厳冬の北海道札幌市東区で1月31日の深夜、生活困窮者の共同住宅「そしあるハイム」が全焼しました。入居していた16人のうち、11人が亡くなりました。犠牲になったのは40代から80代の男性8人と女性3人。生活困窮者や高齢者らが安心して暮らすことのできる住居の確保が求められます。
日本共産党札幌市議団・村上仁幹事長
近隣の住民らによると、出火後まもなく共同住宅の屋根が抜け落ち、火柱が立ち上りました。
共同住宅は札幌の合同会社「なんもさサポート」が運営。築50年で、旅館を改造した木造2階建てです。市消防局によると、自動火災報知機や漏電火災報知機は設置されていたものの、スプリンクラーは未設置。2階の「非常口」は「避難はしご」だけで階段はありませんでした。
「なんもさサポート」は4日の記者会見で謝罪するとともに、防火体制については「資金的な余裕がなく現状は法的に許される範囲でやっていた」と語りました。
「そしあるハイム」の入居者は大半が単身の高齢者。そのほとんどが生活保護利用者でした。
公的な介護施設などに入れず、民間の賃貸物件にも敬遠される、行き場をなくした単身高齢者や生活困窮者が増えています。「そしあるハイム」のような共同住宅が「制度のはざま」に落ちた人を引き受ける場になっていたのです。こうした共同住宅や施設の火災が全国で相次いでいます。今回の惨事は、まさに「制度のはざま」で行き場を失った人たちを襲った悲劇です。
生活保護のケースワーカーによる定期的な訪問などを通じ、札幌市は保護利用者の住居を含めた生活実態や健康状態を把握しうる立場にあります。「そしあるハイム」には、足腰が悪く、つえを使っていた入居者もいました。病気や障害を抱えた高齢者らにとって、この共同住宅が適切だったのか、行政の認識と対応が問われます。
札幌市は「そしあるハイム」が無届けの有料老人ホームの疑いがあるとして過去4回、調査票を送付しました。しかし回答がなく、有料老人ホームに該当するかどうか把握できませんでした。有料老人ホームと認められればスプリンクラーが義務付けられる場合もあります。
日本共産党札幌市議団は、「そしあるハイム」と同様の共同住宅・施設等の実態を緊急に調査して必要な対策を講じること、住宅・施設の運営団体の現状把握と支援を急ぎ、市営住宅を拡充するよう求めています。
<緊急要望>生活困窮者、高齢者などが安心して生活できる住宅の確保を