私は、日本共産党を代表して、市政に関わる重要問題について順次質問いたします。

 最初に、市長の政治姿勢について伺います。
 質問の第1は、日露領土問題についてです。
 ロシアのプーチン大統領が来日することになり、安倍首相との首脳会談で北方領土問題がどのように話し合われるのか注目されています。
 安倍首相は、今年が「日ソ共同宣言」発効から60周年となる節目であり、「新しいアプローチ」で領土交渉にのぞむと語っていますが、歯舞、色丹の「2島先行返還」で平和条約を締結するとの声が政府内にあるという報道もあります。もし、そうであるなら、重大な落とし穴に落ち込む危険があります。
 平和条約を締結すれば、どんな留保条件をつけようと両国間での公式の国境画定となり、それ以上の領土交渉は事実上不可能となります。それは、この2島返還で平和条約を結ぶという、1956年の「日ソ共同宣言」でのソ連側の主張への全面屈服であり、歴代日本政府の60年にわたる立場を自己否定するものです。
 1点目は、日本政府の主張の根本的な弱点についてです。
 道民の悲願である領土問題をどうすれば前進させることができるのか、この点で、この60年間、領土交渉を前進させることができなかった問題の中心に、日本政府の主張の根本的な弱点があります。
 日本政府は、1951年に締結されたサンフランシスコ平和条約、2条C項で、「日本国は、千島列島……に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する」と宣言し、千島列島の領有権を放棄しました。ところが、その後、政府は「国後、択捉は千島列島には含まれていない」と主張しはじめ、北海道の一部である歯舞、色丹を含む4島を「北方領土」と呼んでその返還を求めてきました。
 しかし、この主張は、得撫以北の北千島を最初から領土要求の対象にしないという根本問題にくわえて、国後、択捉の返還を求める主張としてもまったく道理のないものでした。
 1951年のサンフランシスコ会議で、日本側全権の吉田茂首相は、演説のなかで、国後、択捉の両島を「千島南部の二島」と呼び、得撫などについても「得撫以北の北千島諸島」と呼んでおり、国後、択捉から北千島の全体を「千島列島」とみる立場を明確に表明しています。
 また、サンフランシスコ平和条約を批准した日本の国会でも、西村熊雄条約局長(当時)は、「(サンフランシスコ)条約にある千島列島の範囲について、北千島と南千島の両者を含むと考えております」と、日本政府の公式見解としてくり返し表明していました。
 この歴史的経過をみれば、「国後、択捉は千島列島には含まれていない。だから返還せよ」という日本政府の主張は成り立つものではなく、世界に通用しないと考えますがいかがか、市長の見解を伺います。
 2点目は、返還交渉にあたって日本政府が確立すべき立場についてです。
 日露領土問題の根本に、「領土不拡大」という第2次世界大戦の戦後処理の大原則を踏みにじったソ連の横暴と連合国の追随があります。
 第2次世界大戦のさい、連合国は、「領土不拡大」を戦後処理の大原則にするとくり返し宣言し、対日戦の戦後処理についても、連合国は、1943年の「カイロ宣言」で、「同盟国は自国のために利得も求めず、また領土拡張の念も有しない」と宣言しました。
 ところが、1945年のヤルタ会談で、ソ連のスターリンが対日参戦の条件に「千島列島の引き渡し」を要求し、アメリカ、イギリスがこれに応じ、そして、サンフランシスコ平和条約では、アメリカの要求で「千島列島放棄」の条項が盛り込まれました。これは、連合国自らが掲げた「領土不拡大」という戦後処理の大原則に反するものであり、この不公正にこそ正面からメスを入れるべきです。
 いったん結んだ条約であっても、それが世界の道理に反するものであれば、廃棄・無効化することは不可能ではありません。そのことは、サンフランシスコ平和条約第3条で日本は沖縄の施政権を奪われながら、この3条を廃棄することなく沖縄の本土復帰を果たしたことにも示されています。
 日本政府は、ヤルタ協定による「千島列島の引き渡し」とそれにもとづくサンフランシスコ平和条約での「千島列島の放棄」は、「領土不拡大」という第2次世界大戦の戦後処理の大原則に反するという立場を明確にし、千島関連条項の廃棄・無効化と、千島列島の全面返還を内容とする平和条約の締結にむけた交渉を行うべきです。
 政府が、こうした戦後処理の不公正をただすという立場にたってこそ、国際社会の理解を広げ、領土問題を前進させることができると考えますが、いかがか見解を伺います。
 質問の第2は、南スーダンPKOへの新任務の付与についてです。
 政府は、南スーダンPKO(国連平和維持活動)に派兵されている自衛隊に、「駆け付け警護」「宿営地共同防衛」などの新任務を付与し、先月20日、陸上自衛隊青森駐屯地から先発隊が、30日には主力の第1陣が南スーダンに派遣されました。
 新任務の付与によって、自衛隊が、戦後初めて海外での戦闘で「殺し、殺される」最初のケースになりかねない事態となっています。
 南スーダンでは、2013年12月以降、大統領派と副大統領派の内戦がはじまり、昨年8月には「和平合意」が結ばれたものの、今年7月には首都ジュバで大規模な武力紛争が発生しました。政府は、これについて「衝突は起こっているが戦闘ではない」などといいますが、このような詭弁は通用するものではありません。
 11月1日に公表された国連特別調査報告書は、7月の戦闘では大砲や戦車、攻撃ヘリが総動員され、国連南スーダン派遣団(UNMISS)の施設にある建物182棟が銃撃やロケット砲によって被弾し、複数の住民保護施設も攻撃を受け、少なくても73人が犠牲になり、中国のPKO隊員2名が死亡したとのべ、キール大統領とマーシャル前副大統領との「和平合意」は「崩壊」したと断定しました。
 これは、「紛争当事者間で停戦合意が成立していること」という「PKO参加5原則」が崩れていることを明確に示すものだと考えますが、いかがか見解を伺います。また、「PKO参加5原則」が満たされていない以上、自衛隊を南スーダンから撤退させるとともに、非軍事の人道支援、民生支援に転換すべきだと考えますが、いかがか伺います。

 次は、市有施設の煙突アスベスト問題についてです。
 緊急点検の結果、アスベストのはく落が学校を含む計43施設で確認され、暖房や学校給食の停止など市民生活に影響を与えています。国に対して虚偽の報告を行ったことは極めて重大問題であり、本市はアスベストに対する認識が軽薄であったと言わざるを得ません。
 質問の第1は、本市のアスベストに対する認識についてです。
 1点目は、2006年に実施した「ボイラー煙突の煙導状況調査」時の認識についてです。
 先月15日の文教委員会の答弁で、担当部長は「内壁の剥落がないかどうか」を調べるのが目的で「アスベストの存在を前提とした調査ではない」当時「アスベストの意識はおそらく全くなかったのではないか」とのべています。
 改めて伺いますが、当時の調査の際、煙突の断熱材にアスベストは含まれていないと考えていた、ということですか、明確な答弁を求めます。
 この調査の前年、2005年6月に、兵庫県尼崎市の大手機械メーカー・クボタの工場で働く従業員74人が、アスベスト関連病で過去に死亡していることが明らかになり、工場周辺に住む住民にもアスベストによる中皮腫が広がった、いわゆる「クボタショック」が大きな社会問題になりました。これを契機に、翌2006年には大気汚染防止法や労働安全衛生法施行令、石綿障害予防規則など一連の改正が行われました。このなかで、2006年1月に都道府県知事・政令市長あてに公布された「大気汚染防止法施行令の一部を改正する政令及び大気汚染防止法施行規則の一部を改正する省令」は、アスベストが使われている建築物の解体作業等における特定粉じんの飛散防止の措置を拡充・強化するとして、吹き付けアスベストだけでなくアスベストが含まれる断熱材なども対象にしました。その「断熱材」には「煙突用断熱材」も明記されています。
 そして、これを受けて本市では札幌市生活環境の確保に関する条例等の改正が行われました。その第52条は、「『建築物等』を解体し、改造し、又は補修する作業を伴う建築工事を施工しようとする者は…大気汚染防止法第2条第12項に規定する特定建築材料の使用の有無を調査しなければならない」とされています。この「特定建築材料」に「煙突用断熱材」が含まれていることはいうまでもありません。
 この条例改正は2006年12月に公布され、施行されたのは翌2007年1月です。学校のボイラー煙突調査業務も同年1月に報告書がだされていますが、それでもこの調査のさい、煙突用断熱材にアスベストが含まれているという認識はなかったということなのか、改めて伺います。
 2点目は、2006年の調査後の処理と対応についてです。
 2006年の調査報告書によると、煙突に使われていた断熱材はカポスタックとニューカポスタックであり、アスベストの含有量は70%~90%で発がんリスクの高いアモサイトが多く含まれています。調査を行った150校のうち53校の煙突内部に「突起物」「灰出し口に灰の堆積」が確認され、中には灰出し口の蓋が外れている、ずさんな管理をしている箇所もありました。
 その後、ボイラーは運転しており2006年から10年間の間、アスベストが飛散しつづけていた可能性は否定できないと考えますがいかがか。また、調査の結果、13校で煙突の改修工事が行われましたが、アスベストへの対策が施されていたのか伺います。加えて調査で確認された灰は、当時誰がどのように処理をしたのか伺います。
 3点目は、実証実験についてです。
 先の委員会でわが党は、ボイラーの稼働時と停止時では、測定したときの測定濃度に差が生じることを指摘し、ボイラーの稼働時を想定した実証実験を行うべきと求めましたが、本市は「技術的に難しい」と答弁しました。
 しかし、学校保護者や市民からは「ボイラー稼働時にアスベストの飛散はなかったのか」などの不安の声が寄せられており、専門家からも今回の測定調査を疑問視する声があがっています。
 NPO法人東京労働安全衛生センターが2010~2011年、劣化した煙突7本で、アスベストが周りに飛散しない措置を講じてボイラー稼働をさせた結果、いずれも煙突の出口で基準値の9~100倍以上のアスベスト濃度を記録しました。断熱材が落下した瞬間も、濃度が基準値を上回ったと報告しています。
 専門家によるとボイラーを稼働した状態で測定できるインピンジャー法という方法もあると聞きます。
 アスベストが飛散した可能性はあると市長も言うように、どれだけ飛散した可能性があるのか明らかにすることは市民の健康を守る本市の責任ではないかと思いますが、いかがか伺います。改めて専門家の意見も聞きながら実証実験をすべきと思いますが、そのようなお考えはないのか伺います。
 質問の第2は、民間施設への対応についてです。
 今回市有施設の煙突内のアスベストが大きな問題になりましたが、報道によると民間施設を含めるとアスベストが含まれ劣化しているという煙突が全国で約5万本もあるとも言われています。
 本市において民間施設でどれだけのアスベストが使用された煙突があると把握しているのか。またそれに対してどのように対応していくのか伺います。

 次は、都心アクセス道路についてです。
 創成川通の混雑度は0.87と、4段階ある混雑度の中で最低ランクです。国道36号線の豊平3条1丁目、豊平橋付近の混雑度1.93と比べても混雑度は半分以下であることからアクセス道路の建設は必要ありません。交差点改良を中心とした道路整備を行うべきであります。
 本市は、急速な少子高齢化と人口減少による交通量減少時代到来のなか、「これ以上道路はいらない」という世論がおきないよう将来の交通量を除いた道路の機能と役割を強調してきました。しかし、その根拠は十分なものではありません。例えば、期待される効果として、石狩湾新港の取扱い貨物量が増加傾向のため、アクセス道路で連携を強化する必要性を示していますが、石狩湾新港に入ってくる貨物は、外国からはLNG液化天然ガス、木材チップ、石油製品などが9割以上を占め、国内からは燃料系の石油製品、砂利と砂、セメント、LPG液化石油ガスなどで9割以上を占めています。これらの貨物は、本市の都心部に入ってくるものではなく、石狩湾新港との物流による連携強化の根拠にはならないことを、この間わが党は指摘してきました。根拠に乏しい情報提供は、市民を誤った方向に誘導することになり問題です。
 質問の第1は、本市が示す資料の根拠についてです。
 本市は、市民に示しているアクセス道路で期待される効果の一つとして、救急搬送の時間短縮により、救命率が上がり、いのちを守るとしています。しかし、患者受け入れ病院の整備など、医療体制の充実こそ求められています。
 具体的には、医療機能と医師、看護師の人的体制の充実、救急車と救急隊の強化など、救急医療体制の充実で対応することを最優先すべきであり、アクセス道路で、いのちを守るというのは本末転倒だと言わざるを得ません。
 1点目は、観光についてです。
 本市の資料には、都心アクセス強化で期待される効果として、観光客の移動負担を軽減させるとありますが、この根拠にも大きな疑問があります。
 各種観光雑誌や札幌を訪れた観光客によると、新千歳空港や苫小牧港から、観光客がレンタカーで、札幌市内に入るルートは大きく3つあるとされています。第1は、支笏湖を周り国道230号線で定山渓に入る。第2は、国道36号線で恵庭市の道の駅を経由して羊が丘展望台に入る。第3は、千歳市の道の駅、鮭の科学館、長沼町の道の駅を経由して国道274号線で入るルートです。
 高速道路を利用する場合でも、札幌南インターチェンジで降りて、南郷通もしくは国道12号線で都心に入るルートが一般的だと言われています。
 本市では、道外観光客の約4割、道内観光客の約7割がレンタカーやバスなど、道路を利用して都心に入るとしていますが、その内、創成川通を経由して市内に入るレンタカーとバスの割合を伺います。また、都心発着の都市間高速バスの円滑な運行を確保できるとしていますが、1日約900便ある都心発着の都市間高速バスのうち、札幌北インターを利用する都市間高速バスの割合はどの程度なのか伺います。
 2点目は、札幌北インターの渋滞についてです。
 どの都市でも、都心部の渋滞解消には、車の流入を抑制する対策と公共交通の利用促進を図るのが有効であり、急がれるCO2削減と交通事故防止にも効果的です。
 本市では、創成川通の現状と課題の一つとして、創成川通は、朝夕に車の混雑が著しく、千歳方面からの札幌北インターチェンジ出口の渋滞が激しいことを理由に都心アクセス道路の必要性を強調しています。
 道央自動車道・札樽自動車道は、札幌南から札幌西インターチェンジまで均一料金区間のため、区間内であれば、どのインターチェンジで降りても料金は同じです。
 この均一料金区間は、通常料金が普通車410円、軽自動車310円ですが、ETCマイレージサービスの平日朝夕割引を利用すると最大50%の割引となることから、清田区や厚別区などに在住で、職場が北区・東区・中央区方面などの人は、通勤で高速道路のETCマイレージサービスを使用する割合が高いと考えられます。
 高速道路とのアクセスを強化することは、更に遠方から高速道路の利用に拍車をかけ、結局、新たな渋滞を生み出す悪循環になると思いますが、そのような懸念はないのか伺います。また、札幌北インターチェンジ、創成川通の渋滞は朝夕の通勤時間帯に集中する傾向から、パークアンドライドの利用を全市的に促進させ、車から公共交通へと誘導する新たな戦略が必要であると考えますが、認識を伺います。
 質問の第2は、交通量減少時代についてです。
 2002年、国土交通省は、全国の道路を走る車の数すなわち交通量は2030年まで増加を続けるという過大推計をしていました。交通量が減少することになれば、全国の道路建設に支障が出るということです。
 しかし2008年に、少子化や若者の車離れによる車の保有台数の減少と、走行距離が短い軽自動車の割合が増えていることを理由に、2030年の交通量を前回の推計よりも約13%減少する下方修正をしました。
 これは、女性や高齢者の免許保有率が高くても、その車の利用状況を見ると、頻繁に高速道路や高規格道路を使うのではなく、自宅周辺での買い物や通院、塾への子どもの送迎などが中心で短時間の利用が多いこと、運転免許があっても日常的には車を運転しない高齢者が多い実態を国土交通省も認めざるを得なかった結果です。つまり、免許保有率と交通量は比例しないということであります。また、高齢者による交通事故が多発し、早めに免許証を返納する高齢者の増加が見込まれること、不安定雇用と低賃金の拡大で、車の購入と維持をあきらめる若者が増加するなど、将来の交通量が増える要素は希薄であると言わざるを得ません。
 本市は、交通量減少時代の到来をどのように認識されているのか伺います。また、今後は将来の交通量に相応しい道路整備を計画すべきですが、本市の交通量の現状と将来見通し、そして、その根拠を明らかにしてください。

 次は、教育費の負担軽減についてです。
 質問の第1は、就学援助制度についてです。
 1点目は、就学援助の入学準備金支給時期についてです。
 この間、わが党は、入学前に入学準備金を支給するよう議会で再三求めてきました。先の決算特別委員会で副市長は、「ランドセルなど、必要なお金は入学前に支給することが好ましい。どのように対応できるか早急に検討していきたい」と答弁しました。副市長の答弁は、親と子どもの願いに応える前向きなものです。
 そして昨日の代表質問で教育長は、制服などの購入費のために、「中学生の入学準備金は支給時期を入学前の3月に変更する」旨の答弁がありました。2015年の小学生への入学準備金の支給総額は、わずか約4,100万円です。副市長は、「ランドセルなど、必要なお金は入学前の支給が好ましい」と答弁されています。中学生と併せ小学生への入学準備金も入学式に間に合うよう支給する決断をすべきと思いますが、いかがか伺います。
 2点目は、就学援助制度の基準引き下げについてです。
 2014年度、就学援助審議会の答申では、一定期間は生活保護基準に連動させないことを決め、来年、就学援助審議会で改めて検討されることになっています。
 労働者の実質賃金は3年のうちに、年額で17万5,000円も減り、平均賃金は1997年をピークに年収で55万6,000円も減少し、家計消費は実質13年連続で対前年比マイナスとなっています。働きながら生活保護水準以下の収入しかないワーキングプア世帯は、就業者世帯の4.2%から9.7%と2倍になり、貯蓄ゼロ世帯は、30.9%と1997年から2015年で3倍に急増しました。働く親にとって今の経済状況が好転しているどころか厳しい状況となっていることは明らかです。
 生活保護基準の引き下げに連動して就学援助基準の引き下げを実施すると、給料が増えない中でも生活保護を受けずに頑張っている世帯が就学援助から外されてしまうことになります。
 審議会待ちにするのではなく、これ以上子どもの貧困を拡大させないために教育委員会が率先して就学援助の引き下げは実施させないという立場に立つべきと考えますが本市のお考えを伺います。
 質問の第2は、奨学金制度についてです。
 1点目は、学生の実態把握についてです。
 現在、国立大学の授業料は、年間53万円、初年度納付金は82万円となっています。1969年と比べて、授業料は44倍~45倍、初年度納付金は50倍以上にもなっています。
 札幌市に住むある大学生は、入学当初、親が入学金を払ってくれました。しかし、親の月収は17万円で、その中からこの学生の入学金と弟の専門学校の入学金として借りたお金を毎月5万円返済しているため、電気代・水道代の料金も払えない時もあり生活が大変です。この学生は、日本学生支援機構の有利子奨学金(第二種)を月5万円、4年間で240万円借りています。返済は利子を含めると、総額約301万円、高校時代にも奨学金を利用しており、大学・高校を合わせると毎月2万円を超える返済が必要になります。
 2012年時点で日本学生支援機構の奨学金返済を延滞した人は、33万人を超えています。2015年には、滞納額は900億円に上っています。この背景には、奨学金を利用する人が増えたこと、教育費が異常に高くて奨学金がなければ進学ができないことがあります。また、卒業後に就職できない、非正規雇用で賃金が安いなどで奨学金の返済をしながら生活していくことが大変な実態があります。
 この学生の実態について市長はどのように受け止めていますか、卒業後も返済に苦しむ若者と学生の声を聴くなど実態を把握すべきと考えますが、いかがか伺います。
 2点目は、本市の給付型奨学金の拡充についてです。
 大学生活にかかる費用は、授業料と食費以外に教材費、通学費、下宿費、通信費などとなっています。日本学生支援機構が発表している2014年度学生生活調査報告によると、大学生活1年間にかかるおおよその金額は、国立大学で自宅から通っている場合は、月約9万円、下宿している場合は月約14万円、私立大学で自宅から通っている場合は、月約15万円、下宿している場合は月約20万円もかかっています。
 本市で現在行っている給付型奨学金制度は、高等学校で志願者1,479人に対して採用者は1,039人、大学では志願者702人に対して採用者は259人となっており、利用したい人たちの半分しか受けられていません。
 秋元市長の公約では、「子ども達がいきいきと健やかに育つ街をつくります」と子どもの貧困対策を強化する項目で、「子どもが自ら未来を切り開いていけるよう、給付型奨学金の創設や相談体制の充実に取り組み、学習支援、就学・就労支援を強化します」としています。
 しかし、秋元市長が就任して行った給付型奨学金制度は、「大学進学奨励給付事業」として児童福祉施設入所児童が大学などに入学する場合に、進学に際し必要な生活費等を支給するものです。内容は、1年間のみで1人1か月5万円、年間60万円を10人に支給する600万円の事業であり、大切な支援ですが十分なものとは言えません。
 給付型奨学金を希望するすべての人が受けられるように対象者と給付金額を拡充した予算にすべきと考えますが市長の認識を伺います。

 次に、エネルギービジョンについて質問します。
 11月4日、2020年以降の温室効果ガス排出量削減の具体的枠組みを決めた「パリ協定」が発効し、すでにCOP22の開幕式が開かれて、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃未満に抑え、1.5 ℃未満を目指す努力」が始まっています。
 本市の温室効果ガス排出量は、2014年度で1307万トンと、政令市で7番目に多い順位となっています。日本における温暖化対策を急速に進めるため、環境首都・札幌を掲げる本市が先頭に立って実践を進めなければならないと考えます。
 質問の第1は、固定価格買い取り制度と改正FIT法についてです。
 太陽光などの再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が「全量」、「固定価格」で「一定期間」買い取ることを義務付けるこの制度は、施行後3年間は「利潤配慮期間」が設定され買い取り価格が40円でしたが、2015年6月でこれが終了し、現在24円と大きく下がっています。  
 来年4月から施行される「改正FIT法」では、送電網への「接続義務」規定が削除されました。
 これでは、発電しても受け入れ側の都合で「接続拒否」が起こり再生可能エネルギー導入にブレーキがかかることとなると考えますがいかがか。根本には、「エネルギー基本計画」で原発と石炭火力発電を「重要なベースロード電源」と位置づける国の姿勢があると考えますがいかがか、伺います。電力会社が接続拒否できるしくみを改めるよう国に求めるべきと考えますが、いかがか合わせて伺います。
 質問の第2は、本市エネルギービジョンについてです。
 本市は、「環境首都・札幌、低炭素社会・脱原発依存社会を目指す」ことを基本理念に、エネルギーの有効利用、エネルギー転換をすすめ、2010年度を基準に、2022年度までに、電力消費量を10%削減し、熱利用エネルギーを15%削減することを目標とする「エネルギービジョン」を策定しました。
 2014年度の進行状況は、電力消費量は5%減となっていますが、熱利用エネルギー消費量は逆に5%増えています。
 このままでは、本市の計画目標は達成できないと思いますが、この間の本市のとりくみについてどのように評価しておられるのか、また、どのようにして目標を達成させるお考えか、伺います。
 質問の第3は、再生可能エネルギーの普及についてです。
 1点目は、自らつくる再生可能エネルギー利用の促進についてです。
 本市の場合、エネルギー消費量は、電力が26%、熱利用が44%で、部門別では民生家庭部門と民生業務部門合わせて6割以上を占めており、各家庭や小規模事業者でのエネルギー消費量の削減と、再生可能エネルギーの導入が温暖化対策を進めるうえでのポイントになると考えます。
 現在本市に普及している家庭用再生可能エネルギーのほとんどが発電では太陽光パネルですが、熱利用では化石燃料を使う高効率給湯・暖房機器の導入が中心のため温暖化対策にはなりません。
 大規模施設は資力のある企業に頼らざるを得ず、送電網への接続も完全保障されないことから、省エネとともに、必要なエネルギーは自分たちでまかなうという自給自足による再生可能エネルギーの導入を促進することが必要と考えますが、いかがか伺います。
 2点目は、市民と中小事業者との共同についてです。
 家庭で電気も熱も再生可能エネルギーを利用できる環境を整備するためには、今まで以上に視野を広げる必要があると考えます。市民生活への普及促進のために、市民、事業者、研究機関、NPOなどが連携し協力しながら開発から設置まで進むよう本市がコーディネートを行い、戸建て住宅が密集するエリアやマンションなど集合住宅が多いエリアで、小規模な分散電源やコジェネを普及していくことが重要です。
 市民と中小事業者などが共同することに重点を置くべきだと思いますが、いかがか伺います。
 3点目は、モデル事業や実証実験の促進についてです。
 本市は高断熱・高気密住宅に独自基準を設けた「札幌版次世代住宅基準」を5段階作りました。例えば、これを活用した市営住宅を建設し、暖房のいらない「トップランナー」集合住宅と再生可能エネルギー利用を一体的に開発する。避難所となる学校の体育館は、全てに再生可能エネルギーを整備するなど、公的施設の省エネ、再生可能エネルギーの活用はまだまだ工夫すべき点が多くあります。
 また、本市が掲げる「観光・MICE」の視点は、環境都市づくりをしていることを全面に押し出し、例えば大通公園での各種イベントをすべて再生可能エネルギーで行い、それを広くアナウンスする、狸小路などの商店街、時計台、などの観光スポットを再生可能エネルギーでまかない、それらスポットを歩いて回るルートを作るなど、「環境」としての視点を大きく掲げるといった発想も大事だと考えます。
 雪の降る大都市・札幌で、世界有数の恵まれた自然環境を生かしたエネルギービジョンの実践を、まちづくりや観光・MICEの中心にするなど視野を広げていくために、まずは、モデル事業や実証実験を促進すべきと考えますがいかがか、伺います。

 最後に、人種差別の解消についてです。
 質問の第1は、日本軍「慰安婦」問題の市長の認識についてです。
 1993年に政府見解として、河野洋平官房長官談話、いわゆる「河野談話」が出されました。
 日本軍「慰安婦」問題について、この「談話」が認定した事実は、第1に日本軍「慰安所」と「慰安婦」が存在したこと、第2に「慰安所」の設置、管理等に軍が関与したこと、第3に「慰安婦」とされる過程で、「本人たちの意思に反して」いたこと、第4に「慰安所」で強制使役されたこと、第5に、日本を別にすれば、多数が日本の植民地の朝鮮半島出身者で、募集、移送、管理等など、「本人たちの意思に反して」行われたと、その強制性を認め、「慰安所」における強制使役、つまり性奴隷状態とされ、「慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった」と認めています。
 この「河野談話」は、現政権も含め、歴代政府が一貫して継承しているものです。「河野談話」が明らかにした日本軍「慰安婦」問題について、秋元市長の認識を伺います。
 質問の第2は、市有施設の利用についてです。
 2014年から今年にかけ、札幌駅前地下歩行空間(チカホ)や札幌エルプラザをはじめ、区民センターなど市有施設7箇所で、日本軍「慰安婦」に関するパネル展が行われました。このパネルの内容は、「慰安婦問題はねつ造された歴史」、「当時としては一つの商行為にすぎない」、さらには「10万人以上もの韓国女性が現在売春を行っている」などというもので、明らかに人権侵害であり慰安婦とされた方々の尊厳を踏みにじるものです。多くの市民が利用する市有施設において、このような展示をすることは、ふさわしくないと思いますが、いかがか伺います。
 質問の第3は、市有施設利用の審査基準についてです。
 大阪府門真市は人種差別を、規制する法律や条例がなくても、「差別ととらえれば当然の対応」と、公民館や公園など市施設利用を認めないようにしています。
 本市の「札幌市区民センター等の使用許可に係る審査基準」の不承認とすべき事由に特定の人種や民族に対する差別的な表現などを加え、本市の「民族差別ということは決して許さない」という姿勢を明確にすべきと考えますが、いかがか伺います。

 以上で、私の質問のすべてを終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

 

秋元市長 答弁

 全体で7項目のご質問をいただきました。私からは1項目の私の政治姿勢についてと、7項目の人種差別の解消についての2項目についてお答えをさせていただきます。その余のご質問につきまして、答弁につきましては、担当の副市長、それから教育長からご答弁をさせていただきますのでよろしくお願い申し上げます。
 まず1項目。私の政治姿勢についてお答えをいたします。
 まず日露領土問題についてであります。択捉島、国後島、色丹島、及び歯舞群島からなる北方4島は我が国固有の領土と認識をしております。政府には今月予定をされている日露首脳会談において、これまでの歴史的経緯などを踏まえ、平和条約の締結、そして領土問題の1日も早い解決に向けて交渉を進めていただきたいと考えているところであります。
 次に南スーダンPKOへの新任務の付与についてでありますが、南スーダンPKOへの派遣にあたりましては、政府において、PKO参加5原則を満たしているとの判断がなされたところであり、またこの度の派遣にかかる実施計画においては、この5原則が満たされている場合であっても、安全を確保しつつ有意義な活動を実施することが困難と認められる場合には、撤収することとされているところであります。政府におきましては、隊員の安全を常に考えていただき、適宜現地の状況を踏まえた適切な判断をしていただきたいと考えております。
 次に、7項目の人種差別の解消についてのご質問にお答えをいたします。
 まず慰安婦問題の認識についてであります。慰安婦問題につきましては、これまで日本政府が「多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた問題である」とし、心からのお詫びと反省を表明してきているところであり、このような認識を決して忘れてはならないものと考えるものであります。
 次に、市有施設の利用、そしてその審査基準についてお答えをさせていただきます。特定の人種や民族に対する差別的行為は誠に恥ずべきことであり、許されないものと認識しているところであります。しかしながら、公の施設の利用につきましては、地方自治法により正当な理由がない限り、住民が利用することを拒んではならないとされているところであります。区民センターなどでは、条令上、公序良俗に反する恐れのある場合を不承認の対象としておりますが、過去の判例からは公共の安全性が損なわれる危険性が具体的に予見される場合など、極めて限定的とするべきとされているところであります。
 ご質問にありましたパネル展につきましては、新聞や個人の発言など既に公表されたものを中心に示した上で、主催団体の歴史認識を表明した内容となっており、このことでただちに利用を不承認とすることにはならないと判断したものであります。公の施設の使用制限ということは、抑制的に運用されるべきでありますが、現行の審査基準の中でも民族的差別を助長し、明らかに公序良俗に反する場合であって、先ほどの判例に該当するようなものにつきましては、不承認にすることになる場合もあるものと認識をしております。
 私からは以上であります。

板垣副市長 答弁

 私からは4項目の介護保険についてお答えを申し上げます。
 まず1つめの来年度予算についてですけれども、新総合事業は介護予防と要支援者に対する訪問、通所等のサービス提供を一体的に進めていくものでございます。サービス提供にあたりましては、ケアマネジャーが本人、家族の状況や意向を確認した上で、必要なサービスを決定するものでありまして、札幌市は事業者のサービス提供実績に応じて、事業費を負担する仕組みとなっております。その予算につきましては、今後の利用者の伸びを充分に考慮し、適正に計上すべきものと考えておりまして、その上で事業の適切な運営と予算の執行に努めてまいりたいと考えております。
 次に2つめの特別養護老人ホームの特例入所についてであります。
 1点目の特別養護老人ホームの入所希望者に対する認識についてでありますけれども、近年の高齢者人口や認知症高齢者数の他、高齢者単身世帯数の推移を見ますと、特別養護老人ホームの入所要件に合致する高齢者は増えていくと考えておりまして、これに応じて入所を希望する高齢者も増えるものと認識をしております。
 2点目の特別養護老人ホームの入所要件の緩和についてでございますけれども、介護保険法の改正に伴いまして、札幌市におきましては優先度の高い中重度の要介護者に重点化しつつ、在宅での生活が難しい軽度の要介護者も特例的に入所できるよう、国の指針に基づき事業者団体と協議の上、入所要件を定めているところでございます。今後ともこの入所要件が適切に運用され、介護や支援を必要とする高齢者が適切なサービスを受けられるよう、施設への指導などを通じまして周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。

吉岡副市長 答弁

 私からは2項目、市有施設の煙突アスベスト問題についての1点目、本市のアスベストに対する認識についてのうち、実証実験について。2点目の民間施設への対応について。3項目、都心アクセス道路について。6項目、エネルギービジョンについてお答えいたします。
 最初に2項目、市有施設の煙突アスベスト問題についての1点目。本市のアスベストに対する認識についてのうち、実証実験についてです。煙突からのアスベストの飛散には、断熱材の劣化度合いの他、断熱材の種類、気温や気象など様々な使用環境等が影響しますことから、断熱材が剥落した各施設の状況を実験において厳密に再現することは困難であると考えております。今後、アスベストの飛散の可能性などについて、専門家のご意見も伺いながら検証してまいります。
 2点目の、民間施設への対応についてです。民間施設の煙突内の断熱材はその使用や管理状況について、報告や届け出義務がないため、把握していない状況にございます。札幌市ではアスベストの飛散防止の観点から、煙突内の断熱材の劣化状況の確認や、除去などの必要な措置について、リーフレットやホームページを通じて広く周知を図っているところでございます。今後も引き続き、民間施設の所有者等に対しましてアスベスト飛散防止に関する情報提供や啓発に努めてまいります。
 3項目、都心アクセス道路についてでございます。
 1点目、本市が示す資料の根拠についてです。最初に観光についてですが、都心アクセスの強化は国内外の都市間競争が厳しくなる中、都心の魅力と活力を創造し続けていくためにも重要な取り組みと認識しており、観光や物流、救急医療、防災など様々な分野において効果が期待されるところでございます。ご質問の道路を利用して都心に入るレンタカーとバスのうち、創成川通りを経由する割合については、観光客へのアンケートにより調査しているものであり、どの道路を経由したかは把握していない状況にございます。また、札幌北インターを利用する都市間高速バスの割合については、現行の走行経路で約1割程度が利用している状況にございます。
 一方現状においても高速道路を利用し都心に発着する全自動車交通のうち、札幌北インターチェンジは約4割に利用されるなど、他のインターに比べ、都心とのアクセス面で優位性がございます。更には創成川通りの機能強化により速達性や定時性が確保されれば、今後新幹線札幌延伸やインバウンド観光客の増加による更なる観光需要を取り込むとともに、全道へ波及することも可能になると考えているところでございます。なお、先ほどのレンタカーやバスの経路などを含め、効果や課題に対して必要なデータについては、現在も調査検討を進めており、適宜市民の皆様に情報提供してまいります。
 次に札幌北インターの渋滞についてです。現状の渋滞状況については、今回の都心アクセス強化の検討に合わせて解決すべき課題の1つと認識しております。今後の整備により、交通量の増加も見込まれますことから、整備形態や整備範囲の検討に合わせ、将来の交通需要予測をおこない、円滑な交通の確保ができるよう十分に検討してまいります。なお、パーク&ライドは、都市内の自動車からの公共交通への利用を促すものであり、一方都心アクセス強化は道内の各地域や空港、港湾等と広域的な交通ネットワークを形成するものと認識しております。
 2点目の交通量減少時代についてです。札幌市を含む道央都市圏では、人の動きを把握するためのパーソントリップ調査に基づき、人口減少や少子高齢化などの社会情勢を加味した上で、将来交通量の推計をおこなっており、札幌市の自動車交通量はほぼ横ばいに推移する見込みとなっているところでございます。この結果を踏まえ、平成24年に札幌市総合交通計画を策定しており、公共交通とバランスのとれた自動車交通の実現を目指し、札幌市として必要な道路整備をおこなっていくことが重要と考えているところです。
 6項目、エネルギービジョンについてでございます。
 1点目の、固定価格買い取り制度と改正FIT法についてです。国のエネルギー基本計画において、再生可能エネルギーは積極的に推進するものと位置付けられ、FIT法の改正も再生可能エネルギーの最大限の導入などを図ることを目的としており、今後も現行の電気事業法の規定により、引き続き電力会社は接続義務を負うものと承知しております。札幌市といたしましても、再生可能エネルギーの普及は重要と考えておりますことから、今後も改正FIT法施行後の動向を注視してまいります。
 2点目の、本市のエネルギービジョンについてです。熱エネルギーについては、これまで省エネ構造の定着は進んでいるものの、高断熱住宅や省エネ機器の普及が緩やかであり、また近年のエネルギー価格低下の影響などにより消費量が増加したものと考えているところでございます。また電力については、平成22年度原発相当分の50%を省エネ、再生可能エネルギー、分散電源により転換することを目標としており、再生可能エネルギー、分散電源による発電量は緩やかな増加であるものの、省エネによる電力消費量削減は着実に進んでおり、転換は概ね順調に推移しているものと認識しているところでございます。今後も目標達成に向けては、省エネ節電の定着実践を更に進めるとともに、高断熱住宅や高効率給湯暖房機、太陽光発電などの普及に引き続き取り組んでまいります。
 3点目の、再生可能エネルギーの普及についてです。最初に自ら作る再生可能エネルギー利用の促進についてですが、これまで取り組んできた住宅太陽光発電や、燃料電池の導入支援などは、自給自足による再生可能エネルギーの普及促進策であり、今後も引き続き普及拡大に向けて取り組んでまいります。
 次に、市民と中小事業者との共同についてです。再生可能エネルギーの普及拡大に向けては、市民、事業者、札幌市の各主体が連携し協力しながら取り組みを進めてきたところですが、今後もより効果的な連携を深めていく必要があると認識しております。
 次に、モデル事業や実証実験の促進についてです。エネルギービジョンのリーディングプロジェクトとして、低炭素なまちづくりを目指した取り組みを実施しており、今後も様々な視点を取り入れながら再生可能エネルギーの普及について検討してまいります。
 私からは以上でございます。

長岡教育長 答弁

 2項目、市有施設の煙突アスベスト問題について。1点目のアスベストに対する認識のうち、2006年に実施したボイラー煙突の煙導状況調査時の認識についてと、2006年の調査後の処理と対応について。そして5項目、教育費の負担軽減については私からご答弁申し上げます。
 まず2項目、市有施設の煙突アスベスト問題について。
 1点目、アスベストに対する認識のうち、2006年に実施したボイラー煙突の煙導状況調査時の認識についてと、2006年の調査後の処理と対応についてです。平成18年の調査は、煙突内の詰まりによりトラブルが発生したことから、他の学校施設で同様の事態が起こる恐れがないか調査したものでございまして、その際断熱材にアスベストが含まれていることは確認しておりました。当時の法規制は、アスベストを含む断熱材等を使用している建築物、これを解体、改造または補修する場合は所定の手続きが必要とされておりました。実施した工事は解体等をおこなうことなく、新たな煙突を設置し古い煙突を閉鎖したものでございます。当時としては、危険性が広く認識されておりました吹付けアスベストと異なり、含有アスベストが劣化して飛散する可能性は認識していなかったものでございます。アスベスト飛散の可能性については、当時法規制にある解体等をおこなったものではなく、その飛散調査もおこなっていないことから、その可能性についてはお答えすることはできません。また、調査の際の灰の処理につきましても、当時の記録がなく、お答えすることはできません。
 5項目、教育費の負担軽減についてのうち、1点目、就学援助制度について。小学校の入学準備金を入学前に支給すべき、とのご質問でございますけれども、中学校入学前は制服など指定用品の購入費用が高額となることから、まずは中学校入学予定者に対する支給を試行的に実施する方向で検討を進めてまいります。
 2点目の就学援助制度の基準引き下げについてです。今後の就学援助の基準額については、来年度開催する就学援助審議会において、子育て世帯の生活実態や財政状況を踏まえて検討をおこなう予定でございまして、その結果に基いて慎重に判断してまいります。
 次に奨学金制度についてです。
 1点目の学生の実態把握についてですが、貸与型奨学金の卒業後の返済が経済的な負担となっていることは認識しておりまして、これまでも給付型奨学金の創設などを国に要望してきたところでございます。学生の実態把握については、今年札幌市奨学金の受給者に対し、利用者アンケートを実施した他、現在、子ども未来局において(仮称)子ども貧困対策計画の策定に向け、学生を含む若者の生活実態調査をおこなっております。その他、国の統計データなども参考にしながら、今後も学生の実態把握に努めてまいりたいと考えております。
 2点目の給付型奨学金の拡充についてです。これまで札幌市奨学金の受給者数を段階的に拡大してきたところであり、今後も財政状況なども考慮しながら、1人でも多くの方に給付型奨学金を受けていただくことができるよう努めてまいりたい。このように考えております。
 私からは以上でございます。