hiraoka 私は日本共産党を代表し、ただいま議題となっております議案第1号、第5号から第8号、第16号から第19号、第21号、第22号および第28号の12件に反対、残余の議案24件に賛成の立場から討論を行います。

 議案第1号 一般会計予算に反対する理由について申し上げます。
 予算規模は、前年度比3.9%増の9,365億円で、特別会計・企業会計を加えた全会計では1.8%増の1兆6,011億円と過去最高の予算額です。秋元市長による5年間のまちづくり計画「アクションプラン2015」により、都市基盤強靭化をすすめる再開発事業を優先し、建設事業費1,292億円、前年比279億円と膨らみ、都心再開発事業に124億円が投入される予算となっています。一方、子育て家庭が待ち望んでいる子ども医療費無償化の対象年齢引き上げや、保育所・保育料第2子以降の無料化の実施は2年後に先送りされているのは問題です。
 また、都心部での再開発事業への補助金は約124億円にもなっています。市債のうち土木債で63億5,600万円が都市再開発事業費に計上されています。都心部の大型開発を誘導するのではなく、公共施設・学校の改築や福祉施設・医療機関などの耐震診断、耐震補強への補助など福祉型の公共事業を優先すべきです。
 2018年のニトリ文化ホールの閉館に伴い、MICE施設整備計画推進費1200万円が計上されています。
 新しいMICE施設の建設に向かっていますが、まずは既存の施設の利用を最優先に考え、身の丈にあった事業計画にするべきです。
 国内外で競争の激しいMICE事業は、誘致するための助成金の引き上げや施設整備のために税金が投入され続けることになります。また、地元中小企業支援など域内の経済循環を活性化させ、「内需拡大」への政策転換が必要ですが、本市がすすめるMICE事業は、「外需拡大」中心となることが懸念されます。
 マイナンバー制度導入にあわせ、社会保障・税番号制度対応システム改修費、保健福祉総合システム改修費など14億363万2,000円が計上されています。市民の個人情報の流出を防ぐ方法はなく、保守管理や維持に今後も莫大な費用をかけ続けることから反対します。
 議案第5号 国民健康保険会計予算に反対する理由は、高すぎる国保料の引き下げに背を向け、資格証明書を大量発行し、差し押さえなど過酷な取り立てをすすめているからです。
 本市の国保料が高い理由として、国保制度が抱える構造的な問題があります。加入者にとって、負担が重いことは国も本市も認めています。国は国保料が高すぎることから低所得者対策として保険者支援制度で2017年度から毎年3,400億円の財政支援を拡充し、それを活用すれば被保険者1人当たり約1万円の保険料の引き下げができるとしています。本市は「平均保険料の据え置きが最大限の努力」と言いますが、負担軽減の検討に踏み出す時です。国からの保険者支援金と一般会計からの繰り入れで保険料引き下げを行うべきです。
 議案第6号 後期高齢者医療会計予算は、75歳という年齢で医療を差別するものであり反対です。
 議案第7号 介護保険会計予算に反対する理由は、介護保険料の引き上げ、特養ホームの待機者解消には、ほど遠い新増設しか行わないからです。
 議案第8号「札幌市基金会計予算」は、オリンピック招致・開催のためにあらたに30億円を造成する「オリンピック基金」が含まれています。関連事業総額はまだ示されておらず、市民意見も二分しているなかで基金新設は時期尚早であり、反対します。
 議案第16号 札幌ドーム条例の一部を改正する条例案は、有料施設の利用料金と一部有料施設の利用時間を変更するものです。少年野球や少年サッカー教室などアマチュアスポーツ団体や一般市民も利用し、また、2015年の利用者数36,830人にも上る展望台の利用料の値上げが含まれ、市民負担増となるため反対です。
 議案第17号 夜間急病センター条例の一部を改正する条例案は、診断書、証明書の交付にかかる手数料の上限額を「7,350円」から「7,560円」に値上げするため市民負担となるからです。
 議案第18号「廃棄物の減量及び処理に関する条例の一部を改正する条例案」は、27リットルあたりのくみ取り手数料を14.3%値上げし、汚泥処分手数料は20%の値上げになっています。「受益者負担」の下で、約3,500世帯に年間4,800円の負担増を強いるものであり、認められません。
 議案第19号 コンベンションセンター条例の一部を改正する条例案は、今年10月1日から大ホール等の利用料を値上げし、一般市民も利用する会議室は値上げ率18%と最も高い負担増としたことは容認できません。
 議案第21号 都市公園条例の一部を改正する条例案についても、今年10月1日からコンサートホールキタラのホール使用料が18万2,000円から19万7,000円と8.4%増、リハーサル室が5,200円から5,600円と7.7%増など、値上げとなるため反対です。
 議案第22号「札幌駅前通地下広場条例の一部を改正する条例案」は、地下歩行空間の交差点広場・憩いの空間の使用料を1平米単価、平日で300円から500円へ、土日祝日で400円から600円へそれぞれ値上げするものです。非営利の市民団体の利用料の5割減額は継続されるものの値上げとなることに変わりなく反対です。
 議案第28号「職員定数条例の一部を改正する条例案」は、教育委員会関係で学校給食調理業務の委託拡大などで62名、駒岡清掃工場の運転業務の委託化で30名など、全体の増減で45名の職員削減を行うものであり、市民サービスの低下を招きかねず、反対です。

 次に、代表質問ならびに予算特別委員会でとりあげた諸課題について申し述べます。
 まず危機管理対策室についてです。
 原発は、ひとたび過酷事故が起き、放射性物質が漏れれば、それを止める手段はなく、被害は広範囲にわたり広がります。本市には、原子力災害が発生した場合の屋内退避の期間や、水源汚染への対策がなく195万人の市民が避難する計画もありません。
 「泊原発の再稼働の是非に言及できる状況にない」との市長答弁でしたが、市民の命を守るため、泊原発の再稼働はすべきでないという立場を市民に示すことを求めます。

 次に市長政策室についてです。
 企業版ふるさと納税は地方自治体が行う地方創生プロジェクトに寄附をした企業に対して、現在でも全額損金算入により約3割控除されているものに加え、さらに寄附額の3割を法人事業税、法人住民税、法人税から控除するものです。
 約6割の優遇措置となり、体力のある大企業への新たな優遇税制となる懸念を申し上げます。
 次に総務局についてです。
 ヘイトスピーチについて本市は「恥ずべきこと、極めて遺憾」と述べました。
 本市の目指す観光のためにも法務省からのポスターも活用し、ヘイトスピーチを許さない立場を内外に示し、人種間の偏見、差別のない平和な街づくりをすすめるよう求めます。

 次に市民まちづくり局です。
 平和都市宣言普及啓発事業は子どもたちに平和を手渡す重要な事業であり、観光客や留学生向けに英語などに訳した宣言の普及など、いっそうの拡充を求めます。
 2017年度は宣言をしてから25周年の節目となり、次年度の豊かな事業展開を求めます。
 郊外地のバスネットワークについてです
 高齢化社会と、非正規雇用が広がる社会となっている現在、公共交通は市民生活を営むのに、なくてはならないものとなっています。今あるバス路線では網羅できておらず住民の生活に欠かせない、交通空白地域の公共交通の改善を本市が主体的に行うよう求めます。

 次に財政局です。
 法人市民税超過課税額の税率を本市は11.9%としていますが、道内で11.9%なのは帯広市と本市だけで、上限である12.1%までの引き上げを行えば2億8千万円の増収になり、対象となる黒字企業に対して応分の負担を求めるべきです。
 また、自衛隊基地があることで、国から支払われる基地交付金が、固定資産税相当額よりも約3千万円低いことは問題です。「固定資産税と同額であるべき」との答弁もあり、今後も国に対し差額の支払いを求めるべきです。

 次に、保健福祉局です。
 生活保護についてです。
 生活保護を受けている方にとって、ケースワーカーの支援は一番のよりどころです。受給者との信頼関係をしっかりと作るために、ケースワーカーの働く環境が重要です。
 研修とベテラン職員の配置に配慮することなどを見直していくことを求めます。
 昨年の決算特別委員会で、生活保護の基準引き下げにより、連動して他制度への影響があると調査を求めました。
 調査の結果、生活保護基準に連動する減免制度は64件で引き下げの影響を受ける制度が13件でした。貧困を広げないためにも影響させないような対策を講じるべきです。
 生活困窮者自立支援事業の支援対象数は、2万2,000人とみていますが、国の相対的貧困率からみてもきわめて対象人数が少なく、今後の調査が必要です。
 手話言語条例について代表質問で質しました。手話が言語としての特別な意義を持つとの認識にたち、当事者である、ろうあ者の意見を尊重して条例制定にあたるよう求めます。
 本市で、手話を使用している方は、約1,000人いると推計されます。
 意思疎通支援事業については、手話通訳の派遣など、コミュニケーション支援の必要性が増えると考えられます。   
 特に介護が必要となった高齢者・障がい者などに対するコミュニケーション支援の充実が求められていることから実態に即した対策を求めておきます。
 視覚障がい者の生活支援をする日常生活用具の給付品目にICタグレコーダーを加えることについて、「2016年度から給付できるよう準備している」と答弁されました。60件を想定しているとのことでしたが、必要とするすべての障がい者に給付するよう求めます。
 介護保険制度は、制度改悪により、介護認定者約9万7千人のうち、約1万人が2割負担に補足給付が外され、月額3万円、中には、6万5,000円もの負担増になっている方がいる状況です。
 「新総合事業」への移行にあたっては、利用者への丁寧な周知はもちろん、経済的理由で市民が必要なサービス利用を控えることがないよう、また、事業者が事業を継続できるようあらゆる手立てで実態調査し対策を講じるべきです。
 AEDは、2004年から一般市民にも使用が認められたことで、急速に普及されてきました。テキストディスプレイ付のAEDは、聴覚に障害がある方にも安心して使用できます。今後、リース契約期間の終了を機会にテキストディスプレイ付AEDに切り替えていくことを求めます。
 「動物の愛護及び管理に関する条例案」は、「人と動物が幸せに暮らせるまち、さっぽろ」を目標にしていることから、賛成するものですが、特に、犬や猫の命を粗末にするような悪質な動物取扱業者などへの指導・啓発を強めるよう求めます。
 また、譲渡の月齢「生後8週間」については、「国が月齢7週と8週のどちらが妥当かという追跡調査検討中であり、拙速すぎるのではないか」、動物取扱業者から「営業を続けられるか死活問題だ」という懸念の声が上がっています。
 今後施行するにあたっては、国の調査も注視すべきことを指摘しておきます。

 次に子ども未来局です
 子どもの貧困について本市は「生まれ育った環境に左右される状況が少なからずある。」と認識を示されました。
 無作為抽出で行うアンケートは、対象となる世帯約20万に対し、わずか2,000世帯と不十分であり、大幅に増やすことを求めます。また、聞き取り調査は、「子ども食堂」や「無料塾」など民間レベルで支援している団体も視野に入れるなど、子どもに関わる全ての関係機関からの聞き取りを丁寧にすすめ、実効ある計画を策定されるよう、あらためて申し上げます。
 放課後児童クラブの過密化解消は待ったなしの課題です。
 本市は過密化解消のため、児童会館の体育室にマットなどの備品整備をするとして、今後何十年もかかる小学校建替時に複合化するのを待つというものです。
 過密化は75校区にも及んでおり、児童会館の新設など本格的な過密化解消をすべきです。
 病後児保育デイサービスについてです。
 実施施設は本市に5カ所あり、今後アクションプランで2カ所追加整備を行なうということですが、定員数が少なく年間約1,000人の方が利用できません。さらなる施設の増設を求めます。
 また利用者の負担軽減のため煩雑な手続きの簡素化を検討すべきです。
 保育について代表質問でも取り上げました。
 待機児童解消と保育の質の確保はどちらも欠かせない重要で緊急な課題です。高架下の保育所については「国の基準を満たしている」との答弁でしたが。高架下でよく利用されているのは、駐車場や駐輪場、倉庫や居酒屋などです。
 日が当たらなく、騒音がひどい高架下は、子どもたちが1日の大半を過ごす保育所としてふさわしくありません。
 園庭の天井からコンクリートがはがれ落ちる危険もあり、本市独自に点検すべきです。

 次に環境局です。
 1972年に使用、生産が禁止されたPCBについて、本市の調査により保管しながら届出ていなかった事業所が229件、使用中が235件あったことは問題です。適切な指導管理をおこなうべきです。
 また処理には多額の費用がかかるため、市独自の軽減策を実施すべきと求めます。
 再生可能エネルギーについてです。
 本市が昨年作成した「地球温暖化対策推進計画」では2030年度までに太陽光発電を6.5億キロワットアワーにする目標になっていますが、現在3万3,500キロワットアワーにとどまっています。
 「市営住宅や市有施設へ幅広く設置できるよう関係部局と協議を進める、マンションなどへの設置補助の普及に努めたい」等の答弁でした。目標達成に向けてさらに力を尽くすことが重要です。

 次に、経済局です。
 超高齢社会を迎える本市にとって、バリアフリーや除雪、造園、また空き家対策、民間住宅の耐震化など市民のニーズが広がっています。「コミュニティ型建設業推進事業」に多くの小規模企業や企業グループが参画できるよう募集要件などの見直しを検討すべきです。
 若者ワークトライアル事業についてです。
 本市の非正規労働者は34万人を超えています。この事業は正社員就職を支援するものですが、対象は、60人であり、拡大が必要です。また、目標就職率は50%ですが、正社員として就職に至らなかった若者に対しても、引き続き支援していくことを求めます。
 農業の担い手確保と販路拡大についてです。
 都市の農業は、安全な食料の提供とともに、良好な住環境を備えたまちづくり、地域の経済やコミュニティーの活性化のために重要です。本市が農家や農協などとも連携を深め、農業の担い手の確保と販路拡大にいっそう取り組むべきです。

 次に、観光文化局です。
 さっぽろっ子ウインタースポーツ料金助成事業は、子ども達がウインタースポーツに親しめるよう全小学校の3年生を対象にリフト料金などを助成するものです。しかし、毎年のように体が成長する小学生を持つ保護者の負担は大きく、経済的に余裕のない家庭は子どもをスキー場へ連れていけないのが実態です。
 教育委員会が実施しているスキーリサイクルの状況を見ても、スキーが当たるのは希望する市民のわずか1割未満であり、家庭への負担軽減策の強化が求められています。
 今後は本市として、小学生に対するリサイクルスキーの大幅拡大と気軽に利用できるレンタルの仕組みを構築するべきです。
 次に、建設局です。
 河川整備は、街づくりの一環として、緑豊かな川の風景を生かし、住民の憩いの場となる空間づくりを住民とともに進めるべきです。

 次に、都市局です。
 市営住宅についてです。高齢化がすすむ中、市営住宅の空き住戸を高齢者の生活支援や見守りの拠点として、「目的外使用」を検討すべきです。
 また、東雁来子育て支援住宅については、住民アンケートの声を最大限工夫して、これからの住宅建設に生かしていくことを求めます。
 「住宅エコリフォーム助成制度」の経済波及効果は、大きいものがあります。補助対象の総工事費30万円以上や建設業許可などの要件を緩和し、多くの市民が活用しやすい制度に改善すべきです。

 次に、交通局です。
 市電のループ化開業に伴い配置した交差点警備員を西4丁目は減らすことが明らかになりました。自転車に乗る方がこれから増える時期であり、引き続き警備員の配置を行うことを求めます。

 次に消防局です。
 現在、すべての認知症グループホームにスプリンクラー設置を義務づけていますが、本市の243施設のうち3施設が未設置であり、立ち入り検査や指導を強めるべきです。
 また、無届有料老人ホームについては、設置義務がなくても立ち入り検査や指導を行うべきです。

 最後に教育委員会です。
 就学援助制度の入学準備金は、入学後に支給されていますが、中学校の入学準備金は費用が多額になるため、せめて小学校6年生の3月に支給できるよう検討し、道内の多くの市町村が支給しているPTA会費などの支給費目を拡大すべきです。
 校区が遠くバス通学を余儀なくされている生徒に助成している定期代は、毎月1ヶ月分の交換しかできず不便です。
 3ヶ月分の交換ができるよう改善を求めます。
 教員の労働環境の改善について、学びのサポーターやスクールカウンセラー、運動部活外部顧問などを増やしてきてはいるものの、教員の負担感や多忙な勤務実態は改善されていません。
 今後も定期的に勤務実態を把握し、教員の負担を減らす取り組みを求めます。合わせてその根本的な解決は定数増を行い、少人数学級を増やすことであることも申し添えておきます。
 以上で私の討論を終わります。