私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっています議案11件中、議案第8号 一般会計補正予算 第3号、議案第10号 個人番号利用条例案、議案第12号 市税条例等の一部を改正する条例案、議案第13号 証明等手数料条例及び住民基本台帳条例の一部を改正する条例案、議案第14号 児童福祉法施行条例の一部を改正する条例案の5件に反対、残余の議案6件に賛成する立場で討論を行います。
まず、議案第8号 一般会計補正予算 第3号に反対する理由は、マイナンバーに関わる予算6億6,613万7千円が計上されているからです。
日本に住み、住民票を持つ人にひとり残らず番号をつけて、国が情報管理する「マイナンバー制度」の本格的運用へ向け、10月から番号を国民に知らせる「通知カード」の郵送を約5,500万世帯に開始します。しかし、内閣府の最新の世論調査でも過半数を超える56.6%の国民が制度を詳しく知らず、情報漏れへの不安を広げています。さらに、カードは転送不用の簡易書留で送付されるため、独居などで長期入院中の方、あるいは、DV被害で住居を離れざるを得ない方など、全国で200万世帯以上、本市でも約1万世帯に「通知カード」が届かないことが明らかになりました。新たに転居した住所を届け出たら、「通知カード」を再送付するものの、再送付にかかるお金は、国が財政措置するのは、年内のみで、その後は、本市が負担しなければなりません。人権擁護の点でもDV被害者の番号が加害者にわたる危険性も解決されておらず、やむを得ない事情があって住民登録をしていない人などについての対策もなく、手立ても講じられないことは重大問題です。
議案第10号「個人番号利用条例案」もマイナンバーに関わるものであり反対です。
医療保険給付、障がい者自立支援給付、児童手当など50以上の市民生活に関わる圧倒的な部分に関係するサービスの情報が対象になっています。
先の代表質問で「市民の個人情報は守り切れるのか」との、わが党の質問に対して、市長は「必要なセキュリティ対策を講じてまいりたい」と答えるにとどまり守り切れると明言できませんでした。
昨年1年間だけでも政府機関や企業など、特定の標的を狙ってウイルスに感染するメールを送りつけて、機密情報を盗み取ろうとするサイバー攻撃は、1,700件も確認されています。
今年6月、日本年金機構で125万件もの情報が流出した後、詐欺と思われる電話がかかるなど危険性は証明されています。
9月には、大阪の堺市で市の職員が、外部に売り渡すため、68万件の個人情報を持ち出し、560人分の情報は、すでにネット流出しているという事件が起こっています。
8月にはマイナンバー制度をかたり、預金口座番号などの個人情報を聞き出そうとする不審な電話や訪問が全国相次いでいます。高齢者を中心に新たな詐欺の被害が広がる恐れがあり、国民生活センターなどは注意を呼びかける事態がすでにおきています。
市民の生活上の細かいプライバシーを一元化すれば、個人情報の漏えいや悪用などの重大な不利益を与える事態になることは明らかです。また、複雑な仕組みとセキュリティ対策にも巨額のコストがかかり続けることになります。
共同通信のアンケートでは、予算や専門職員が不足しており、マイナンバー制度の実施に不安だと道内の自治体64.6%が回答しています。こんな状態で厳重な保管が必要な番号の通知を始めることは個人情報を危険にさらすものであり実施に突き進むのは無謀であり、中止すべきことを申し上げます。
また、関連する議案第12号 市税条例等の一部を改正する条例案は、申請書類に個人番号記載欄を新たに設けるものであり、議案第13号 証明等手数料条例及び住民基本台帳条例の一部を改正する条例案も通知カード及び個人番号カードの再交付額を定めるためのものであり反対です。
議案第14号「児童福祉法施行条例の一部を改正する条例案」では、保育士の配置基準において、以前から保健師と看護師は、1保育所1人に限り保育士とみなしていたものに准看護師を加えることができるようにするものです。
子どもの体調不良や感染症に看護師などがいち早く対応してくれることは保育所にとっても保護者にとっても大きな安心です。
しかし看護師等と保育士の専門性は別物であり、看護師を保育士にみなすことができるというのは保育士配置基準の実質的な引き下げです。
日本の保育基準は世界の中でも最低の基準と言われており、欧米先進国では3歳児の場合、ひとりの保育士が6人から8人の子どもの保育をおこないますが、日本ではひとりで20人もの子どもを保育しなければなりません。
今年度4月から始まった子ども子育て支援新制度により「小規模保育B型C型および家庭的保育事業」においては無資格者であっても保育をおこなえるように規制緩和をおこない保育の水準を引き下げました。今回の条例改正はそうした流れの中の引き下げであり容認できません。
保育は、子どもの心身の発育に関する専門知識を学び、保育資格をもったものがおこなうべきですが、その労働環境が「2人に1人が非正規雇用」「賃金も他の職種の平均月収より13万円少ない」など劣悪であるために、早期離職者が多く、5年未満に半数の方が離職しており、せっかく資格を取得していても保育の職に就かない潜在保育士は全国に60万人以上いると言われています。保育士の働く環境の改善、処遇改善こそ求められています。
基準の引き下げではなく、専門性のある保育士をきちんと配置できるように本市が努力すべきであり反対です。
以上で私の討論を終わります。