私は日本共産党所属議員を代表して、ただいま議題となっております意見書案第10号「安全保障関連法案の廃案を求める意見書」に賛成の立場で討論を致します。この意見書案は民主党・市民連合および市民ネットワーク北海道との共同提出によるものです。
昨日の衆議院本会議での法案強行採決は、文字通りの歴史的暴挙であり、政治への信頼は失墜し、おさえがたい怒りが国民のなかに広がっています。
多くの国民の反対の声に背を向けて、国会での徹底審議を求める私ども日本共産党も含めた野党の声にも耳を貸さず、政権与党の自民党・公明党だけで、採決を強行する様子は幾重にもなる憲法破壊です。立憲主義・議会制民主主義・法治主義の破壊であり、憲法も民意も踏みつけにする戦争法案の衆院通過の強行を絶対許すわけにはいきません。立憲主義の国では、憲法が権力を縛っているのです。権力が憲法を壊すというのは、法治主義の破壊であって、独裁政治への道だと言わなければなりません。主権者である国民多数の反対の意思を踏みにじる、まさに国民主権の大原則の蹂躙です。
「戦争法案、絶対反対」「安倍政治を許さない」の声は日に日に強まり、この瞬間も高まっています。
採決強行を狙う安倍政権の策動で緊迫する中、国会や首相官邸周辺は、国民の強い怒りの声に包まれました。採決前夜の東京・日比谷野外音楽堂の集会には、勤め帰りの労働者や市民が会場の外まであふれ、国会に向けたデモ行進は深夜におよびました。強行採決の委員会当日も、早朝から国会周辺には市民が詰め掛け、抗議の声を終日響かせました。
戦争法案反対の声は、労働者や市民、青年、学者、法律関係者、文化人など国民各層、全国津々浦々に広がっています。どの新聞社、どの放送局の世論調査でも、戦争法案は憲法違反だ、法案は成立させるべきではないという声が半数を超えます。法案の審議が進むごとに賛成が減り、反対が増えています。安倍政権は、国民に十分説明していないという声が8割を超しています。安倍内閣支持率も支持と不支持が逆転してきました。
安倍首相自身、締めくくり総括質問への答弁で「国民の理解は進んでいる状況ではない」と答えざるを得なかったのに、なぜ採決を強行し、成立を急ぐのか。圧倒的多数の反対の声を踏みにじって採決を強行するのは、国民の声を抑え込むものであり、許しがたいものです。
政権与党の自民党・公明党は、特別委員会で100時間以上審議したから充分と言いました。しかし、法案審議にあたって、安倍政権の態度は、憲法学者などの「憲法違反だ」という指摘に対しても、決めるのは政治家の責任だと突き放すなど不誠実なものです。野党の議員が追及した審議に必要な資料の提出や統一見解の要求にもまともに答えず、安倍首相は最初から「決めるときは決める」と、採決強行が前提の強権姿勢でした。
だいたい、憲法違反の法案を「合憲」と見せかける理屈など出てくるはずがありません。安倍政権は、集団的自衛権の行使を「合憲」だと言い張るために、集団的自衛権行使とは関係ない最高裁での「砂川判決」しか持ち出すことができませんでした。従来の政府見解で「行使は違憲」としてきた憲法解釈を変更したのは「安全保障環境」が変わったからだとしか言えないのです。しかし「何が変わったのか」と追及されても答えられず、安倍政権の主張は完全に破綻しています。
戦争法案で、後方支援としている行為も、アメリカの戦争と一体化する兵たんであり、集団的自衛権の行使と合わせ、憲法違反であることは明白になりました。憲法違反の法案を、数の力で押し通すことに一片の道理もありません。憲法の平和原則も国民主権も踏みにじる法案は廃案にするしかありません。
今年は戦後70年の節目の年です。8月には広島・長崎への原爆投下で多くの方が亡くなりました。第2次世界大戦では310万人以上の日本人が、アジアでは2,000万人以上の尊い命が犠牲になりました。そのもとで作られた憲法の平和的・民主的原則を守りぬくのは、私たちの責任ではないでしょうか。まさに、正念場です。
1992年3月30日に制定された「札幌市平和都市宣言」には、「戦争のない平和な世界を築くことは、人類共通の願いです。」「私たち札幌市民は、日本国憲法がかかげる平和の理念に基づき、(中略)正義と公正を重んずる全世界の市民と相携えて世界平和の実現を望みつつ、ここ札幌市が核兵器廃絶平和都市であることを宣言します。」と高らかに謳っています。
11日には炎天下、中島公園に北海道弁護士会が呼びかけて6,000人を超える市民が「戦争法案反対」の声を上げました。
今回初めて当選された新人議員の皆さん、そして同僚・先輩議員の皆さん、我々札幌市議会議員は、たとえどの会派に所属していたとしても、平和を願うすべての市民の付託を受けて、私たちは、この議場にいるのです。194万人の市民代表として、平和を希求しようではありませんか。自衛隊員を含め、札幌市民から一人の戦死者も出してはなりません。
すでに道内では53議会から、また全国では265議会から廃案、あるいは慎重審議を求める意見書が採択されています。
改めて申し上げます。今、私たちが所属している本市議会に問われているのは、独裁政治に向かおうとしている現政権に対して、議会制民主主義・立憲主義・法治主義、そして国民主権の本来の姿を取り戻させることであり、そのために大同団結し、本意見書案を全会派一致で採択させ、議員、議会の責任と良識をはっきりと示して行こうではありませんか。
議場の皆様に心から訴えまして、私の討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。