私は、日本共産党を代表し、市政の重要事項について、順次、質問いたします。
 
 質問に入ります前に、能登半島地震でお亡くなりになられた方々へ、心より哀悼の意を表し、被災された方々にお見舞い申し上げます。
 石川県の住宅被害は7万2,844棟、2万3,700万戸(2/19時点)が今も断水という厳しい状況が続いておりますが、各自治体からの派遣職員によるインフラ復旧、医療介護等の支援により、災害ボランティア活動の受入れも始まっていますが、被災されたみなさんは、今後の住まいをはじめ、くらしや子育て、医療、介護等、生活再建の見通しに大きな不安を抱えています。被災地のみなさんの安心や希望につながる国の保障や支援策を心から求めるものです。

 2021年、市内女子生徒が、いじめを苦に自死した問題について一言申し上げます。
 教育委員会は、2023年12月、公開すべき多くの情報を黒塗りにした報告書を公表し大きな批判をあび、今月14日、再公表をしました。
 記者会見で「いじめ防止対策推進法に示された再発防止、全容解明の視点が抜けていた」と陳謝し、今後、本市の「いじめ防止基本方針を速やかに改定していく」と説明されました。
 しかし、子どもの人権としてのとらえが希薄であり「再発防止や全容解明の視点がなぜ欠けたのか」という点の徹底した検証なしに、問題の解決にはならないと考えます。
 基本方針の改定や、職員の処分で済ませることなく、本市教育委員会として、「いじめ自殺を2度と繰り返さない」という決意をもち、対策を進めていただくことを強く求めます。

 それでは順次質問いたします。

 はじめに市長の政治姿勢についてです。
 質問の第1は、温室効果ガスの削減についてです。
 1点目は、GX産業の集積と市の責任についてです。
 札幌市は1月23日、政府の特区募集に応じて、北海道・札幌「GX金融・資産運用特区」を提案しました。
 提案書では、「日本の再生可能エネルギーの供給基地の実現」が掲げられておりますが、温室効果ガスの削減目標がなく、CO2削減にむすびつくものなのか不透明です。
 また、水素の貯蔵上限緩和、水素ステーション保安検査の簡略化等や、風力発電の導入のためのアセスメントを国が肩代わりするなど規制緩和が盛り込まれています。
 市長はこうした疑問に答えるとともに、規制緩和により、安全面で後退する危険性がないのか、市民に説明責任を果たしていく必要があると思いますが、お考えを伺います。

 2点目は、気候変動の認識と取り組みの強化についてです。
 昨年12月の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)は、合意文書として初めて、「化石燃料からの離脱」を盛り込みました。
 本市は2021年に策定した「気候変動対策行動計画」で、温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロ、2030年までに16年比で55%への削減目標を掲げました。
 この行動計画では、削減策を取らなかった場合、20世紀末には年5日程度だった真夏日が、21世紀末に年21日程度に増加するほか、これまでほとんどなかった熱帯夜が、年10日程度発生すると警告しました。
 札幌市は、21年と23年の夏に記録的な猛暑となるなど、本市自らが行動計画で警告した危機的な状況にあり、明らかな気温上昇の変化がみてとれます。
 こうした近年の気候変動をふまえて、行動計画と具体的な温室効果ガス削減対策を発展、促進させる必要があると思いますが、市長のお考えを伺います。

 質問の第2は、本市経済の底上げと、中小・零細企業の賃上げ施策についてです。
 国は、令和6年度税制改正により、積極的な賃上げを支援し、中小企業の成長と雇用の安定を促進することを目的として、「賃上げ促進税制」を拡充しました。
 中小企業が、一定の要件を満たしたうえで、前年度より給与等の支給額を増加させた場合、その増加額の一部を法人税や所得税から税額控除できるというものです。
 2024年4月からの3年間で、賃上げを開始する年度のみ適用になります。
 まず企業が従業員の賃金を引き上げることが前提となっており、賃上げができる体力がある企業には有利ですが、給料を上げたくても上げられないぎりぎりの経営に苦しんでいる企業は、制度が使えず税の控除を受けられません。
 本市企業の99%を担う、中小零細企業の経営が安定し賃上げができる体力をつけることこそ、本市経済を底上げする確かな力になると思いますが、市長のお考えを伺います。
 また、本市での賃上げと雇用の安定を図るため、国の「賃上げ促進税制」を活用できない企業が、賃上げの努力が図れるよう、本市独自に法人市民税の猶予や減免などを行い、支援をする必要があると思いますがいかがか伺います。

 質問の第3は、札幌ドーム周辺地域におけるスポーツ交流拠点についてです。
 札幌ドームは、総事業費550億円、うち400億円を市債発行して、2001年に作られ、日本ハムファイターズの本拠地として市民から愛され、コロナの影響前には、年間39億円程度の売上高全体のうち、球団からの利用料収入が3割を占めていました。しかし、本拠地移転で年間約12億円の収入を新コンサートモードの導入などで穴埋めする必要性が生じることとなりました。また、建物の保全は、(株)札幌ドームがこの10年間で約20億円、本市が約70億円負担しており、今後も毎年10億円程度の保全費を要する建物となっています。
 2022年1月に策定した「札幌ドーム周辺地域におけるスポーツ交流拠点基本構想」では、高次機能交流拠点としての「札幌ドーム周辺地域」の整備に関し、「活用を図るうえでは以下の課題があげられる」として3点をあげています。ひとつは「札幌ドームとの相乗効果」、もうひとつは、「アクセス性」、3つ目は「周辺の豊かなみどり」です。
 
 質問の1点目は、変化に合わせた計画の見直しについてです。
 わが党は、この間、日本ハムファイターズの本拠地移転で札幌ドームの利用が半減し相乗効果は期待できないことから、高次機能交流拠点とする位置づけそのものを見直すよう求めてきました。これに対し本市は、「球団の移転を理由に見直す考えはない」との答弁を繰り返しました。
 しかしさらに、2030年に実現を目指していた本市でのオリンピック・パラリンピック開催も、招致活動自体を停止することとなりました。
 札幌ドーム周辺スポーツ交流拠点基本構想には、「2030 年冬季オリンピック・パラリンピック招致に向けた活用案」が示されていました。集客エリアの活用案では「アリーナはアイスホッケー競技のメイン会場として活用し、大会期間中は常時国内外から多くの観客が集まる」とされ、交流エリアの活用案では、「屋内スポーツ施設は、アイスホッケー競技の練習会場や大会運営施設として」活用、屋外スポーツエリアは、「大会期間中は、メダルプラザやホスピタリティ施設等を整備」し、ほかに「ウインタースポーツ体験ができる場等を設けることで、オリンピックパークとして一体的に活用する。」などです。
 しかし、描いていたこれらや、開・閉会式会場など、「大会の記憶をつなぐ象徴空間」としてドーム周辺を活用することは、できなくなったのです。
 これまでは、招致実現に間に合わせる必要がありましたが、時間的な余裕ができました。プロ野球の本拠地移転に加え、2030年のオリ・パラ招致はなくなったこと、少子高齢化や本市での人口減少時代の到来など、大きな社会的変化をとらえて20年30年先を見据えるならば、あらためて、ドーム周辺をスポーツ交流拠点とすることを見直すべきではないですか。お考えをうかがいます。

 質問の2点目は、相乗効果についてです。
 豊平区羊ヶ丘の札幌ドーム周辺は、地下鉄東豊線「福住」駅から先の延伸が見通せず、地下鉄という大量輸送機関の終着点となり、他の軌道系交通網との接続はありません。
 福住駅から札幌ドームの敷地まで歩いて10分、さらに建物内部の目的地まで10分は歩くため、歩行距離は長く、これまでも満席になるようなイベント・コンサートでは、国道36号脇の狭い歩道は行列をなし、地下鉄を降りてから地上に上がることすら難しいこともしばしばありました。冬期間など天候の悪い日は、お年寄りや障害のある方などにはさらに辛い移動となります。
 マイカーやバスで向かう場合は、国道36号や羊ケ丘通を利用することになりますが、いずれも大型スーパーや量販店が立ち並んでいるため渋滞が頻繁に発生しており、国道「北野1条1丁目」の交通量は混雑度1.27の「ピーク時間を中心として混雑する時間帯が加速度的に増加する可能性が高い状態」にあり、羊ケ丘線の「福住3条5丁目」は1.01となっています。道央自動車道・北広島インターチェンジ付近までは、渋滞が慢性的とも言え、土日などは、激安倉庫型卸売店などに向かう車と、インターチェンジへの出入りで、地元に住む人の生活のための移動に、支障をきたし、慢性的な渋滞の改善こそ急がれる状況です。
 本市は、一体的な整備によって「エリア全体のにぎわいや、他のスポーツ施設との相乗効果による札幌ドームの施設利用の機会創出、稼働率向上が期待できる」、としていますが、先ほど述べた、大きな社会的変化に加え、こうした地理的条件を考えると、札幌ドームの収益性を向上させ、黒字化できるほどの相乗効果があるのでしょうか。札幌ドームの隣に新たなスポーツ施設を加えるだけ、としか思えませんが、単なる「足し算」ではなく、「掛け算」として「相乗」の効果が期待できる、とする根拠について、具体的にお示しください。

 質問の3点目は、建設する場所についてです。
 2030年冬季オリ・パラの「大会概要案」には、総額60億円と試算する「用地取得費」がありました。本市は、札幌ドームに隣接する「国立研究開発法人 農研機構」が保有する土地取得の交渉を行ってきましたが、見込めない状況となり、敷地拡大はできません。
 駐車場に新たな施設が建設された場合、約1,500台を収容するスペースが大幅に減少し、周辺駐車場に向かう渋滞が深刻になります。また、南側には、札幌が誇る観光地・羊ヶ丘展望台があり、「都市景観の保全を図るための風致の維持が必要」な「風致地区」となっていますが、施設建設に伴って、周辺の豊かなみどりが減少することになりかねません。この場所は市街化調整区域であり、原則、建築・増改築ができないという土地利用制限を受ける場所ともなっています。
 こうしたエリアの、どこに新たなスポーツ施設を建てることを考えているのか、うかがいます。周辺の交通渋滞を深刻化させることなく、課題とされているアクセス性を確保し、豊かなみどりを保全・創出することができる建設場所となるのか、あわせてうかがいます。

 質問の4点目は、月寒体育館がある現在の場所に建て替えることについてです。
 我が党は、建設から50年以上経過し老朽化が進んでいる月寒体育館を、障害のある人も利用でき、公式試合も開催できる環境に整えて更新することに賛成です。積雪寒冷地・札幌で、市民のウインタースポーツ実施率が2019年10.1%と減少傾向になっている現状を引き上げ、誰もがウインタースポーツに親しむための整備を行うことは、大変重要だと考えます。
 月寒体育館の現在地は、都市計画マスタープランで「地域交流拠点」と位置付けられ、にぎわいや交流が生まれる場を創出する地域であり、すでに、月寒屋外競技場や、どうぎんカーリングスタジアムなどスポーツ施設が集積しています。
 2021年5月に策定した「スポーツ施設配置活用実施方針」には、今後は高齢者が増加する中で、自家用車を利用しない市民が増加することが見込まれることから、「市内の公共交通ネットワークを生かし、すべての市民が利便性を享受できる施設配置を検討することが必要」であること、地下鉄や JR の駅周辺などの地域交流拠点においては、生活を支えるより高度な都市機能や居住機能を集約することで利便性を向上させる、とされていることから、「体育館については地域交流拠点に配置することで、こうした拠点の利便性向上にも結びつくと考えられ」る、と記載されています。その策定の際に行った「市民意識調査」では、「公共体育館に求めるもの」の問いに、37.4%が「地下鉄など交通アクセスの利便性」を求め、36.5%が「身近にあること」と答えています。月寒中央駅すぐの現在地に建て替えるべき根拠を、本市の計画がまさに語っているのです。
 札幌ドーム周辺地域スポーツ交流拠点基本構想では、「期待される効果」が10項目挙げられていますが、「札幌ドームの活性化」という項目以外すべて、現在の月寒東1条8丁目で建て替えた場合でも、その効果を期待することは十分可能だと考えます。交通利便性の高い場所でこそ、高齢者や子育て世帯の移動や費用の負担感を軽減させ、多くの市民が「する」「みる」「ささえる」スポーツをより振興できるのではないでしょうか。アイスリンクのみならず、複合施設として「屋内運動場」等も視野に入れているならなおさらです。現在の地下鉄「月寒中央」駅徒歩1分から、地下鉄「福住」駅徒歩10分以上となる場所に、あえて配置する必要はありません。
 なぜ、現在地での更新ではダメなのか、その理由をお聞かせください。

 質問の第4は、「オリンピック・パラリンピック基金」の活用についてです。
 わが党は、これまで冬季五輪の招致活動について、まず住民投票を行うことで市民に招致の是非を問い、多くの市民の賛同があって初めて、招致活動に進むべきであると述べてきました。
 オリンピック・パラリンピック基金についても、一般財源を投入し、基金の創設や積上げをすることに反対し、市民の暮らしに使うよう求めてきたところです。
 このたび、招致活動を停止することに伴い、オリパラ基金を廃止し一般財源から積んだ50億円は「まちづくり推進基金」へ移行するための条例改正案が提出されています。
 マスコミの世論調査が示してきたように、「招致反対」という市民の意思は、2020東京大会の不祥事が発覚する以前からであり、その1番の理由が「オリンピックよりも市民生活を支える施策を優先してほしい」というものでした。
 オリパラ招致反対に込められた、市民の思いを受け止めるなら、オリパラ基金は、燃油価格の高止まりや物価高騰の支援など苦しい市民の暮らしに使うべきと思いますが、いかがか伺います。

 次は、「災害対策」についてです。
 質問の第1は、災害時の民間との連携強化についてです。
 本市も2018年の胆振東部地震で大きな被害を受けました。発生は9月でしたが、その後、2021年の第4次地震被害想定では、冬期に地震が発生した場合にどのような被害となるのか、3つの断層を震源としたシミュレーションが行われました。そのひとつの月寒断層で冬期の夕方6時にマグニチュード7.2の直下型地震が起きた場合に、被害が最大になると想定しています。
 それによると、積雪による屋根の重さから建物の倒壊は1万5千棟と、夏場の倒壊予測の約2倍、建物倒壊により閉じ込められた人の凍死は約1,200人から4,000人にのぼると推計されています。地震発生時の初期は、道路状況を点検し、災害による道路上のがれきや土砂などの堆積物等の排除をおこない、消防隊など緊急車両の通行を確保しますが、能登半島地震では、その道路が寸断されるということが起こりました。
 本市の場合、「札幌市地域防災計画」で、冬期の地震災害は被害が拡大し、凍死者も増えるという被害想定がされているように、冬期の災害対策は急がれます。
 防災計画では、冬場の地震災害対策の課題として、「冬期に地震が発生した場合、積雪が交通障害の原因となることから、早急な除雪作業が必要」とされております。
 除排雪や道路上のがれき撤去などの役割は、市と災害時の応援協定を結んでいる「災害防止協力会」、なかでも協力会を構成する市内建設業者に負うところが極めて大きいと考えます。
 日常的な除排雪が災害への備えとなることから、冬期災害時の除排雪についてどのようにお考えか、また、建設業界の深刻な人手不足などをふまえ、後継者の育成などとあわせた支援強化を考えられないのか伺います。

 質問の第2は、福祉避難所の開設に向けた支援についてです。
 能登半島地震でも、自治体と福祉避難所の提携をしている施設が、建物の損壊や職員の被災などにより、実際に開設できた避難所は一部にとどまっていることが分かっています。
 本市は、災害発生時、障がい者や高齢者など要配慮者を一時避難所の福祉スペースなどに避難させ、福祉避難所となる各施設の受け入れが可能となった時点で、移ってもらうとしています。
 市の「札幌市高齢者支援計画2024」では、今後特別養護老人ホーム等の新設にあたり、要配慮者二次避難所(福祉避難所)として活用可能なスペースを併設するよう事業者に促していくこと、「災害に対応した事業継続計画(BCP)」を策定する施設数を引き上げるために事業者を指導することなどの対策をあげています。
 いざという時要配慮者を受け入れるためには、日常から余裕のある人員体制と、施設整備が必要です。
 本市として、既存の施設を含め福祉避難所として機能できるよう、財政的支援が必要と思いますが、いかがか伺います。

 次に、子育て・教育施策についてです。
 質問の第1は、負担軽減についてです。
 本市では、少子化がすすむなか、若い世代の減少に加え、経済的事情から希望する子どもの数をあきらめざるをえない状況が、改善されないということが続いてきました。
 国の施策の有無や実施を待たず、各自治体が子育て支援を強めています。本市のアクションプラン、来年度予算でも「子ども・子育て支援」が柱と打ち出されております。物価高騰がくらしへの影響を及ぼすなか、大幅な子育て世帯への負担軽減策、また、少子化対策と子育て支援施策の充実が求められます。 

 質問の1点目は、国民健康保険料の子どもの均等割の軽減についてです。
 国保料の均等割・所得割分について、出産する母親の産前産後の4カ月間、双子など多胎の場合は6カ月間の全額免除が導入されました。しかし、生まれる子どもの国保料の均等割分は半額減免であるものの、子どもが生まれ、家族が増えると負担が増えるというシステムでは、多子世帯ほど大きな負担となります。
 現在、国保料の均等割分は未就学児までが半額減免となっていますが、本市が18歳以下を対象に独自で半額減免を行うことで、未就学児の均等割負担がなくなり、18歳まで半額減免となります。高くて負担が重い国保料を軽減するため、子どもの均等割の半額減免を行い、子育て世帯の支援をすすめるべきと考えますが、いかがか伺います。

 2点目は、子ども医療費の窓口負担・所得制限の廃止についてです。
 全国で、子ども医療費無償化の制度が広がっていることから、国が、子ども医療費無償化等をする自治体におこなっていた、国保の国庫負担金を減額するというペナルティを廃止すると打ち出しました。
 現在、政令指定都市では、窓口負担の完全無料が3市、年齢を限定し無料としている都市は10市、所得制限を設けているのは、4月時点で札幌市を含め3市のみとなります。
 育ちざかりの子を持つ世帯にとって、580円という病院窓口での出費は受診をためらう要因となっています。皮膚科、耳鼻科など同時期に複数の外来にかかることもあり、そのたびに負担が生じます。
 本市としても高校生まで医療費無償を広げることを決め、市民からは大変喜ばれています。あわせて、ペナルティ廃止による財源を活用し、初診料の自己負担と所得制限をなくし、完全に無償化とすることが、すべての子育て世帯への支援となると考えますが、いかがか伺います。

 3点目は、学校給食費の負担軽減についてです。 
 物価高騰が続き家計を直撃していますが、賃金は物価上昇に追いつかず実質マイナスです。しかし、本市の就学援助の対象基準は引き上げされておりませんので、対象外の所得水準でも厳しい状況となっています。
 教育行政学者の福嶋尚子さんらで構成する「隠れ教育費」研究室が、給食費をはじめ教材費など、保護者の私費負担の実態を発信しています。義務教育でありながら、授業で使う補助教材や用紙など消耗品、校外学習、制服やかばんなど多岐にわたり、小学校6年間で約51万円、中学校3年間では42万円もの保護者負担があります。その上に、給食費が年間5万円から6万円以上もかかることから、負担軽減と食育の観点として、独自で給食費の公費負担をする自治体が増えています。
 今年度、小中学校とも給食費無償化を実施している自治体は全国で約500と広がっています。道内でも、小中学校とも給食費無償化が50自治体に増え、小学校だけの実施、あるいは半額助成や第2子以降を減額・無償とする自治体を含めると44%となりました。本市も、給食費の無償化、せめて半額軽減など実質的な保護者負担の軽減に踏み出すべきですが、いかがか伺います。
 
 質問の第2は、教員の定数増と少人数学級についてです。
 全国的に教員不足と言われ、本市でも4月段階で50人、1月で36人未配置となっており、産休・育休の代替教員もなかなか補充されないという状況が続いています。
 国が正規教員の定数を非正規の教員にも適用してきたことから、本市でも非正規教員が増加しています。教員の担当授業数が増えるなか、保護者対応や各種報告、会議など現場では様々な仕事に追われ、多忙化が加速して、長時間労働をしなければ仕事が終わらない、ひとりひとりの子どもに寄り添えない、という悩みや不安の声が上がり、精神疾患による離職や休職が増加しています。
 教員の働き方の改善は、児童・生徒の学びや、成長にとっても必要であり、学校運営が円滑におこなわれるためにも重要であるものです。教員の長時間勤務の是正など、働き方改善のためには、教員の定数増が必要ですが、どうお考えか伺います。
 また、少人数学級は、教員にとって個々の子どもたちと向き合えるゆとりを生み、子どもたちも学習がわかりやすくなることなどから、保護者や教員からも評価されております。
 本市では来年度に5年生まで35人学級となります。3年生以降を1年ごとに進めてきたところですが、少人数学級となって、効果をどう認識されているのか伺います。

 次に、障がい者支援についてです。
 質問の第1は、保育所入所への相談・支援体制の強化についてです。
 保育園は、子どもが豊かに育つ権利を守るとともに保護者が安心して働く権利を守る役割があります。
 本市は、認可保育所など、保育施設において障がい児の受け入れを義務づけ、適切な支援を提供するため、保育所等巡回指導を行っています。
 本市の療育手帳所持者数は毎年増えており、「障がい児」の保育所入所への期待は大きくなっていると考えます。
 しかし、保育園に入所を希望しても、障がいがあることで「保育体制がない」「障がい児保育の経験が浅い」などの理由で入所を断られる例が多く、「希望する時期に入所できない」と保護者からの改善の要望が出されております。
 障がい児の保育所施設への入所を保障するために、公的責任において、保護者の希望する時期に入所できるよう、相談・支援体制の強化が必要と考えますがいかがか伺います。

 質問の第2は、障がい者世帯への切れ目のない支援についてです。
 小・中学校への入学準備は、保護者が、受け入れてくれる支援学級を探すことから始まります。校区外に通わざるを得ない場合、保護者による送迎や交通費の負担があります。
 学校を卒業してからも、就職や住まいの問題など、自立をすることが難しい課題と向き合っています。
 2022年度の障がい施策の実態調査で、「障がい者にとって暮らしにくい街である」と回答した方のうち、「障がいのある人に配慮した住宅、建物、交通機関などが不十分である」との回答が約7割になっています。
 通院や在宅での医療や交通助成、バリアフリー、障がい世帯の高齢化など様々な課題について、障がい者本人やその家族の意見を聞き、活かした支援や制度が急がれます。
 障がい者やその世帯が将来を見通し、安心して暮らせる切れ目のない支援が必要であり、そのための予算の確保が必要と思いますがいかがか伺います。

 質問の第3は、高齢障がい者のサービスの選択についてです。
 障害者総合支援法では、障害福祉サービス利用者が65歳になった際、介護保険に相当するサービスがある場合は、原則として介護保険の適用を優先することとされています。  そのため、障害福祉サービスは無料である住民税非課税世帯では、介護保険サービスへの移行により1割の利用者負担が発生するなど、障がい者の所得状況等によりサービス終了や短縮・制限を余儀なくされることなどの問題が起こっています。厚労省の通知では、機械的に介護保険優先を勧めるのではなく、個別の状況に応じて対応するよう示しておりますが、介護保険利用を「原則」としていることが本人や障がい福祉の現場において、混乱と負担をもたらしています。本人の不利益とならないよう、障害者総合支援法第7条の介護保険優先原則の速やかな廃止を国に求めるべきと思いますが、お考えを伺います。

 最後に、高齢者をとりまく施策についてです。
 2024年1月現在、本市では65歳以上の人口が約56万人、人口割合で約29%となっています。うち後期高齢者と定義づけされる75歳以上の高齢者は約29万人約15%です。
 本市では高齢者の就業率は低いものの、就労を希望する高齢者が多く、その背景には現役時代の低賃金からくる低年金や社会保障の水準が低すぎ、収入のために働かざるをえないという実態があると考えます。
 健康や経済状態にかかわらず、すべての高齢者が安心して暮らせる社会をつくることは国、自治体の重要な役割です。

 質問の第1は、介護保険についてです。
 1点目は、2024年度介護保険改定案についてです。
 高齢者は、加齢により運動機能や認知機能が衰えていくことは避けられませんが、介護保険サービスを利用し、リハビリを行うことで、衰える機能を回復、もしくは機能の衰えを最小限にする、フレイル予防ができます。
 しかし、昨年12月公表された、社会保障審議会の介護保険見直し案は、高齢者の負担を増やし、介護サービスを控える利用者が増えるのではないか懸念をする内容となっています。
 2024年4月から、国の示す標準段階においては、年間合計所得420万円以上の高齢者の介護保険料を引き上げ、2025年8月から、老人保健施設と介護医療院の多床室に入所している高齢者に月8千円の室料負担を導入することとしました。先送りしたものの、介護保険利用料の2割負担・3割負担の対象者拡大や、要介護1、2の生活援助の保険外し、現在40歳から介護保険料を負担している被保険者の年齢引き下げなど制度の改定を示しています。
 本市は、2024年度介護保険改定案をどうとらえ、どのような課題があるとお考えか、本市の介護事業者と介護サービスの利用者にどのような影響を与えると考えておられるのか伺います。

 2点目は、介護利用料の軽減策についてです。
 厚労省は、2023年10月各自治体への事務連絡の中で、65歳以上の第1号介護保険料について「介護保険制度の持続可能性を確保するためには、高齢化の進行により、介護費用の総額が増加している中にあっても、低所得者の保険料上昇を抑制する必要がある」と述べており、本市は、介護保険料について介護給付費準備基金を活用し保険料の上昇を抑制する予算案を示したところです。 
 介護保険制度は、3年ごとの保険料改定で、この23年間の間に2倍を超す大幅な値上げとなっており、高すぎる保険料や利用料の引き下げは緊急・切実な問題です。
 今後計画されている介護サービス利用料の値上げは、年金を主な収入としている高齢者にとって、生活を直撃する大問題です。食費や水光熱費などの値上げが暮らしを追い詰め、節約も限界という中、本来必要な介護サービスの利用を減らし、支出を抑えようとする高齢者がさらに増えることは容易に想像できます。
 すでに利用控えは起こっており、結果として機能低下が進み、体調を崩す悪循環になっている例が少なくありません。
 これは、本市がめざす「健康寿命の延伸」に逆行することになりますので、必要な介護サービスが利用できないことがないよう、経済的負担を軽減する必要があります。
 すでに、他都市で実施している「利用者負担助成制度」などを参考に、本市独自の介護保険利用料の軽減策を検討すべきと考えますがいかがか伺います。
 
 質問の第2は、高齢者の住まいについてです。
 1点目は、安心して入居し暮らせる住まいの提供についてです。
 本市は、高齢者住宅の主体は「サービス付き高齢者向け住宅」であるとして推進していますが、利用者は、家賃・食費・サービス費・介護保険の自己負担分などを合わせ、平均値で月17万円程度の負担ができる人に限られます。
 低廉な経費で入居できる軽費老人ホームは、8施設で定員450人、ケアハウスは17施設、定員1,050人と、高齢者人口に対し、公的施設が少ない現状です。入居を希望しても、待機者が多くて入居できない状況が続いています。
 特養などに入れず民間賃貸住宅に入居している場合、家賃の負担は重く、食費・光熱費を削りながら家賃の支出をしているという方が一定数いらっしゃいます。
 低所得・低年金の方も含め、高齢者が安心して入居し、暮らせる住まいを提供する取り組みが必要です。
 低廉な家賃で入居できる市営住宅の増設を行い、サービス付き高齢者向け住宅の自己負担の補助や民間賃貸住宅の家賃への補助制度などの検討をすべきと思いますがいかがか伺います。

 2点目は、高齢者向け優良賃貸住宅の補助期間の延長  についてです。
 高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃住宅)は、高齢者が安全で安心して暮らせる賃貸住宅を供給するという目的で2002年に導入され、札幌市が認定した民間高齢者向け住宅に入居される方に、補助の交付期間の20年間は家賃の一部を助成するというもので、市内に4か所ありました。
 2011年「高齢者住まい法」が改正され、高優賃制度は廃止されたものの、補助の交付期間中は制度の継続をしてきました。
 2023年に1か所の補助の交付期間が終了し、現在ある3か所も今後、2024年から30年までに順次、補助交付期間が終了することから、入居者や事業者から継続を求める声が上がっています。
 国土交通省は、高優賃住宅の補助について「市が延長を決めれば、最大20年補助を延長する制度があり、2001年に各自治体へ通知を出している」としております。
 本市では「高齢者が安全で安心して暮らせる賃貸住宅の供給」は必要とされており、制度を延長すべきです。本市の決断で、国の補助延長を活用し制度の継続をすべきと考えますが、お考えを伺います。

 質問の第3は、敬老パスについてです。
 敬老優待乗車証、いわゆる敬老パスは、1975年に導入され「老人の交通料金無料化の概要」で、その趣旨について「多年にわたり社会の進展に寄与してきた老人を敬愛し、明るく豊かな老後の生活の安定をはかり、家庭にこもりがちな老人が外出することにより活発な日常生活を営むことができるよう援護するものである」とし、無料のフリーパスとして制度化されました。途中、利用上限が導入されながらも、長く市民に支持される制度として、現在も喜ばれています。
 2020年から2022年、敬老優待乗車証の事業概要によると、敬老パスの交付を受けている高齢者は、対象である70歳以上人口の約84%、実際に利用している割合は、約59%です。
 2022年度、年齢別の表を見ますと、85歳から89歳の交付者数に対する利用者数は約58%、90歳以上になると33%と、70歳から84歳までの利用者数に比較すると、最大46ポイントも下回っています。

 1点目は、繰り返し提出される陳情の認識についてです。
 議会には、市民から「敬老パスを、タクシーやJRでも使えるように拡充してほしい」という陳情が繰り返しあがり、現在も継続審査となっています。
 繰り返される陳情には、高齢になればなるほど、心身の衰えとともに「バス停まで行かれない」「段差が危険」などの歩行困難を抱えますので、高齢者の移動支援としては、制度利用がバスと地下鉄のみでは不十分であり、健康状態によらず、すべての70歳以上の高齢者が等しく利用できるよう、タクシーとJRでも使えるようにしてほしいという、市民の切実な声であると考えますが、本市はどのように認識しておられるのか伺います。

 2点目は、地域交通の格差と交通費助成の不平等についてです。
 交通の便が良い地域にお住まいの場合、必要なチャージ額の自己負担は少なくてすむ一方、交通の便が悪い地域では、バスを乗り継ぐ場合の乗継割引がなく、乗車距離に応じて運賃が上がる対キロ運賃が導入されている地域やバス路線の集約化により、地下鉄に乗り換えなければ目的地に行かれないなどの条件のもとで、チャージをする自己負担が大きくなります。チャージ額の違いは、利用頻度によるものばかりではなく、お住まいの地域による交通の利便性の違いが関係していると考えます。
 このように、地域交通に格差があることで、交通費助成に不平等が起こっていることをどのように認識しているのか伺います。

 3点目は、敬老パス制度の発展と市民合意についてです。
 本市は昨年11月「多くの高齢者の健康増進に寄与している敬老パス制度を、敬老健康パス制度へ発展させ、社会参加のきっかけを一層後押しするとともに、これまでよりも多くの人が参加できる制度としていくことを目指す」として、敬老健康パス制度の素案を発表しました。
 2018年、本市が行った「敬老パス利用実態調査報告書」の「敬老パスが及ぼす効果」について、「高齢者の外出意欲が高まり、健康増進や介護予防を推進する効果」がもっとも多く、次いで「高齢者の買い物や外食をする機会が増え、消費を増やす」「高齢者の社会参加が促進され、生きがいを増やす」と続き、現行の制度が健康増進や経済効果に繋がっているという結果が出ています。
 素案について、10区で行った市民意見交換会では、市民の質問にこたえ「福祉的な制度なので自己負担をなくしたい」「制度として平等であるべき」という本市のお考えも聞いているところですが、多くの人に参加してもらい、平等な制度にするためには、制度の変更ではなく無償のフリーパスとして使える敬老パスにすることこそが、より良い制度になると思いますがいかがか。
 なにより、市民に喜ばれている制度であり、市民の合意なしに変更を強行してはいけないと思いますが、そのお考えがあるのか伺います。

 以上で、わたくしの質問のすべてを終わります。ご清聴ありがとうございました。

 

秋元市長 答弁
 全体で5項目にわたりご質問をいただきました。私からは大きな1項目目の私の政治姿勢についての4点お答えをさせていただきます。その余のご質問に対しましては、担当の町田副市長、天野副市長、教育長からお答えをさせていただきます。
 1項目目私の政治姿勢についての1項目目の温室効果ガスの削減についてお答えをいたします。
 まず、GX産業の集積と市の責任についてでありますが、温室効果ガスの削減目標につきましては、札幌市の気候変動対策行動計画に掲げておりまして、このたびの特区提案は、北海道の再生可能エネルギーの活用を通じて、ゼロカーボンと経済活性化の両立を目指すものであり、削減目標の達成にも寄与するところと考えております。また、GX関連の規制緩和につきましては、安全性の確保を前提として、国との協議を進めていくものであり、市民の皆様にも情報発信をしながら、しっかり説明をしてまいります。
 次に、気候変動の認識と取り組みの強化についてでありますが、昨今の夏の記録的な猛暑のように、温室効果ガスの増加に伴う影響が顕在化しており、札幌市といたしましても、気候変動対策を加速化させなければならないと認識をしているところであります。このような状況を踏まえ、アクションプラン2023におきましては、民間施設や市有施設などへの太陽光発電設備の設置拡大さらに、道内自治体との連携による再エネ電力の導入促進などについて盛り込んでおり、今後も温室効果ガス削減に向けた取り組みを積極的に進めてまいります。
 次に2項目目の札幌市経済の底上げと、中小零細企業の賃上げ施策についてお答えをいたします。
 令和6年度税制改正では、中小企業向けの措置として、赤字であっても賃上げが実現できるよう、新たに5年間の繰越控除制度が設けられたものと認識をしておりますが、札幌市で独自の減免措置等を設けることは、税負担の公平性の観点から慎重であるべきものと考えております。一方で、札幌経済を支える中小・小規模企業への支援は重要と認識をしており、今後もきめ細かな経営相談や各種融資制度の活用など、経営安定化に向けた支援を進めてまいります。
 次に3項目目の札幌ドーム周辺地域におけるスポーツ交流拠点構想についてお答えをいたします。
 まず変化に合わせた計画の見直しについてでありますけれども、札幌ドーム周辺地域は、第2次札幌市まちづくり戦略ビジョンにおいて、札幌の魅力と活力の向上に資する、スポーツや集客交流産業を振興する拠点として位置づけられており、オリンピック・パラリンピックの開催などに関わらず、拠点の整備が必要だと考えているところであります。拠点の整備に当たりましては、具体的な導入機能や事業手法なども明らかにするための基本計画を策定することとしておりまして、引き続き社会環境の変化や市民ニーズなどを踏まえながら検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に相乗効果と建設する場所についてでありますけれども、札幌ドーム周辺につきましては、日常的な賑わい作りが課題となっており、拠点の整備に当たりましては、札幌ドームとの相乗効果を生み出す機能の導入や、効果的な施設配置が重要と考えているところでありまして、基本計画の策定に向けては、導入する機能や、建設する場所等についても検討をしているところであり、この中で期待できる具体的な相乗効果や、周辺の交通対策、既存の緑の保全、活用方法などについても整理をしてまいりたいと考えております。
 次に月寒体育館がある現在の場所に建て替えることについてでありますけれども、札幌市が所管をするスポーツ施設の更新に当たりましては、札幌市スポーツ施設配置活用実施方針に基づいて、市民の利便性向上のほか、スポーツを核としたまち作りの観点からも、立地場所や導入機能を検討することとしているところであります。札幌ドーム周辺は、スポーツ文化芸術や集客交流産業を振興する拠点として、多様なイベントが開催されることはもとより、拠点の機能を高める施設の立地を進めることとしておりまして、月寒体育館の更新に当たっても、こうしたまち作りと連携していくことで、より整備効果が発揮できるものと考えているところであります。
 次に4項目目のオリンピック・パラリンピック基金の活用についてでありますが、オリンピック・パラリンピック基金につきましては、設置当初の目的を踏まえ、スポーツ施設の改修など、都市施設の整備や都市活性化のための諸事業の推進に活用するため、残金をまちづくり推進基金に編入することとしたものであります。
 私からは以上です。

町田副市長 答弁
 私からは、大きな2項目目の災害対策について、大きな3項目目、子育て教育政策についての1項目目の負担軽減についての最初の2つのご質問。それから、大きな4項目目、障がい者支援について、そして大きな5項目目の高齢者を取り巻く施策についての1点目介護保険について、そして3点目敬老パスについてお答え申し上げます。
 まず大きな2項目目、災害対策についてのうちの1点目、災害時の民間との連携強化についてでございますが、冬季災害時の除排雪につきましては、円滑に避難や救出活動が行われるよう、緊急輸送道路などの重要路線に加え、指定緊急避難場所までの経路を優先的に作業することとしております。
 また建設業への支援につきましては、体制確保のため、事業の安定経営に向けた建設事業費の確保や人材育成に繋がる除雪オペレーターの免許取得への助成などの各種支援を行っているところでございます。今後も建設業界の声を聞き、官民の連携を図りながら、冬期間における災害に強い体制の維持に努めてまいります。
 次、2点目2項目目、福祉避難所の開設に向けた支援についてでございますが、高齢者および障がい者の施設を整備するに当たりましては、災害時に要配慮者を受け入れるスペースの設置を評価基準に盛り込むことで、避難場所の確保に努めているところでございます。また福祉避難所の機能維持等を図るため、受け入れ協定を締結している各団体等と協力して、災害対応訓練および研修会を実施しているところでございます。人員体制につきましては今回能登半島に派遣された施設職員の経験や情報を共有し、災害発生時に施設間で柔軟に応援職員を派遣できるよう、関係者とともに取り組んでまいりたいと考えるところでございます。
 次、大きな3項目目、子育て教育政策についての1番目の負担軽減についての質問のうち2点についてお答え申し上げます。
 1点目の国民健康保険料の子どもの均等割の軽減についてでございますが、北海道では国の方針に基づき、同じ所得、同じ世帯構成であればどこの市町村に住んでいても、保険料が同額となる統一保険料を導入することとしております。そのようななか、札幌市として子どもの均等割の軽減の拡充を独自に行うことは難しいものと考えるところでございます。
 負担軽減のうち2点目の子ども医療費の窓口負担、所得制限の廃止についてのご質問でございますが、子ども医療費助成は、子育て支援環境の充実を図る重要な取り組みの一つであり、対象を高校3年生まで段階的に拡大することとしたものでございます。今後の更なる拡大につきましては、事業の持続可能性や他の医療費助成制度とのバランスなどを勘案しながら検討してまいります。
 次、大きな4項目目、障がい者支援についてのうちの一点目、保育所入所への相談支援体制の強化についてでございますが、障がいのある児童の保育所等での受け入れにつきましては、各園に対して、障がい児保育への理解を深めるための研修や巡回指導等を行い、職員のスキルアップが図られるよう指導支援してきたところでございます。これらの取り組みに加え今後は手厚い職員配置を行った保育所等に対する補助の充実を図ることで、障がいのある児童を受け入れやすい環境整備を進めてまいります。
 次2点目の障がい者世帯への切れ目のない支援についてでございますが、障がいのある方とその世帯の支援にあたりましては、不安を抱える家族の心情に寄り添いつつ、関係機関が連携の上、個々の障がいの状態に応じた支援に取り組む必要があると認識するところでございます。このため、障がいのある方やその家族などの意向を踏まえながら、総合的な支援、相談支援体制の構築、福祉サービス等の情報提供やバリアフリー化など引き続き、ライフステージに応じた切れ目のない支援に取り組んでまいりたいと考えるところでございます。
 次、障がい者支援についての3点目の高齢障がい者のサービスの選択についてのご質問でございますが、介護保険の対象となる障がいのある方は、障がい者総合支援法の規定に基づき、介護保険のサービスが優先されることになりますが、札幌市では、国の通知に基づき、障がいのある方の個別の状況を十分に把握して柔軟に対応しているところでございます。国に対しては、障がい福祉サービスと介護保険サービスの間の利用調整がより円滑にできるよう、他の政令指定都市と共同して改善を求めており、今後とも継続して要望してまいりたいと考えるとこでございます。
 次、大きな5項目目、高齢者を取り巻く政策についての一点目、介護保険についてでございますが、そのうち最初のご質問2024年度介護保険改定案についてでございます。
 今回の改定案につきましては、国において介護保険制度の持続可能性を高めるため、給付と負担のあり方について様々な観点から制度見直しの議論がなされた結果と受け止めているところでございます。結論が先送りとなった議論の中には、低所得者層の負担増が懸念されるものもあると考えられることから、今後の制度見直しに当たっては、慎重な議論を重ねるよう引き続き国に求めてまいります。
 2点目の介護利用料の軽減策についてでございますが、介護サービスの利用者負担につきましては、一定額を超える負担を、高額介護サービス費として払い戻すなど、利用者の収入等に応じた負担軽減策が講じられているところでございます。札幌市独自の更なる負担軽減策は、社会全体で支え合う介護保険制度の趣旨から適切でないと考えるところでございます。
 次に敬老パスについてのご質問でございますが1点目の繰り返し提出される陳情の認識についてでございますが、敬老パスを導入した昭和50年に比べ高齢者の平均寿命が大幅に伸び、それと同時に、加齢による身体状況の低下などから、個々の状況に応じた多様な手段で使いたいといった声があると認識するとこでございます。デジタル技術の普及により様々な決済手段の導入が進んでおり、新たな敬老健康パスにおきましては、タクシーやJRで利用できる仕組みとするよう検討をしていきたいと思うところでございます。
 2点目の地域交通の格差と交通費助成の不平等についてでございますが、敬老パスの利用実態としては、必ずしも交通利便性が低い地域において利用者のチャージが多いわけではなく、むしろ中央区などの交通の利便性が高い地域でチャージ額が多い傾向にございます。また、利用実態調査の結果などから、利用状況の差は、お住まいの地域のみならず、生活実態や加齢に伴う身体状況の違いによるものも大きいと考えられるところでございます。このため今後検討していきます敬老健康パスによって歩数のみならず、社会参加なども含む日常的な活動量を見える化し、自然に健康寿命を延ばしながら高齢者の個々の事情に応じて幅広く日常生活を支えられる環境を整えてまいるべく、検討してまいりたいと考えるところでございます。
 3点目の敬老パス制度の発展と市民合意についてでございますが、敬老パスは70代の方が多く利用し、加齢とともに利用が減少していきますが、こうした実態を踏まえて、より多くの高齢者にとって利用しやすくなる利用しやすくなるよう、公共交通機関以外の用途としても活用できる敬老健康パス制度の素案を考えていきたいと思うところでございます。より多くの方に喜ばれる仕組みとなるよう、段階的な導入も含めて検討し、しっかりと市民の声を伺い持続可能な制度を構築してまいります。私からは以上でございます。

天野副市長 答弁
私からは大きな5項目目、高齢者を取り巻く施策についての2点目、高齢者の住まいについてお答えをいたします。
まず安心して入居し、暮らせる住まいの提供についてでございますが、札幌市の市営住宅については、今後の人口減少や民間賃貸住宅の空き家の状況等を踏まえ、管理戸数を抑制していくことを基本としております。このため、高齢者等の住宅確保要配慮者に対しましては、市営住宅だけでなく、不動産関係団体等と連携し、民間賃貸住宅も活用しながら、住宅市場全体でセーフティネットを構築して参ります。また、サービス付き高齢者向け住宅を含めた民間賃貸住宅の家賃を支援する制度についてはその必要性を慎重に検討すべきものと考えてございます。
次に高齢者向け優良賃貸住宅の補助期間の延長についてでございますが、家賃減額の補助期間の上限を20年とすることについては事業者および利用者間の双方の合意のもと、入居者入居契約が取り交わされていることから、補助期間の延長は想定をしておりません。
私から以上でございます。

檜田教育長 答弁
私から3、子育て給付政策についての一つ目負担軽減について、3点目の学校給食費の負担軽減について、そして次の教員の定数増と、少人数学級についてお答えをさせていただきます。
まず一つ目の負担軽減についての3点目学校給食費の負担軽減についてでありますが、学校給食費につきましては、物価高騰を踏まえ、令和4年度から食材費の高騰分を公費で負担をしており来年度も引き続き、給食費を据え置くこととしているところでございます。
次に教員の定数増と少人数学級についてでありますが、教員の定数増や少人数学級の拡大については、子ども1人ひとりに応じたきめ細かな指導など、教育活動を充実させる上で重要なものと認識をしております。また、働き方改革の推進につきましては、学校における既存業務の見直し、あるいはICTの利活用など、様々な取り組みを実施してきたところであります。札幌市としては引き続き、国に対して教職員定数の改善を要望するとともに小学校全学年への少人数学級の拡大や学校の働き方改革を着実に進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。

田中議員 再質問
2点再質問させていただきます。
一つは、学校給食費の負担軽減について、もう一つは敬老パスについて2点質問をいたします。学校給食の負担軽減について、まず伺います。今回の代表質問で、市民の生活が、この大変さ、これに札幌市が寄り添っていくように求めてまいりました。答弁では、市内中小零細事業者への独自負担、独自支援については、公平性の観点から慎重であるべきと、また国保の子どもの均等割減免については、本市が独自で行うことは難しいという答弁でした。
そして今学校の給食費の負担軽減については、高騰分を支援し、据え置く。これを続けるというものでした。市民の負担を軽減していくのではなくて、据え置くということを続けています。だからこそ、市民の暮らし、その底上げがされていないのではないでしょうか。学校給食費の無償化、負担軽減を実施している自治体が増えているということは、先ほど質問の中でも述べました。他都市では工夫をしながら、子育て世代の支援について決断をしています。本市でも要望の多い学校給食費の負担軽減を決断すべきと思います。早急に、まず様々な負担の軽減策を検討し、決断すべきだと思いますが、重ねて質問をいたします。
2点目、敬老パスについてです。50年前の導入のときと違って、平均寿命が延びていると、これは大変喜ばしいことだと思います。ただ、答弁の中で、決済手段の導入が進んでいると、電子マネーでタクシーやJRへ利用できる仕組みを検討しているということだと思いますが、今の敬老パスで使えるように検討が必要ではないでしょうか。答弁の中では、市民の声を伺いながら、段階的に導入をしていく旨の答弁がございました。
そこでまず一つ、この段階的な導入とは具体的にどういうことなのか伺います。また長きにわたって支持され、喜ばれている現在の敬老優待乗車証、敬老パスは現制度で、タクシーやJRで利用できるように拡充をし、高齢者のフレイル予防、また認知症予防を進めていく、このウェルネス推進としての敬老健康パスは別々のものとして考えるべきだと思いますが、市長のお考えを伺います。

秋元市長 答弁
私からの敬老パスの関係をお答えをさせていただきます。一つは段階的にということのご質問でございました。これは現在既に敬老パスを利用している方の経過措置というようなことにも具体的に検討していきたいということであります。具体的な内容につきましてはいろいろなシミュレーションしながら進めていきたいというふうに思っております。
それからJRの、あるいはタクシーのということでございます。先ほど副市長からご答弁をさせていただきましたけれども、幅広い活用をしていく形の中で、今の経営敬老パス、この仕組みを世の中に全体に広げていくということは、現実にはなかなか難しい。そういう観点から、既に使われている様々なポイント制度、こういったものを利用した中で、利用者が使えるようにしていく、そのことを検討していきたいと、このように考えております。

檜田教育長 答弁
学校給食費の負担軽減ということでございますけれども、そもそも学校給食につきましては、施設あるいは設備、運営等の経費を公費で負担をしており食材費のみ保護者の方にご負担をいただいているという制度でございます。給食費については、物価高騰の部分を考慮し、引き続き食材費の高騰分を公費で負担し、来年度も据え置くということにさせていただいているところでございます。以上でございます。