私は日本共産党所属議員を代表して、ただいま議題となっております意見書案第1号「安全保障関連法案の強行採決に反対し、慎重な審議を尽くすことを求める意見書案」に賛成する立場で討論を致します。
この意見書案は、民主党・市民連合および改革、市民ネットワーク北海道との共同提出によるものです。
国会はいま、政府与党による強行採決を許すのかどうか、日本列島を覆う反対世論の高まりのなかで緊迫した事態が続いています。私は、戦後最悪のこの悪法を阻止するために、全力をつくすことを改めて表明するものです。
国会の審議を通じて、この法案には3つの問題があることが明らかとなりました。第1は、圧倒的多数の憲法学者、そして、内閣法制局および最高裁判所の元長官が「違憲」と断じている通り、明白な憲法違反であり、合憲か違憲かの論争は決着がついたということ。第2は、直近のどの世論調査でも、6割以上が「今国会での法案成立に反対」、8割をこえる国民が「説明が不十分」と答えており、「国民の理解を得られなくても成立させる」などというのは、あまりにも傲慢な態度であり、民主主義を否定するものであること。そして第3は、自衛隊の内部文書で明らかになったように、シビリアンコントロールすなわち文民統制はすでに機能を失い、すでに自衛隊の暴走がはじまっているということです。このように、あらゆる点で強行採決など到底許される状況ではありません。
この法案が可能とする集団的自衛権の行使とは、日本が直接、武力攻撃を受けていないのに、存立危機事態を口実にして、日本が武力を行使するというものであり、安倍政権がいう、「法案は日米同盟の抑止力を高め、戦争を未然に防ぐものだ」という論拠は完全に破たんしています。
元内閣法制局長官の阪田雅裕(さかた まさひろ)氏は、参考人質疑で「集団的自衛権を行使するということは、進んで戦争に参加するということであり、敵となる相手国にわが国領土を攻撃する大義名分を与える」とのべ、「国民を守ると言うよりは、進んで国民を危険にさらすという結果しかもたらさない」と指摘しました。
また、日弁連憲法問題対策本部の伊藤真(いとう まこと)弁護士は、参考人質疑で、集団的自衛権の行使について、「たとえ要件を限定したとしても、日本が武力攻撃されていない段階で日本から先に相手国に武力攻撃をすること」であり、「日本が攻撃の標的となる」と指摘し、「日常用語では、これを戦争と言います」と厳しく批判しました。この法案が「国民の命と平和な暮らしを守る」どころか、それを根底から脅かす、文字通りの戦争法案に他なりません。
さらに、まともな反論が困難となってもなお法案を正当化する安倍政権に対し、元最高裁判事の浜田邦夫弁護士は、次のように述べました。「安倍政権は法案を正当化するために、憲法学者が200人反対しても、『賛成が3人いれば十分だと言い、憲法判断は最高裁がする』と言いました。ところが元最高裁判事の那須弘平(なす こうへい)弁護士が集団的自衛権の行使は違憲だと表明すると、今度は『あの人たちは弁護士出身だから』と言い、裁判官出身の山口繁(やまぐち しげる)元最高裁長官が違憲だと言うと、『あれは一個人の考えだ』と主張する。このように、次から次へと思いつきの理由をあげる。知的水準、理論性という点で誠にみっともない」と痛烈に批判しました。そして、「いまや政府の説明は、国際的にも説明がつかない、国民にも説明がつかないものになっている」と指摘し、最後に「法律の問題で、私のような最高裁OBが発言することは異例なことですが、今ここで発言をしなければ、それこそ70年以上前に日本が戦争に突入したときに、何も言わずに協力した弁護士や裁判官と同じ後悔をすることになってしまう。この法案が民主主義、立憲主義、平和主義そのものを壊そうとしているだけに、私は声をあげるときだと思っています」と、まさに異例の発言を行い、警鐘を鳴らしました。これが、国民の心からの声ではないでしょうか。
改めて申し上げます。今、私たちが所属している本市議会に問われているのは、国民の声に背を向け、独裁政治に向かおうとしている現政権に対して、議会制民主主義・立憲主義・法治主義、そして国民主権の本来の姿を取り戻させることであり、そのために大同団結し、本意見書案を全会派一致で採択させ、議員、議会の責任と良識をはっきりと示そうではありませんか。
議場の皆様に心から訴えまして、私の討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。