札幌市議会決算特別委員会で16日、日本共産党の坂本きょう子市議は、札幌市が6年間にわたり業務委託してい.た事業者が労働者を劣悪な条件で働かせ、「法定休日」を与えていなかった問題をとりあげ、是正措置や再発防止策をとるよう強く求めました。
問題の事業者は、市から駐車場の管理業務を委託され、夜間警備などに従事する労働者を午後5時半から午前8時半まで日給7000円で雇用していました。拘束する15時間(休憩1時間)のうち、仮眠4時間の賃金を支払っていませんでした。また、夜勤を3日連続行い「夜勤明け」の日を休日扱いにするシフトを繰り返し、実際には、週休が1日もない働かせ方を6年間もさせていました。
労働基準法では、休日とは、暦日(午前O時~翌日午前O時)の休業をいい、「夜勤明け」の日は、法定休日に該当しないとしており、別途、暦日休める日を法定休日として設定するよう定めています。
坂本市議は「異常な働かせ方であり、過労死につながる可能性がある」と指摘しました。
市の聞き取り調査に対して事業者は、日給については「仮眠時間を賃金に含むか含まないかで行き違いがあり、2年分さかのぼって労働者に支払い、和解した」と答えました。
法定休日を与えなかったことについては、聞き取りは行っていませんでした。
坂本市議が「委託業務下での労働実態を調査・把握し、是正すべきだ」と求めたのにたいし宮浦哲也建設局長は「同様の事がないよう調査したい」と答えました。
上田文雄市長は「2002年に最高裁で″仮眠時間は労働時間である″という判決が出され、それが定説であると認識しており、大変遺憾だ」とのべました。
坂本市議は「今回のケースはこの会社だけの問題ではない。法律を知らない、知っていたとしても言い出せない。″仕事を辞めると、次の仕事がみつからないから仕方ない″という労働者の気持ちに付け込んだやり方です」と強調し、市の責任でただちに再発防止策をとるよう求めました。
上田市長は「適切な労働環境を保つため、公契約条例の制定など政策的課題を持って取り組んでいる。(再発防止策は)今後検討したい」と答弁しました。
この事業者を相手に訴訟を起こした60代の元従業員の男性は委員会を傍聴したあと、「市長の″遺憾だ″という答弁を聞けたことはよかった。市側のチェック機能や、問題が起きた場合のペナルティー(罰則)をどうするのか考えてほしい」と話しました。
男性の元同僚は「会社が″和解した″と言っているが冗談じゃない。6年間休日もなく働いて、″2年分の未払い賃金を払ったからいいでしょ″とはならない。会社からの誠意を感じない」と怒りをあらわにしました。
低所得の高齢者も安心して住める札幌市に
坂本きょう子市議は10月4日の決算特別委員会で、超高齢化社会を迎えるいま、市は高齢者を対象とした市営住宅の建設や高齢者の住宅環境の整備をしっかりと行っていくべきと求めました。
その中で坂本市議は、「市営住宅は建てない、借り上げ住宅も増やさない、民間住宅も活用しないとなると、経済的自立、身体的自立の困難な高齢者など住宅困窮者は行き場が無くなることになる」と指摘し、さらに「高齢の低所得者は、行政が関わっているサービス付き高齢者向け住宅(現在120棟・5026戸)には入居できないから、サービス付き以外の高齢者アパートや高齢者下宿などに住むと思われる。そこではバリアフリーなど良好な住宅環境が保たれているのか、また介護や医療など福祉の面で安心して住める環境が整うのか、大いに懸念される」と強調しました。
入江部長は「市営住宅をドンドン建てる時代ではない。民間住宅とのセーフティーネットづくりで対応する」と市の対応を正当化しようとしたため、坂本市議は「超高齢化社会を迎え、いまこそ公的責任として札幌市が何をやっていくのかを明確にすべきだ」と主張。
「そのためにも①未掌握の高齢者アパートや高齢者下宿の実態を把握する、②福祉の観点からも高齢者の住宅対策を協議する関係連絡機関を設置する」ように迫りました。
入江部長はそれぞれ「検討する」と応じました。
坂本きょう子市議 市に「福祉灯油」・「あったか応援資金」の実施を求める
坂本きょう子市議は10月9日の市議会決算特別委員会で、「福祉灯油」や「あったか応援資金」の実施、生活保護の切り下げや就労指導などの行き過ぎた保護行政、また生活保護世帯などの子供たちへの「学びのサポート事業」の全市への拡大などを求め、市の姿勢を厳しくただしました。
市に強く福祉灯油などの実施を求める坂本市議
=10月9日・市議会予算特別委員会=
市側「灯油価格は安定」と答弁
これに対し、中村武信生活保護担当部長は、「灯油価格は今年4月以降、90円代で『安定』している」「福祉灯油を実施しても暖房費のごくわずかにしかならず、市にも財政的な負担。もし困窮することがあれば、社会福祉協議会の緊急融資などの利用を」などと、灯油の高騰や生活実態を全くかえりみない答弁を行いました。
坂本市議は「多くの市民が困窮しているからこそ福祉灯油の実施を願っている。道内179自治体のうち、151が福祉灯油を実施している。札幌市が実施しないという言い訳にもならない」と厳しく批判し、重ねて強く市に実施を求めました。
困窮している人の実態によりそった保護行政に!
続いて坂本市議は生活保護の問題を取り上げ、「9月からの国の生活保護の引き下げで、道内で1千4百件以上の生保受給者の不服審査請求が上がっているが、その大半が札幌の世帯から」と指摘。また、自立しようと資格を取る努力をしていた方が保護費の引き下げで受講料を捻出できずに諦めた例や、子どもの進学費用が手配できずに進学を諦めた例も示し、「生保受給世帯の暮らしの実態は厳しいという認識はあるのか?」との質問に対し、中村部長は「生保の支給基準は国が責任を持って決めたもの」との答弁を繰り返し、市としての認識を全く示しませんでした。
坂本市議は、現に就労していた方がトリプルワークで週40時間以上働くように再三「指導」され、心労から体調を崩し働けなくなったなどの実例を示し、保護課の行き過ぎた「就労指導」がかえって受給者の生活や自立を阻害していると指摘し、重ねて市の認識を質問。
中村部長は「個人の状況に応じ就労指導している」と強弁しましたが、坂本市議は「実例があった通り、そうなってはいない」と厳しく批判し、「市には福祉の心が無いと言わざるを得ない。本当に困窮している人の実態を把握し、自立や子供の健やかな成長や発達を保証していくのが保護行政の任務」と指摘し、強く保護行政の改善を求めました。
「学びのサポート事業」の全市への 拡大求め、市も拡大の答弁
この他にも坂本市議は、今は札幌市10区中5区で実施されて いる、生活保護世帯の中学生の子どもを対象にした「学びのサポート事業」について、「通っている子供たちが将来の夢を持てたり、学ぶ意欲や楽しさを感じるなどの効果が有るのを市も認めている。貧困の連鎖を断ち、子どもたちの夢や健やかな成長のためにも、対象を小学生から高校生にも広げ、ただちに札幌市全区で取り組むべき」と求めました。
これに対しては、中村部長は「来年度から拡大していく」と答弁しました。
坂本きょう子市議と北区の各「住み良くする会」 今年も中央バスに北区住民の要望実現を申入れ
10月17日、坂本きょう子市議は北区の各住みよくする会とともに、中央バス交渉を行い、バスの増便や路線の延長、また積雪量の多い地域では特に強い要望である「バス待合所」の新設など、区民の要望の実現を申し入れました。
中央バス側は、札幌事業部・中川原清次長らが応対しました。
中央バスとの交渉は実に15年にわたり、毎年行われています。
中央バス側に要望実現を申し入れる坂本きょう子市議(写真:右から2人目)と北区の各住み良くする会の皆さん
=10月17日・札幌ターミナル4F=
茨戸耕北橋バス停(石狩街道側)に新たにバス待合所
今年の交渉では、西茨戸地域までの路線延長、あいの里ー札幌ターミナル便の朝の増便、また北区各所の待合所の新設などを強く要望しました。
中央バス側は、今年の11月末までに石狩街道側の茨戸耕北橋バス停で新規に待合所を建設する事を明らかにしました。また時刻表の文字を極力大きくするよう更に努める事。バス停周りの除雪について、市の関係部署との連携を強め対応していくと表明しました。
しかし、路線の延長や増便については、バス車両や人員の手配が難しく、現状では困難であるとの見解が示されました。
また、待合所の新設については費用や地下埋設物や用地確保の問題もあり、また精神障がい者の運賃割引制度の実現についても、いずれも市との協議が不可欠との認識が示されました。