私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となっております議案63件中、議案第1号 一般会計補正予算(第4号)、議案第3号 国民健康保険会計補正予算、議案第4号 介護保険会計補正予算、議案第5号 下水道事業会計補正予算、議案第7号 特別職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案の5件に反対、残余の議案58件ならびに陳情第245号「介護保険第1号被保険者(65歳以上の高齢者)の平成30~32年度介護保険料の負担割合適正化を求める陳情」に賛成の立場で討論を行います。
議案第1号に反対する理由の第1は、北海道空港株式会社株式譲渡に伴う債務負担行為が盛り込まれているからです。
1961年当時、本市は、千歳空港利用者の約9割が札幌市民および札幌への来訪者であることから、交通利便性確保のため、北海道空港株式会社(HKK)に300株を出資しました。このたび、道内7空港一括民間委託化にむけた公募にHKKが応じるため、自治体からの出資を解消しなければならず、7億2,000万円の株式譲渡が行われるとしています。
民間委託化されれば、安全性や公共性を確保する公的責任があいまいになり、コスト削減のために防災・老朽化・安全対策などが弱められる危険性や、空港同士の競争で不採算路線の廃止・縮小につながる懸念があることから賛成できません。
理由の第2は、議案第7号にかかる事務手続きのための予算が含まれているからです。
理由の第3は、2018年4月の改正障がい者総合支援法の施行等に伴う「高齢・障がい福祉システム」の改修に関する予算が、盛り込まれているからです。
障がい者総合支援法により、65歳を迎えた障がい者は原則的に介護保険に移行させられることになり、それまで無料だった利用料が一部自己負担になる場合もあります。
65歳を境に、生活の質と水準が引き下げられることがあってはならず、「介護優先原則」は撤廃すべきです。
理由の第4は、今年6月に公布された介護保険法の改正等に伴うシステム改修に関する予算が含まれているからです。
この法改正によって、高齢者等が長期療養する介護療養病床を廃止し、代わりに介護医療院が導入されますが、人員配置基準の緩和によるサービスの質の低下が懸念されます。また、一定以上の所得がある人の介護保険のサービス利用料が2割から3割へと負担が増えることになります。
これら制度改悪は問題であり、それにかかわるシステム改修に反対です。
よって関連する議案第4号 介護保険会計補正予算にも反対します。
次に、議案第3号 国民健康保険会計補正予算についてです。
これまで高額療養費・高額介護合算療養費制度の70歳以上の自己負担限度額は、一律8万100円でした。
今回の制度改正により、課税所得380万円以上は16万7400円へ、690万円以上は25万2600円へと自己負担限度額が引き上げられることになり、それに伴うシステム改修費となっています。
高齢者は収入が少ない一方、医療負担の支出が多く、いっそうの受診抑制や重症化が進み、かえって医療費を増やすことになります。
このような負担増により、医療を受けたくても受けられなくなる市民が増える懸念があるため反対です。
次に、議案第5号 下水道事業会計補正予算についてです。
「水処理施設総括管理業務」を民間委託するための1億5,000万円の債務負担行為となっています。
民間に委託すれば、本市職員の技術力の維持・向上や、人材育成が困難になります。また、人員削減も伴うことから、反対です。
次に、議案第7号「特別職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案」についてです。
特別職の期末手当の支給月数0.05月分引き上げを、国の幹部職員に準じて行わなければならない法的根拠はありません。厳しい生活を余儀なくされている市民から理解を得られるものではなく、反対です。
議案第12号から第53号までの「公の施設の指定管理者の指定の件」の諸議案についてです。
代表質問で、本市が指定管理者制度を「効率的な施設運営を図る」ために導入することは、結果として官製ワーキングプアを生み出す問題について取り上げました。本市は、「非正規から正規職員への転換に向けた提案がある場合には、それを高く評価することで、安定的な雇用を促している」、また、有期雇用者の無期雇用化については、「労働関係法令の遵守について業務検査で確認している」と答弁されています。
しかし、書類上の検査だけでは十分な把握はできません。東京都板橋区などで取り入れているように、今後は、外部からの社会保険労務士による現地確認・従業員面接・ヒアリングを行い、指定管理者のもとで働く従業員の実態把握と、指定管理者への改善の指摘などができるよう、客観的モニタリング制度を導入すべきであります。
以上で私の討論を終わります。