私は日本共産党を代表して、ただいま議題となっております議案29件中、第1号、第5号から第8号、第18号から第20号、および第26号の9件に反対。残余の議案20件に賛成、陳情第224号 介護保険料の引き上げ中止を求める陳情を採択する立場から討論を行います。
議案第1号に反対する理由の第1は、市民生活にかかわる値上げが含まれているからです。
アベノミクスのもとで円安による物価高と消費税8%への増税、年金や生活保護費の削減、実質賃金の連続17か月前年度割れなど、市民生活が厳しい状況の中の値上げは行うべきではありません。
平岸合同納骨塚の墓地使用料は、今まで1体1900円だった手数料を9100円と5倍近くもの値上げとなります。さらに、市営住宅家賃減免の縮少を2013年度から4年かけて段階的に進めています。
厚別公園競技場補助競技場について、日本陸連公認陸上競技場として維持するための改修に伴い、個人使用の有料化や1時間につき1200円から2400円への使用料の値上げなどがあることから、反対します。
これに関連する議案第20号 都市公園条例の一部を改正する条例案にも反対です。
子ども子育て新制度への移行に伴い、札幌市立幼稚園の保育料入園料を廃止するものの、保育料が所得階層ごととなり、これまで8900円の保育料だったものが、最高額で19900円と所得によっては値上げとなる層が生じます。全体では463万円の保育料増収を見込んでいることは、市民負担の増となり、反対です。
これにかかわる議案第26号 札幌市立幼稚園保育料等に関する条例の一部を改正する条例案にも反対です。
理由の第2は、大企業に対する支援を盛り込んでいることです。
道路占用料の値下げ分8億2126万円のうち、中小事業者向けの突出し看板などの値下げには異論はありませんが、北電、NTT、北ガスなどの大手企業が道路や都市公園内に設置する電柱・電話柱などの占用料2億8348万円分は値下げせずに据え置いて、市民福祉に活用すべきです。
これに関連する議案第19号 道路占用料条例及び法定外道路条例の一部を改正する条例案にも反対です。
次に、議案第5号 国民健康保険会計についてです。
反対する理由の第1は、高くて払えない保険料だからです。本市は、平均保険料を据え置いているとするものの、同じ年収でいると毎年国保料が上がり続けていくことは問題です。同じ年収であれば、上がらないことを基本に国保料の設定をすべきです。
2015年度は、保険者支援制度が国全体で1700億円拡充されることから、拡充された分を活用すると全国で1世帯8395円の国保料の引き下げができる金額であり、本市の一般財源からの繰り入れと合わせて国保料引き下げの政治決断を行うべきです。
理由の第2は、資格証明書の大量発行があるからです。2015年1月末現在で、資格証明書が、9631世帯に発行されています。資格証明書を発行されると病院の窓口で10割全額払わなければならず、具合が悪くてもお金がないために病院へかかれずに手遅れ死を招くこともあります。
資格証明書の交付は、資力がありながら故意に支払わない悪質滞納者に限り、それ以外の世帯には交付すべきです。
理由の第3は、滞納者への過酷な取り立てがあるからです。滞納していても払う意思のある人には親切で丁寧な相談を行うべきです。また、滞納処分での過酷な差し押さえは行うべきではありません。
議案第6号 後期高齢者医療会計は、75歳という年齢で医療を差別するものであり反対です。
次に、議案第7号 介護保険会計に反対する理由と陳情第224号に賛成する理由を一括して申し上げます。
第1は、本市の第6期介護保険計画では、新年度から、保険料基準額の月額を現行の4,656円から5,177円に引き上げる提案がされているからです。食費を削るなど、切り詰めて生活している高齢者から悲鳴が上がっています。介護保険料は、国の負担がそもそも少なく、給付を増やせば保険料が引きあがる仕組みであり、制度の根本を正す必要があります。また、国は低所得者の保険料軽減案を当初の計画より大幅に後退させたことは問題であり、本市が独自に軽減措置を行うべきです。さらに介護保険料については、本市の一般会計からの繰り入れをして、引き上げは行うべきではありません。
第2は、介護報酬の引き下げが行われるからです。国は、新年度予算の社会保障費の案を決め、介護報酬2.27%の引き下げの方針を打ち出しました。介護職員の処遇改善で実質的には、4.48%のマイナスとなり、9年ぶりの報酬の引き下げは、過去最大の下げ幅となっています。さらに、特養ホームの基本報酬は6%、施設以外でも通所介護の小規模事業所が最大で9%、要支援向けの訪問介護を約5%、通所介護は20%もの削減です。
この改定が、このまま実施されれば、多くの事業所が、かつてない深刻な経営難におちいり、介護サービスの大幅な後退を招くことは確実であり、利用者へのサービス低下につながるため容認できません。
第3は、特別養護老人ホームの待機者が解消されていないことです。本市の待機者は昨年12月末時点で6140人となっており、待機者の解消は喫緊の課題です。新年度からの介護基本計画でも2017年度までに800床の増設計画になっていますが、希望するすべての方が入所できるような計画ではありません。現在の特別養護老人ホームのベッド数5458床よりも待機者が多いのは異常なことではないでしょうか。本市の特養ホームの65歳以上の人口当たりの整備率は、政令指定都市で最低です。特別養護老人ホーム待機者をいつまでに解消するか期限を決めて施設整備に取り組むべきです。
第4は、特別養護老人ホームへの入所制限、「特養からの軽度者はずし」があるからです。新年度、一定の条件の下での「入所特例」以外は、どんなに強く希望しても要介護3未満の方は特別養護老人ホームに入所することが出来なくなります。現在の待機者6140人のうち、要介護1、2の方は、合わせて2597人です。この方々の行き場所がなくなってしまうことから、軽度者はずしは行うべきではありません。
関連する議案第18号 介護保険条例の一部を改正する条例案に反対します。また、陳情第224号 介護保険料の引き上げ中止を求める陳情は採択すべきです。
次に、議案第8号 札幌市基金会計予算に反対する理由です。
2015年度末現在高見込みは、21基金合計で2986億円に上ります。そのうち、財政調整基金とまちづくり基金、土地開発基金あわせて950億円は市民福祉の財源として活用できるものです。市民負担増をやめ、国民健康保険料や介護保険料の引き下げなど、国の悪政から市民生活を守るための財源として有効に活用すべきです。
なお、議案第16号 職員定数条例の一部を改正する条例案については、職員全体は24名の増員と、長く続いてきた「人減らし」路線からの転換となるものですが、特に学校用務員は28名減となっています。これまで学校用務員が行っていた業務のうち、除雪や清掃などを民間委託し、その費用を学校施設維持管理費に予算配分した、とのことです。用務員が減員となっても、臨機応変な対応ができるよう求めておくものです。
次に、代表質問ならびに予算特別委員会で取りあげた諸課題について、局別に申し上げます。
まず市長政策室です。
わが党は、指定管理者制度が経費削減の手段とされ、官製ワーキングプアを生み出してきたことをいち早く取り上げ、労働環境調査を求めてきました。このたびの調査は回答が275通と、十分な調査とは言えません。しかし、その中からも、再委託先で働く人の賃金は、清掃の平均で751円と非常に低く抑え込まれていることが明らかになっています。本市が直接契約を結ぶ指定管理者を通じて、再委託先の労働条件について、回答を義務付けた調査を行うべきです。公契約法や条例を定めれば官製ワーキングプアの解消は可能です。
市民まちづくり局です。
都心部で消費する電力の3分の1をコジェネで供給すること、そのためにエネルギーセンターは10カ所必要で、すでに設置されているのが3か所、予定が具体的になっているところが2か所で、あと5か所の具体化が必要であることを明らかにしました。北海道熱供給公社などの高温水管、冷水管などのべ43.1キロメートルは敷設から43年が経過しており老朽化が迫っています。コジェネの設置場所は民間開発計画に依存せず、本市主導の計画を積極的にすすめるよう求めます。
保健福祉局です。
「精神障がい者の交通費助成の引き下げ中止を求める」陳情について代表質問で取り上げました。
ウィズユーカードの1万円券には15%のプレミアムがついていました。今年3月をもってウィズユーカードが利用できなくなることに伴って、利用金額の最大を、これまでの5万4800円から5万2800円へ2000円分削減するとのことです。保健福祉局は「助成制度の変更をしたものではない」と説明していますが、それは、役所の論理であり、利用者の立場に立つものではありません。
プレミアム分が付与されないことは、障がいをもつ方にとっては「交通費助成の削減」そのものであり、自己負担が増える、外出の機会が減る、ということにほかなりません。このような事実上の削減は撤回すべきです。
精神障がい者運賃割引についてです。本市は、「バスと地下鉄・市電の3事業が歩調を合わせて運賃割引を行うことが望ましい」として、前に進んでいません。障がい者の運賃割引は、公共交通機関として保障すべき最低限の福祉制度として国交省が示したものです。そもそも乗り継ぎ割引を利用する乗客が15%程度しかいない実態からも、本市が先行して実施することでトラブルが生じるとは思えません。これ以上、精神障がい者だけを不利益扱いすることはやめ、本市独自で先行実施に踏み出すべきです。
子ども未来局です。
学童保育所の大規模化解消を、代表質問および予算特別委員会で求めました。1小学校区に1カ所という考え方について見直しを行っていく必要がある、と求めたところ、「同じ小学校区内に、放課後児童クラブの複数配置が可能かどうか検討を進めている」と答弁しています。
児童クラブがある小学校区に、あとから民間学童保育所がつくられたところが現在2か所あります。これまでの考え方をあらため、新年度から、あとから作られた民間学童保育所も助成対象とするよう求めます。
保育所の待機児童解消についてです。
今年度末には待機児童ゼロという目標について、「楽観はできない」と答弁されています。保育の質を低下させない認可保育所で、早急に待機児童を解消することを強く求めます。
小規模保育所について、特に都心部の保育所の園庭が大通公園とされていることは安全性に問題があることを指摘します。
2月23日に可決した「子ども・子育て支援法施行条例の一部を改正する条例」によって、保育料を滞納した際の延滞金の徴収がなされることになりました。保育料を納めることが困難な家庭は、厳しい生活状況が考えられ、延滞金をあらたに徴収することは、市長の言う「日本一子育てしやすい街づくり」に逆行します。保育関係者からは、「何も聞いていないことがいきなり決められた。あまりにも唐突な提案だ」「意見を言う機会もない」などの声が出されており、不安や混乱が高まっています。保護者や関係者などに十分な説明を行い、運用にあたっては、合意と納得を前提にするよう、実施を先延ばしするなどの手立てを打って信頼を回復すべきことを申し上げます。
環境局です。
現在策定中の「札幌市温暖化対策推進計画(案)」で「検討」とされている集合住宅について質しました。家庭部門で推進する202万トンCO2削減のうち、高断熱・高気密住宅の普及によって46万トンを削減量とし、その内訳は戸建て住宅が27万トン、集合住宅が19万トンとなっています。多くのマンションが大規模改修時期に入っており、外断熱によるエネルギー削減効果の調査に早急に着手し、必要な支援策と集合住宅19万トン分のCO2削減の具体化を図るよう求めます。
経済局です。
小規模企業振興策についてです。
昨年、施行された小規模企業振興基本法が小規模企業の「事業の持続的発展」が重要と位置づけました。一方で消費税の増税や電気料金の再値上げなどが進み、環境が変わっている中で、本市の小規模事業者について話をよく聞いて実態を把握し、支援するべきです。
建設局です。
札幌駅前通り地下歩行空間への接続ビル火災による煙流入について今後の再発防止を求めました。今回の事故を受けて、手稲区の「あいくる」など市内5カ所の類似施設の自由通路についても安全対策を強化することを求めます。
建設労働者の不足と高齢化の問題について取り上げました。行き過ぎた低価格競争による賃金のしわ寄せで、技能労働者が減っています。技能労働者の取り合いになり確保することが困難な状況になっていることから、本市として業界に働きかけ、実態を把握して対策を講じるべきです。
都市局です。
市営住宅の計画修繕予算の執行率が低くなっていることを取り上げました。計画修繕を100%達成できないのに予算を減らし続けていることは問題です。計画通りの修繕を実施し、入居者が安心して快適に住めるようにすべきです。
市営住宅の階段の昇り降りが大変な高齢者や足腰の不自由な方の住みかえについてです。2013年度の住みかえ申請は248件で、実際に住みかえができた方は39件、15.7%でした。空き家や新築の市営住宅の抽選のときに、住みかえを希望する高齢の方、足腰の不自由な方の部屋を1階、2階に優先的に入居させるべきです。また、その都度申請書を書かなくても登録ができるなど、高齢者に配慮した仕組みを検討するべきです。
水道局です。
藻岩浄水場で標高差による水圧を有効活用した水力発電を導入することや、配水センターに太陽光発電設備などを活用するなど、北電から電力購入せずに自家発電で賄うことを基本にしながら売電を進めること、水道庁舎内の節電対策としてLED化をすすめることを求めます。
病院局です。
市立札幌病院の看護職員の労働条件の改善について質しました。離職する看護職員を減らしていかなければ、看護師の過酷な労働条件の改善も進んでいきません。実態を調査して具体的に把握し、対策をとるべきです。
消防局についてです。
介護施設の消防設備について質問しました。
お泊りデイサービスの場合、介護度の軽い人が泊まる割合が高い場合には、事実上、スプリンクラーの設置はしなくていいという基準になります。
一方、介護度の重い人が多く宿泊する場合には、面積に関係なくスプリンクラーは必置とされます。
デイサービスで宿泊する人は毎日変わるはずであり、その日の宿泊者によって、スプリンクラーが必要になったり不要になったりすることは矛盾があります。
よって、宿泊を行うデイサービスには、最初からスプリンクラー設置をするよう、指導すべきです。
また無届け有料老人ホームについてですが、170施設を調査したところ、99施設でなんらかの消防法令違反があり、そのうち8か所では重大な違反があったとのことでした。
行政指導に従わない場合には、施設使用禁止など断固たる措置を取るようもとめるものです。
教育委員会です。
公立夜間中学校について、国は、設置にあたっての課題解消策の調査研究費を計上しており、予算特別委員会で本市教育委員会は「申請したい」と答弁しました。市内には、札幌遠友塾自主夜間中学が、戦後の混乱や貧困、不登校などさまざまな事情で義務教育を終えられなかった人たちの学びを大変苦労されながら支えてきました。こうした団体やフリースクールなどと連携し、本市に公立夜間中学校を設置することができるよう取り組み強化を求めます。
就学援助は、生活保護基準の削減に連動させないことが審議会答申として出されました。しかし、特別支援学級などに在籍する児童の特例基準がなくなったことは問題です。就学援助の申請を出したあと「非該当」という通知がきて初めて知った、ということのないよう、関係者への十分な周知を行うことを求めます。また、部活動費、生徒会費、PTA会費の3費目を追加すること、あわせて、就学援助の引き下げを今後も行わないよう強く求めます。
歯科検診で「要治療」の結果が出された児童・生徒がその後歯科を受診したかどうか把握していないことが明らかになりました。就学援助を受けている世帯は就学援助で虫歯の治療ができること、そのための周知方法として「要治療」の通知を出す際に「就学援助の方は無料で治療できる」旨の記載を入れること、検診を受診につなげるよう本市教育委員会が保護者へのはたらきかけを強めるなど、積極的なとりくみを求めます。
帰国・外国人日本語教育支援事業について取り上げました。2006年は9校12名でスタートし、今年度は36校57名と需要が高まっています。対象となる子ども約60名に対して20名ていどの退職教員中心のボランティアで行っている現状で、教材作成、カリキュラム作りなど手一杯の状態です。次年度は100万円の予算が確保されるとのことですが、関係者との意見交換や研修の充実など育成と支援を、これまで以上に強めるよう求めます。
図書館運営についてですが、今後の検討にあたり、指定管理者制度の導入は行わないことを求めます。「知の拠点事業」充実のため、希望する司書の専門職化や司書の研修など、全体の底上げをいっそう図るよう求めます。
最後に選挙管理委員会です。
期日前投票所の増設を求めました。現在半径4キロ程度としている期日前投票所は、遠くて不便、駐車場が混み合って待ち時間が長い、などの声が出されています。北区・東区・南区に設置した第2投票所も投票日の3日前からの期日前投票しかできず、増設や時間・日数の延長などの改善を早急に行うべきです。
また、若者の投票環境を改善し投票率向上を図るべきことを申し上げました。愛媛県松山市で実施したような、学生が主体となった選挙への意識啓発活動と投票所の設置を組み合わせた若者の投票率の向上事例などを参考に、本市でも大学内での投票所の設置を検討すべきです。
以上で私の討論を終わります。