札幌市は2月14日に開会した定例市議会で、「札幌市公契約条例」案を提案しました。日本共産党の伊藤理智子市議は2月21日の代表質問で、「働く人が人間らしく生活できるよう応援し、経済を循環させる」と条例制定の意義を評価しました。
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公契約条例は、自治体が発注する公共工事や業務委託で働く労働者に、適正な賃金の支払いや労働条件確保を、受注企業などと結ぶ契約(公契約)で義務付けるものです。低入札価格のしわ寄せで、賃金が低下したことを改善しようと2009年に千葉県野田市が初めて制定しました。
札幌市が同条例を制定すると、野田市、川崎市(神奈川県)、相模原市(同)、多摩市(東京都)に続き全国で5番目となります。
「安かろう悪かろうの業務委託が住民の命を脅かしています」―。反貧困ネット北海道が1月26日に開いた「なくそう!官製ワーキングプア 公契約条例学習集会」で、全労連の斎藤寛生組織局長は全国で起きている事例をもとに、こう指摘しました。
埼玉県ふじみ野市で06年7月31日、小学2年の女子児童が市営プールの吸水□に扱い込まれて死亡しました。管理業務をしていた民間業者はプール設備の保守を怠り、監視員は事故対応ができないアルバイトでした。
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11年8月1日には大阪府泉南市のプールで男子児童が水死。「時給800円、高校生780円。末経験者大歓迎!」という広告に応募した監視員は、沈んでいた児童に気付きませんでした。泉南市は「民間の委託業者によるプールの管理体制に不備があった」と認めました。委託業者の社長は委託料について「これではしんどい」と再三訴えていました。
反貧困ネット北海道副代表で北海学園大学准教授の川村雅則氏=労働経済=はゼミの学生とともに、札幌市が指定管理者制度を導入している区民センター、体育館、保育所、市営住宅など418施設を対象にアンケート調査を実施しました。
回答があった106施設の労働者1897人のうち、7割が非正規労働者でした。(別表)
アンケートの回答には「委託料の少なさと指定管理期間の短さから、新規採用計画が立てられない」「専門的知識や技術が継承されない」という声が寄せられています。
川村准教授は「公共事業や業務委託などで行きすぎた価格競争が行われた結果、官製ワーキングプアをつくり出し、市民の安全が脅かされています」と警鐘を鴫らし、公契約条例制定の必要を強調します。
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札幌市議会では慎重論もあるなか、公契約条例制定の意義をまとめました。