すべきものです。
この法案に盛り込まれた「高度プロフェッショナル制度」は、一定の年収がある労働者を労働時間規制から外し、深夜に及ぶ残業や休日労働をしても残業代がいっさい支払われない、文字通りの「残業代ゼロ法案」です。
しかも、週休2日にあたる年間104日間休暇を取れば、24時間労働を48日間連続させても違法とならず、求められる「成果」を出すために労働者が過酷な労働に駆り立てられていくことが懸念されます。
また、過労死ラインとされる残業時間は月80時間ですが、「残業時間の上限規制」法案は、月100時間未満までの残業を合法化するもので、過労死促進・合法化法案というほかありません。
長時間労働が日本社会を覆うなか、痛ましい過労死や過労自殺が後を絶ちません。
市長は、この法案が「過労死の根絶」を願う遺族や多くの労働者の要求に応えるものになっていると考えますか。また、本市の労働者にどのような影響を与えると考えるのかご見解を伺います。さらに、過労死をなくすためにも、厚生労働大臣告示の週15時間、月45時間、年間360時間の残業時間の上限を法制化する必要があると考えますがいかがか、見解を伺います。
質問の第2は、生活保護基準の引き下げの影響と貧困の広がりについてです。
1点目は、政府のすすめ方についてです。
年金、医療、生活保護、障害福祉などの社会保障制度は、国民の権利です。
憲法25条には「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」「国はすべての生活部面において社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と国の責任を明記しています。
しかし安倍政権は、社会保障制度の考え方を「自助」「共助」を基本とし、社会保障の削減を進め、生活保護世帯と生活保護基準以下で暮らす低所得世帯との格差を是正するとし、2013年から3年間連続して生活保護基準の引き下げを行いました。
さらに、2018年10月からも引き下げを強行しようとしています。これにより2013年からの引き下げと合わせると1,480億円の削減になります。
2015年、立教大学の木下武徳教授は、生活保護費の引き下げによる「道内の生活保護利用世帯への影響調査」を行っています。調査では、食費を節約している世帯は90%、うち40%が1日の食事は2回に減らしていると答えており、食糧に事欠く状況になっています。
入浴回数では、2~3日に1回が59%、1週間に1回が21%であり、2005年に時事通信社が全国で行った調査結果との比較では、北海道の生活保護利用世帯の入浴回数が極端に少なく、入浴のための光熱費や水道代の費用負担が重いために入浴回数を減らしている実態が明らかとなりました。
最低限度の生活が保障されるはずの生活保護制度を利用しているにもかかわらず、多くの方が、食事や入浴回数を削り、厳冬期の暖房を節約しているのです。
貧困と格差が広がっている中で、生活保護世帯と生活保護基準以下で暮らす世帯を比べ、最後のセーフティネットである生活保護基準を引き下げていく、このような政府のすすめ方を市長はどう考えるのか、その認識を伺います。
2点目は市民への影響についてです。
給食費や学用品代を補助する就学援助制度は、世帯所得が生活保護基準の1.1倍とされているため、生活保護基準が下がれば、所得は増えないのに制度の対象から外れ、就学援助が受けられなくなります。
このように生活保護基準の引き下げは、最低賃金や住民税非課税限度などの基準、その他、保育料、介護保険料など多くの制度に連動します。
2016年度の指定都市基本施策比較検討調査では、本市の市民所得は一人当たり261万2,000円で、20政令市中最下位です。
2014年の経済センサス基礎調査によると、本市の非正規雇用は45.4%と、全国の37.4%より高く、そのうち女性は60.6%です。年代別では20~29歳の若い層での非正規率が44.3%、そのうち女性は47.4%とさらに高く、男女ともに自立が難しい非正規雇用が広がり、いつ貧困に陥るかわからない不安をかかえています。
市長は、2016年第3回定例会でのわが党の質問に対し「貧困や格差の拡大は非正規社員の増加や年金収入のみでくらす高齢世帯の増加などの要因が関係している」と認識をしめしました。
生活保護基準の引き下げにより、本市で働く多くの非正規労働者や低所得世帯など、市民への影響をどうお考えか、貧困と格差をさらに広げると思いますがいかがか伺います。
3点目は制度のさらなる周知についてです。
日本の生活保護の捕捉率は、専門の研究者の推計で2割程度にとどまっていると言われています。その背後には制度を利用できない生活困窮者が存在しています。
働いていても、年金を受給していても、その収入が生活保護基準に満たない場合など、その不足分を補うという制度の仕組みを知らずに苦労している人たちがいます。
本市は制度に該当するが利用していない方などが適切に支援を受けられるよう、本人からの申請を待つばかりでなく、市民に対し積極的な周知を図るなど工夫すべきと思いますがいかがか伺います。
質問の第3は、北海道日本ハムファイターズの球場移転への対応についてです。
北海道日本ハムファイターズの新球場を核とするBP(ボールパーク)構想建設候補地が北広島市に決まり、残念ながら、現在本拠地である札幌市から移転することになりました。
市民からは「市は球団に対し札幌ドームへの残留をもっと働きかけるべきだった」など、市の対応に批判が相次ぐとともに、地下鉄利用者の減少など経済的な影響と新たな市民負担増を懸念する意見が本市に多数寄せられています。
この間市長は、各地域で、ファイターズが本市から移転となった経緯等について説明していますが、内容は不十分です。
球団との交渉過程とその内容など、市民に対し全面的に情報を公開した上で検証する必要があります。
今年2月に行われた「新球場建設構想フォーラムinまこまない」において、球団側は「2010年代前半に札幌ドームに対して長きにわたってパートナーシップ関係を築いていくフランチャイズ契約を締結しませんかと話したところ結果は残念ながら丁重にお断りされた。そういう経緯もあり2015年に新球場の調査検討を本格化していった」と新球場構想に至った原因を明確に述べています。
この初期段階において本市と球団が、どのような交渉を行ったのかが、その後の対応に大きく関わるため、3月の予算特別委員会のわが党の質疑で本市の認識を伺ったところ、まちづくり政策局の担当部長は、「スポーツ局とドーム社が調整していたので2010年代の事は詳しく承知していない」、また「スポーツ局に確認したが『断った認識はない』」と答弁されました。到底市民の納得できる説明ではありません。
市長は、4月3日真駒内で行われた、北海道日本ハムファイターズ新球場建設構想に係る結果報告会で、「札幌市として今後やるべき事の1つとして、事の経緯、経過をきちっと説明をしていく。説明責任を果たしていかなければいけない」と述べられています。
しかし、2016年以降の経過のみを説明し、2010年代前半について全く述べられていません。
そこで市長にお尋ねいたします。球場移転に至った原因を究明し、球団側が「パートナーシップ関係を断られた事が新球場の検討に傾斜した要因である」とした2010年代前半の交渉経緯を、市長の責任において明らかにしてください。また、この時点で球団側と継続した話し合いにならなかったことは、結果として本市の対応に問題があったと考えられますが、市長の認識を伺います。
次は、市政運営のあり方についてです。
質問の第1は、職員のあるべき姿と職場環境についてです。
2016年度に不祥事を起こして懲戒処分となった職員は39人、過去5年間で最多でした。昨年は10人減ったものの最も処分の重い懲戒免職は増えています。
今月15日には、住居手当合計6,016万円の不正受給とわいせつ行為などで職員6人の懲戒処分と19人の訓告などが報じられ、職員の不祥事が後を絶ちません。
職員の度重なる不祥事は、市民の行政に対する信頼を失墜させ、市民との信頼関係のもとで職務の遂行が求められる市政運営にとって重大な問題です。
市民に感謝され、頼りにされる職員と不正を許さない職場環境をつくることが急がれます。
札幌市自治基本条例では「職員は全体の奉仕者として
公正かつ能率的に職務を遂行しなければならない。この場合において、職員は市民の視点に立って職務を遂行するとともに、市民自治によるまちづくりを推進するために必要な能力の向上に努めるものとする」として、職員は、市民生活と権利を守る役割を担っていることを定めています。
何よりも、不正を無くし、職員がより良い仕事をするためには、市民感覚を大切にすることを基本とし、その声にきちんと耳を傾け、地域・現場の実情把握に努力する職員像とその能力を育むための職場環境が、市政運営上、不可欠だと思いますが、市長のご見解を伺います。また、市民サービスの向上と福祉の充実を中心に、市民に寄り添う働き方こそ全体の奉仕者としての誇りを育み、高い倫理観と規範意識を醸成することになると思いますが認識を伺います。
質問の第2は、職員配置についてです。
職員の削減は、自治体独自の力を大きく後退させるとともに、高齢化と貧困の拡大など、急激に変化する社会環境への対応と住民本位の市政運営を困難にしてきました。
総務省地方公共団体総職員数の推移によると全国の一般行政部門の職員数は、1995年117万4,838人をピークに1996年から19年連続で削減され、2017年には1995年比で25万9,111人、22%の減少となりました。
その結果、各部門への適切な職員配置ができない自治体が全国規模で生まれ、東北三県、熊本県など、被災地が求める応援職員の要請にも応えられない事態です。
連続する職員の削減は、地方自治法が定める「住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する」という地方公共団体本来の役割と能力をも失う結果を生み出しています。これ以上の職員削減はやめるべきです。
本市でも職員の削減により、2017年一般行政部門の職員数は7,318人、人口10万人当たりでは376人で、政令指定都市の平均449.6人と比べ、一般行政部門の職員は73.6人も少ないという状況です。
今後、老朽化したインフラへの対応と福祉施策の充実など高い専門性と経験の蓄積が求められる分野で専門職の役割が一層求められます。
特に貧困の拡大と高齢化の進展に伴い、市民と直接関わり複雑多岐にわたる介護保険制度の仕組を理解した上での活用など、高い専門性と経験、他職種との連携が求められる保護課CWの果たす役割は重要です。
しかし現在、本市の保護課CWは、他の部門と比べ20代60%、30代24%など、圧倒的に若い職員配置です。しかも3年ないし4年での異動のため、ケースワーク知識と技量の獲得には限界があります。
専門職の場合、技能や知識の向上をはかるためには長い経験が必要となり、またその経験を他の者に引き継いでいくことで、専門職としての役割を発揮することができるのです。そうした意味からも、継続的、安定的な職員配置を保障するため、今の短期の異動期間を見直した職員配置を検討すべきと思いますが、いかがか伺います。
また、市民サービスの維持向上はもちろん、経験豊富なCWが職務を通じて習得した知識や経験を若手CWに伝えることが出来るよう年齢構成に配慮した職員配置に見直す必要があると考えますが、ご見解を伺います。さらに、他都市と比べ著しく一般行政部門の職員数が少ないことで、福祉の分野など、高い専門性が求められる部門への適切な職員配置が困難となることは、今後の市政運営上問題だと思いますが、認識を伺います。
質問の第3は、市民への意見募集についてです。
市政運営上、市民への中立公正な情報提供のもと意見募集を行い、各種施策に取り組むことは重要です。
しかし、創成川通の機能強化すなわち都心アクセス道路のアンケート調査では、期待される効果のみを強調する情報が提供され、そのうち複数を選択させるというものでした。
また、今年2月に行われた「真駒内公園」における新球場建設のアンケート調査は、わずか10日間という超短期間であり、内容も球場が建設される場合の配慮と効果に限定されていました。
これらのアンケート調査では、市民の必要性を感じていない意見や反対意見をどのように把握しようとしたのか、具体的に伺います。また市民からは、誘導型の意見募集は市政運営上問題だという厳しい批判がありますが、市長のご見解を伺います。
次に、北海道新幹線の札幌延伸についてです。
質問の第1は、延伸効果についてです。
JR北海道は今月10日、2018年3月期連結決算を発表しました。これによると、本業のもうけを示す営業損益が416億5,300万円の赤字となり、4期連続で赤字額が過去最大を更新し、とりわけ、北海道新幹線の収入が前期比23.1%減の79億円に落ち込み、赤字額は前年の2倍、約103億円となる見込みです。
みずほ総合研究所の「北海道新幹線への期待」と題する分析で、「観光客の多くは容易にはリピーターにならない」として「過去の新幹線の経験から見ると観光効果は長続きしにくい」とのべています。
新函館北斗~札幌間の80%はトンネルで、車窓から北海道の大自然など風景を楽しむことができず、密閉された空間で約1時間も過ごすことになります。これでは、北海道新幹線が観光利用約6割とされていますが、旅行者の観光目的に合致するものではありません。
函館大学の大橋美幸准教授が行った「北海道新幹線の開業効果分析」では、北海道新幹線開業後の東京-函館間の飛行機の旅客数は「5~6%の減少にとどまっている」とのべています。つまり、そのすべてが新幹線への転換だとしても全体の5~6%だということです。
このように東京―函館間で5~6%程度であるのに、北海道の試算によると札幌への延伸効果は、東京などからの航空機利用者332万人のうち84万人、25%が新幹線利用に転換し、交流人口が83万人増えるというあまりにも過大な見通しとなっています。
本市は、北海道の試算による札幌への延伸効果をどのように評価されているのか、その根拠も含めて伺います。
また、北海道新幹線の赤字が倍増していることに、財務省も「JR北海道の経営を一層悪化させる」とのべ、今後の地域交通網の維持に影響を及ぼす恐れがあると指摘しているように、JR単独での維持が困難という路線がさらに拡大されていくことが懸念されます。
北海道新幹線の103億円もの赤字は、JR北海道が維持困難とした全路線の赤字総額160億円に迫るもので、JR北海道の事業見直し計画を根底から崩しかねない事態です。
JR北海道の経営状況が大きく変化している下で、北海道の試算した経済波及効果がそのまま見込めるとお考えか伺います。
JR北海道が全路線の半分以上を「維持困難」とし、道民の足と北海道経済に深刻な打撃を与えかねない事態となっており、それは本市にも及ぶものです。
北海道新幹線の想定を上回る赤字が在来線の維持をいっそう困難にしかねない中、莫大な借金と負担だけが道民、市民に背負わされてしまうという事態になりかねません。新幹線の札幌延伸は、全道民的な議論と計画の再検討が必要だと考えますが、いかがか伺います。
質問の第2は、トンネル掘削に伴う残土処理についてです。
北海道新幹線新函館北斗~札幌間、211kmのうちトンネルが80%を占めますが、その発生土のうち約7割は受入先が決まっていません。
鉄道・運輸機構はトンネル掘削土については、「周辺環境に影響を及ぼさないよう安全管理や水質監視を徹底する」としていましたが、2016年、八雲町の立岩トンネルで掘削した要対策土の仮置き場で、基準値を超える鉛を含む濁水が外部に流出するという事故が発生しました。
札幌~小樽間の札樽トンネルの発生土の受入先が盤渓の昭和採石場に決まりましたが、搬入されるのは、重金属などの有害物質が基準値以下の無対策土だけで、基準値を超える有害物質が含まれる要対策土の受入先はまだ決まっていません。
本市によると「札幌市は自然由来のヒ素を含んだ土壌が広範囲に分布している地域特性」があり、「ヒ素による地下水の環境基準超過は市内全域で確認される可能性がある」といいます。したがって、トンネル掘削工事の期間中、ヒ素など基準値を超える有害物質を含んだ膨大な量の残土が排出されることが想定されます。
また、札樽トンネルの追分通付近からトンネル出口となる石山通までの住宅が密集する平野部7.4kmはシールド工法によって掘削されますが、その発生土が要対策土か無対策土なのか判定し、仕分けするための仮置き場の確保も必要になります。
基準値を超える有害物質を含んだ膨大な残土を積んだダンプが市内中心部や住宅地を走ることが想定され、人体や環境への影響が懸念されます。また、残土の受入地で、有害物質を流出させるなどということがないよう確実な管理と封じ込めができるのかも懸念される点です。
このような市民の懸念や不安に、本市としてどのように応えていくおつもりか。また、発生土の受入地や仮置き場も決まっていない中で、工事を開始するのは極めて問題だと考えますがいかがか伺います。
次は、丘珠空港についてです。
質問の第1は、丘珠空港の利活用に関する検討会議報告書と1998年の「空港整備に係る基本的な考え方」についてです。
2017年7月に発足した本市と北海道による「丘珠空港の利活用に関する検討会議」は、2018年2月に報告書を公表しました。
報告書では、その目的を「丘珠空港に関する今後の方針や計画を策定するものではなく、市民や有識者、関係者などが広く議論するため作成したものである」としています。
1995年にも本市と北海道は、丘珠空港の利活用について行政懇談会を行い、当時ジェット化推進で一致しました。1,400mの滑走路を2,000mにするよう国に働きかけましたが、国は「周辺市街地の状況」や「開発されたプロペラ機の性能」等を考えると、ジェット化の必要はないとの考えをしめし、なにより、住民の反対により、ジェット化できなかった経緯があります。
その後、1997年から98年にかけて、本市は住民説明会を行い、地元意見を踏まえてまとめたものが、1998年「空港整備に係る基本的な考え方」です。
そこでは、住民の反対意見に基づいて「毎年騒音の実測調査を行い、環境基準との関連を検証しながら、空港周辺の生活環境の保全を図っていく」など、5つの基本的考えをまとめました。
にもかかわらず、丘珠空港の利活用に関する検討会議報告書は、住民との合意である「空港整備に係る基本的な考え方」の本筋からそれるものを出してきました。
しかも、滑走路延長に関しては、現在1,500mの滑走路を300m延長し1,800mにするには100億から400億円、500m延長し2,000mにするには250億から550億円の事業費がかかるとの試算も出ており、滑走路の延長を行えば、最大550億円もかかる巨大事業になります。
本市は「空港整備に係る基本的な考え方に変わりはない」と、のべていることに対し、報告書は矛盾するものであり「滑走路を延長するのか」という地域住民の不安と不信を招くものです。
報告書には、丘珠空港に関する今後の方針や計画を策定するものではないと書きながら、「今後市民の意見を聞く」ですとか「空港の利活用を検討する」などとしていることから、報告書が何をしようとするものなのかわからないという市民の声があります。
このような市民の懸念に本市としてどう応えるのか、報告書の目的は何にあるのかを明らかにしてください。
質問の第2は、創成川通機能強化との関連についてです。
報告書では「丘珠空港は観光利用が少ないが、外国人観光客が札幌に多く来訪している。観光客が札幌市を訪れるため都心部から近い丘珠空港の優位性がある」などと報告されていますが、総合交通調査特別委員会でのわが党の質問に対し、本市は、北海道を訪れたインバウンド観光客の内、どれくらい丘珠空港を利用したのか数字は把握しておらず、根拠も不十分なまま単に丘珠空港の需要が伸びるであろうとしているにすぎません。
それどころか、新幹線の札幌延伸により主要路線となる丘珠・函館便の大きな影響は避けられず、減便の可能性もあります。
さらに、空港アクセスとして「都心アクセス整備により、丘珠空港から都心までの車による移動時間は約8分短縮される」と書かれていますが、アクセス道路の建設が決定していない現段階で、時間短縮が丘珠空港利活用の報告書で使われ、あたかも都心アクセス道路の整備形態が高架や地下構造で決まったかのように描いていることは大問題です。
丘珠空港の必要性をクローズアップして、極めて根拠に乏しい効果を並べ立て、札幌商工会議所が熱望する都心アクセス道路と丘珠空港滑走路の延長を優位に進めようとするものであると言わざるを得ませんが、いかがか伺います。
次は、「学校規模適正化」の名による学校統廃合についてです。
質問の第1は、地域における学校の役割についてです。
学校には、図書館、プール、体育館などがあり、それを地域に開放し、生涯学習や健康づくり、文化活動の場として地域の大人が利用しています。
また、本市の「避難場所基本計画」における収容避難所の基幹避難所であり、最大想定避難者数を収容する、災害対応拠点となっています。
さらに、児童会館は「1小学校区1児童会館」の配置が基本とされ、小学校があることで、乳幼児から高校生までの地域の子どもたちが豊かに育つ活動拠点のひとつが整備されるしくみとなっています。現在町内会の会合など地域ぐるみで活用されています。
本市の「立地適正化計画」によると、「持続可能な居住環境形成エリアでは、人口減少が進む中においても、持続的な地域コミュニティの形成や生活利便性・交通利便性の確保により、良好な居住環境を目指す」としており、学校が果たす地域コミュニティの役割は、人口減少下においてますます重要になるものと考えます。
学校の地域における役割について、本市はどのように認識されているでしょうか。このことを伺った、2017年3月の予算特別委員会では、「まちづくりの観点も踏まえながら検討することは必要である」として、明確な答弁を避けられました。
改めて、学校が地域で果たしている役割について、その認識を伺います。
質問の第2は、4月に出された新たな「学校規模適正化に関する基本方針」についてです。
本市は、小学校は12学級以上、中学校は6学級以上を「適正な学校規模」とし、それに満たない学校を「適正化」と称して統廃合を進めてきました。
2004年の中央区の4小統廃合を皮切りに、厚別区、南区などこれまで15の小中学校を8校へと統廃合を進めてきました。今後さらに8校を4校へ統合する計画です。
対象にされた地域は、反対の署名運動が行われたり、議会へ陳情が出されたり、さまざまなハレーションが起こることになりました。
現在進行中の上野幌小学校と青葉小学校地域では、新しい学校名や通学上の安全対策などに議論のテーマをシフトして2020年に新設しようとしています。
地域では、賛成の声がある一方で、「青葉地域に学校がなくなれば、子育て世代は離れ、来なくなる」、「統廃合問題は延期か白紙にしてほしい」との声が今なお、多く出されています。
また、統廃合が行われることを知らない住民も多く、それを知ると、「12学級以下だからと統廃合の対象校にするのは機械的すぎる」、「地域住民の意見に耳を貸さないのは、あまりにも官僚的で納得いかない」といった声も多数あり、不安や懸念が尽きません。
1点目は、「基本方針」の中で、「検討期間の長期化と参加者負担の増大」と記されている点についてです。
これまで、地域住民の発意による統廃合の要望が出されたことはなく、常に、本市が「適正化方針」を一方的に示し、「この規模が適正」と決めつけて、それに満たない学校の統廃合を行うことを当該学校や地域に知らせたことから始まるものでした。
今回の「基本方針」では、「小規模校検討委員会の検討期間の長期化と参加者負担の増大」があげられ、その説明では、「議論が長期化し、検討委員会に参加している方々の負担が大きくなっている」、「不確定な状態が長引くことで保護者の方々などの不安を招くこともある」と書かれ、迅速な検討の必要性を強調しています。
しかし、学校は地域コミュニティの重要な核であり、そうであるがゆえに住民の意見が分かれるのは当然で、議論は長期化するものです。
検討委員会の参加者に負担をかけ、保護者の不安を招いているそもそもの原因は、統廃合を示す本市にあるのです。
あたかも、迅速化が必要であるかのように描いていますが、負担をかけ、不安を招くことを本気で避けようとするならば、市教委が統廃合対象を示して議論を開始させるやり方を改めるべきだと考えますが、いかがか、伺います。
2点目は、「学校規模適正化の取組を加速させる」ことについてです。
地域住民による発意ではなく、本市から統廃合を提案する以上、繰り返しますが、住民の意見が分かれるのは当然のことです。
保護者・住民との合意のない統廃合を強行することはあってはなりません。時間をかけた徹底した議論と、納得のいく合意のもとで結論を得なければ、コミュニティそのものを壊してしまう可能性すらあるのです。
これまでも、反対運動や議会陳情があったなかで議論が十分行われたとは言えず、統廃合そのものを知らなかったという住民すら残したまま結論を出してしまっているのが実態です。
本市が見直す「議論の迅速化」とは、市民議論を置き去りにし、結論ありきで統廃合を進めるきわめて乱暴な方針だと考えますが、いかがか。民主主義的議論について、本市はどのようにお考えなのか、伺います。
最後に、介護保険の総合事業におけるサービスの提供と利用実態についてです。
安倍政権は、2014年「医療介護総合確保推進法」と2017年「地域包括ケア強化法」で介護保険法の改正を行い、国民に負担増・給付減を押しつける改悪を強行してきました。
2014年の法改正により、「要支援1・2」と認定された人の訪問介護・通所介護が介護保険の給付から外され、代わりに自治体が「新総合事業」を行うことになりました。
この予算には上限がつけられ、各自治体には「給付の効率化」の名による大幅な給付費の抑制を求められており、本市も例外ではありません。
これまで介護報酬は、ひと月ごとの金額でしたが、総合事業に移行したことにより、一回ごとの金額となりました。さらに訪問型では、利用時間ごとに単価が定められ、例えば、45~60分未満の訪問型サービスを週1回(月4回)利用した場合、従前は1,168単位でしたが、総合事業導入後は1,044単位にしかならず、約11%の減少となっています。
また、高齢者は体調の変化も大きく、週に一度のサービスが一回キャンセルになれば、その分の介護報酬が入らなくなり、介護スタッフがサービス提供のために出勤していても収入を得られないことになります。
こうした総合事業の仕組みが事業所の経営をひっ迫させることから、おのずと事業所は要支援の高齢者を受け入れることが難しくなります。
利用者の不利益にならないようにと努力して受け入れても、「昨年同時期と比べ130万円以上の減収になっている」という、デイサービス事業者の実態も聞いています。
ある調査では、「総合事業実施前と比較して、事業所の経営状態が悪化したのは、通所介護で約4割、訪問介護で約3割」という結果も出されており、事業所が経営維持のために軽度者の受け入れを制限せざるを得ない実態が報告されています。
本市は、新総合事業の導入にあたり、「急増する高齢者に対応し、専門的サービスを重度者に重点化するためのものであり、その運営にあたっては介護予防をより一層推進して、元気な方を増やすことが重要だ」との考えを示されましたが、今の事業所の経営実態では予防サービスが受けられなくなる高齢者を増やすことになり、元気な方が増えなくなるのではないでしょうか。
本市は、2016年3月の予算特別委員会でのわが党の状況把握を求める質問に対し、「事業所の運営状況等について定期的に調査を行ってきた」、「利用者、家族からの相談、懇談の場で寄せられた意見などを含め実態把握に努める」と答弁されていますが、あらためて具体的な事業所の実態把握をすべきだと考えますが、いかがか。あわせて、要支援等と認定された利用者とその家族の希望が、そのまま反映されたサービス利用実態になっているかを把握することが、介護予防をいっそう推進する要になるため、実態を把握すべきだと考えますがいかがか、伺います。
以上で、私の質問のすべてを終わります。
ご清聴、ありがとうございました。
秋元市長 答弁
全体で6項目にわたりご質問をいただきました。私からは、1項目目の私の政治姿勢に関するご質問。そして、2項目目の市政運営のあり方についての2項目についてお答えをさせていただきます。その余のご質問に対しましては、担当の吉岡副市長、岸副市長、教育長からお答えをさせていただきますのでよろしくお願いいたします。
まず私の政治姿勢についてのご質問にお答えをさせていただきます。
1項目目、「働き方改革」一括法案についてでありますが、長時間労働による過労死は大変痛ましく、ご本人やそのご家族はもとより、社会にとっても大きな損失であり、働き方改革については、働く人の視点に立ち、経済界や労働界が一体となって社会全体で進めていく必要があるものと考えております。
今回の法案につきましては、労働時間に関する制度の見直しを始め、改正内容が多岐にわたっており、市内の企業や労働者にとっても影響が大きいものと認識をしております。
現在、国会において様々な議論がなされているところでありますが、今回の改正により、労働者が安心して健康に働くことができる環境となるかどうか、ということを念頭において、十分に審議をしていただきたいと考えております。
次に、生活保護基準の引き下げの影響と貧困の広がりについてであります。
1点目の政府の進め方についてでありますが、生活保護基準の見直しは、国の社会保障審議会の生活保護基準部会における専門的・科学的見地からの検証結果を踏まえて実施されておりますことから、議論の進め方は適正におこなわれているものと認識をしております。
2点目の市民への影響についてでありますが、国は、国の他の制度や、地方自治体のおこなう事業などについて、それぞれの制度の主旨や目的、実態を十分考慮しながら、できる限り保護基準の見直しの影響が及ばないように対応することを基本方針としているところでありまして、札幌市といたしましても、今回の基準見直しが市民生活に極力影響を与えることのないよう、今後も国の動向を注視しつつ、対応してまいりたいと考えております。
3点目の制度のさらなる周知についてでありますが、生活保護制度につきましては、各区保護課での案内の他、札幌市のホームページでの情報提供、ライフライン事業者における生活保護制度のチラシの配布など、様々な手段を通して周知を進めているところであります。また、生活困窮者自立支援制度の相談窓口であります「ステップ」や「ジョイン」においても、生活保護制度に関する情報提供の他、必要な方には生活保護の申請に同行するなど、単なる周知に留まらない積極的な支援をおこなっております。今後も引き続き、生活保護制度の周知等を図ってまいります。
次に、3項目目、北海道日本ハムファイターズの球場移転への対応についてであります。ファイターズといたしましては、札幌ドームにおけるハード面の課題や運用面での自由度などの観点、さらには近年のアメリカのメジャーリーグの球場を調査・研究した結果、選手が最大のパフォーマンスを発揮でき、ファンが様々な楽しみを体験できるような理想とする環境を実現するためには、札幌ドームの継続利用ではなく、あくまでも新球場の建設を目指すに至ったものでありまして、今回のボールパーク構想に関する協議過程の中で、過去の対応が直接問題になったことはございません。
次に、2項目目、市政運営のあり方についてお答えをいたします。
まず職員のあるべき姿と職場環境についてであります。札幌市職員人材育成基本方針におきまして、目指す職員像として、「市民の視点に立って考え、行動し、期待に応える職員」ということを掲げ、職員の育成に取り組んでいるところであります。私が市長に就任して以来、市民感覚を大切にして仕事を進めるよう、職員に直接語りかけるとともに、管理監督者に対し、そういった視点を持って、職場づくりをおこなうよう伝えてきたところであります。引き続き、これらを徹底することにより、市民サービスや職員としての資質の向上に取り組んでまいります。
次に職員配置についてでありますが、職員が業務に精通することはもとより、多様な経験を積むということも重要と認識しており、福祉職場を始め、各職場の職務の専門性、職員の適性、年齢構成など全体のバランスを見極めつつ異動をおこなっております。また、業務の効率化などによる職員数の見直しを進める一方で、行政需要の高い福祉分野などには重点的に職員を配置してきたところであります。引き続き、限られた資源の中で質の高い行政サービスを提供していくため、適切に職員を配置していまいります。
次に、市民への意見募集についてであります。ご質問にあります、創成川通の機能強化及び真駒内公園における新球場建設に関するアンケート調査は、その時点で提示できる内容をもとに、これらの施策を検討するにあたっての参考とする目的で実施したものであります。これらのアンケート調査の内容は、選択項目以外にも自由に意見を記載できる欄を設けることにより、市民から様々なご意見を伺うことができたものと認識をしております。
私からは以上でございます。
吉岡副市長 答弁
私からは3項目目、北海道新幹線の札幌延伸について、4項目目、丘珠空港について、2項目についてお答えいたします。
最初に3項目目、北海道新幹線の札幌延伸についての延伸効果についてでございます。
北海道では、平成25年6月に北海道新幹線札幌延伸による経済波及効果を公表しており、その試算にあたりましては、既存新幹線の事後調査結果なども用いながら、経済波及効果や建設投資効果、交流人口などを一般的な推計手法で予測しておりますことから、妥当なものであると認識しております。北海道新幹線は、札幌延伸により、初めてその効果が最大限発揮されるものでありまして、JR北海道も収支の改善が期待されるということでありますので、札幌市といたしましても引き続き北海道や沿線自治体と連携しながら、北海道新幹線札幌早期開業に向けて取り組んでまいります。
2点目のトンネル掘削に伴う残土処理についてでございます。札幌市といたしましては、鉄道・運輸機構に対し、要対策土などの建設発生土の取扱について、関連法の遵守及び各種管理の徹底を求めますとともに、説明会などでは丁寧な情報提供に心がけ、市民の皆様のご懸念やご不安の解消に努めてまいります。また、早期の札幌開業に向けては、着実な事業の推進と並行して、受け入れ地を確保する必要がありますことから、引き続き鉄道・運輸機構と連携・協力しながら、要対策土搬出先の早期決定に努めてまいりたいと考えているところでございます。
次に4項目目、丘珠空港についてでございます。最初に丘珠空港の利活用に関する検討会議報告書と、1998年の「空港整備に係る基本的な考え方」についてでございます。今回の報告書は、丘珠空港を利活用するために幅広く検討した情報を、市民の皆様との議論などの土台として共有することを目的に、取りまとめたものでございます。今後、報告書の内容につきましては、市民の皆様との情報共有を図り、ご意見を伺うこととしておりまして、その際には「空港整備に係る基本的な考え方」を念頭に議論を深めてまいりたいと考えているところでございます。
次に、創成川通機能強化との関連についてでありますが、空港アクセスの利便性向上に関しましては、これまでも創成川通機能強化も含め、様々なご提案やご意見をいただいておりましたことから、今回の報告書でも、創成川通機能強化だけではなく、これらの提案なども含め、その概略の検討結果をお示ししたものでございます。
私からは以上でございます。
岸副市長 答弁
私からは、ご質問の中の6項目目、介護保険の総合事業におけるサービスの提供と利用実態についてお答えをさせていただきます。
総合事業の利用者数は、平成29年度の期間内におきましては増加傾向にあり、事業所の運営状況によってサービス利用が制限されている状況にはないものと認識をしております。介護支援専門員を通じた利用者の声としては、月単位ではなく、時間や回数に応じた料金体系になったことにより、自己負担分が安くなったなど、様々なご意見を把握しているところでございます。札幌市ではこれまでも、事業所の運営状況や、介護サービスの利用状況等について調査をおこなってまいりましたが、引き続き実態を把握し、適切な事業運営に努めてまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
長岡教育長 答弁
5項目目、学校統廃合については私からご答弁させていただきます。1点目、地域における学校の役割についてと、2点目、新たな「学校規模の適正化に関する基本方針」に基づく議論の方法について、お答えをいたします。
学校は災害対応なども含め、地域で様々な役割を担っておりますが、まずは子ども達が主体的に学ぶことを通し、社会において生きる力を育むための場でございます。子ども達がたくましく、豊かに育つためには、少なくともクラス替えができる規模の集団の中で切磋琢磨し、様々な人と関わりながら、社会性や協調性、他人を思いやる心、多様な価値観等を育むことが何よりも非常に重要でございます。子ども達の教育環境をより良いものにするべく、これまで関係の方々にご議論をいただきながら、学校規模の適正化に取り組んできたところであり、今後も同様に、新たな基本方針に基づき丁寧に取り組みを進めてまいります。
私からは以上です。