任期の折り返しを迎える17年度の札幌市予算議会( 第一回定例議会) は、私自身初めての代表質問に始まり、この間の市職員の不正・不祥事による市長の給与減額の議案がかかる臨時常任委員会まで、怒涛の1カ月間でした。
代表質問で印象的なのは、市長は「企業の立地を促進することが雇用の創出・経済の活性化につながる」ことを強調し、企業立地促進費には前年度の約2倍となる15億円が予算化され、現在建設されている民間再開発に約400億円もの補助金が出されている一方で、高すぎる国保料の引き下げや高齢者の外出支援などの福祉の分野では市民に背を向けている点です。
「顔認証」中止に
「札幌市『顔認証』実験へ」と大きく報じられた「ICT活用実証実験」。札幌市は札幌駅地下歩行空間(チ・カ・ホ)を歩く市民をカメラで撮影し統計をとり、ビッグデータとして産学と連携した技術革新の創設やビジネスの活性化に利用するとして実証実験を予定していました。しかし、「プライバシーの侵害ではないか」との不安が広がり、市はカメラ型センサーの使用をやめ、人感センサーとビーコン(位置情報などを伝達するための電波)の使用に切り替えました。
「なぜカメラ型センサーによる実験をやめたのか」とのわが党の質問に市は答えることができず、「プライバシー保護のために万全を期したい」と述べるだけでした。政令市の中でも札幌市が率先して行おうとしているICT・ビッグデータの活用ですが、市民のプライバシーにかかわる情報が企業に提供される恐れはぬぐえず「自治体としてやるべきことではない」とただしました。
学校給食費の無償化検討へ
給食費の無償化で、子育て世帯の実態を指摘し具体的に提案しました。
札幌市では小中学校を卒業する9年間で45万円の給食費がかかりますが、札幌市の「子ども貧困対策計画」の策定にむけた実態調査では6割以上の子育て世帯が「家計が苦しい」と答えており、45万円の給食費は決して安くはありません。
「就業構造基本調査」によると年収300万円未満の世帯は全体の41・8%、200万円未満は24・7%を占め、若い世代は結婚や子どもをつくることを躊ちゅう躇ちょせざるを得ません。「子育て世帯の家計状況からみても給食費の無償化を実施すべきではないか」との質問に対し担当部長は「生活が困窮している世帯については生活保護や就学援助などの制度で支援していく」と答弁、つまり給食費の無償化については考えていないということです。
しかし社会から孤立し貧困状態が把握できず、支援が届かない子どもがいます。
私は全国的に給食費の無償化が広がる中で、札幌市予算の1%に満たない財源(70億円)で実施可能だと提案し、すぐ検討を始めるべきだと求めました。(全1741市町村のうち少なくとも417カ所で完全無償化や一部補助を実施している)
再度の提案に副市長は「子どもの貧困は非常に大きな問題。どのようなものを実施していくのか、今後検討していきたい」と答えました。
なんとか「検討する」との答弁を引き出すことができ一歩前進です。必ず実現へ議会内外で奮闘します。
老朽化したゴミステーション対応
地域の課題では老朽化した箱型ごみステーションへの対策について取り上げました。
マンションなど共同住宅の敷地内に設置する箱型ごみステーションへの助成は、2008年に党市議団が求めたことで翌2009年に設置費用などへの助成がスタートし、設置の助成件数はこれまでに約7500件に上っています。
しかし近年、経年劣化によって破損するごみステーションも増えてきています。そこで「修繕や更新も助成対象になっていることを積極的に周知するべき」と質ただしました。市は「ごみパト隊含め、不動産関係団体にも情報提供し制度周知を図っていく」と答弁しました。
この助成制度は共同住宅だけでなく、歩道上の折り畳み式の箱型ごみステーションも対象となります。周知をはかり市民が気持ちよく利用できるごみステーションの環境改善を今後も求めます。
待機児対策~9万署名に答えて
保育の充実を願う9万筆の署名が市に提出されるなど、待機児童対策は喫緊の課題です。
「空いているところがなく、兄弟同じ保育所に通わせられない」など切実な声に応えるためにはゼロ歳から就学前まで入所し続けられる認可保育所を増やすことが重要です。
札幌市は「就学前までの一貫した保育サービスを保障することは非常に重要」と見解を明らかにし、「供給確保に努めたい」と述べました。
市の大きな課題から地域の問題まで様々な質疑に市議団一丸となって取り組みましたが、まだまだ勉強不足な点や反省も残りました。現在は6月市議会の代表質問(6月6日予定)に向けての準備を始めたところです。さらに市政を動かす強い市議団をつくるために今後も奮闘する決意です。