私は日本共産党を代表して、ただいま議題となっております議案第6号 札幌市住民基本台帳条例等の一部を改正する条例案に、反対の立場で討論を行います。
この条例案は、国の住民基本台帳法や出入国管理法などの改定に伴って、地方自治体の外国人登録が廃止され、住民基本台帳に登録されるというものです。
外国人住民の住民基本台帳を制度化することは、外国人住民に対して行政サービスの適切な情報提供を行い、医療や教育、社会保障を受ける権利をひとしく保障していく上でも必要なことです。
しかし一方では、住民基本台帳制度に外国人の在留管理強化を持ち込むことにもつながります。自治体は、法務大臣から在留資格等の変更の通知を受け、適法でないとされた外国人住民を住民基本台帳から削除することになります。また、入国管理法改定に基づき、死亡、出生などの情報を法務大臣に通知することになります。場合によっては、雇用主や留学生を受け入れる学校にも情報提供が求められる事が想定されます。本来、外国人住民基本台帳は、自治体が外国人住民に行政サービスを提供するために活用すべきものであり、新たな在留管理強化のために利用すべきではありません。
また、これまでの外国人登録制度が廃止され、非正規滞在者が住民基本台帳から除外されることによって、子どもの教育を受ける権利や医療、福祉などの行政サービスを受けられなくなる懸念があります。就学の受け入れや母子手帳の交付、助産施設での入院助産、結核治療、定期予防接種等について、条例案に明記されていない事は問題です。この条例改定案は、単なる字句の修正ではなく、外国人登録が廃止されることによって、例えばDV被害などで住所が定まらない外国人が行政サービスを受けられなくなるなどの懸念があり、想定される問題について、さらに具体的な対応を盛り込み、本市で外国人住民が不利益を被ることのないようにすべきです。
現行条例では、本市に外国人登録していれば学齢期の子どもの家庭には、あまねく就学通知が届けられていましたが、今後は在留カードのない子ども、すなわち在留資格を失った外国人住民が養育している子どもの実態を行政として把握できなくなる可能性が生まれ、就学通知は出せなくなるというのが法務省の見解です。
本市でも、母子手帳が交付され、子どもの定期予防接種などが実施されても、その外国人の情報は直接行政サービスをおこなう保健所等でしか管理しないため、学齢期になっても本市教育委員会では実態がわからず、就学通知が出せなくなるという事になります。2011年11月11日付けで、総務省より住民登録の適用外となる外国人住民に対して「必要に応じて、その者に係る記録の適正な管理のあり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」ことを求める文書が出されており、改めて、本市住民基本台帳で登録適用外となる外国人の記録について、その生活実態の把握ができる様なシステムを構築すべきことを求めておきます。
台帳から除外された外国人住民には、難民申請中で仮放免となっている人など、人道上配慮が必要な人もおり、在留資格を有していない外国人であっても、基本的な人権は原則として保障されるべきで、国際人権規約における教育、医療、社会保障を受ける権利を侵害するものであり、本条例案には反対です。
以上で討論を終わります。